日本語でわかる最新の海外医学論文|page:467

禁煙とうつ病~メタ解析

 禁煙は健康、とくにメンタルヘルスに好影響を及ぼす可能性がある。イラン・Baqiyatallah University of Medical SciencesのSohrab Amiri氏は、禁煙者におけるうつ病有病率を明らかにするため、検討を行った。Journal of Addictive Diseases誌オンライン版2020年10月21日号の報告。  PRISMAガイドラインを用いて、メタ解析を実施した。2020年7月までに英語で報告された研究を、PubMed、Scopusより検索した。うつ病の有病率に関連する結果を算出し、プールした。

クロピドグレルは奇跡の薬(解説:後藤信哉氏)-1316

近年でこそ分子標的薬は珍しくない。クロピドグレルは薬効標的不明のまま広く臨床使用された薬剤である。冠動脈、脳血管、末梢血管疾患の広い適応を目指したCAPRIE試験の成功により世界の抗血小板薬の市場を席巻した。チカグレロルは、プラスグレルと同様クロピドグレルの薬効標的P2Y12 ADP受容体クローニングに開発された。とくに、チカグレロルはP2Y12 ADP受容体の分子標的薬ともいえる。急性冠症候群を対象としたPLATO試験では、急性期治療方針決定前にランダム化する画期的方法を用いた。約10%の症例が緊急冠動脈バイパス術となり、重篤な出血イベントの総数が増えた。チカグレロルにより惹起される出血数は希釈されたので、試験の結果を雑駁にみると「クロピドグレルよりも血栓イベントが減少し、出血イベントが増えない」ようにみえた。

Moderna社の新型コロナワクチン、有効率94.5%を示す/第III相試験中間解析

 Moderna社は、COVID-19に対するワクチン候補であるmRNA-1273の第III相試験(COVE試験)の最初の中間分析において、ワクチンの有効率が94.5%と統計学的な有意差を示したことを11月16日に発表した。今後数週間以内に米国食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)を申請する予定という。  第III相COVE試験は、米国で18歳以上の参加者を対象に、用量100μgで28日間隔・2回投与でmRNA-1273の有効性を評価する無作為化1:1プラセボ対照試験。10月22日に3万人の登録を完了した。参加者には7千人以上の高齢者(65歳以上)、5千人以上の慢性疾患(糖尿病、重度の肥満、心臓病など)を有する患者が含まれる。

HPVワクチン、国は積極的勧奨を早急に再開すべき/日本癌治療学会

 7月に9価HPVワクチンが国内承認され、10月に4価HPVワクチンの有効性を確認した論文がNEJM誌に掲載されるなど、今年に入ってHPVワクチンに関連する動きが出ている。10月に開催された第58回日本癌治療学会学術集会では、こうした動向を踏まえ、会長企画シンポジウム「HPV関連癌の疫学からみる予防戦略」が開催された。  この中で、大阪労災病院の田中 佑典氏は「HPV感染から見る子宮頸癌の現在の問題点と予防対策」と題し、国内のHPVワクチン接種に関するこれまでの経緯を振り返り、今後の予防戦略をどう行っていくべきかをテーマに講演を行った。

PALB2病的変異を有する遺伝性乳がん、日本での臨床的特徴は/日本癌治療学会

 PALB2はBRCA2と相互作用するDNA修復に関連する分子で、PALB2遺伝子変異は乳がん、卵巣がんのリスクを増加させ、すい臓がんとの関連も指摘される。PALB2生殖細胞系列病的遺伝子変異(pathogenic or likely-pathogenic germline variant: PGV)を有する女性の70歳までの乳がんリスクは約35~50%、生涯の乳がんリスクは約5~8倍とされるが1)、その臨床的特徴に関する知見は限られる。樋上 明音氏(京都大学乳腺外科)らは、日本人乳がん患者約2千例を調査し、PALB2 PGV症例の頻度と臨床的特徴について、第58回日本癌治療学会学術集会(10月22~24日)で報告した。

双極性障害の自殺リスクと関連因子

 双極性障害(BD)の重要な特徴の1つとして、非精神医学的合併症や自殺による過剰な死亡リスクとの関連が挙げられる。米国・ハーバード大学医学大学院のLeonardo Tondo氏らは、BDにおける自殺の状況をレビューし、自殺リスクを予防できる可能性を検討した。Bipolar Disorders誌オンライン版2020年10月9日号の報告。  BDにおける自殺に関連する最近の研究報告についてセミシステマティックレビューを実施した。  主な結果は以下のとおり。

