抗血栓薬を服薬している脳卒中における至適血圧レベルは?

提供元:ケアネット

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公開日:2012/04/30

 

抗血栓薬を服薬している一過性脳虚血発作または脳卒中既往例において、降圧治療によって頭蓋内出血が有意に減少し、頭蓋内出血の発症は治療中の収縮期血圧レベルが低いほど少ないことが、4月24日にStroke誌オンライン速報版に発表された。この研究結果は国立循環器病研究センター 有馬久富氏らによってまとめられた。

抗血栓薬服薬脳卒中既往例⇒血圧が最も低い群で頭蓋内出血発症リスクが最少


ACE阻害薬による降圧療法が脳卒中の二次予防に有用かを検証したプラセボ対照二重盲検無作為化比較試験Perindopril Protection against Recurrent Stroke Study(PROGRESS)に登録された一過性脳虚血発作または脳卒中既往例6,105例のうち、抗血栓薬を服薬していた患者における頭蓋内出血および頭蓋外出血の発症リスクが分析された。

主な結果は下記のとおり。
1. ベースライン時、4,876例(80%)の患者が抗血栓薬を服薬していた
  (アスピリン3,632例、他の抗血小板薬1,021例、抗凝固薬566例)。
2. 平均3.9年間の観察期間中、119例の頭蓋内出血、123例の頭蓋外出血が
  認められた。
3. 抗血栓薬服薬例において降圧療法によって頭蓋内出血は有意に低下。
  ○降圧治療群では8.9/4.0mmHg降圧し、頭蓋内出血のリスクを
    46%(95%信頼区間:7%-69%)抑制した。
  ○プラセボ群では9.3/3.8mmHg降圧し、頭蓋内出血のリスクを
    70%(95%信頼区間:39%-85%)抑制した。
4. 抗血栓薬服薬例における頭蓋外出血(主に消化管出血)は、
  血圧レベルとは関係がなかった。
5. 抗血栓薬服薬例において、治療中の収縮期血圧レベルが最も低かった群
  (中央値113mmHg)で、頭蓋内出血の発症が少なかった。

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