日本語でわかる最新の海外医学論文|page:914

妊娠線とQOLの意外な関係 ―本当は何がQOLに影響するか―

 妊娠線は明確な発現機序は明らかになっていないが、一度生じると治療は困難で、QOLに影響する。妊娠線の予防のため、保湿剤がよく用いられているが、これまでこうした予防策とQOLの関係については不明のままであった。京都大学の山口 琴美氏らは、妊娠線の予防を実施している中部地方の日本人妊婦を対象に横断調査を行い、保湿の効果とQOLについて評価した。

がん患者の深刻な就労問題に国も本腰

 8月29日~31日に仙台市にて開かれた 第11回日本臨床腫瘍学会において、「Cancer Survivorshipを考える―Social Networkを活用した就労支援―」とと題したワークショップが開催された(座長:一般社団法人グループ・ネクサス・ジャパン 天野 慎介氏、国立がん研究センターがん対策情報センター 高橋 都 氏)。がん治療およびがん患者の就労に対するついて社会の理解不足により、がんを罹患してから離職を余儀なくされる患者は多く、がん患者にとっては深刻な問題となっている。そして、その問題に対する一つの取り組みが始まろうとしている。

喫煙が死亡に及ぼす影響は、人種差でこんなにも違う/Lancet

 南アフリカにおける喫煙死亡リスクは、白人・黒人の混血“カラード”において最も高く、非喫煙者・元喫煙者との比較でおよそ5割増に上ることが明らかにされた。最もリスクが低いのは黒人で、同2割弱増であった。オーストラリア・Cancer Council NSWのFreddy Sitas氏らが、南アフリカの中高年50万人弱について行ったケースコントロール研究の結果、報告した。Lancet誌2013年8月24日号掲載の報告より。

外側楔状足底板使用でも変形性膝関節症の痛みは軽減しない/JAMA

   変形性膝関節症の人において外側楔状足底板を使用しても痛みの軽減効果はないことが、英国・マンチェスター大学のMatthew J. Parkes氏らによるメタ解析の結果、報告された。外側楔状足底板の効果については議論が分かれ、コンセンサスは得られていなかった。JAMA誌2013年8月21日号掲載の報告より。  研究グループは、2013年5月までにCochrane Central Register of Controlled TrialsやMedlineなどのデータベースに登録された試験のうち、外側楔状足底板の使用による膝関節過重への効果について検討された無作為比較試験を抽出し、メタ解析を行った。データ抽出は2名の独立した研究者が行った。また、バイアスリスクの評価を2名のオブザーバーがCochraneバイアスリスクツールを用いて行った。

ピロリ菌感染に対する順次療法のメタ解析とシステマティックレビュー(コメンテーター:上村 直実 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(128)より-

 ピロリ菌感染に対する世界的な標準的除菌治療として使用されている3剤併用療法(プロトンポンプ阻害薬:PPI+amoxicillin:AMPC+clarithromycin:CAMまたはmetronidazole:MNZ)の除菌率が80%以下に低下していることが、大きな問題となっている。

自閉症スペクトラム障害に対するSSRIの治療レビュー

 オーストラリア・メルボルン大学のKatrina Williams氏らは、自閉症スペクトラム障害(ASD)に対するSSRIによる治療の有用性についてレビューを行った。その結果、小児に対する有効性および有害性のエビデンスはなく、成人については試験規模が小さくバイアスリスクが不明であり有効性のエビデンスは限定的であることを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2013年8月20日号の掲載報告。

ALK陽性肺がん第3相試験、日本人の結果は

 クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)のPhase III試験PROFILE 1007 では、進行ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)2次治療において、クリゾチニブは標準的化学療法であるペメトレキセド(同:アリムタ)またはドセタキセル(同:タキソテール)に比べ、有意に無増悪生存期間(PFS)および奏効率(ORR)を改善した。この試験の日本人のサブ解析が、第11回日本臨床腫瘍学会にて近畿大学腫瘍内科の中川和彦氏から発表された。

