日本語でわかる最新の海外医学論文|page:465

米国で血圧コントロールが悪化した理由:われわれは何を学ぶべきか?(解説:有馬久富氏)-1321

米国で継続的に行われている国民健康栄養調査の成績から、1999/2000年から2017/18年までにおける血圧コントロール状況の経時変化を検討した論文がJAMAに掲載された。血圧コントロール良好(血圧140/90mmHg未満)な高血圧者の年齢調整割合は、1999/2000年の32%から2013/14年の54%まで上昇傾向にあったが、2015/16年から減少傾向に転じ、2017/18年には44%まで低下した。論文では、2015/16年から血圧コントロールが悪化した原因として、2014年に米国の高血圧ガイドライン(JNC8)が改訂された際に、降圧目標が引き上げられたことを挙げている。また、2015年にSPRINT試験の成績が発表され、2017年に米国のACC/AHAガイドラインが降圧目標を引き下げたことから、2019年以降の血圧コントロール状況は改善するであろうとも予測している。

新型コロナ流行時、新生児集中治療が減少/日本の大規模診療データ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行時、わが国の新生児集中治療の入室日数および早産の件数が減少傾向にあったことがわかった。国立成育医療研究センターの前田 裕斗氏らの共同研究チームが、メディカル・データ・ビジョンの保有する大規模診療データベースを用いて分析した結果を報告した。Archives of disease in childhood-Fetal and neonatal edition誌オンライン版2020年11月23日号に掲載された。  当初、COVID-19流行により妊婦の心身ストレスが増加し、周産期疾病や新生児集中治療の件数が増えると懸念されていた。しかし、海外ではむしろ極低出生体重児(出生体重 1,500g未満)が減少しているとの報告もあり、日本でも同様の結果を示すかどうか、全国186のDPC病院を対象に分析した。

ほとんどの医療機関が上限額の補助対象、厚労省支援金の活用を/日本医師会

 厚生労働省の「医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業」については、補助の対象となる経費が感染防止対策に関係するものに限定されるのではないかとの疑義があった。しかし感染防止対策の取り組みを行う医療機関であれば、同省が公表している例示に加え、日常診療業務に必要な幅広い費用が対象となりうることが、明確となった。11月25日の日本医師会定例記者会見で発表された。  「医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業」1)は、新型コロナウイルス感染症の院内等での感染拡大を防ぐための取り組み(下記に例示)を行う医療機関(病院、診療所、薬局、訪問看護ステーション、助産所)を対象として、感染拡大防止対策や診療体制確保などに要する費用を補助する。

統合失調症患者に対する筋力トレーニングの効果

 統合失調症スペクトラム障害患者は、下肢の骨格筋力(最大筋力[1RM]、急な動き)が損なわれており、機能的パフォーマンスが低下しているといわれている。ノルウェー科学技術大学のMona Nygard氏らは、統合失調症スペクトラム障害患者に対する12週間の最大筋力トレーニング(MST)の効果について検討を行った。Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports誌オンライン版2020年10月28日号の報告。

睡眠の質に栄養バランスは関係あるか?

 日本人の成人男性において、不眠症の症状が栄養不足に関連していることが、お茶の水女子大学の松浦 希実氏らの研究によって明らかとなった。Sleep Health誌2020年4月号の報告。  睡眠と食事は健康維持のために欠かせないライフスタイル要因である。睡眠の質が特定の栄養素と食物摂取に関連していることは過去の研究で示唆されているが、栄養の適切性と睡眠の質との関係についてはわかっていない。そこで、日本人成人の睡眠の質(不眠症の症状)と適切な栄養素摂取量の関係について調査した。

COVID-19へのヒドロキシクロロキン投与、効果を認めず/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による呼吸器症状を伴う入院患者において、ヒドロキシクロロキンを用いた治療はプラセボと比較して、14日時点の臨床状態を有意に改善しなかった。米国・ヴァンダービルト大学医療センターのWesley H. Self氏らが、米国内34病院で行った多施設共同プラセボ対照無作為化盲検試験の結果を報告した。ヒドロキシクロロキンはCOVID-19治療に効果的なのか、そのデータが求められている中で示された今回の結果について著者は、「COVID-19入院成人患者の治療について、ヒドロキシクロロキンの使用を支持しないものであった」とまとめている。JAMA誌2020年11月9日号掲載の報告。

