日本語でわかる最新の海外医学論文|page:53

従来2台必要な眼科手術機器を1台で/日本アルコン

 日本アルコンは、白内障および網膜硝子体手術を1台でこなす“UNITY VCS”の発売に際し、都内でメディアセミナーを開催した。白内障は加齢により起こる水晶体が混濁する疾患だが、高齢化社会のわが国では患者数、手術数ともに増加している。今回発売される本機は、従来は別々のプラットフォームに搭載した手術装置で行われていた白内障および網膜硝子体手術が1台のプラットフォームに集約され、処置室の省スペース化を実現する。  セミナーでは、白内障などの疾患概要と手術の講演のほか、本機の機能紹介などが行われた。本機は秋以降に発売が開始される。

僧帽弁クリップ術やアブレーションによる心房中隔欠損が問題に、その対策とは/日本心臓病学会

 第73回日本心臓病学会学術集会が9月19~21日に高知にて開催された。シンポジウム「循環器内科が考える塞栓症予防-左心耳閉鎖、PFO閉鎖、抗凝固療法-」において、赤木 禎治氏(心臓病センター榊原病院 循環器内科)が、「医原性心房中隔欠損の現状と治療」と題し、心血管インターベンション治療の普及に伴い増加傾向にある心房中隔裂開の対策や課題などについて報告した。  経カテーテル僧帽弁形成、左心耳閉鎖やアブレーションなどの心血管インターベンション治療中に心房中隔を損傷し、中隔が裂けて発生する心房中隔欠損(ASD)を医原性心房中隔欠損(iASD)と呼ぶ。カテーテル操作に起因する中隔裂開として発生するが、術者の技量に関係なく一定の頻度で発生し、一部の患者では急激な血行動態の破綻を招くという。

日本人アルコール関連肝疾患に対するナルメフェンの影響

 完全な禁酒は、アルコール関連肝疾患(ALD)マネジメントにおいて重要である。しかし、多くの患者が禁酒の達成または維持に難渋しており、ハームリダクション戦略、とくにアルコール摂取量を減らすための薬理学的介入への関心が高まっている。オピオイド受容体モジュレーターであるナルメフェンは、アルコール依存症患者の飲酒量減少に対する有効性を示している薬剤であるが、ALDにおける肝パラメーターへの影響については、実臨床において、これまで十分に検討されていなかった。奈良県立医科大学の花谷 純一氏らは、ALD患者に対するナルメフェンの有効性および安全性、飲酒量、肝機能、肝予備能の変化に焦点を当て、評価を行った。Hepatology Research誌オンライン版2025年8月16日号の報告。

帯状疱疹ワクチンは心血管イベントリスクを低下させる?

 帯状疱疹ワクチンは、痛みを伴う皮膚感染症を予防するだけでなく、心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントのリスクも低下させる可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。帯状疱疹ワクチンのシングリックスを製造販売するグラクソ・スミスクライン(GSK)社のワクチン担当グローバル・メディカル・アフェアーズ・アソシエイト・メディカル・ディレクターのCharles Williams氏らによるこの研究結果は、欧州心臓病学会年次総会(ESC Congress 2025、8月29日~9月1日、スペイン・マドリード)で発表された。

進行がん患者の望む治療と実際の治療との間のずれが明らかに

 進行がん患者の中には、残された日々をできるだけ快適に過ごしたいと望む人は少なくない。しかし、医師はその願いに十分に耳を傾けていないことが、新たな研究で示唆された。そのような望みを持つ進行がん患者の多くが、痛みを和らげることよりも延命を重視した治療を受けていることが明らかになったという。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の腫瘍内科医であるManan Shah氏らによるこの研究の詳細は、「Cancer」に8月25日掲載された。Shah氏は、「患者が望む治療と患者が実際に受けていると思っている治療との間にずれがあるのは大きな問題だ」とUCLAのニュースリリースの中で述べている。

ヘパリン起因性血小板減少症、病原性抗体の特性を評価/NEJM

 ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)は、ヘパリン治療に対する免疫介在性の反応で、血小板第4因子(PF4)とヘパリンの複合体を標的とする抗体によって引き起こされ、血小板数の減少と血栓症リスクの上昇を特徴とする。カナダ・McMaster UniversityのJared Treverton氏らは、最も多くみられる抗PF4抗体疾患であるHITが、クローン性の限定された抗PF4-ヘパリン抗体によって引き起こされるかどうかを、カナダ国内の患者9例を対象に調査し、全員の病原性抗体がモノクローナルであったことを報告した。HITはポリクローナル免疫応答として特徴付けられてきたが、他のまれな抗PF4疾患の研究で、クローン性の限定された抗体が同定されていた。著者は、「今回の知見は、HITの発症機序への洞察を与えるものであり、診断や標的治療の向上に影響をもたらすものである」と述べている。NEJM誌2025年9月4日号掲載の報告。

