日本語でわかる最新の海外医学論文|page:916

大うつ病患者のGERD有病率は高い

 大うつ病(MDD)患者における胃食道逆流症(GERD)の有病率は、健常人と比較して有意に高いことが台中ベテランズ総合病院のPo-Han Chou氏らの研究により明らかになった。精神科医は大うつ病患者を診る際、日常診療において、胸焼けや嚥下障害など、逆流性食道炎の症状がないか注意を払い、症状を認めた場合は専門医に相談すべきである。Psychosomatics誌オンライン版2013年8月13日号の報告。

改めて問われる、心血管リスクとしての腎結石の意義(コメンテーター:石上 友章 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(126)より-

 腎結石を有する女性に、冠動脈性心疾患(CHD)のリスクが増大することが報告された。Ferraroらの長期にわたる観察研究は、質・量において、従来のコホートを圧倒している。したがって、事実として彼らの定義する腎結石とCHDとが統計的に有意に関連していることは、疑いようがないだろう。

確実な紫外線対策は物的バリアで

 日焼けによる損傷は、悪性黒色腫と関連した最も重要な環境要因だが、スペイン・バルセロナ大学のCristina Carrera氏らは、母斑への紫外線誘発の影響を防御することを目的とした日焼け止め外用の効果について、物的バリアとの比較で検証した。その結果、日焼け止めには物的バリアほど炎症性の紫外線の影響を防御する効果がないことを報告した。JAMA Dermatology誌2013年7月号の掲載報告。

プロバイオティクスはアトピー感作や喘息のリスクを低下させるのか?

 出生前や出生後早期に、プロバイオティクスを投与することは、アトピー感作リスクや総IgEを低下させるが、喘息・喘鳴発症のリスクは低下させないことが、米国マイアミ大学小児科学のNancy Elazab氏らにより報告された。Pediatrics誌オンライン版2013年8月19日号の掲載報告。

リセドロン酸、小児骨形成不全への有用性を確認/Lancet

 小児骨形成不全症に対する経口リセドロン酸の安全性と有効性を検討した結果、骨密度の増大、骨折の初発・再発リスクの減少が認められ、忍容性も良好であったことが、英国・シェフィールド小児病院のNick Bishop氏らによる多施設共同無作為化並行群間二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告された。小児骨形成不全症に対しては、しばしばビスホスホネート製剤の静注投与が行われているが、定期的な入院治療を要するなど利便性、コスト面、また患児に与える精神的ストレスなどが大きい。経口治療はQOLの大きな改善につながるとして期待されているが、従来のビスホスホネート製剤を用いた試験では骨折リスクの改善が示されなかった。Lancet誌オンライン版2013年8月5日号掲載の報告より。

僧帽弁逆流、早期手術が長期生存率を有意に増大/JAMA

 僧帽弁尖動揺による僧帽弁逆流を呈する慢性僧帽弁閉鎖不全症の患者に対し、早期に僧帽弁手術を実施する治療戦略は初期薬物療法による経過観察戦略と比較して、長期生存率の増大および心不全リスクの低下に関連していることが示された。米国・メイヨークリニック医科大学のRakesh M. Suri氏らが、1,000例を超える多施設共同レジストリデータの分析の結果、報告した。クラスIトリガー(心不全または左室機能不全)を有さない重症僧帽弁閉鎖不全症患者の至適治療については、現状の治療戦略の長期結果の定義が曖昧なこともあり、なお議論の的となっている。同検討に関する臨床試験データはなく、それだけに今回の検討は重大な意味を持つところとなった。JAMA誌2013年8月14日号掲載の報告より。

SSRI/SNRI治療患者の約7割はアドヒアランス不良

 イタリア・ボローニャ大学のElisabetta Poluzzi氏らは、過去6年間の抗うつ薬処方の傾向と、SSRIまたはSNRIの治療を受ける患者のアドヒアランスについて評価した。その結果、過去6年間で抗うつ薬消費量は20%増えていたこと、SSRI/SNRI治療のアドヒアランスは23.8%であったことなどを報告した。European Journal of Clinical Pharmacology誌オンライン版2013年8月1日号の掲載報告。

大腸用カプセル内視鏡が承認取得~こわくない、恥ずかしくない大腸検査~

 大腸がん検診で便潜血検査が陽性となり要精密検査とされても、大腸内視鏡検査を受診しない人は4割以上に上る。その理由としては「自覚症状がないから」が最も多いが、「痛くてつらそう」「恥ずかしい」という理由も多いという。こうした状況のなか、2013年7月、ギブン・イメージング株式会社の大腸用カプセル内視鏡「PillCam® COLON 2カプセル内視鏡システム」が、審査期間10ヵ月というスピードで承認された。これにより、大腸内視鏡検査をさまざまな理由で受けられない人たちの精密検査のオプションとして提供されることになった。今後、保険適用が認められれば検査数が大幅に増加することが予想される。  