英国ガイドラインにおける年齢・人種別の降圧薬選択は適切か/BMJ

 非糖尿病高血圧症患者の降圧治療第1選択薬について、英国の臨床ガイドラインでは、カルシウム拮抗薬(CCB)は55歳以上の患者と黒人(アフリカ系、アフリカ-カリブ系など)に、アンジオテンシン変換酵素阻害薬/アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ACEI/ARB)は55歳未満の非黒人に推奨されている。しかし、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のSarah-Jo Sinnott氏らによる同国プライマリケア患者を対象としたコホート試験の結果、非黒人患者におけるCCBの新規使用者とACEI/ARBの新規使用者における降圧の程度は、55歳未満群と55歳以上群で同等であることが示された。また、黒人患者については、CCB投与群の降圧効果がACEI/ARB投与群と比べて数値的には大きかったが、信頼区間(CI)値は両群間で重複していたことも示された。著者は、「今回の結果は、最近の英国の臨床ガイドラインに基づき選択した第1選択薬では、大幅な血圧低下には結び付かないことを示唆するものであった」とまとめている。BMJ誌2020年11月18日号掲載の報告。

血圧高めの低リスク青壮年者に降圧治療が必要か?(解説:有馬久富氏)-1320

18~45歳の青壮年者においても、血圧上昇が脳心血管病をわずかに増大させるとする観察研究のメタ解析の結果がBMJ誌に報告された。論文の中では古い血圧分類が用いられているが、120/80mmHg未満に対して、120~129/80~84mmHgにおいて1.19倍、130~139/85~89mmHgにおいて1.35倍、140~159/90~99mmHgのI度高血圧において1.92倍、160/100mmHg以上のII~III度高血圧において3.15倍脳心血管病のリスクが上昇していた。しかし、絶対リスクが低いため、1例の脳心血管病を予防するために降圧治療しなくてはならない人数(number needed to treat:NNT)の推定値は、120~129/80~84mmHgにおいて2,672人、130~139/85~89mmHgにおいて1,450人、I度高血圧において552人、II~III度高血圧において236人と、高リスク者を治療する場合に比べて非常に大きかった。つまり、低リスク者において1例の脳心血管病を予防するために必要な医療費(薬剤費)は、高リスク者のそれよりも非常に高額になる(つまり費用対効果が悪い)ことがわかる。

プラスグレル治療におけるde-escalation?(解説:上田恭敬氏)-1319

韓国の35病院において、PCIを施行したACS患者2,338例を対象として、1ヵ月間の標準療法(プラスグレル10mgとアスピリン100mg)後に、標準療法を続ける群とde-escalation群(プラスグレル5mgとアスピリン100mg)に無作為に割り付けを行い、1年間の予後を比較した試験の結果が報告された。主要エンドポイントは全死亡、心筋梗塞、ステント血栓症、再血行再建術、脳卒中、BARC grade2以上の出血イベントの複合エンドポイントである。75歳以上、体重60kg未満、あるいは一過性脳虚血発作・脳卒中の既往がある人は除外されている。

nabパクリタキセルは既治療のNSCLCの標準治療となるか、ドセタキセルとの比較(J-AXEL)/日本肺癌学会

 九州大学・米嶋 泰忠氏が、既治療の非小細胞肺がん(NSCLC)におけるドセタキセル単剤に対するnabパクリタキセルの効果と安全性を検証したJ-AXEL試験の結果を第61回日本肺癌学会学術集会にて発表した。J-AXEL試験はわが国の8つの臨床試験グループが参加した無作為比較第III相である。 対象:既治療(2レジメン以内)の進行NSCLC患者 試験群:nabパクリタキセル(n-PTX) 対照群:ドセタキセル(DTX) 評価項目: [主要評価項目]全生存期間(OS)非劣性検証 [副次評価項目]無造悪生存期間(PFS)、全奏効割合(ORR)、安全性、QOLなど

日本におけるCOVID-19発生時の医療従事者のメンタルヘルス

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、世界中に蔓延している。日本赤十字社医療センターの粟野 暢康氏らは、COVID-19パンデミック中の日本における医療従事者の不安症、うつ病、レジリエンス、その他の精神症状について評価を行った。Internal Medicine誌2020年号の報告。  2020年4月22日~5月15日に日本赤十字社医療センターの医療従事者を対象に調査を実施した。不安症、うつ病、レジリエンスの評価には、それぞれ日本語版の不安尺度GAD-7、うつ病自己評価尺度CES-D、レジリエンス測定尺度CD-RISC-10を用いた。さらに、以下の3要素化からなる独自のアンケートを追加した。(1)感染に対する不安や恐れ(2)隔離および不当な扱い(3)職場でのモチベーションと逃避行動

