日本語でわかる最新の海外医学論文|page:915

統合失調症患者、合併症別の死亡率を調査

 統合失調症は、重大な併存疾患と死亡を伴う主要な精神病性障害で、2型糖尿病および糖尿病合併症に罹患しやすいとされる。しかし、併存疾患が統合失調症患者の超過死亡につながるという一貫したエビデンスはほとんどない。そこで、ドイツ・ボン大学のDieter Schoepf氏らは、一般病院の入院患者を対象とし、統合失調症の有無により併存疾患による負担や院内死亡率に差異があるかどうかを調べる12年間の追跡研究を行った。European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience誌オンライン版2013年8月13日号の掲載報告。

転移性腎細胞がん、2つのTKIの有効性に差なし/NEJM

 転移性腎細胞がんの1次治療において、パゾパニブ(商品名:ヴォトリエント、腎細胞がんへの適応拡大申請中)の有効性はスニチニブ(同:スーテント)に劣らず、安全性やQOLはパゾパニブがより良好なことが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのRobert J Motzer氏らが実施したCOMPARZ試験で示された。腎細胞がんは腎がんの中で最も高頻度にみられ、診断時には最大30%が転移性と報告されている。パゾパニブとスニチニブはいずれも経口チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であり、転移性腎細胞がんの治療において無増悪生存期間(PFS)の改善効果が確認されていた。NEJM誌2013年8月22日号掲載の報告。

ACR高値とCHD再発の関連は人種差がない/JAMA

 尿中アルブミン排泄量(ACR)高値と冠動脈疾患(CHD)との関連について、黒人のほうが同関連は強いが、CHD再発については黒人と白人で差はなかったことが、米国・アラバマ大学のOrlando M. Gutierrez氏らによる前向きコホート研究の結果、明らかにされた。これまで同関連の人種間差について、ACR高値は白人よりも黒人において一般的であり、脳卒中リスクがより強いことは報告されていた。今回の検討は、CHDとの関連が不明であったことから行われたが、結果を踏まえて著者は、「黒人のほうが、より血管が損傷されやすいことが確認された」と結論している。JAMA誌2013年8月21日号掲載の報告より。

オランザピン服用患者の一部で認められる糖尿病などの代謝異常、原因が明らかに:京都大学

 オランザピン服用患者の一部で認められる、体重増加を伴わない脂質異常症や糖尿病の原因について、オランザピンがインスリン分泌を制御する膵β細胞のアポトーシスを引き起こしている可能性があることを、京都大学大学院理学研究科教授・森 和俊氏らが明らかにした。Cell Structure and Function誌2013年第2号の掲載報告より。

職業性腰痛の直接医療費は年間800億円超

 作業関連性(職業性)腰痛は労働人口において重大な健康問題であるが、有効な対策を講じるには職業性腰痛の総医療費とその内訳を明らかにする必要がある。しかし、米国を除き、職業性腰痛の経済的負担に関する報告はほとんどない。順天堂大学の伊藤弘明氏らは、わが国における職業性腰痛の直接医療費を算出し、2011年度は821億円にものぼることを明らかにした。著者は「職業性腰痛はわが国に相当な経済的負担をもたらしている」とまとめている。Industrial Health誌オンライン版2013年8月13日の掲載報告。  社会医療診療行為別調査、患者調査、労働力調査、全国健康保険協会、国民健康保険、長寿医療制度等のデータを用い、1日当たりの治療費、すべての原因による腰痛の治療日数、雇用率、職業性腰痛の推定患者数に基づき、2011年、2008年、2005年および2002年における職業性腰痛に要する年間医療費を算出した。

タバコの価格は1,000円以上が妥当? 医師1,000人の意識調査より

 分煙・禁煙エリアの拡大のみならず、喫煙者の採用拒否を明言する企業の増加、表現活動における喫煙シーンへの論議が起こるなど、社会の嫌煙モードは喫煙環境の制限に留まらない様相を呈している。ケアネットは29日、ケアネット・ドットコム医師会員1,000人に対して実施したタバコおよび喫煙者の負担に対する意識調査の結果を発表した。2010年10月以降大きく下がった喫煙率、喫煙への抑止力として働いたタバコ価格を医師はどうみているのか?こうした状況下での、タバコに関する医師の意識について詳細をまとめた。

