不安症状は、統合失調症患者やその介護者が効果的な治療を望む主な症状の1つである。カナダ・Hotchkiss Brain InstituteのZahinoor Ismail氏らは、成人統合失調症患者の不安症状に対するブレクスピプラゾールの有効性、安全性、忍容性を明らかにし、不安症状、生活機能、患者の生活への関与との関係を調査するため、5つの臨床試験の統合解析を実施した。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2025年9月11日号の報告。
統合失調症の成人入院患者を対象として実施された次の5つの臨床試験のデータを統合した。ブレクスピプラゾール2~4mg/日投与群およびプラセボ投与群を比較した6週間のランダム化二重盲検試験3件、ブレクスピプラゾール1~4mg/日投与群について検討した52週間の非盲検継続試験2件。不安症を合併した患者は登録されなかった。本事後解析では、不安症状は陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の単一項目(G2)で測定、機能は個人的・社会的機能遂行度尺度(PSP)で測定、患者の生活へのエンゲージメントはPANSSの14項目のサブセットで測定した。ベースラインからの最小二乗平均の変化は、反復測定混合モデルを用いて算出した。不安反応の定義には、次の2つを用いた。定義1は、ベースラインから6週目までのPANSS G2スコアが1ポイント以上改善すること(臨床的に解釈可能なスコア変化)、定義2は、ベースラインで不安があったサブグループ(G2スコアが3以上)において、6週目におけるPANSS G2スコアが3ポイント未満であること(不安症状が最小限または消失まで減少すること)とした。多重比較の補正を行わない探索的仮説生成解析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・ベースライン時の不安(G2スコア3以上)は、ブレクスピプラゾール群では868例中763例(87.9%)、プラセボ群では517例中449例(86.8%)に認められた。
・6週目におけるG2スコアのベースラインからの最小二乗平均値の変化は、ブレクスピプラゾール群がプラセボ群よりも優れていた(平均差:-0.19、95%信頼区間:-0.33~-0.06、p=0.005、Cohen's dエフェクトサイズ:0.19)。
・ブレクスピプラゾールおよびプラセボに対する不安反応は、定義1ではそれぞれ863例中547例(63.4%)および515例中291例(56.5%)(p=0.012)、定義2ではそれぞれ541例中283例(52.3%)および303例中135例(44.6%)(p=0.036)で認められた。
・不安の改善の有無にかかわらず、生活機能および患者生活への関与は改善した。
・長期データにおいて治療効果の維持が示された。
・有害事象は、これまでの解析結果と一致していた。
著者らは「探索的解析の結果、ブレクスピプラゾールは、統合失調症患者にとって重要なアウトカムである不安症状、生活機能、患者生活への関与のマネジメントに役立つ可能性が示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)