COVID-19の血栓症発生率、他のウイルス性肺炎の3倍

 血栓症は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の際立った特徴だが、COVID-19以外のウイルス性呼吸器疾患による血栓症の発生率は不明である。今回、米国・ニューヨーク大学のNathaniel R. Smilowitz氏らが、米国でCOVID-19以外の急性ウイルス性呼吸器疾患で入院した患者における血栓症の発生率を調べた結果、2020年にニューヨークにおいてCOVID-19で入院した3,334例での血栓症発生率より有意に低かった。American Heart Journal誌オンライン版2020年11月9日号に掲載。  本調査の対象は、2002~14年にCOVID-19以外のウイルス性呼吸器疾患で入院した18歳以上の成人で、主要アウトカムは、ICD-9による心筋梗塞(MI)、急性虚血性脳卒中、静脈血栓塞栓症(VTE)などの静脈および動脈血栓イベントの複合とした。

70歳以上、ビタミンD・ω3・運動による疾患予防効果なし/JAMA

 併存疾患のない70歳以上の高齢者において、ビタミンD3、オメガ3脂肪酸、または筋力トレーニングの運動プログラムによる介入は、拡張期または収縮期血圧、非脊椎骨折、身体能力、感染症罹患率や認知機能の改善について、統計学的な有意差をもたらさなかったことが、スイス・チューリッヒ大学のHeike A. Bischoff-Ferrari氏らが行った無作為化試験「DO-HEALTH試験」の結果で示された。ビタミンD、オメガ3および運動の疾患予防効果は明らかになっていなかったが、著者は「今回の結果は、これら3つの介入が臨床アウトカムに効果的ではないことを支持するものである」とまとめている。JAMA誌2020年11月10日号掲載の報告。

機械学習モデルは統計モデルよりも優れるか/BMJ

 機械学習および統計モデルについて、同一患者の臨床的リスクの予測能を調べた結果、モデルのパフォーマンスは同等だが、予測リスクはさまざまに異なることが、英国・マンチェスター大学のYan Li氏らによる検討で示された。ロジスティックモデルと一般的に用いられる機械学習モデルは、中途打ち切りを考慮しない長期リスクの予測には適用すべきではなく、QRISK3のような生存時間分析モデルが、中途打ち切りを考慮し説明も可能であり望ましいことが示されたという。結果を踏まえて著者は、「モデル内およびモデル間の一貫性のレベルを評価することを、臨床意思決定に使用する前にルーチンとすべきであろう」と指摘している。QRISKやフラミンガムといった心血管疾患のリスク予測モデルは、臨床で幅広く使われるようになっている。これらの予測にはさまざまな技術が用いられるようにもなっており、最近の研究では、機械学習モデルがQRISKのようなモデルよりも優れているといわれるようになっていた。BMJ誌2020年11月4日号掲載の報告。

永遠の命題PCI vs.CABG、SYNTAXスコアII 2020開発は、本当に進化か?(解説:中川義久氏)-1318

冠血行再建におけるPCI vs.CABGは永遠の命題なのであろう。次々と情報が提供される。その度に、霧が晴れるようにスッキリしていくのではなく、出口のない迷宮をさまよう気持ちになる。PCI vs.CABGの比較において、最も重要で代表的な臨床試験が2005年から2007年に施行されたSYNTAX試験である。3枝疾患または左主幹部病変を有する患者を、PCIかCABGに無作為に割り付けて比較したものである。このSYNTAX試験の登録患者を10年後まで追跡するSYNTAX Extended Survival(SYNTAXES)試験から、長期予後の予測モデルである「SYNTAXスコアII 2020」が開発されたことが、2020年10月8日付のLancet誌に報告された。執筆者は、当該施設に留学していた日本人であり、その努力と貢献はうれしく、賞賛に値する。

AZ社の新型コロナワクチン有効率最大90%、貯蔵はより容易か/第II/III相試験中間解析

 アストラゼネカ社は、COVID-19に対するウイルスベクターワクチンAZD1222の第II/III相および第III相試験の中間分析の結果、最大90%の有効率が示されたことを11月23日に発表した。2つの異なる投与レジメンで有効性が示され、平均70%の有効率が示されている。条件付きまたは早期承認のためのデータを世界各国の規制当局に提出し、承認取得次第、2021年に最大30億回分のワクチンを製造できるよう準備を進めているという。  AZD1222は、SARS-CoV-2ウイルススパイクタンパク質の遺伝物質を含む、複製欠損および弱毒化されたチンパンジー由来の風邪アデノウイルスを用いて作製される。ワクチン接種後スパイクタンパク質が生成され、感染した場合に免疫系を刺激し、SARS-CoV-2ウイルスを攻撃する。

乾癬患者における、COVID-19の重症化因子は?

