PTSDの精神薬理学アルゴリズムの最新情報

提供元:ケアネット

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公開日:2025/09/24

 

 米国・サウスフロリダ大学のLaura A. Bajor氏らは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の精神薬理学アルゴリズムの最新情報をレビューした。Psychiatry and Clinical Psychopharmacology誌2025年8月11日号の報告。

 主な内容は以下のとおり。

・ハーバード大学サウスショア・プログラムにおけるPTSDアルゴリズムの精神薬理学アルゴリズム・プロジェクト2022年の最終発表以降、新たなエビデンスが主要な治療推奨事項を裏付けている。
・プラゾシンは、悪夢や覚醒障害を含むPTSD関連の睡眠障害に対する第1選択薬であり、アルコール使用障害や頭痛を併発している患者にも有効である可能性がある。
・PTSDによる不眠症の治療後、日中の症状が顕著に残存する場合には、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI:セルトラリンまたはパロキセチン)が推奨される。SSRI治療抵抗性の精神病症状が認められる場合には、抗精神病薬(まずアリピプラゾール)の併用を検討する。
・それでも効果が不十分な場合には、SSRIまたは選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)の併用を検討可能であるが、過覚醒症状には効果が不十分である。また、残存する日中の症状には、プラゾシンを試してみる価値がある。
・本アップデートでは、経頭蓋磁気刺激法、直流電流刺激法、星状神経節ブロック、pimavanserinなどの新たな治療法も評価されているが、現時点ではこれらの治療法をコアアルゴリズムに含める根拠は乏しいと結論付けられた。

 著者らは「本アップデートは、PTSDの薬理学的マネジメントに対する最新のデータに基づいたアプローチを臨床医に提供している」としている。

(鷹野 敦夫)