日本語でわかる最新の海外医学論文|page:472

トラスツズマブ デルクステカン、既治療HER2+胃がんのOS改善/NEJM

 既治療HER2陽性胃がん患者において、トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201)は医師が選択した化学療法と比較し、客観的奏効率(ORR)および全生存期間(OS)を有意に改善した。安全性については、骨髄抑制および間質性肺疾患の副作用が顕著であった。国立がん研究センター東病院の設楽 紘平氏らが、日本の48施設および韓国の18施設で実施した無作為化非盲検第II相試験「DESTINY-Gastric01試験」の結果を報告した。トラスツズマブ デルクステカンは、抗HER2抗体と新規トポイソメラーゼI阻害薬を、切断可能なテトラペプチドベースのリンカーを介して結合させた抗体薬物複合体(ADC)である。第I相試験において既治療HER2陽性進行胃がんに対する有効性が示されていた。NEJM誌2020年6月18日号掲載の報告。

高齢1型DM患者の低血糖発現、CGM vs.標準BGM/JAMA

 60歳以上の1型糖尿病高齢患者では、標準的な血糖測定(BGM)に比べ持続血糖測定(CGM)を行うことにより、低血糖がわずかではあるが統計学的に有意に減少することが認められた。米国・AdventHealth Translational Research InstituteのRichard E. Pratley氏らが、米国の内分泌科22施設で実施した無作為化臨床試験の結果を報告した。CGMはリアルタイムで血糖値を評価できることから、1型糖尿病高齢患者の低血糖を軽減することが期待されていた。JAMA誌2020年6月16日号掲載の報告。  研究グループは、60歳以上の1型糖尿病患者203例を、CGM群(103例)と標準BGM群(100例)に1対1の割合で無作為に割り付けた。標準BGM群には、自宅で1日4回以上血糖測定を行ってもらうとともに、無作為化後7、15および25週後に来院してCGM(盲検下)を1週間装着してもらった。両群とも無作為化後4、8、16および26週後に評価した。

高レベルのMET増幅肺がんにおけるcapmatinib(GEOMETRY-MONO1)/ASCO2020

 MET-TKI capmatinibは、METexon14スキッピングを有する非小細胞肺がん(NSCLC)への有効性が示されており、FDAでも認可されている。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)では、MET増幅NSCLCについての、第II相GEOMETRY Mono-1試験の結果が発表された。 ・対象: [コホート1a]Stage IIIB / IVの既治療の高度(遺伝子コピー数、GCN10以上)MET増幅NSCLC [コホート5a]治療の高度MET増幅(同上)NSCLC ・介入:capmatinib 400mg×2/日 ・評価項目: 「主要評価項目]盲検独立審査委員会(BIRC)評価の全奏効率(ORR) [副次評価項目]BICR評価の奏効期間(DoR)、BIRCおよび治験担当医評価の病勢制御率(DCR)、治験担当医評価のORR、治験担当医評価のDoR、BIRCおよび治験担当医評価の無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、BIRCおよび治験担当医評価の奏効までの期間、安全性、薬物動態

EGFR陽性肺がんに対するゲフィチニブのアジュバント(CTONG1104試験)/ASCO2020

 病理病期II~IIIAで、完全切除を受けたEGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する術後療法としての、標準的なプラチナ併用化学療法とゲフィチニブの比較試験の全生存期間(OS)に関する報告が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で中国・Guangdong Lung Cancer InstituteのYi-Long Wu氏より発表された。  本試験は中国国内で実施された多施設共同オープンラベルの第III相無作為化比較試験であり、無病生存期間(主要評価項目)の有意な改善に関する報告は2017年のASCOで既になされている。今回の発表はOSの最終解析報告である。

乳がん術後補助療法の非順守が血清検査で判明、再発リスクは2倍/JCO

 乳がん術後補助療法のタモキシフェン治療へのノンアドヒアランス(非順守)は、医師に認識されていないことが多い。今回、フランス・Institut Gustave RoussyのBarbara Pistilli氏らが、タモキシフェン治療の非順守率を血清検査で生化学的に調べたところ、自己申告では順守であっても順守していない患者が多いことがわかった。また、非順守患者では短期における遠隔無再発生存期間(DDFS)が順守患者より有意に短いことが示された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年6月22日号に掲載。

新型コロナで低カリウム血症、その原因は?

