日本語でわかる最新の海外医学論文|page:35

がん治療関連心機能障害のリスク予測モデル、性能や外部検証が不十分/BMJ

 オランダ・アムステルダム大学のClara Gomes氏らは、がん治療関連心機能障害(CTRCD)のリスクを予測するために開発または検証されたすべての予測モデルのシステマティックレビューと、性能の定量的解析を目的としたメタ解析を行った。その結果、現存するCTRCD予測モデルは臨床応用に先立ち、さらなるエビデンスの蓄積が必要であることを報告した。現存するモデルについては、重要な性能指標に関する報告が不足し外部検証も限られていたことが正確な評価を妨げており、Heart Failure Association-International Cardio-Oncology Society(HFA-ICOS)ツールは、とくに軽度CTRCDに関する性能が不十分であった。著者は、「今後は、さまざまながん種を対象とする大規模なクラスター化データセットを用い、既存モデルの検証と更新を進め、その性能、汎用性および臨床的有用性を高めるべきである」とまとめている。BMJ誌2025年9月23日号掲載の報告。

中等症~重症の尋常性乾癬、経口IL-23受容体阻害薬icotrokinraが有望/Lancet

 中等症~重症の尋常性乾癬患者において、icotrokinraはプラセボおよびデュークラバシチニブと比較し優れた臨床効果を示し、有害事象の発現割合はプラセボと同等であった。米国・Henry Ford Health SystemのLinda Stein Gold氏らが、第III相無作為化二重盲検プラセボ・実薬対照試験ICONIC-ADVANCE 1試験(13ヵ国149施設)、およびICONIC-ADVANCE 2試験(11ヵ国114施設)の結果を報告した。インターロイキン(IL)-23やIL-12を標的とするモノクローナル抗体は尋常性乾癬の治療に有効であるが、静脈内または皮下投与が必要である。icotrokinraは、IL-23受容体に選択的に結合する初の経口ペプチド薬で、中等症~重症の尋常性乾癬患者を対象とした第II相試験においてプラセボより皮膚症状の改善率が有意に高いことが示されていた。著者は、「結果は、1日1回経口投与のicotrokinraが高い有効性と良好な安全性プロファイルを有する治療薬であることを示すものである」とまとめている。Lancet誌2025年9月27日号掲載の報告。

急性心筋梗塞に対するPCI後1ヵ月でアスピリンを中止してDAPTからSAPTへ変更することは問題なし(解説:上田恭敬氏)

急性心筋梗塞に対して7日以内にPCIによる完全血行再建に成功し、1ヵ月の時点までイベントがなかった1,942症例を、アスピリン中止によってDAPTからSAPTへ変更する群(P2Y12阻害薬単剤群961症例)とDAPTを継続する群(DAPT群981症例)に無作為化し、12ヵ月までのイベントを比較した欧州40施設での多施設無作為化試験(TARGET-FIRST試験)の結果が報告された。主要評価項目である全死亡・心筋梗塞・ステント血栓症・脳卒中・BARK type3/5出血の複合エンドポイントは、P2Y12阻害薬単剤群で2.1%、DAPT群で2.2%と差がなく、非劣性が証明された(p=0.02)。さらに、BARK type2/3/5出血はDAPT群で5.6%であったのに対して、P2Y12阻害薬単剤群で2.6%と有意に少なかった(p=0.002)。ただし、PCIは全例でDESを留置しており、造影上の有意狭窄をすべて治療することを完全血行再建としている。

若年2型糖尿病に対するチルゼパチドの検討(解説:小川大輔氏)

若年発症の2型糖尿病は、成人発症と比べて早期に糖尿病合併症を発症することが知られている。そのため食事療法や運動療法、薬物療法を組み合わせて適切な糖尿病治療を行うことが必要とされる。今回、10歳から18歳までに2型糖尿病を発症した患者99例を対象に、GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチドの効果を検討した第III相試験の結果が発表された。従来の治療で血糖コントロール不十分であった若年発症の2型糖尿病患者において、チルゼパチドはプラセボと比較し、血糖コントロールや肥満を改善することが報告された。