脳卒中リスクを有する高齢者、遠隔AFスクリーニングは有効か/JAMA

 英国・オックスフォード大学のRohan Wijesurendra氏らは、脳卒中リスクが中等度~高度の高齢患者について、郵送送受信によりパッチ型の長時間携帯型心電図(ECG)を用いて14日間モニタリングする心房細動(AF)スクリーニングの長期有効性を検討し、通常ケアと比較して、2.5年時点のAF診断率の上昇にわずかだが結び付いたことを示した。JAMA誌オンライン版2025年8月29日号掲載の報告。  研究グループは、2019年5月2日~2022年2月28日に、英国のプライマリケア診療所27ヵ所から被験者を集めて並行群間非盲検遠隔無作為化試験「AMALFI試験」を実施した。適格対象は、参加プライマリケア診療所で電子的に記録された健康記録(EHR)によって特定した、CHA2DS2VAScスコアが男性は3以上、女性は4以上で、AFまたは心房粗動(AFL)既往のない65歳以上の高齢者であった。

多様化する社会における精神医療(解説:岡村毅氏)

 移民に対する風当たりが強い。事実としては、移民は増え続けている。交通機関が発達し、情報量が増えているのだから、当然だろう。  米国では外国生まれの人が占める割合が9.2%(1990年)から15.2%(2024年)に増えている。英国は6.4%から17.1%に、スペインは2.1%から18.5%に、サウジアラビアでは労働者はほぼ外国生まれなので42.1%から40.3%と高止まりしている。一方で日本は0.9%から2.8%、中国は0%から0.1%、韓国は0%から3.5%である。  世界的には、アフリカや南米から欧州や北米に大きな流れがあるようだ。一方で東アジアは、端っこにあるためか、文化的・制度的障壁が高いためか、いいとか悪いとかは別にして移民はきわめて少ない。たとえば移民ではなく金づる(?)であるはずの「観光客」が増えたことで、これほどネガティブな話題になる日本はおそらく移民障壁は高いのだろう。

統合失調症の不安症状に対するブレクスピプラゾールの短期・長期試験の統合解析

 不安症状は、統合失調症患者やその介護者が効果的な治療を望む主な症状の1つである。カナダ・Hotchkiss Brain InstituteのZahinoor Ismail氏らは、成人統合失調症患者の不安症状に対するブレクスピプラゾールの有効性、安全性、忍容性を明らかにし、不安症状、生活機能、患者の生活への関与との関係を調査するため、5つの臨床試験の統合解析を実施した。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2025年9月11日号の報告。

ビタミンAはがんリスクを上げる?下げる?

 ビタミンA摂取とがんリスクの関連について、メタ解析では食事性ビタミンA摂取量が多いほど乳がんや卵巣がんの罹患率が低いと報告された一方、臨床試験ではビタミンAが肺がんや前立腺がんの死亡リスクを高めることが報告され、一貫していない。今回、病院ベースの症例対照研究の結果、食事性ビタミンA摂取量とがんリスクにU字型の関係がみられたことを、国際医療福祉大学の池田 俊也氏らが報告した。Nutrients誌2025年8月25日号に掲載。

唾液に果汁ジュースによる虫歯を防ぐ効果

 虫歯になるのが心配で、果汁ジュースを子どもに与えないようにしている親がいる。しかし、唾液の驚くべき特性のおかげで、ジュースが子どもの口腔内の健康に与える悪影響は長くは続かないことが、新たな研究で示唆された。唾液は、歯の表面に滑らかな膜を作ることで歯や歯茎を細菌から守り、歯のエナメル質の初期の損傷の修復を助ける。研究からは、リンゴジュースを飲むと、一時的にこの保護作用が阻害されるものの、その影響は10分以内に消失し始めることが明らかになったという。英ポーツマス大学歯学・健康ケア学部のMahdi Mutahar氏らによるこの研究結果は、「PLOS One」に9月3日掲載された。

