低用量ピルを使用している日本人女性、孤独感や鎮痛薬使用過多と関連

提供元:ケアネット

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公開日:2025/09/24

 

 孤独感は月経困難症や薬剤の使用と関連している。また、孤独感と疼痛は関連しており、鎮痛薬の使用に影響を及ぼす可能性がある。慶應義塾大学の藤本 卓磨氏らは、低用量エストロゲン・プロゲスチン(LEP)製剤を使用している日本人女性における鎮痛薬の併用および使用過多の状況を調査し、孤独感や鎮痛薬の使用過多に関連する因子を明らかにするため本研究を実施した。BMC Women's Health誌2025年9月2日号の報告。

 調査会社(マクロミル)のWebパネルより20〜30代の日本人女性をランダムに抽出し、LEP製剤使用者をスクリーニングした。本調査には、1ヵ月当たりの鎮痛薬併用日数と3項目の孤独感尺度(TIL)を含めた。TILの高スコア(6点以上)および1ヵ月当たり10日以上の鎮痛薬使用を目的変数として、ロジスティック回帰分析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・LEP製剤使用者から得た有効回答516件を分析した。
・回答者のうち、1ヵ月当たりの鎮痛薬併用日数が1日以上と報告した割合は64.1%、10日以上と報告した割合は11.2%であり、TILの高スコアの割合は45.7%であった。
・TILの高スコアは、1ヵ月当たり1日以上の鎮痛薬併用と有意な関連が認められた(オッズ比[OR]:1.76、95%信頼区間[CI]:1.18〜2.63、p=0.006)。
・1ヵ月当たり10日以上の鎮痛薬併用は、子宮内膜症(OR:5.25、95%CI:2.15〜12.81、p<0.001)および腰痛に対する鎮痛薬併用(OR:4.67、95%CI:1.65〜13.18、p=0.04)と有意な関連が認められた。

 著者らは「われわれの知る限り、本研究は、LEP製剤使用者における鎮痛薬の併用および使用過多について詳細に調査した初めての研究である」としたうえで、「本研究の対象集団では孤独感が広くみられ、このことが鎮痛薬の併用と関連し、頻用または常用の根底にあるパターンを反映している可能性がある。さらに、鎮痛薬の使用過多は子宮内膜症や腰痛といった病態に関連しており、孤独感と月経随伴症状の自己記録の両方を考慮した服薬モニタリングの重要性が強調される」と述べ、これらを踏まえ「鎮痛薬の使用過多や孤独感の心理社会的背景に対して医療従事者がさらに注意を払うことで、より有意義な患者との対話が促進され、QOLの向上につながる可能性がある」とまとめている。

(鷹野 敦夫)