日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1032

高齢者早期腎臓がん、腎部分切除の方が根治的腎摘出術より死亡率をおよそ半減

高齢者の早期腎臓がんは、腎部分切除のほうが根治的腎摘出術よりも生存率が高いことが示された。全死亡リスクは、腎部分切除が根治的腎摘出術に比べ、およそ半減するという。米国・ミシガン大学のHung-Jui Tan氏らが、ステージT1aの腎臓がん患者7,000人超について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2012年4月18日号で発表した。

重症外傷患者、ヘリ搬送で生存率改善

重症外傷患者は、ヘリコプター搬送の方が地上搬送に比べ、退院生存率が約15%改善することが報告された。また、退院後にリハビリ施設に入所する割合も、ヘリコプター搬送のほうが高率だった。米国・メリーランド大学のSamuel M. Galvagno氏らが、22万人超のデータを分析して明らかにしたもので、JAMA誌2012年4月18日号で発表した。

未成年2型糖尿病患者の最適な治療は?(4月29日掲載NEJMオンライン速報版より)

メトホルミン単独療法で血糖コントロールが不十分な10-17歳の2型糖尿病患者に対する次の治療選択肢として、チアゾリジン薬の追加併用療法が、メトホルミン単独療法を継続するより有意に血糖を管理できることが、無作為化比較試験The Treatment Options for Type 2 Diabetes in Adolescents and Youth (TODAY) 試験の結果より明らかになった。この結果は4月29日、NEJM誌オンライン速報版に発表された。

抗血栓薬を服薬している脳卒中における至適血圧レベルは?

抗血栓薬を服薬している一過性脳虚血発作または脳卒中既往例において、降圧治療によって頭蓋内出血が有意に減少し、頭蓋内出血の発症は治療中の収縮期血圧レベルが低いほど少ないことが、4月24日にStroke誌オンライン速報版に発表された。この研究結果は国立循環器病研究センター 有馬久富氏らによってまとめられた。

団体・企業のうつ病対策の資材になる小冊子 GSKがデータ版提供中

グラクソ・スミスクラインは25日、同社が2011年夏に実施した「うつ病の私や家族を支えてくれた“ことばの贈りもの”」に寄せられたお便りの一部をまとめた小冊子の内容をPDFファイルに収めた「ことばの贈りもの」データ版を作成、同日より希望者に提供を開始した。データ版は、6月29日(金)までの期間中に申し込んだ団体や企業向けに配布するという。

臨床試験のサブグループ解析は信頼できるか?

臨床試験の著者は報告でサブグループ効果を主張することが多いが、その信頼性は主張が強力な場合でも一般に低いことが、米国・Kaiser Permanente Northwest(ポートランド市)のXin Sun氏らの検討で示された。臨床試験のサブグループ解析では、サブグループに関する仮説が事前に規定されていなかったり、統計学的な検証が適切に行われない場合があるという。近年、無作為化比較試験におけるサブグループ解析の限界や、予測されるサブグループ効果の信頼性の評価基準の検討が進められてきた。BMJ誌2012年4月14日号(オンライン版2012年3月15日号)掲載の報告。

健康リテラシーが低い高齢者は死亡率が高い:イギリス

イギリスの高齢者の約3分の1は健康リテラシーが十分でなく基本的な健康関連の書面の読解が困難であり、理解力が低いほど死亡率が高くなることが、英国・ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンのSophie Bostock氏らの調査で明らかとなった。健康リテラシー(基本的な健康関連情報を読解する能力)の低さが、有害な健康アウトカムと関連することが示されている。アメリカの2つの試験が、低い健康リテラシーにより高齢者の死亡率が上昇することを報告しているが、イギリスでは高齢者の健康リテラシーの問題は検討されていなかったという。BMJ誌2012年4月14日号(オンライン版2012年3月16日号)掲載の報告。

青少年の慢性疲労症候群に、インターネットベースの認知行動療法プログラムが有効

青少年の慢性疲労症候群の治療法として、インターネットベースの認知行動療法プログラム(FITNET)が有効なことが、オランダ・ユトレヒト大学医療センターWilhelmina子ども病院のSanne L Nijhof氏らの検討で示された。慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎、筋痛性脳症)は持続的な疲労感と重度の身体機能低下を特徴とし、青少年では長期化することが多く、学業や社会的発育に悪影響を及ぼす。治療法として有望と考えられる認知行動療法は、専門的な技能を要するためその利用は限定的なのが現状だが、インターネットの使用によってアクセスが容易になる可能性が示唆されている。Lancet誌2012年4月14日号(オンライン版2012年3月1日号)掲載の報告。

ステント血栓症の抑制効果、コバルトクロム合金製エベロリムス溶出ステントが最も高い

コバルトクロム合金製エベロリムス溶出ステント(CoCr-EES)は、ベアメタルステント(BMS)や他の薬剤溶出ステントに比べステント血栓症のリスクが低いことが、イタリアPoliclinico S Orsola(ボローニャ市)のTullio Palmerini氏らの検討で示された。薬剤溶出ステントとBMSのステント血栓症のリスクについては議論が続いているが、ステント血栓症の総発生率の低さを考慮すると、各ステントの差を正確に評価するには、膨大なサンプル数が必要とされる。ネットワークメタ解析は、共通の治療法をレファランスとして個々の治療法の間接的な比較を可能にする新しい研究法で、サンプル数を増やすことができるという。Lancet誌2012年4月14日号(オンライン版2012年3月23日号)掲載の報告。

メトホルミンは糖尿病を発症していない肥満高血圧にも有用か?

 糖尿病を発症していない、肥満を伴う高血圧に対するメトホルミンの投与は、血圧および血糖値に影響を及ぼすことなく、総コレステロール値、腹部肥満、C反応性蛋白を減少させることが、中国、重慶で実施された二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験によって示された。この結果はJournal of Hypertension誌オンライン速報版に4月19日に発表された。