術後管理への管理図使用、有害事象を有意に削減/BMJ

 手術後モニタリングにおいて、手術チームへの規則的な指標のフィードバックを伴う管理図(control chart)の使用は、主要有害事象と死亡を統計学的に有意に減少することが、フランス・クロード・ベルナール・リヨン第1大学のAntoine Duclos氏らSHEWHART Trial Groupによるクラスター無作為化試験の結果、示された。著者は、「示された結果は、管理図のルーチン使用が術後主要有害事象の予防に役立つことを支持するものである」と述べている。アウトカムをモニタリングするための管理図は、製品やサービスの質の改善ツールとして、産業界では50年以上にわたり広く使用されている。医療においても幅広い適用が示唆されているが、管理図を用いたアウトカムのモニタリングが、入院患者の有害事象発生を低下するのか、全国規模での具体的なエビデンスは乏しかったという。BMJ誌2020年11月4日号掲載の報告。

ニボルマブ・イピリムマブ併用NSCLC1次治療、日本人の結果(CheckMate-227)/日本肺癌学会

 第61回日本肺癌学会学術集会においてがん研有明病院の西尾 誠人氏が非小細胞肺がん(NCSLC)1次治療CheckMate-227試験Part1の3年フォローアップデータから、ニボルマブ・イピリムマブ併用の日本人サブセットの分析結果を発表した。 ・対象:未治療のPD-L1発現1%以上(Part1a)および1%未満(Part1b)のStageIVまたは再発NSCLCの初回治療患者(PS 0~1、組織型問わず) ・試験群:ニボルマブ+イピリムマブ群      ニボルマブ単剤群(TPS1%以上)      ニボルマブ+化学療法群(TPS1%未満) ・対照群:化学療法(組織型により選択)単独群 ・評価項目:

内視鏡検査・治療法の選択肢広がる―『大腸ポリープ診療ガイドライン2020』

 日本人のがん死亡数を部位別にみると、大腸がんは女性で1位、男性で3位となっている(男女合わせると第2位)。 早期発見・早期の適切な治療により完治を目指せるが、欧米諸国と比較すると検診受診率が大幅に低く、死亡数は増加が続いている。今年6月に6年ぶりに改訂された日本消化器病学会編『大腸ポリープ診療ガイドライン2020』(改訂第2版)では、新たなスクリーニング手法として大腸カプセル内視鏡検査、内視鏡治療法としてcold snare polypectomy(CSP)が加わり、検査・治療における選択肢が広がっている。ガイドライン作成委員長を務めた田中 信治氏(広島大学病院内視鏡診療科 教授)に、大腸ポリープ診療ガイドライン2020の改訂のポイントについてインタビューを行った(zoomによるリモート取材)。  今回の大腸ポリープ診療ガイドライン2020の改訂ではCQ(clinical question)として推奨文を明記するのは「診療において複数の選択肢がある」18項目に絞り、すでに結論が明らかなものはBQ(background question)として整理された(57項目)。また、エビデンスが存在せず、今後の研究課題であるものとして3項目のFRQ(future research question)が設定されている。

統合失調症の日本人高齢者に対するブレクスピプラゾールの長期有効性、安全性

 東京女子医科大学の稲田 健氏らは、統合失調症の日本人高齢者に対するブレクスピプラゾールの長期的な有効性、安全性、忍容性を評価するため、検討を行った。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2020年10月6日号の報告。  4週間の切り替え期間と52週間の非盲検期間の2つのフェーズで構成された56週間にわたるブレクスピプラゾール長期試験の事後分析を行った。陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコアの平均変化量、治療反応率、治療中に発現した有害事象(TEAE)の数と発生率、その他の安全性パラメータの分析には、年齢層ベース(65歳以上の高齢者と65歳未満の非高齢者)の記述統計学を用いた。

高齢者の転倒・骨折予防、スクリーニング+介入は有効か/NEJM

 高齢者の転倒による骨折の予防において、郵送での情報提供に加え、転倒リスクのスクリーニングで対象を高リスク集団に限定した運動介入または多因子介入を行うアプローチは、郵送による情報提供のみと比較して骨折を減少させないことが、英国・エクセター大学のSarah E. Lamb氏らが行った無作為化試験「Prevention of Fall Injury Trial」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2020年11月5日号で報告された。高齢者における転倒の発生は、地域スクリーニングとその結果を考慮した予防戦略によって抑制される可能性があるが、英国ではこれらの対策が骨折の発生、医療資源の活用、健康関連QOLに及ぼす効果は知られていないという。

