去勢感受性前立腺がん、アパルタミド+アビラテロン vs.ADT+アビラテロン vs.アパルタミド単独(LACOG0415)/ASCO2020

提供元:ケアネット

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公開日:2020/06/26

 

 去勢感受性前立腺がん(CSPC)に対するアパルタミドとアビラテロンの併用とアンドロゲン遮断療法(ADT)とアビラテロンの併用、アパルタミド単独療法の3群を評価する試験結果が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、ブラジル・Hospital Israelita Albert EinsteinのFernando C. Maluf氏から発表された。本試験は、中南米の臨床試験グループ(LACOG)が実施した、オープンラベル無作為化非比較第II相試験である。

・対象:12ヵ月以内にADTが施行されていないCSPC症例。PSA値は4ng/mL以上かつPSA倍加時間が10ヵ月未満、または、PSA値が20ng/mL以上、さらに血中テストステロン値230ng/dL
・介入:(1)ADT+アビラテロン+プレドニゾン(Abi群)(2)アパルタミド+アビラテロン+プレドニゾン(ApaAbi群)(3)アパルタミド単独(Apa群)
・アビラテロンは1,000mg/日、アパルタミドは240mg/日、プレドニゾンは5mg/回×2/日をいずれも連日内服投与。ADTはゴセレリン10.8mg/日を3ヵ月間隔で皮下注射
・評価項目:
[主要評価項目] 25週目時点でのPSA値が0.2ng/mL以下に下がる割合
[副次的評価項目] 25週目でPSA値が50%以上と80%以上低下した割合、血中テストステロン値変動、25週目での最大PSA値低下率、安全性、QOLなど

 主な結果は以下のとおり。

・本試験には、Abi群42例、ApaAbi群44例、Apa群42例の計128例が登録された。
・3群間に患者背景のばらつきはなく、年齢中央値は70歳、PSA中央値は22.5ng/mL、血中テストステロン中央値は409ng/dLだった。また、全体の57%がグリソンスコア8以上で、遠隔転移有りが74.2%であった。
・25週時点でAbi群41例、ApaAbi群39例、Apa群40例がPSA値を測定でき、この集団(mITT)を対象に主要評価項目が検討された。25週時点で0.2ng/mL以下にPSA値が低下した割合は、Abi群75.6%、ApaAbi群79.5%、Apa群60.0%であった。
・25週時点でのPSA値が50%以上低下した割合は、Abi群とApaAbi群で共に100%、Apa群で92.5%であった。同じく80%以上のPSA値が低下した割合は、Abi群で100%、ApaAbi群で97.4%、Apa群で90.0%だった。
・ベースラインから25週目までの血中テストステロン値の変化は、Apa群では、134%増加し、Abi群では97.4%、ApaAbi群では73.8%の減少が認められた。
・治療に関連するGrade3/4の有害事象は、Abi群で19.0%、ApaAbi群で22.7%、Apa群は16.7%であった。また、Abi群2.4%、ApaAbi群9.0%、Apa群2.4%が、薬剤毒性の為に治療を中止していた。
・主な有害事象としては、Grade1/2の女性化乳房がAbi群7%、ApaAbi群20%、Apa群55%であった。Grade1/2の高血糖は、Abi群10%、ApaAbi群11%、Apa群2%であり、ほてりは、それぞれ38%、30%、5%であった。また高血圧は、Abi群21%(Grade3/4は12%)、ApaAbi群20%(Grade3/4は11%)、Apa群5%(Grade3/4は2%)に認められた。

 演者は「アンドロゲン受容体の阻害による去勢の代用については未解決であるが、少なくともCSPCに対するアパルタミドとアビラテロン、ADTとアビラテロンの併用は、有効である可能性が示唆された」と結んでいる。

(ケアネット)