 COVID-19への決定的な対策はいまだ見いだされていないが、入院・重症化リスクを捉えることで死亡を抑え込もうという世界的な努力が続いている。本稿では、乾癬患者のCOVID-19に関する国際レジストリ「PsoProtect」へ寄せられた25ヵ国からの臨床報告に基づき、英国・Guy's and St Thomas' NHS Foundation TrustのSatveer K. Mahil氏らが乾癬患者の入院・重症化リスクを解析。「高齢」「男性」「非白人種」「併存疾患」がリスク因子であることを明らかにした。また、乾癬患者は複数の疾患負荷と全身性の免疫抑制薬の使用によってCOVID-19の有害アウトカムのリスクが高まる可能性があるとされているが、これまでデータは限定的であった。今回、著者らは「生物学的製剤の使用者は、非使用者と比べて入院リスクが低かった」とも報告している。Journal of Allergy and Clinical Immunology誌オンライン版2020年10月16日号掲載の報告。

双極性障害と統合失調症の診断予測因子

 初回エピソード精神病(FEP)コホートにおける双極性障害と統合失調症の診断予測に役立つ可能性のあるベースライン特性と臨床的特徴を特定するため、スペイン・バルセロナ大学のEstela Salagre氏らが、検討を行った。The Journal of Clinical Psychiatry誌2020年11月3日号の報告。  本研究は、2009年4月~2012年4月に募集したFEP患者355例のコホートを評価したプロスペクティブ自然主義的研究である。12ヵ月のフォローアップ期間にDSM-IV診断で最終的に双極性障害および統合失調症と診断された患者のベースライン特性を比較した。フォローアップ時の双極性障害診断の予測因子を評価するため、バイナリロジスティック回帰モデルを用いた。

孤独を感じる人のCOVID-19に対する予防行動とは?

 孤独感がCOVID-19予防行動の低下に関連しているという報告が、早稲田大学のAndrew Stickley氏らの研究によって明らかとなった。Journal of Public Health誌オンライン版2020年9月3日号の報告。  孤独感と健康行動の悪化との関連性について数多くの報告があるが、孤独感とCOVID-19予防行動の関連性についてはほとんど研究されていない。  孤独感とCOVID-19予防行動の関連性について、2020年4月と5月に2,000人の日本人を対象にオンライン調査を実施した。孤独感は3項目の孤独尺度にて評価し、孤独感と予防行動の関連性については二変量線形回帰分析を、孤独感と予防行動13件(外出後/食事前に手を洗う、マスクを着用する、うがい、咳やくしゃみ時にティッシュを使用する、物に触れた後に顔に触ることを避ける、触れるものを頻繁に消毒する、外出/旅行をキャンセルする、予定していたイベントをキャンセルする、人込みを避けて自宅にいる、集会やパーティーへの参加を控える、病気の人/高齢者への接触を避ける、風邪の場合に家族以外への接触を避ける、2メートル以上の距離を保つ)それぞれとの関連性についてはロジスティック回帰分析を実施した。

75歳以上への脂質低下療法、心血管イベントの抑制に有効/Lancet

 系統的レビューとメタ解析には、スタチン/強化スタチンによる1次/2次治療に関するCholesterol Treatment Trialists' Collaboration(CTTC)のメタ解析(24試験)と、5つの単独の試験(Treat Stroke to Target試験[スタチンによる2次予防]、IMPROVE-IT試験[エゼチミブ+シンバスタチンによる2次予防]、EWTOPIA 75試験[エゼチミブによる1次予防、日本の試験]、FOURIER試験[スタチンを基礎治療とするエボロクマブによる2次予防]、ODYSSEY OUTCOMES試験[スタチンを基礎治療とするアリロクマブによる2次予防])の6つの論文のデータが含まれた。