日本語でわかる最新の海外医学論文|page:32

WHOが結核の症例数や死亡者数の最新データを公表

 世界保健機関(WHO)が11月12日に公表した最新データによると、2024年の世界での結核の推定発症者数は2023年の1080万人から1%減の1070万人、結核による推定死亡者数は2023年の127万人から3%減の123万人といずれも減少した一方、新規診断数は2023年の820万件から微増して830万件であったという。2024年の新規診断数は推定発症者数の78%に当たり、いまだに多くの人が結核の診断を受けていないことが浮き彫りとなった。WHOは、診断、予防、治療において着実な進歩が見られる一方で、資金調達と医療への公平なアクセスにおける問題は残っており、これまでに得られた結核対策の成果が失われる恐れがあると指摘している。

個別化プレハビリテーションで手術アウトカムが改善

 大きな手術を控えている場合、手術そのものや術後のリハビリテーション(以下、リハビリ)に備えてエネルギーを温存する必要があると考える人は少なくないだろう。こうした考えは十分理解できるものだが、実際には、術前から開始するリハビリであるプレハビリテーションに参加した方が良い状態につながることが、米スタンフォード大学麻酔科学・周術期医学・疼痛医学教授のBrice Gaudilliere氏らが実施した臨床試験で明らかにされた。同試験では、マンツーマンでのプレハビリテーションが最も効果的であることが示されたという。詳細は、「JAMA Surgery」に11月12日掲載された。

朝食後の歯みがきが高血圧リスク低下と関連/鹿児島大

 高血圧は生活習慣に大きく左右される疾患であり、予防には日常行動の改善が重要とされる。今回、地域住民を対象とした横断研究で、朝食後に歯を磨く習慣が高血圧の有病率低下と独立して関連することが示された。研究は鹿児島大学大学院医歯学総合研究科心臓血管・高血圧内科学の手塚綾乃氏、窪薗琢郎氏らによるもので、詳細は10月9日付で「Scientific Reports」に掲載された。

術後VTEの予防、REGN7508Catがエノキサパリンを上回る/Lancet

 カナダ・Thrombosis and Atherosclerosis Research InstituteのJeffrey I. Weitz氏らは、2つの第II相試験(ROXI-VTE-I、ROXI-VTE-II)において、人工膝関節全置換術後の静脈血栓塞栓症(VTE)の予防効果に関して、エノキサパリンと比較してREGN7508Catは優越性を有するが、REGN9933A2は優越性を持たないと報告した。REGN9933A2は、凝固XI因子(FXI)のアップル2ドメインに結合してFXIIaによるFXI活性化のみを阻害し、REGN7508Catは、FXIの触媒ドメインに結合してFXIaの活性を阻害するとともに、FXIIaおよびトロンビンによるFXI活性化をも阻害する完全ヒト型モノクローナル抗体である。研究の成果は、Lancet誌2025年11月29日号で発表された。

宅配DASH食+カウンセリングで血圧は改善するか/JAMA

 米国・ハーバード大学医学大学院のStephen P. Juraschek氏らは、「高血圧予防のための食事療法(DASH)」の効果を再現する食料品購入戦略を評価した臨床試験「GoFresh試験」において、宅配によるDASH食に準じた食料品の提供と栄養士カウンセリングを組み合わせたプログラムは、同等の給付金の供与と比較して、黒人住民の血圧およびLDLコレステロール(LDL-C)値を改善したが、介入終了後これらの効果は維持されないことを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年11月9日号で発表された。

成人期発症の再発型ネフローゼ症候群に対する抗CD20抗体の治療効果(解説:浦信行氏)

成人におけるネフローゼ症候群の頻度は膜性腎症(MN)が多いが、微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)や巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)も少なくない。これらはステロイド療法に効果を示す一方で、頻回再発型ネフローゼ症候群(FRNS)やステロイド減量で再燃するステロイド依存性ネフローゼ症候群(SDNS)を呈することが多い。その結果、ステロイド使用期間が長期化し、骨脆弱性や感染症などの合併症を来しやすい。CD20はB細胞の表面に存在するタンパク質で、B細胞の活性化や増殖に関与する細胞表面マーカーである。この病態に対する治療的アプローチとして、タイプI抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブ(RTX)の治療効果が検討されるようになった。現在まで活動性ループス腎炎(LN)やMNで有効性が検討されている。活動性LNは全身性エリテマトーデス(SLE)の中でも重症病態の1つであり、LN患者の約20%が15年以内に末期腎不全に至る。しかし、LNの臨床試験においてその評価は無効・有効とする報告が相半ばする。MNに関してはシクロスポリンとの比較試験(MENTOR試験)が報告されており、RTXは有意に寛解率が高値であったが、それでも部分寛解も含めて60%にとどまる。