 中国・温州医科大学のDong Chen氏らは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者における治療転帰との関連性を見いだすため、低カリウム血症の有病率、原因、および臨床的影響を調査する目的で研究を行った。その結果、COVID-19患者において低カリウム血症の有病率が高いこと、さらにその原因として、新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)がアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)に結合することにより、ACE2(レニン-アンジオテンシン系を抑制)が分解され、レニン-アンジオテンシン系が活性化して持続的に腎からカリウムが排泄されることが示唆された。JAMA Network open誌2020年6月1日号掲載の報告。

去勢感受性前立腺がん、アパルタミド+アビラテロン vs.ADT+アビラテロン vs.アパルタミド単独(LACOG0415)/ASCO2020

 去勢感受性前立腺がん(CSPC)に対するアパルタミドとアビラテロンの併用とアンドロゲン遮断療法(ADT)とアビラテロンの併用、アパルタミド単独療法の3群を評価する試験結果が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、ブラジル・Hospital Israelita Albert EinsteinのFernando C. Maluf氏から発表された。本試験は、中南米の臨床試験グループ(LACOG)が実施した、オープンラベル無作為化非比較第II相試験である。

統合失調症外来患者における抗精神病薬の高用量処方に関連する要因

 抗精神病薬は、複数の向精神薬と併用し、高用量で処方されることが一般的である。京都大学の高橋 達一郎氏らは、統合失調症患者に対する抗精神病薬の高用量処方に焦点を当て、患者の特徴および向精神薬併用との関連を特定するため調査を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年5月26日号の報告。  2014年10月~2015年3月の全国都道府県からの請求データを用いて、統合失調症成人外来患者の抗精神病薬処方を調査した。客観的変数は、高用量処方の有無とした。説明変数には、性別、年齢(カテゴリー)、併存疾患の有無、精神科医による治療を含めた。

RET陽性肺がんに対するselpercatinibの脳転移に関する効果(LIBRETTO-001)/ASCO2020

 米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのVivek Subbiah氏は、RET融合遺伝子陽性のNSCLCに対するRET阻害薬selpercatinib(LOXO-292)の第I/II相試験LIBRETTO-001の脳転移例に関するサブ解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。同薬が脳転移に対する著名な抗腫瘍効果を示すと報告した。  非小細胞肺がん患者の約2%に認められるRET融合遺伝子陽性症例では脳転移の頻度が高いことが報告されている。selpercatinibは前臨床試験でこうした転移に対する抗腫瘍効果が報告されている。

未治療HIV結核患者、検査に基づく治療が有益/NEJM

 抗レトロウイルス療法(ART)歴のない重度免疫不全状態のHIV感染成人患者における結核治療について、検査結果に基づく治療は系統的・経験的治療と比べて24・48週後のアウトカムはいずれも同等で、Grade3/4の有害事象発生率は低いことが示された。フランス・ナント大学のFrancois-Xavier Blanc氏らSTATIS ANRS 12290 Trial Teamが、コートジボワールやウガンダなどの患者1,000例超を対象に無作為化比較試験を行い報告した。結核およびHIVの疾病負荷が高い地域において、HIV感染成人患者の多くがART開始時にはすでに重度の免疫不全状態にあり、これらの患者のART開始後の死亡率は高く、結核および侵襲性の細菌感染症が死因の多くを占めているという。NEJM誌2020年6月18日号掲載の報告。

COVID-19、ABO血液型により重症化に違い/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者が重症化し呼吸不全を来すリスクについて、ゲノムワイド関連分析(GWAS)を行い調べたところ、3p21.31遺伝子座と9q34.2遺伝子座の変異との関連性が明らかになった。9q34.2遺伝子座は血液型の遺伝子座と一致しており、血液型A型の人は、他の血液型の人に比べ重症化リスクが1.45倍高く、一方で血液型O型の人は重症化リスクが0.65倍低いことが示されたという。COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2に感染した患者にばらつきがみられることから、ドイツ・Christian-Albrechts大学のDavid Ellinghaus氏らの研究グループ「The Severe Covid-19 GWAS Group」が、イタリアとスペインの患者を対象にGWASを行い明らかにした。NEJM誌オンライン版2020年6月17日号掲載の報告。

閉経後乳がん患者、術後AI+スタチンが再発リスク低下と関連

 スタチンの使用は、術後アロマターゼ阻害薬(AI)治療を受けている閉経後乳がん患者において、再発リスクの低下と関連していた。デンマーク・オーフス大学病院のSixten Harborg氏らが、集団ベースのコホート研究結果を、Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2020年6月22日号に報告した。  研究者らは、2007~2017年にI~III期のホルモン受容体陽性乳がんと診断された閉経後のすべての患者を登録。術後AI治療が実施された。デンマーク国立処方レジストリから、スタチンの処方(診断後1年以上の処方)を確認し、生物学的潜伏期間を考慮し6ヵ月後からの時変曝露としてモデル化した。

ダロルタミド、遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がんのOSを延長(ARAMIS試験)/ASCO2020

 遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がん(nmCRPC)に対するダロルタミドのアンドロゲン遮断療法(ADT)への併用は、ADT単独に比し全生存期間(OS)の延長を示すことが、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、フランス・Institut Gustave Roussy、University of Paris-SaclayのKarim Fizazi氏から発表された。  本試験は、二重盲検プラセボコントロールの第III相試験験であり、既に主要評価項目の無遠隔転移生存期間(MFS)の有意な延長に関しては2019年に報告されている。今回の発表は、OSに関する最終解析結果の報告である。

