脳卒中リスクを有する高齢者、遠隔AFスクリーニングは有効か/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2025/09/25

 

 英国・オックスフォード大学のRohan Wijesurendra氏らは、脳卒中リスクが中等度~高度の高齢患者について、郵送送受信によりパッチ型の長時間携帯型心電図(ECG)を用いて14日間モニタリングする心房細動(AF)スクリーニングの長期有効性を検討し、通常ケアと比較して、2.5年時点のAF診断率の上昇にわずかだが結び付いたことを示した。JAMA誌オンライン版2025年8月29日号掲載の報告。

脳卒中リスクが中等度~高度の高齢患者、郵送パッチモニタリングの有効性を評価

 研究グループは、2019年5月2日~2022年2月28日に、英国のプライマリケア診療所27ヵ所から被験者を集めて並行群間非盲検遠隔無作為化試験「AMALFI試験」を実施した。適格対象は、参加プライマリケア診療所で電子的に記録された健康記録(EHR)によって特定した、CHA2DS2VAScスコアが男性は3以上、女性は4以上で、AFまたは心房粗動(AFL)既往のない65歳以上の高齢者であった。

 被験者は、郵送でECGパッチを受送信してモニタリングを受ける(介入)群、または通常ケアを受ける(対照)群に無作為に割り付けられ追跡調査を受けた。

 主要アウトカムは、無作為化後2.5年以内にプライマリケア記録にAFが記録された被験者の割合(ITT解析による)。探索的アウトカムには、経口抗凝固薬の投与および脳卒中などが含まれた。最終フォローアップは2024年8月29日で、2025年5月~7月に統計学的解析が行われた。

AF検出率4.2%、半数超で負荷10%未満

 計2万2,044例が試験に招待され、そのうち5,040例(22.9%)が無作為化された(介入群2,520例、対照群2,520例)。

 被験者の平均年齢は78(SD 6)歳、女性が47%、CHA2DS2VAScスコア中央値は4(四分位範囲[IQR]:3~5)であった。

 介入群において、計2,126例(84.4%)がパッチを装着し返送した。この集団における解析可能なパッチ型ECGモニタリング期間中央値は14(IQR:13~14)日間であった。

 介入群では、パッチ型ECGモニタリングにより89例(4.2%)のAFが検出された。このうち49例(55%)はAF負荷が10%未満であった。

 2.5年後の評価で、無作為化後にAFが記録されていたのは、介入群172例(6.8%)、対照群136例(5.4%)であった(割合比:1.26、95%信頼区間[CI]:1.02~1.57、p=0.03)。事前規定のサブグループにおいても結果は一貫していた。

 無作為化後2.5年間に経口抗凝固薬の投与を受けた平均期間は、介入群1.63ヵ月(95%CI:1.50~1.76)、対照群1.14ヵ月(1.01~1.26)であった(群間差:0.50ヵ月、95%CI:0.24~0.75、p<0.001)。脳卒中は、介入群69例(2.7%)、対照群64例(2.5%)で報告された(率比:1.08、95%CI:0.76~1.53)。

 著者は、「本検討で、遠隔AFスクリーニングは実施可能であることが示された。AFの診断および抗凝固薬の使用がわずかに増加したこと、郵送パッチ型ECGモニタリングで検出されたAFの半数超で負荷が10%未満であったことなどの知見を統合すると、本試験の設定におけるAFスクリーニングは、2.5年時点での脳卒中発生に対する影響は限定的である可能性が示唆される」とまとめている。

(ケアネット)