10人に1人が糖尿病疑い、男性は3割が肥満/国民健康・栄養調査2024

 厚生労働省は2025年12月2日、「令和6年国民健康・栄養調査」の結果概要を発表した。この調査は、健康増進法に基づき毎年実施され、2024年10〜11月に日本全国から無作為に選ばれた約1万世帯が、身体・栄養摂取状況、生活習慣についての調査に回答した。結果の要点は以下のとおり。 ・HbA1c値と自己申告に基づく推計によると、「糖尿病が強く疑われる者」は約1,100万人と推計され、1997年以降、一貫して増加している。一方、「糖尿病の可能性を否定できない者」は約700万人で、こちらは2007年をピークに減少傾向を示した。 ・20歳以上の「糖尿病が強く疑われる者」の割合は12.9%(男性17.7%、女性9.3%)、「糖尿病の可能性を否定できない者」は男女とも8.2%であった。「糖尿病を指摘された経験がある者」のうち現在治療を受けている者の割合は67.4%と3分の2にとどまり、とくに30〜40代において相対的に未治療率が高かった。

HR+/HER2-進行乳がん1~2次治療、パルボシクリブvs.ribociclib vs.アベマシクリブ

 ホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)進行乳がんに対する1次および2次治療として、CDK4/6阻害薬と内分泌療法の併用療法は標準治療となっている。パルボシクリブ、ribociclib、アベマシクリブの3種類のCDK4/6阻害薬について、内分泌療法との併用におけるリアルワールドでの生存ベネフィットを比較した多施設共同後ろ向きPOLiCDK試験の結果を、ポーランド・Military Institute of Medicine-National Research InstituteのRenata Duchnowska氏がBreast誌オンライン版2025年11月24日号で報告した。

若年女性の4人に1人が低体重:運動習慣が与える影響はBMIで異なる

 日本では若年女性(18~29歳)の約20〜25%が低体重(BMI:18.5未満)で、将来的な健康リスクを抱え、社会問題となっている。「やせ=美」という社会的/文化的理想(痩せ理想)の内在化が強く、これが「健康ではなく、見た目のための痩せ志向」を助長している可能性がある。順天堂大学・室伏 由佳氏らは、運動習慣が身体満足度に与える影響を、「痩せ理想の内在化」と「自尊心」を通じて評価し、とくに低体重女性と標準体重女性(BMI:18.5~25未満)でその違いを検討することを目的とした研究を行った。本研究結果は、BMC Public Health誌2025年11月20日号に発表された。  2023年5月、日本全国のオンラインモニターを通じ、18~29歳の女性を対象に調査を行った。最終解析には低体重400例(平均BMI:17.4)と標準体重189例(平均BMI:20.6)の計589例が含まれた。「運動習慣」は、日本の国民健康・栄養調査の定義に倣い、「過去1年以上、週2回以上、1回30分以上の運動を実施」で判定した。また、主観的な身体満足度、外見に対する社会文化的態度、自尊心も評価した。

多くの若者がAIチャットボットにメンタルヘルスの問題を相談

 米国では、12〜21歳の若者の約8人に1人が、メンタルヘルスに関する助言を求めて人工知能(AI)チャットボットを利用していることが、新たな研究で明らかになった。研究グループは、これは、AIチャットボットが若者の不安や悩み、苦しみを、プライバシーを保ちながら安価かつ即座に聞き出す存在となっていることを反映している可能性が高いとの見方を示している。米国の非営利の研究機関であるランド研究所のJonathan Cantor氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に11月7日掲載された。