CRT-Dの効果はLBBB・QRS≧150msの患者が最大/JAMA

 心臓再同期治療(CRT)は、左脚ブロック(LBBB)がありQRS時間が長い患者における効果が大きいことが、米国・デンバーヘルスメディカルセンターのPamela N. Peterson氏らによる検討の結果、明らかにされた。CRTは臨床試験において、心不全や左室収縮機能障害の患者の死亡率を改善し再入院を減らすことを示した。しかし適応の広がりに伴い、心不全で同療法を受けた患者の3分の1~半数が改善しなかったことが報告されていた。研究グループは、コストや手術に伴う侵襲性などのリスクから、ベネフィットが得られる患者の特定が重要であるとして本検討を行った。JAMA誌2013年8月14日号掲載の報告より。

本態性振戦に集束超音波視床破壊術が有望/NEJM

 薬剤難治性の重度の本態性振戦に対し、MRIガイド下集束超音波治療を行うことで、12ヵ月後の振戦抑制効果が認められたことが示された。米国ヴァージニア大学のW. Jeffrey Elias氏らが、15例の患者について行ったパイロット試験の結果で、NEJM誌2013年8月15日号で発表した。同治療法は、近年の進歩により施行可能となったものである。

抗精神病薬のアジア実態調査:高用量投与は36%

 アジア人の高齢統合失調症患者における抗精神病薬の処方状況が調査された。その結果、50歳以上のアジア人統合失調症患者の3分の1以上が高用量の抗精神病薬を使用しており、低~中用量を処方されている患者に比べ罹病期間が長く、現在陽性症状または陰性症状を呈している割合が多く、処方されている抗精神病薬の種類が多いことなどを香港中文大学のYu-Tao Xiang氏らが報告した。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2013年8月13日号の掲載報告。

ビタミンDはアトピー性皮膚炎に有用

 ビタミンDの補給は、アトピー性皮膚炎の臨床症状改善に有用である可能性が示された。安全性、忍容性とも良好だという。ポーランド・ワルシャワ医科大学のZbigniew Samochocki氏らによる検討の結果、報告された。Journal of the American Academy of Dermatology誌2013年8月号(オンライン版2013年5月2日号)の掲載報告。  ビタミンDには免疫調整作用がある。免疫機構はアトピー性皮膚炎(AD)の病因となっていることから、ビタミンDがADの病態に影響を及ぼす可能性があった。そこで研究グループは、AD患者におけるビタミンD濃度と臨床的・免疫学的・体質的・環境的因子との関連を調べること、またビタミンDの補給がADの臨床症状に影響を及ぼすかどうかについて検討することを目的とした。

慢性C型肝炎、経口薬のみの併用療法に現実味/NEJM

 C型肝炎ウイルス(HCV)の慢性感染に対し、インターフェロンを用いない経口薬だけの併用療法の有効性に関する報告がNEJM誌2013年8月15日号に発表された。ドイツ・ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ大学メディカルセンターのStefan Zeuzem氏らが行った、新規開発中の2剤のC型肝炎治療薬、ファルダプレビル(プロテアーゼ阻害薬)とデレオブビル(非ヌクレオシド系ポリメラーゼ阻害薬)に関する第2b相無作為化非盲検試験の結果で、治療終了後12週時点の持続性ウイルス学的著効(SVR)の達成は39~69%であったという。検討では2剤併用のほか、インターフェロンとの併用にも用いられる抗肝炎ウイルス薬リバビリン(商品名:コペガスほか)を組み合わせたレジメンの検討も行われ、3剤併用療法のほうがSVR達成が高率だったことも示された。

各抗うつ薬のセロトニン再取り込み阻害作用の違いは:京都大学

 臨床使用される抗うつ薬の大半は、シナプス間隙でのモノアミン濃度を急激に上昇させるが、その治療効果のために数週間の投与を必要とする。このように効果が遅発性なのは、セロトニン作動性神経における神経適応変化が緩徐なためと考えられている。京都大学大学院薬学研究科の永安一樹氏らは、抗うつ薬慢性処置のセロトニン遊離への影響について、ラットの縫線核脳切片培養系を用いて調べた。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2013年8月7日号の掲載報告。

手根管症候群にHLTパッチが有用

 手根管症候群(CTS)は、疼痛、感覚異常、筋力低下などを特徴とする正中神経の圧迫性神経障害である。米国・International Clinical Research Institute社のSrinivas Nalamachu氏らが実施したパイロット試験の結果、発熱成分、リドカイン、テトラカインを組み合わせた局所貼付剤(HLTパッチ)がCTSの疼痛緩和に有用であることを報告した。