糖尿病患者の飲酒は肝がんリスク大幅増、茶によるリスク低下は限定的

 糖尿病の有無別にアルコールおよび茶の摂取と肝がん発症リスクとの関連を検討した前向きコホート研究の結果、アルコール摂取はとくに糖尿病患者で肝がんリスクを大きく高めることが確認された一方で、茶の摂取による肝がんリスク低下効果は非糖尿病患者に限られたことが、中国・清華大学のXiaoru Feng氏らによって明らかになった。Nutrients誌2025年9月4日号掲載の報告。  一部の研究では少量のアルコール摂取は肝がんリスクを下げる可能性が報告されているが、高頻度・大量のアルコール摂取は肝がんリスクを上昇させることが多くの研究で示されている。茶の摂取は肝がんリスク低下に関連する可能性があるとする研究がある一方で、有意な関連を認めない研究も多く、結論は一様ではない。また、糖尿病患者は代謝異常のためにアルコールや茶のの影響を受けやすく、それが肝がんのリスクに関与している可能性もある。そこで研究グループは、大規模かつ長期の追跡調査を行い、アルコールおよび茶の摂取と肝がん発症との関連を、糖尿病の有無別に評価した。

利尿薬による電解質異常、性別・年齢・腎機能による違いは

 高血圧や心不全の治療に広く用いられる利尿薬には、副作用として電解質異常がみられることがあり、これは生命を脅かす可能性がある。これまでの研究では、利尿薬誘発性の電解質異常は女性に多く発現することが示唆されている。電解質バランスは腎臓によって調節されており、腎機能は加齢とともに低下する傾向がある。慶應義塾大学の間井田 成美氏らは、性別、腎機能、年齢が利尿薬誘発性の電解質異常の感受性に及ぼす影響を考慮し、利尿薬の副作用リスクが高い患者を特定するため本研究を実施した。Drug Safety誌2025年10月号の報告。  日本の利尿薬服用患者6万7,135例のレセプトデータをDeSCヘルスケアから入手し、2020年4月~2021年3月のデータを分析対象とした。

ADHDとASDに対するビタミン介入の有効性〜メタ解析

 ビタミン介入は、自閉スペクトラム症(ASD)および注意欠如・多動症(ADHD)のマネジメントにおいて、費用対効果が高く利用しやすいアプローチとして、主に便秘などの消化器症状の緩和を目的として用いられる。最近の研究では、ビタミンがASDやADHDの中核症状改善にも有効である可能性が示唆されている。しかし、既存の研究のほとんどは患者と健康者との比較に焦点を当てており、臨床的に意義のあるエビデンスに基づく知見が不足していた。中国・浙江大学のYonghui Shen氏らは、ASDおよびADHD患者におけるビタミン介入に焦点を当て、メタ解析を実施した。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2025年8月30日号の報告。

マンモグラフィの画像からAIモデルが心血管リスクを評価

 定期的なマンモグラフィ検査は、乳がんの早期発見に有効であるだけでなく、女性の心臓病リスクを正確に予測するのにも役立つ可能性があるようだ。マンモグラフィの画像から心血管疾患(CVD)リスクを予測する人工知能(AI)モデルの予測性能は、米国心臓協会(AHA)や他の専門家グループが開発したCVDイベントリスク予測方程式(Predicting Risk of Cardiovascular Disease Events;PREVENT)の予測性能と同等であることが、新たな研究で示された。ジョージ国際保健研究所(オーストラリア)で心血管プログラムのグローバルディレクターを務めているClare Arnott氏らによるこの研究結果は、「Heart」に9月16日掲載された。

喫煙は2型糖尿病のリスクを高める

 喫煙者は2型糖尿病のリスクが高く、特に糖尿病になりやすい遺伝的背景がある場合には、喫煙のためにリスクがより高くなることを示すデータが報告された。カロリンスカ研究所(スウェーデン)のEmmy Keysendal氏らが、欧州糖尿病学会年次総会(EASD2025、9月15~19日、オーストリア・ウィーン)で発表した。Keysendal氏は、「インスリン作用不足の主因がインスリン抵抗性の場合と分泌不全の場合、および、肥満や加齢が関与している場合のいずれにおいても、喫煙が2型糖尿病のリスクを高めることは明らかだ」と語っている。

シロシビンによるうつ病改善効果、5年後も持続

 「シロシビン」の大うつ病性障害(以下、うつ病)に対する効果は、最長で5年間持続する可能性のあることが、新たな研究で示唆された。シロシビンはマジックマッシュルームと呼ばれるキノコに含まれている幻覚作用のある成分である。初期のシロシビンに関する臨床試験を追跡調査したこの研究では、試験参加者の3分の2が試験から5年が経過した後もうつ病の完全寛解を保っていたことが判明したという。米オハイオ州立大学コロンバス校幻覚剤研究教育センター所長のAlan Davis氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of Psychedelic Studies」に9月4日掲載された。  Davis氏は、「5年が経過した今でも、ほとんどの人はこの治療法が安全で、有意義かつ重要で、生活の改善を促すものだと見なしている」と語っている。同氏はまた、「治療後に起こり得ることを詳細に理解することは重要だ。結果がどうであれ、このような臨床試験に参加したことで彼らの人生が改善されたことを示していると思う」と同大学のニュースリリースの中で述べている。

