日本語でわかる最新の海外医学論文|page:917

古くて新しい薬コルヒチン、急性心膜炎の頻発・再発リスクを半減/NEJM

 急性心膜炎に対し、アスピリンなどによる従来抗炎症療法に加えてコルヒチンを投与すると、頻発性・再発性心膜炎の発生リスクは半減することが明らかになった。症状持続率や入院率も、コルヒチン投与により大幅に減少することが示された。イタリア・マリア・ビットリア病院のMassimo Imazio氏らが、急性心膜炎の患者240例を対象に行った無作為化プラセボ対照試験の結果、報告した。コルヒチンは痛風の古典的な治療薬だが、近年、再発性心膜炎に有効であることが示され推奨されている。急性心膜炎に対する効果も支持する報告がされているが確定的データはなかった。NEJM誌オンライン版2013年9月1日号掲載の報告より。

機械弁患者にはダビガトランよりワルファリン/NEJM

 人工心臓弁置換術を行った人に対し、ダビガトラン(商品名:プラザキサ)投与はワルファリン(同:ワーファリンほか)投与に比べ、血栓塞栓症・出血イベントリスクが増大することが明らかになった。カナダ・マックマスター大学のJohn W. Eikelboom氏らがダビガトラン用量検証のための第2相臨床試験を行った結果、報告した。ダビガトランは心房細動患者においてワルファリンに代わる選択肢になることが示されている。NEJM誌オンライン版2013年9月1日号掲載の報告より。

てんかんにVNSは有効、長期発作抑制効果も

 現在、12歳以上のてんかん部分発作に対する補助療法として承認されている迷走神経刺激療法(VNS)。Aurora Epilepsy CenterのGeorge L. Morris III氏らは、VNSに関する一連のエビデンスを評価した。その結果、VNSは小児の発作、レノックス・ガストー症候群(LGS)関連発作、成人てんかんの気分障害の改善に効果が期待できること、また治療継続により発作抑制効果が高まることが示唆され、これらをエビデンスレベルCとして推奨した。Neurology誌オンライン版2013年8月28日号の掲載報告。

脊椎手術研究の有害事象報告、4割にバイアス

 最近、企業主導型の脊椎手術研究における報告記事について、有害事象の報告に関する懸念が生じている。対策として独立した臨床事象判定委員会(CEC)による評価が行われることがあるが、これまで、有害事象の報告にどの程度研究者バイアスが存在しているか、CECがバイアス削減にどう影響するかを検討した報告はなかった。

重度狭窄部への予防的PCIが予後改善/NEJM

 ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)患者への救急時の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)において、梗塞部に加え重度狭窄部への予防的PCIを施行することは、重大心血管イベントリスクを有意に低下することが、英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のDavid S. Wald氏らによる無作為化試験PRAMIの結果、示された。これまで同患者における梗塞部へのPCI施行が予後を改善することは明らかであったが、予防的PCIの予後改善効果は不明であった。NEJM誌オンライン版2013年9月1日号掲載の報告より。

急性期統合失調症、ハロペリドールの最適用量は

 急性期統合失調症患者に対し、ハロペリドールの最適な投与量はどの程度なのか。英国・NHS LothianのLorna Donnelly氏らは、この疑問を明らかにするため、無作為化比較試験に関する文献レビューを行った。その結果、>3~7.5mg/日において有効性に関する明確なベネフィットは示されなかったものの、7.5mg/日以上では錐体外路症状の発現を高めることが示されたと報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2013年8月28日号の掲載報告。

爪真菌症治癒の再定義を

 米国・University Hospitals Case Medical CenterのM. Ghannoum氏らは、爪真菌症治癒の定義について、菌類学的アウトカムと臨床試験期間の解釈を再検証した。その結果、現状の臨床試験期間は見直す必要があり、爪真菌症治癒の定義は、十分なウォッシュアウト後の臨床所見が、KOH直接鏡検法が陰性か否かにかかわらず、培養検査が陰性であることでみなすべきであると報告した。British Journal of Dermatology誌オンライン版2013年8月19日号の掲載報告。

抗血小板薬の診断時と周術期の2回に分ける分割投与/NEJM

 待機的経皮冠動脈インターベンション(PCI)を受ける非ST上昇型(NSTE)急性冠症候群患者へのプラスグレル(本邦では承認申請中)投与について、診断時に投与する前治療の有意な有効性、安全性は認められなかったことが、フランス・ピティエ-サルペトリエール病院のGilles Montalescot氏らによるACCOAST試験の結果、示された。P2Y12受容体阻害薬プラスグレルは、第三世代の新規抗血小板薬で、NSTE急性冠症候群患者への有効性が示されている。しかし、投与のタイミングによる影響は不明であった。著者は、今回の結果は、プラスグレルの治療戦略は冠血管造影後とすることを支持するものであったと結論している。NEJM誌オンライン版2013年9月1日号掲載の報告より。

トラスツズマブ術後治療1年投与と2年投与の比較-ランドマーク解析-(コメンテーター:勝俣 範之 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(129)より-

 乳がん治療は、ここ10年間で大きく変革した。それは、乳がんの増殖因子であるHER2に対する抗体治療薬であるトラスツズマブの登場による。従来の抗がん剤治療は、殺細胞薬といって、がん細胞も正常細胞も見境なく殺してしまうものしかなく、患者は副作用に苦しむことを余儀なくされていた。1990年代後半から、がん細胞に特異的に発現しているさまざまな分子に対する分子標的治療薬の開発が行われ、分子標的治療薬は、副作用が少ない治療薬ということで注目を浴びた。血液腫瘍ではグリベックが開発され、固形腫瘍で最初に開発された薬剤が、トラスツズマブである。

葉酸摂取は双極性障害の治療に有効

 双極性障害の治療に葉酸が有効である可能性について、米国・マサチューセッツ総合病院のJi Hyun Baek氏らがレビューを行った結果を報告した。葉酸は、気分障害の治療に最も広く用いられている栄養補助食品の1つである。Baek氏らは、葉酸の代謝について調べるとともに、双極性障害との関連およびその治療可能性について検討した。Australian & New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年8月22日号の掲載報告。

消化性潰瘍、5人に1人がH.pylori感染やNSAIDs/アスピリン内服と関連なし

 フランスの総合病院では、消化性潰瘍患者の5人に1人がヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)感染ともNSAIDs/アスピリン内服とも関連のない特発性潰瘍であることが、仏・ヴィルヌーヴ・サン・ジョルジュ病院消化器内科 C.Charpignon氏らによる研究で明らかになった。Alimentary pharmacology & therapeutics誌オンライン版2013年8月27日号の報告。