高血圧や2型DM合併の肥満、オンラインプログラム+PHMが有効/JAMA

 高血圧または2型糖尿病を有する過体重/肥満の患者では、プライマリケア施設による集団健康管理(population health management:PHM)とオンライン体重管理プログラムを組み合わせたアプローチは、オンラインプログラム単独および通常治療単独と比較して、12ヵ月後の減量効果が、差は小さいものの統計学的に有意に優れることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のHeather J. Baer氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年11月3日号で報告された。わずかな体重減少(たとえば3~5%)であっても、重要な健康上の利益をもたらす可能性があることから、米国の診療ガイドラインでは、肥満および過体重の患者の生活様式への介入や助言が推奨されているが、プライマリケア医は時間の制約や研修、医療システムが原因で、患者と体重に関する話し合いをしないことが多いという。また、オンラインプログラムはプライマリケアにおいて効果的で、費用対効果が優れる可能性が示されているが、日常診療での有効性や拡張性は不明とされる。

医療従事者の新型コロナ感染に対応の補償制度スタート/日本医師会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に限定した医療従事者対象の労災補償上乗せ保険として、新たな補償制度が創設された。11月9日から募集がスタートしている。COVID-19対応医療機関でなくてもすべての医療機関が加入可能で、より少ない負担で医療従事者に対する補償を行うことができる仕組みとなっている。11月11日の日本医師会定例記者会見で、今村 聡副会長が活用を呼びかけた。  治療の最前線で働く医療従事者が、万一感染した場合であっても一定の収入が補償されることが重要であるとして、COVID-19患者に対応した医療従事者が感染し休業した場合の支援制度への補助を日本医師会では国に対して要望してきた。今回創設された本制度では日本医師会他医療団体からの寄付金、国の補助金が充当される。今村氏は、「感染拡大が顕著になる中、医療従事者が万一罹患した場合の収入面の不安を少しでも解消し、安心して医療に従事するためのサポートとして、より多くの医療機関に加入していただきたい」と話した。

認知症予防に対するサウナの効果

 サウナのような温熱環境の繰り返しの利用は、認知症発症を予防するうえで、有益である可能性が示唆されている。しかし、疫学的エビデンスはあまり多くない。フィンランド国立保健福祉研究所のPaul Knekt氏らは、サウナによる温熱環境(サウナの利用頻度、セッション回数、滞在時間、温度)とその後の認知症発症リスクとの関連を調査するため、プロスペクティブコホート研究を実施した。Preventive Medicine Reports誌2020年10月2日号の報告。  対象は、Finnish Mobile Clinic Follow-up Surveyにおける認知症でない30~69歳の男女1万3,994例。フォローアップ期間39年の間に、1,805例が認知症と診断された。サウナの利用状況は、アンケートにより収集した。Coxモデルに基づく分析には、サウナ利用変数と潜在的な交絡因子を含めた。

低リスク前立腺がん、監視療法の転帰に人種は影響するか/JAMA

 監視療法を受けた低リスク前立腺がん患者について、アフリカ系米国人は非ヒスパニック系白人と比較して、病勢進行および根治的治療の10年累積発生率が統計学的に有意に増加したが、転移または前立腺がん特異的死亡率は増加しなかった。米国・VHA San Diego Health Care SystemのRishi Deka氏らが、後ろ向きコホート研究(追跡調査期間中央値7.6年)で明らかにした。これまでの研究で、低リスク前立腺がんのアフリカ系米国人は、非ヒスパニック系白人に比べ進行性の疾患が隠れている可能性が懸念されるとして、監視療法が安全な選択肢であるかは不明であった。JAMA誌2020年11月3日号掲載の報告。

ホルモン補充療法の乳がんリスク、治療法と期間で異なる/BMJ

 英国・ノッティンガム大学のYana Vinogradova氏らの同国コホート内症例対照研究で、ホルモン補充療法(HRT)の乳がんリスクのレベルは、HRTの種類により異なり、併用療法および長期投与で高いことが示された。ただし、メタ解析と比較し、長期のHRTに関連した乳がんのリスク増加は小さく、治療の中止でリスクは顕著に低下することも示されている。先行研究では、長期的なHRTは乳がんのリスク増加と関連しており、治療中止後はリスク増加が減るものの数年間はリスクが高いままであることが、また最近の大規模メタ解析ではHRTに関連した乳がんリスクが予想よりも高いことが示されていた。BMJ誌2020年10月28日号掲載の報告。