インフルエンザのリスク因子、エビデンスが弱い/BMJ

 インフルエンザ関連合併症のリスク因子を定義するエビデンスのレベルは低いことが、カナダ・マックマスター大学のDominik Mertz氏らによるシステマティックレビューの結果、明らかにされた。インフルエンザ発症において一部の患者集団では合併症の併発や重症化するリスクが報告され、ハイリスク集団にワクチン接種を優先する勧告がWHOおよび世界各国で行われている。しかし、これまで同集団を定義するエビデンスの質について包括的かつシステマティックなレビューは行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2013年8月23日号掲載の報告より。

降圧目標到達率を44%から87%までに改善したプログラム/JAMA

 米国・北カリフォルニア・カイザーパーマネンテ(KPNC)が2001年に開発導入した、大規模集団高血圧プログラムの実施状況を分析した報告が、KPNC南サンフランシスコメディカルセンターのMarc G. Jaffe氏らにより発表された。2009年時点の分析で、州や国が行うプログラムに比べると、KPNC高血圧プログラム下で血圧コントロールを受ける高血圧患者の割合は有意に増大したことが示されたという。Jaffe氏は本報告で、同プログラム開発の経緯と変遷、プログラムのキー要素について報告している。JAMA誌2013年8月21日号掲載の報告より。

慢性疼痛は認知機能障害に影響するのか

 慢性疼痛を有する人は概して認知機能障害を有しているといわれる。オーストラリア・南オーストラリア大学のCarolyn Berryman氏らは、その関連を明らかにするため慢性疼痛患者におけるワーキングメモリ機能に関する文献のシステマティックレビューを行った。その結果、これまでの報告はバイアスリスクならびに不均一性が高いことが明らかになったと報告。

米国における7価結合型肺炎球菌ワクチンの効果を検証(コメンテーター:小金丸 博 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(127)より-

 米国では、2000年に乳幼児に対する7価結合型肺炎球菌ワクチン(PCV7)が導入され、侵襲性肺炎球菌感染症は大幅に減少した。しかし、ワクチンに含まれない血清型による肺炎球菌感染症の増加が報告され、PCV7の有効性が持続しているかどうか懸念されていた。

若年者への抗精神病薬投与、2型糖尿病リスクが3倍に

 抗精神病薬を処方された小児および若年者の2型糖尿病リスクは、その他の向精神薬の使用者に比べ3倍高く、用量依存的にリスクが高まることが、米国・ヴァンダービルト大学のWilliam V. Bobo氏らによる後ろ向きコホート研究の結果、報告された。JAMA Psychiatry誌オンライン版2013年8月21日号の掲載報告。

中等度~重症小児湿疹にナローバンド紫外線療法は有用

 中等度~重症の小児湿疹に対するナローバンド紫外線(NBUVB)療法は、臨床的効果がありQOLを改善することを、英国・Royal Victoria InfirmaryのS. Darne氏らが前向きコホート研究の結果、報告した。効果は治療後6ヵ月時点でも持続していた。これまで小児湿疹に対するNBUVB療法の効果についてのエビデンスは、後ろ向きなものに限られていた。British Journal of Dermatology誌オンライン版2013年8月12日号の掲載報告。

チオトロピウムはCOPD増悪や入院のリスクを低下させる

 チオトロピウムはCOPD患者の増悪や入院のリスクを有意に低下させることがテキサス大学健康科学センターのAntonio Anzueto氏らにより報告された。Respiratory Medicine誌オンライン版2013年8月19日号の掲載報告。  増悪はCOPDの転帰を大きく左右する。本研究では、米国の臨床試験に登録されている患者を対象に、COPDの増悪および増悪に関連した入院に対するチオトロピウムの効果を評価した。

新規抗α4β7インテグリン抗体、潰瘍性大腸炎に有効/NEJM

 抗α4β7インテグリン抗体vedolizumabは、中等度~重度の活動性潰瘍性大腸炎の導入療法および維持療法として有用であることが、カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のBrian G Feagan氏らが実施したGEMINI 1試験で示された。潰瘍性大腸炎治療については、アミノサリチル酸など従来療法の効果は十分ではなく、グルココルチコイドやTNF阻害薬は重篤な有害事象の懸念があることから、新たな治療戦略が求められている。vedolizumabは、α4β7インテグリンに特異的に結合して腸管へのリンパ球の遊走を選択的に阻害するヒト化モノクローナル抗体である。NEJM誌2013年8月22日号掲載の報告。