代謝異常を伴う脂肪肝「MASLD」、慢性腎臓病の独立リスクに

 新しい脂肪肝の概念「MASLD;代謝機能障害関連脂肪性肝疾患」が、慢性腎臓病(CKD)の独立したリスク因子であることが国内研究で示された。単一施設の約1.6万人の健康診断データを解析したもので、MASLDの早期発見や管理の重要性が改めて示された。研究は京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学の大野友倫子氏、濱口真英氏、福井道明氏、朝日大学病院の大洞昭博氏、小島孝雄氏らによるもので、詳細は10月17日付で「PLOS One」に掲載された。  日本では食生活の欧米化に伴い肥満が増加し、非アルコール性脂肪肝(NAFLD)の有病率も上昇している。NAFLDは主に内臓脂肪やインスリン抵抗性と関連し、糖尿病や心血管疾患などの代謝異常を伴うことが多い。2020年には、こうした代謝背景を重視する形でNAFLDはMAFLDとして再定義され、日本の大規模コホート研究ではCKDの独立したリスク因子であることが報告された。さらに2023年、国際的専門家パネル(Delphiコンセンサス)により、より包括的でスティグマの少ない概念としてMASLDへと名称が変更され、少なくとも1つの心血管代謝リスク(BMI、血糖値、HDL-C値など)を伴う脂肪肝と定義された。本研究は、この新しい定義によるMASLDがCKD発症の独立したリスク因子となるかを明らかにすることを目的に、人間ドック受診者を対象とした縦断的コホート解析として実施された。

冠動脈CT血管造影の追加で初回冠動脈イベント予測は改善するか/JAMA

 冠動脈CT血管造影(CCTA)から得られる冠動脈硬化症に関する情報は、従来のリスク因子や冠動脈石灰化スコア(CACS)に追加することで、冠動脈イベントのリスク予測を若干改善し、1次予防が必要な個人の特定に役立つ可能性があることを、スウェーデン・ヨーテボリ大学のGoran Bergstrom氏らが観察コホート研究「Swedish Cardiopulmonary Bioimage Study:SCAPIS研究」の結果で報告した。冠動脈イベントの1次予防におけるリスク層別化戦略は、精度が不足していた。JAMA誌オンライン版2025年11月9日号掲載の報告。

選択的アミリン受容体作動薬eloralintide、週1回投与で有意な減量効果/Lancet

 米国・Endeavor HealthのLiana K. Billings氏らは、同国46施設で実施した第II相無作為化二重盲検プラセボ対照用量漸増試験において、肥満または過体重かつ肥満関連併存疾患を有する非2型糖尿病の成人に対する新規選択的アミリン受容体作動薬eloralintideが、48週間にわたり臨床的に意義のある用量依存的な体重減少をもたらし、忍容性は良好であったことを報告した。アミリンをベースとした治療法は、有望な肥満治療薬として注目を集めている。著者は、「eloralintideが肥満治療薬として有用である可能性を支持する結果である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2025年11月6日号掲載の報告。

ほとんどのPPIが高血圧の発症と関連

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)と高血圧症の関連はまだ明確ではない。今回、名古屋大学のBasile Chretien氏らはこれらの関連やPPIのクラス効果、用量依存性があるかどうかを調査したところ、ランソプラゾール以外のPPIで高血圧症との関連が示唆され、用量反応傾向が認められた。BMJ Open誌2025年11月27日号に掲載。  著者らは、WHOの薬物監視データベースであるVigiBaseのリアルワールドデータを使用した。Medical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)V.26.1を用いて、1種類以上のPPI投与に関連する高血圧症の新規発症例を特定し、2024年10月28日までに系統的に収集した。多変量case/non-case研究デザインにおいて調整済み報告オッズ比(aROR)を算出し、PPI使用と高血圧症との医薬品安全性監視シグナル、およびPPI投与量と高血圧症の発症・悪化の用量依存性を分析した。

日本人小児におけるADHDサブタイプと肥満との関係

 福島県立医科大学の川崎 幸彦氏らは、日本人小児における注意欠如多動症(ADHD)サブタイプの特徴とBMI-SDスコアに基づく肥満との関連を明らかにするため、ADHDの小児患者を対象とした臨床調査を実施した。Brain & Development誌オンライン版2025年10月29日号の報告。  対象は、ADHDと診断された日本人小児115例。患者は、ADHDのサブタイプ別に次の3群に分類された。グループ1は不注意優勢型ADHD(ADHD-I)、グループ2は多動性・衝動性優勢型ADHD(ADHD-HI)、グループ3はこれらの複合サブタイプ(ADHD-C)。各群の臨床的特徴を分析した。

高齢化の進む米国社会、成人が考える老後の見通しとは?