高悪性度神経内分泌肺がん術後補助療法、イリノテカン+シスプラチン vs.エトポシド+シスプラチン(JCOG1205/1206)/ASCO2020

 静岡県立静岡がんセンター呼吸器内科の釼持 広知氏は、高悪性度神経内分泌肺がん(HGNEC)の完全切除例に対するイリノテカン+シスプラチン(IP)療法とエトポシド+シスプラチン(EP)療法の無作為化非盲検第III試験(JCOG1205/1206)の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。IP療法は従来標準治療とされてきたEP療法に対して無再発生存期間(RFS)で優越性を示せなかった。

双極性障害における心臓突然死の発生率とリスク因子

 双極性障害患者における心臓突然死の発生率やリスク因子に関する情報は十分ではない。台湾・台北医科大学のPao-Huan Chen氏らは、双極性障害患者の心臓突然死の調査およびリスク因子の特定のため、プロスペクティブコホート研究を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年5月23日号の報告。  2000~16年の台湾全民健康保険研究データベースおよびHealth Death Certification Systemのデータを用いた、プロスペクティブ台湾コホート研究を実施した。本コホートに含まれた双極性障害患者は4万6,490例、そのうち467例に心臓突然死が発生した。

急性低酸素血症性呼吸不全、非侵襲的酸素化療法で死亡率改善/JAMA

 急性低酸素血症性呼吸不全(AHRF)の成人患者の治療において、フェイスマスク型やヘルメット型の換気などの非侵襲的な酸素化戦略は、標準的な酸素療法に比べ死亡や気管内挿管に至るリスクが低いことが、カナダ・トロント大学のBruno L. Ferreyro氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2020年6月4日号に掲載された。AHRFは、成人患者の集中治療室(ICU)入室の主な原因であり、気管内挿管や侵襲的な機械的換気を要することが多い。侵襲的な機械的換気は重症有害事象と関連しており、不必要な気管内挿管の回避はAHRF患者の管理における重要な目標とされる。近年、酸素化や換気を支援するさまざまな非侵襲的な酸素化法が開発され、気管内挿管や死亡のリスクを低減する可能性が示唆されているが、どれが最も有効な方法かは不明だという。

長期の生物学的製剤使用、メラノーマのリスクを増大?

 炎症性疾患に対する長期にわたる生物学的製剤の使用は、メラノーマのリスクを増大するのか。英国・マンチェスター大学のShamarke Esse氏らは、システマティック・レビューとメタ解析の結果、「その可能性を否定できない」とする所見が得られたことを報告した。生物学的製剤は、炎症性疾患の治療薬として幅広く処方されるようになっている一方で、免疫が介在した炎症性疾患である炎症性腸疾患(IBD)、関節リウマチ(RA)、乾癬の患者において、長期にわたる生物学的製剤治療は従来の全身治療と比べてメラノーマのリスクを増大するのではないか、との懸念が出ている。

セマグルチドのSTEP試験結果を発表/ノボノルディスクファーマ

 ノボノルディスクファーマは、セマグルチド2.4mgの第III相試験STEP2、STEP3においてプラセボ群と比較し、有意な体重減少を示し、臨床試験プログラムを完了したと6月17日に発表した。  本製剤は、ヒトグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)ホルモンのアナログ製剤で、空腹感を軽減し、満腹感を高めることで食事量を減らし、カロリー摂取量を減らすことを助け、体重減少を促す働きをもつ。なお、本製剤および効能・効果は、日本を含めて現在開発中であり、未承認の製剤である。

再発・難治性古典的ホジキンリンパ腫に対するペムブロリズマブの成績(KEYNOTE-204試験)/ASCO2020

 カナダ・プリンセス・マーガレットがんセンターのJohn Kuruvilla氏は、再発・難治性古典的ホジキンリンパ腫に対するペムブロリズマブとブレンツキシマブ ベドチンを比較する無作為化非盲検第III相試験KEYNOTE-204の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。ぺムブロリズマブはブレンツキシマブ ベドチンに比べ無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したと報告した。

うつ病、不安症、PTSD歴と認知症リスク~メタ解析

 うつ病、不安症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)は認知症と関連しているといわれているが、これらが認知症のリスク因子(因果関係または前駆症状)、併存疾患、後遺症(2次的影響)であるのかはわかっていない。これまでのメタ解析では、すべての原因による認知症、アルツハイマー病(AD)、血管性認知症(VaD)とうつ病や不安症との関連は調査されているものの、PTSDやレビー小体型認知症(DLB)、前頭側頭型認知症(FTD)との関連は考慮されていなかった。