鉄剤静注はメリットあるが感染リスクで相殺/BMJ

 鉄剤の静注投与は、ヘモグロビン濃度を増大し、同種異系の赤血球輸血リスクを低下して急性期治療を要する幅広い場面で適用可能だが、一方で感染リスクの増大もあり、その潜在的有効性は相殺されてしまうことが明らかにされた。オーストラリア・王立パース病院のEdward Litton氏らがシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。急性期の患者に対し赤血球輸血は有用だが関連有害事象、コストや不足に対する懸念が増加している。一方で鉄剤の静注投与は、鉄欠乏性貧血患者のヘモグロビン濃度を増大するのに有効であることは明らかであったが、その他の重大有害事象との関連や感染リスクについては不明であった。BMJ誌オンライン版2013年8月15日号掲載の報告より。

遠隔虚血プレコンディショニング、CABGの予後を改善/Lancet

 遠隔虚血プレコンディショニング(RIPC)は、待機的冠動脈バイパス術(CABG)施行後の心筋傷害を抑制し、全死因死亡を改善する可能性があることが、ドイツ・エッセン大学病院のMatthias Thielmann氏らの検討で示された。RIPCは、遠隔臓器や血管領域の虚血と再灌流を短時間で繰り返す手技で、CABG施行後の心筋傷害のリスクを低減することが示唆されているが、心筋バイオマーカーの改善が臨床転帰の改善に結びつくかは明らかにされていないという。Lancet誌2013年8月17日号掲載の報告。

脳腫瘍術後のけいれん予防にレベチラセタム有用

 韓国・ソウル大学ブンダン病院のYoung Jin Lee氏らは、開頭術後のけいれん予防として投与したレベチラセタムの有効性と安全性について、バルプロ酸と比較検討した。その結果、発作アウトカムは両薬剤で同程度であるが、レベチラセタムはバルプロ酸に比べ長期合併症の発現が少なく、副作用による薬剤変更やその他の抗けいれん薬の追加投与が少ないことを報告した。CNS Drugs誌オンライン版2013年8月7日号の掲載報告。

腰痛予後不良の予測因子は疼痛強度と思い込み

 腰痛の長期予後に関する予測因子はほとんどわかっていない。英国・キール大学のPaul Campbell氏らは、プライマリ・ケアにおける腰痛患者を前向きに5年間追跡した結果、疼痛強度および腰痛が持続するかどうかについての患者の認識が、6ヵ月後および5年後の予後不良を予測する因子であることを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「両因子が臨床的な介入目標となる可能性がある」と結論している。

5α還元酵素阻害薬、前立腺がん発症を予防、生存は改善せず/NEJM

 フィナステリド(Proscar、国内未承認)の予防投与は、前立腺がんの発症率を長期的に抑制するが、生存率は改善しないことが、米国テキサス大学サンアントニオ健康科学センターのIan M Thompson氏らが実施した「前立腺がん予防試験(PCPT)」の長期追跡の結果により示され、NEJM誌2013年8月15日号で報告された。フィナステリドは、テストステロンをジヒドロテストステロンに変換する2型5α還元酵素を阻害することで前立腺がんの発症を抑制すると考えられている。すでにPCPTでは、本薬により前立腺がんのリスクが24.8%低下するが、高悪性度病変のリスクは26.9%上昇することが確認され、2003年、同誌で報告されている。

雇用不安は冠動脈疾患発症のリスク因子/BMJ

 雇用への不安の自覚と冠動脈疾患(CHD)の発症には緩やかであるが関連があることが、フィンランド・労働衛生研究所のMarianna Virtanen氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、明らかにされた。同関連の一部は社会経済的状況が低いことに起因しており、著者は、「雇用不安を持つ人においては、好ましくないリスク因子である」と報告している。BMJ誌2013年オンライン版2013年8月8日号掲載の報告より。

抗精神病薬による高プロラクチン血症に関するレビュー

 フランス・Etablissement Public De Sante Mentale(EPSM)のI. Besnard氏らは、抗精神病薬の有害事象である高プロラクチン血症に着目し、文献から得られた知見を基にレビューを行った。プロラクチンを増加させる抗精神病薬とプロラクチン増加を起こしにくい抗精神病薬があること、高プロラクチン血症は男性に比べ女性でより高頻度にみられ、性腺機能不全による症状がみられること、必要に応じて抗精神病薬の減量または変更を行う必要性などを報告した。Encephale誌オンライン版2013年8月5日号の掲載報告。

コクサッキーウイルスと天疱瘡は関連しているのか

 天疱瘡は自己免疫性水疱症であり、原因とされるウイルスは複数あるとされている。トルコ・パムッカレ大学のNida Kacar氏らは、コクサッキーウイルス(CV)が天疱瘡患者において認められるかを調べた。CVは、手足口病の原因ウイルスの一つであり、自己免疫疾患と強い関連がある。著者らは、CV感染とセファロスポリンによる治療後に天疱瘡の発症が報告されたことを受けて本検討を行った。