脳卒中リハビリテーション、レボドパ追加は有効か/JAMA

 レボドパは、脳卒中発症後の運動機能の回復を促進する可能性が示唆されているが、有効性に関するエビデンスは肯定・否定が混在するにもかかわらず、脳卒中リハビリテーションに補完的に使用されているという。スイス・バーゼル大学のStefan T. Engelter氏らの研究チームは「ESTREL試験」において、急性期脳卒中患者に対する入院リハビリテーションでは、標準的リハビリテーションにプラセボを加えた場合と比較してレボドパの追加は、3ヵ月後の運動機能の改善をもたらさないことを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年9月22日号で発表された。

心不全はないが左室駆出率が軽度低下した急性心筋梗塞患者にβ遮断薬は有効(解説:佐田政隆氏)

急性心筋梗塞後の患者で、左室駆出率が40%未満の場合にβ遮断薬が有効であることは議論の余地がない。一方、左室駆出率が40%以上で心不全がない急性心筋梗塞にβ遮断薬が有効であるかどうかは、今までほとんどRCTが行われてこなかった。日本で行われて2018年にPLoS Oneに報告されたCAPITAL-RCT試験ではβ遮断薬の有効性は示されなかった。デンマークとノルウェーで行われたBETAMI-DANBLOCK試験が2025年8月30日のNEJM誌に報告されたが、β遮断薬は総死亡と主要心血管イベントを減少させた。一方、同日、同じNEJM誌にスペインとイタリアで行われたREBOOT試験の結果が報告されたが、総死亡、再梗塞、心不全入院にβ遮断薬は有効性を示さなかった。上記の4試験は、「左室駆出率が40%以上で心不全がない急性心筋梗塞」を対象に行われたが、その中の「左室駆出率が軽度低下した」サブグループの解析は、対象患者数が少なくて、個々の試験では統計的検定を行うに至らなかった。そこで、本研究では4研究のメタ解析を行った。

ナルコレプシー治療にパラダイムシフト、oveporextonが第III相試験の評価項目をすべて改善、先駆的医薬品にも指定/武田

 武田薬品工業の経口オレキシン2受容体(OX2R)選択的作動薬oveporexton(TAK-861)はナルコレプシータイプ1(NT1)に対する第III相試験で有望な結果を示した。その結果は世界睡眠学会で発表された。また、同薬は国内では先駆的医薬品および希少疾病用医薬品に指定された。  NT1は、脳内のオレキシンニューロンが減少することで引き起こされる慢性かつまれな神経疾患であり、日常生活に支障を来すさまざまな症状を引き起こす。oveporextonはオレキシンの欠乏に対処することで、NT1の広範な症状を改善する。現在、NT1の原因となるオレキシン欠乏を標的とする治療薬はなく、認可されればoveporextonがファースト・イン・クラスとなる。

新型コロナは依然として高齢者に深刻な脅威、「結核・呼吸器感染症予防週間」でワクチン接種の重要性を強調/モデルナ

 モデルナ・ジャパン主催の「呼吸器感染症予防週間 特別啓発セミナー」が9月24日にオンラインで開催された。本セミナーでは、9月24~30日の「結核・呼吸器感染症予防週間」の一環として、迎 寛氏(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 呼吸器内科学分野[第二内科]教授)と参議院議員であり医師の秋野 公造氏が登壇し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が、とくに高齢者にとって依然として深刻な脅威であると警鐘を鳴らした。新型コロナの5類移⾏から3年が経ち、社会の警戒感や関心が薄れているなか、継続的なワクチン接種と社会全体の意識向上の重要性を訴えた。

アルツハイマー病に伴うアジテーションに対するブレクスピプラゾール〜RCTメタ解析

 アジテーションは、苦痛を伴う神経精神症状であり、アルツハイマー病の約半数にみられる。また、アルツハイマー病に伴うアジテーションは、認知機能の低下を促進し、介護者の負担を増大させる一因となっている。セロトニンおよびドーパミンを調節するブレクスピプラゾールは、アルツハイマー病に伴うアジテーションに対する有効性が示されている薬剤であるが、高齢者における有効性、安全性、適切な使用については、依然として不確実な点が残っている。ブラジル・Federal University of PernambucoのAnderson Matheus Pereira da Silva氏らは、アルツハイマー病高齢者のアジテーションに対するブレクスピプラゾールの有効性および安全性を評価するため、ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。CNS Drugs誌オンライン版2025年8月31日号の報告。

