RET陽性肺がんに対するselpercatinibの脳転移に関する効果(LIBRETTO-001)/ASCO2020

提供元:ケアネット

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公開日:2020/06/26

 

 米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのVivek Subbiah氏は、RET融合遺伝子陽性のNSCLCに対するRET阻害薬selpercatinib(LOXO-292)の第I/II相試験LIBRETTO-001の脳転移例に関するサブ解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。同薬が脳転移に対する著明な抗腫瘍効果を示すと報告した。

 非小細胞肺がん患者の約2%に認められるRET融合遺伝子陽性症例では脳転移の頻度が高いことが報告されている。selpercatinibは前臨床試験でこうした転移に対する抗腫瘍効果が報告されている。

・対象:LIBRETTO-001に登録した脳転移を有する患者79例
・評価項目:
[主要評価項目]脳転移に対する奏効率(ORR)
[副次評価項目]脳転移に対する奏効持続期間(DoR)

 主な結果は以下の通り。

・独立評価委員会の評価で、解析に十分な追跡期間(初回投与から6ヵ月以上)がある14例が最終対象となった。
・対象患者全例が前治療を経験し、うち5例は脳への放射線照射が行われており、照射はselpercatinib投与2ヵ月前までに終了していた。
・ORR は93% (95%信頼区間[CI]:66.1~99.8)で、完全奏効(CR)は14%、部分奏効(PR)は79%であった。
・DoRは10.1 ヵ月(95%CI:6.7~評価不能)。
・奏効例13例中、脳転移の病勢進行は5例に認められ、死亡は1例であった。

 Subbiah氏は、「selpercatinibは脳転移に対する抗腫瘍効果は永続性があり、かつ独立的に確認されており、化学療法による前治療がある患者でも認められる」と評した。

(ケアネット)

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