ADHDの世代間伝達に関連する独立リスク因子は

提供元:ケアネット

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公開日:2014/07/01

 

 米国・カリフォルニア大学のIrene Tung氏らは、注意欠如・多動症(ADHD)を有する親の子育て行動が、子供のADHD症状とどう関連するかを検討した。その結果、ADHDが子供に受け継がれる有意かつ独立した因子として“体罰”が挙げられることを報告した。子供のADHDの主要なリスク因子は、親のADHD症状を基礎とする複合的な関与の可能性が考えられているが、説明可能な因子は明らかになっていなかった。Journal of Clinical Child & Adolescent Psychology誌オンライン版2014年6月13日号の掲載報告。

 研究グループは、子育て行動における正ならびに負の側面(体罰、一貫性に欠けるしつけ、ポジティブな子育て行動、ネガティブな発言、ほめるなど)における相違が、親と子のADHDを関連づけるかどうかを検討した。アウトカム(子供のADHD症状)の予測因子(親のADHD症状など)ならびにメディエーター(子育て行動など)に着目したプロスペクティブ研究として実施した。ADHDの有無を問わず背景が明らかな小児120例(Wave 1:5~10歳、Wave 2:7~12歳)とその実の親を対象とし、複数の方法(観察、自己報告など) でポジティブおよびネガティブな子育て行動を評価し、Wave 1の親とWave 2の子供のADHD症状が連動して関連するかどうかを検討した。

 主な結果は以下のとおり。

・厳格なブートストラップ法からなる多様な媒介フレームワークを用いて検討した。
・親のうつ症状、子供のベースライン時のADHDおよび反抗挑発症、子供の年齢を補正後、Wave 1の親のADHD症状とWave 2の子供のADHDを関連づけたのは、体罰が有意かつ唯一の因子であった。
・子育て行動はADHDの世代間伝達に関連しており、これらの結果は小児ADHDへの介入と予防に応用可能と思われた。

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(ケアネット)