減塩には甘じょっぱい味は向かない/京都府立医科大

 高血圧の管理では、塩分摂取量の削減は重要である。人間は塩分を好むという前提に基づいているが、高濃度の塩分に対し、嫌悪感も認識することが大切である。近年の研究では、慢性腎臓病(CKD)患者において味覚認識だけでなく、高塩分濃度への嫌悪感も変化していることが明らかにされた一方で、さまざまな味覚を組み合わせた場合の影響は依然として不明であった。そこで、京都府立医科大学大学院医学研究科腎臓内科学の奥野-尾関 奈津子氏らの研究グループは、甘味を加えることでCKD患者の塩分嫌悪に影響を与えるかどうかを研究した。その結果、甘味は健康成人とCKD患者の双方で高塩分への嫌悪感を低減することが判明した。この結果はScientific Reports誌電子版2025年7月7日号に掲載された。

新たな血液検査が頭頸部がんの早期発見を可能に

 新たな血液検査により、症状が現れる最大10年前からヒトパピローマウイルス(HPV)が原因の頭頸部がんを検出できる可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。HPV-DeepSeekと呼ばれるこの検査は、腫瘍から剥がれて血流に入ったHPV DNAの微細な断片を検出するものだという。米ハーバード大学医学大学院および米Massachusetts Eye and EarのDaniel Faden氏らによるこの研究結果は、「Journal of the National Cancer Institute」に9月10日掲載された。  研究グループは、この検査の妥当性が確認されれば、HPV関連の頭頸部がんを検査できる初のスクリーニング検査になる可能性があるとしている。Faden氏は、「われわれの研究は、無症状の個人において、がんと診断される何年も前にHPV関連頭頸部がんを正確に検出できることを初めて示した」と話している。

白内障の両眼同日手術、安全性と有効性が示される

 白内障の両眼同日手術は安全かつ有効で、実用的である可能性が、2件の研究で示された。白内障手術は通常、数週間から数カ月の間隔を開けて片眼ずつ行われる。しかし、両眼を同時に手術しても安全性や有効性に違いはなく、手術後に患者が自宅で自立して過ごす能力を妨げることはないことが示されたという。これらの研究結果は、欧州白内障屈折矯正手術学会(ESCRS 2025、9月12~16日、デンマーク・コペンハーゲン)で発表された。  英ムーアフィールズ眼科病院の眼科医Gabriele Gallo Afflitto氏は、「患者にとって、これらの結果は心強いものだ。特に、多焦点レンズの挿入と組み合わせた場合、同日に両眼の白内障手術を受けることで優れた視力を得られ、眼鏡に頼る必要性も減り、より早い回復が期待できることを、これらの結果は示している」と話している。

低カロリー甘味料が脳の老化を促進する可能性

 カロリーがない、または低カロリーの甘味料が脳の老化を促進する可能性を示唆するデータが報告された。特に糖尿病患者では、より強い関連が見られるという。サンパウロ大学(ブラジル)のClaudia Kimie Suemoto氏らの研究の結果であり、詳細は「Neurology」に9月3日掲載された。  アスパルテーム、サッカリン、エリスリトール、キシリトール、ソルビトールなどの低カロリーまたはノンカロリーの甘味料(low- and no-calorie sweeteners;LNCS)は、摂取エネルギー量の抑制に役立つ。しかし論文の上席著者であるSuemoto氏は、「われわれの研究結果は、一部のLNCSは脳の健康に悪影響を及ぼす可能性があることを示唆している」と話している。

若年1型糖尿病へのATG、β細胞機能低下を抑制/Lancet

 発症から間もないステージ3の1型糖尿病の若年患者において、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)の2.5mg/kgおよび0.5mg/kgの投与はプラセボと比較して、β細胞機能の低下を有意に抑制することを、ベルギー・ルーベン大学のChantal Mathieu氏らが第II相試験「MELD-ATG試験」の結果で報告した。これは、低用量で安全、安価なATGがこの患者集団における疾患修飾薬となる可能性を示すものだという。研究の成果は、Lancet誌2025年9月27日号で発表された。  MELD-ATG試験は、アダプティブデザインを用いてATGの用量範囲を検討する二重盲検無作為化プラセボ対照多群比較試験であり、欧州を中心とする8ヵ国14施設が参加した(欧州連合革新的医薬品イニシアチブ2共同事業体INNODIAの助成を受けた)。