RSウイルスワクチンの1回接種は高齢者を2シーズン連続で守る

 米国では、60歳以上の人に対するRSウイルス感染症を予防するワクチン(RSウイルスワクチン)が2023年より接種可能となった。米疾病対策センター(CDC)は、75歳以上の全ての人と、RSウイルス感染症の重症化リスクがある60〜74歳の人は1回接種を推奨している。このほど新たな研究で、高齢者はRSウイルスワクチンの1回接種により2シーズン連続でRSウイルス関連の入院を予防できる可能性のあることが示された。米ヴァンダービルト大学医療センターのWesley Self氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に8月30日掲載された。

デジタルピアサポート型禁煙プログラム、紙巻と加熱式で成功率に差

 紙巻たばこと加熱式たばこ(heated tobacco products: HTP)、どちらが禁煙に成功しやすいか?日本の職場で実施されたデジタルピアサポート型禁煙プログラムにおいて、HTP使用者は紙巻たばこ喫煙者より高い禁煙成功率を示すことが明らかになった。小グループでのサポートとスマートフォンアプリを組み合わせた介入が効果を後押ししたと考えられる。研究は北里大学大学院医療系研究科の吉原翔太氏らによるもので、詳細は「Journal of Medical Internet Research(JMIR)」に8月5日掲載された。  日本ではニコチン依存症者向けの外来禁煙プログラムが提供され、2020年からはHTP使用者も保険適用となった。このプログラムはニコチン代替療法と医師による面接や遠隔診療を組み合わせるが、完遂率は低い。一方、スマートフォンアプリなどのデジタル療法は禁煙支援に有効で、個別型アプリではHTP使用者が紙巻たばこ喫煙者より高い成功率を示すとの報告がある。さらにメタ解析では、仲間を取り入れたグループ型介入が禁煙成功率を高めることが示されている。しかし、ピアサポートを取り入れたグループ型アプリに関する研究は乏しく、タバコ製品の種類による効果差は明らかになっていない。このような背景から、著者らはニコチン代替療法とデジタルピアサポートアプリを組み合わせたグループ型禁煙プログラムに参加した現喫煙者を、使用しているたばこの種類別で分類し、禁煙成功率を比較する前向き研究を実施した。

高齢者への高用量インフルワクチン、肺炎などの入院減少せず/NEJM

 インフルエンザの不活化ワクチンでは、標準用量と比較して高用量で優れた感染予防効果が示されているが、重症のアウトカムに対する高用量ワクチンの有効性に関する無作為化試験のデータは十分でないという。デンマーク・コペンハーゲン大学病院のNiklas Dyrby Johansen氏らの研究チームは、高齢者におけるインフルエンザ感染の重症アウトカム(入院)に対する高用量ワクチンの有効性の評価を目的に、実践的なレジストリに基づく非盲検無作為化対照比較試験「DANFLU-2試験」を実施。高齢者への高用量インフルエンザ不活化ワクチン投与は、標準用量と比較してインフルエンザまたは肺炎による入院率を低下させなかったことを報告した。なお、「副次エンドポイントについては決定的な結論は導き出せないものの、高用量ワクチンは、インフルエンザによる入院および心肺系疾患による入院の予防において有益性を示す可能性がある」としている。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2025年8月30日号で発表された。

心室性不整脈予防のための最適なカリウム戦略は?/NEJM

 心血管疾患患者では、低カリウム血症により心室性不整脈のリスクが増加するが、血漿カリウム値が正常下限域であっても同様のリスクの増加が知られている。デンマーク・コペンハーゲン大学のChristian Jons氏らPOTCAST Study Groupは、血漿カリウム値が正常下限域で、心室性不整脈のリスクが高い心血管疾患患者において、カリウム値を正常上限域まで積極的に上昇させる戦略の有効性の評価を目的に、非盲検イベント主導型無作為化優越性試験「POTCAST試験」を実施。植込み型除細動器(ICD)を装着した心室性不整脈のリスクが高い心血管疾患患者において、標準治療単独に薬物療法と食事指導を加えたことによって血漿カリウム値が上昇したことにより、標準治療単独と比べてICD適切作動、不整脈または心不全による予定外の入院、全死因死亡の複合のリスクが有意に低下したことを報告した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2025年8月29日号で発表された。

