余暇の身体活動量は2型糖尿病における死亡率と脳卒中リスクの予測因子となりうる?―JDCSによる分析

提供元:ケアネット

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公開日:2013/04/23

 

 日本人2型糖尿病患者において、余暇における週15.4METs・時以上の身体活動は、部分的な心血管リスクの改善を通じて、脳卒中リスクを有意に低下させることが新潟大学医歯学総合研究科 曽根 博仁氏らの研究で明らかになった。余暇の身体活動量は、全死亡率の有意な低下とも関連を認めたが、心血管リスクや心血管イベントとは独立していた。これらの結果は、欧米の糖尿病患者との違いを示唆しており、東アジア地域の糖尿病の臨床管理において考慮されるべきである。Diabetologia誌2013年5月号(オンライン版2013年2月27日号)の報告。

 本研究は、日本人糖尿病患者における余暇の身体活動と心血管イベント、全死亡率との関係について検討した全国コホート研究である。

 Japan Diabetes Complications Study(JDCS)に登録された2型糖尿病患者1,702例(平均58.5歳、女性47%)を対象に、8.05年(中央値)にわたり追跡調査を行った。質問票を用いて、余暇身体活動や職業を含むライフスタイルの調査を行った。
アウトカムは、冠動脈心疾患(CHD)発症・脳卒中発症・全死亡率とした。ハザード比と95%CIはCox比例ハザードモデルにより算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・年齢、性別、糖尿病罹病期間で調整後、余暇の身体運動が週15.4METs・時以上の群(三分位数の最大値)における、週3.7METs・時以下の群(三分位数の最小値)に対する脳卒中のハザード比は0.55(95%CI: 0.32~0.94、p=0.03)、全死亡率のハザード比が0.49(95%CI: 0.26~0.91、p=0.02)と有意に低かった。CHDのハザード比は0.77(95%CI:0.48~1.25、p=0.29)で有意差を認めなかった。
・ライフスタイルあるいは食事・血清脂質を含む臨床的変数で調整後、脳卒中のハザード比の有意性は境界領域であった。
・余暇の身体活動による全死亡率の有意な低下は、これらの変数とは独立しており、少なくとも主として心血管疾患の減少に帰するものではないと考えられた。

※MET(Metabolic Equivalent)
身体活動量と運動量の基準値で、運動強度を示す単位。普通に歩くなど日常的な運動の強度は3METs程度。

(ケアネット 武田 真貴子)