メトホルミンは糖尿病を発症していない肥満高血圧にも有用か?

提供元:ケアネット

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公開日:2012/04/26

 

 糖尿病を発症していない、肥満を伴う高血圧に対するメトホルミンの投与は、血圧および血糖値に影響を及ぼすことなく、総コレステロール値、腹部肥満、C反応性蛋白を減少させることが、中国、重慶で実施された二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験によって示された。この結果はJournal of Hypertension誌オンライン速報版に4月19日に発表された。メトホルミンは糖尿病患者の体重を減少させ、炎症を抑制することが知られているが、糖尿病を発症していない患者においても同様の有用性を発揮するかは不明であった。

 1-2週間のプラセボ投与後、糖尿病を発症していない、肥満を伴う高血圧症例360例に対し、メトホルミン500mg/日またはプラセボを投与し、24週間後に血圧、肥満、代謝プロフィールの変化を評価した。

 主な結果は下記のとおり。

1. 血圧、血糖値、HDLコレステロール値、LDLコレステロール値には影響を及ぼさなかった。
2. 総コレステロール値は有意に減少した(0.27mmol/L、P=0.038)。
3. 体重は有意に減少した(-0.7kg、P=0.006)。
4. BMIは有意に減少した(-0.2kg/m2、P=0.024)
5. 腹囲は有意に減少した(-0.9cm、P=0.008)
6. 皮下脂肪は有意に減少した(-6.1cm2、P=0.043)
7. 内臓脂肪は有意に減少した(-5.4cm2、P=0.028)
8. 高感度C反応性蛋白は有意に減少した(-0.6mg/dL、P<0.001)
9. 有害事象には有意な差がなかった(P=0.785)

 メトホルミンはわが国では2型糖尿病治療薬として承認されている(食事療法・運動療法で効果が認められない場合、食事療法・運動療法、SU薬で効果が認められない場合に限る)。