 米国では高齢化が急速に進んでいる。米国国勢調査局によれば、65歳以上の成人が人口に占める割合は、2004年の12.4%から2024年には18%に急増した。こうした中、米ピュー研究所の研究者らが11月6日に発表した報告書によると、米国の65歳の高齢者は比較的前向きに年を重ねていると感じている一方、65歳未満の人では将来に不安を感じている人の方が多いことが明らかになった。  この調査は、2025年9月2日から8日にかけて米国の成人8,750人を対象に実施された。調査内容は、加齢に対する意識や65歳以上の成人の状況(健康、経済的状況、生活の質〔QOL〕など)についてであった。

雷雨の日には喘息関連の救急外来受診が増える

 雷雨の最中や直後に喘息症状が急増する現象は、雷雨喘息と呼ばれている。この現象について検討した新たな研究で、雷雨の日には、実際に喘息関連の救急外来(ED)受診が大幅に増加することが示された。米カンザス大学医療センターのDiala Merheb氏らによるこの研究結果は、米国アレルギー・喘息・免疫学会年次学術会議(ACAAI 2025、11月6〜10日、米オーランド)で発表された。Merheb氏は、「これらの結果は、米国においても、雷雨が喘息患者に深刻な健康リスクをもたらす可能性があることを裏付けている」と述べている。

糖尿病を予防するにはランニングよりも筋トレの方が効果的?

 糖尿病の発症予防のために運動をするなら、ランニングよりもウエートリフティングの方が適しているのかもしれない。その可能性を示唆する研究結果が、「Journal of Sport and Health Science」に10月30日掲載された。米バージニア工科大学運動医学研究センターのZhen Yan氏らが行った動物実験の結果であり、高脂肪食で飼育しながらランニングをさせたマウスよりもウエートリフティングをさせたマウスで、より好ましい影響が確認されたという。  論文の上席著者であるYan氏は、「私たちは誰でも長く健康な人生を送りたいと願っている。そして、運動を習慣的に続けることが、その願いの実現のためにメリットをもたらすことは誰もが知っている。ランニングなどの持久力をつける運動と、ウエートリフティングなどのレジスタンス運動(筋トレ)は、どちらもインスリン感受性を高めるというエビデンスが、ヒトを対象として行われた数多くの研究で示されてきている」と話す。

急性心房細動患者への薬物的除細動、vernakalant vs.プロカインアミド/BMJ

 急性心房細動患者の洞調律への迅速な復帰に関する薬物療法を直接比較した無作為化試験において、新薬であるvernakalantはプロカインアミドよりも復帰率が高く迅速な点で優れることが示された。カナダ・オタワ大学のIan G. Stiell氏らが「RAFF4試験」の結果を報告した。急性心房細動を呈し救急外来を受診した患者(一般的に発症から48時間以内)に対して、カナダの救急医の多くが薬物療法または電気的療法による除細動を行うが、古くて効果が限定的な薬物のプロカインアミドを用いることが多いという。今回の結果を踏まえて著者は、「vernakalantは急性心房細動患者の迅速な洞調律復帰と退院のために、安全で有効性が高い静脈内投与薬となりうるものである」とまとめている。BMJ誌2025年11月11日号掲載の報告。

eGFRcysとeGFRcrの乖離は死亡・心血管イベントと関連/JAMA

 外来患者において、eGFRcys(シスタチンC値を用いて算出した推定糸球体濾過量)の値がeGFRcr(クレアチニン値を用いて算出した場合)の値より30%以上低い患者は、全死因死亡、心血管イベントおよび腎代替療法を要する腎不全の発現頻度が有意に高いことが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のMichelle M. Estrella氏らChronic Kidney Disease Prognosis Consortium Investigators and Collaboratorsが、Chronic Kidney Disease Prognosis Consortium(CKD-PC)の患者データのメタ解析結果を報告した。eGFRの算出にクレアチニン値を用いた場合とシスタチンC値を用いた場合でeGFR値が異なる可能性があるが、これまでその差異の頻度および重要性は明らかになっていなかった。今回の解析では、外来患者の約11%および入院患者の約35%で、eGFRcys値がeGFRcr値より30%以上低い患者が認められることも示されている。JAMA誌オンライン版2025年11月7日号掲載の報告。