デュルバルマブの非小細胞肺がんおよび膀胱がん周術期療法、国内承認/AZ

 アストラゼネカは、2025年9月19日、デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)について、「非小細胞肺癌における術前・術後補助療法」および「膀胱癌における術前・術後補助療法」を効能又は効果として厚生労働省より承認を取得したと発表。  非小細胞肺がん(NSCLC)の承認は第III相AEGEAN試験の結果に基づくもの。AEGEAN試験は、切除可能なStage IIAからIIIB(AJCC第8版)NSCLCに対する(AJCC第8版)非小細胞肺がん(NSCLC)に対する周術期治療としてのデュルバルマブをPD-L1発現の有無を問わずに評価する第III相無作為化二重盲検プラセボ対照国際多施設共同試験。

PTSDの精神薬理学アルゴリズムの最新情報

 米国・サウスフロリダ大学のLaura A. Bajor氏らは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の精神薬理学アルゴリズムの最新情報をレビューした。Psychiatry and Clinical Psychopharmacology誌2025年8月11日号の報告。  主な内容は以下のとおり。 ・ハーバード大学サウスショア・プログラムにおけるPTSDアルゴリズムの精神薬理学アルゴリズム・プロジェクト2022年の最終発表以降、新たなエビデンスが主要な治療推奨事項を裏付けている。 ・プラゾシンは、悪夢や覚醒障害を含むPTSD関連の睡眠障害に対する第1選択薬であり、アルコール使用障害や頭痛を併発している患者にも有効である可能性がある。 ・PTSDによる不眠症の治療後、日中の症状が顕著に残存する場合には、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI:セルトラリンまたはパロキセチン)が推奨される。SSRI治療抵抗性の精神病症状が認められる場合には、抗精神病薬(まずアリピプラゾール)の併用を検討する。

低用量ピルを使用している日本人女性、孤独感や鎮痛薬使用過多と関連

 孤独感は月経困難症や薬剤の使用と関連している。また、孤独感と疼痛は関連しており、鎮痛薬の使用に影響を及ぼす可能性がある。慶應義塾大学の藤本 卓磨氏らは、低用量エストロゲン・プロゲスチン(LEP)製剤を使用している日本人女性における鎮痛薬の併用および使用過多の状況を調査し、孤独感や鎮痛薬の使用過多に関連する因子を明らかにするため本研究を実施した。BMC Women's Health誌2025年9月2日号の報告。  調査会社(マクロミル)のWebパネルより20〜30代の日本人女性をランダムに抽出し、LEP製剤使用者をスクリーニングした。本調査には、1ヵ月当たりの鎮痛薬併用日数と3項目の孤独感尺度(TIL)を含めた。TILの高スコア(6点以上)および1ヵ月当たり10日以上の鎮痛薬使用を目的変数として、ロジスティック回帰分析を行った。

IgA腎症薬の蛋白尿およびeGFRスロープへの影響~メタ解析

 IgA腎症に対する非免疫療法、コルチコステロイド、B細胞調節薬、補体阻害薬の4つの薬剤クラスの治療効果を比較検討したシステマティックレビューおよびメタ解析の結果、いずれも腎アウトカムの改善を示したものの、蛋白尿およびeGFRスロープ(eGFRの年間変化率)に対する効果は薬剤クラスによって異なることが、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のDana Kim氏らによって明らかになった。Clinical Journal of the American Society of Nephrology誌オンライン版2025年9月10日号掲載の報告。

前頭側頭型認知症患者はてんかん有病率が高い

 これまでの研究で、てんかんと前頭側頭型認知症(FTD)との関連性が示唆されてきているが、体系的なデータの裏付けは少ない。東フィンランド大学のAnnemari Kilpelainen氏らは、FTD患者のてんかん有病率を、健常対照者(HC)やアルツハイマー病(AD)患者と比較する症例対照研究を実施。結果が「JAMA Neurology」に6月2日掲載された。  この研究では、フィンランドの認知症専門医療機関2施設の外来FTD患者と、年齢、性別、地理的条件をマッチングさせたHC群、およびAD患者群のてんかんの有病率、抗てんかん発作薬(ASM)の処方受取率が4時点で比較された。各群の該当者数と年齢(FTD群とAD群は疾患診断時年齢)、女性の割合は以下のとおり。FTD群245人(65.2±8.7歳、49.4%)、HC群2,416人(65.0±8.5歳、49.3%)、AD群1,326人(71.7±9.8歳、58.6%)。