双極性障害の向精神薬多剤併用に影響を及ぼす因子~MUSUBI研究の分析

 北海道・足立医院の足立 直人氏らは、医師が双極性障害に用いる治療薬を選択する際に影響を及ぼす因子を明らかにするため、日本における全国調査のデータを用いて検討を行った。Human Psychopharmacology誌オンライン版2020年10月22日号の報告。  精神科クリニック176施設より、双極性障害外来患者3,130例の臨床データを、連続的に収集した。患者の一般的特性5項目(性別、年齢、教育、職業、社会的適応)、患者の精神疾患特性5項目(発症年齢、併存する精神疾患、ラピッドサイクラー、精神病理学的重症度、フォローアップ期間)、医師特性5項目(性別、年齢、専門医経験年数、開業年数、開業場所)の合計15項目について評価を行った。薬物療法の指標として、向精神薬(気分安定薬、抗うつ薬、抗精神病薬、抗不安薬、催眠鎮静薬)の数を用いた。各クリニックから収集したデータを分析した。

未治療CLLへのベネトクラクス+オビヌツズマブ、PFS延長を維持/Lancet Oncol

 ベネトクラクス+オビヌツズマブ療法の長期有効性の知見が報告された。同療法はCLL14試験において、未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対する固定期間治療のレジメンとして確立されたが、ドイツ・ケルン大学のOthman Al-Sawaf氏らは、同試験における治療中止後の有効性をchlorambucil+オビヌツズマブ療法と比較した。その結果、治療中止から2年後においても、ベネトクラクス+オビヌツズマブは、chlorambucil+オビヌツズマブと比較し無増悪生存期間(PFS)の有意な改善を維持していることが示された。著者は「この結果は、ベネトクラクス+オビヌツズマブを固定期間治療の選択肢として支持するものだ」とまとめている。Lancet Oncology誌2020年9月号掲載の報告。  CLL14試験は、21ヵ国196施設で実施された多施設共同無作為化非盲検第III相試験。研究グループは、18歳以上で併存疾患(累積疾患評価尺度[CIRS]の総スコアが6超またはクレアチニンクリアランスが30~69mL/分)を有する未治療CLL患者を、ベネトクラクス+オビヌツズマブ群とchlorambucil+オビヌツズマブ群に、1対1に無作為に割り付けた。

医療従事者とその家族のCOVID-19入院リスク/BMJ

 スコットランドにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者のうち、6分の1は医療従事者とその家族であることが、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のAnoop S V Shah氏らによる国内コホート研究で明らかにされた。また、全体としては入院絶対リスクは低いが、患者との対面サービスを担う(対面職)医療従事者の入院リスクが非対面職医療従事者と比べて3倍、その家族についても2倍高かったという。医療従事者のCOVID-19感染リスクの研究は行われているが、規模が小さく、単一施設をベースとした断面調査で、バイアスの影響を非常に受けやすい手法によるもの、また医師と看護師に限定されたものであり、医療従事者の家族についても評価した研究は不足していたという。BMJ誌2020年10月28日号掲載の報告。

医師への謝礼金額がICD/CRT-Dデバイスの選択に大いに影響/JAMA

 植込み型除細動器(ICD)や両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)の初回埋め込み手術の94%が、デバイスメーカーから謝礼金を受けている医師によって行われており、さらに、採用されているのはメーカーから執刀医への謝礼金額が最も高いものである可能性が明らかになったという。米国・Yale-New Haven HospitalのAmarnath R. Annapureddy氏らが、3年間で14万5,900例の患者を対象に行った横断調査の結果を報告した。米国では議会法によって2010年に、医薬品等のメーカーから医師への謝礼金については透明性を確保するため報告開示が義務付けられ(Physician Payments Sunshine Act)、ホームページ「The Facts About Open Payments Data」で詳細情報を入手することができるようになっている。これまでの研究で、医師への謝礼がジェネリック医薬品よりも先発医薬品を処方する可能性を高めることが報告されていたが、デバイスを巡っての研究は行われていなかった。JAMA誌2020年11月3日号掲載の報告。