統合失調症の日本人高齢者に対するブレクスピプラゾールの長期有効性、安全性

提供元:ケアネット

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公開日:2020/11/17

 

 東京女子医科大学の稲田 健氏らは、統合失調症の日本人高齢者に対するブレクスピプラゾールの長期的な有効性、安全性、忍容性を評価するため、検討を行った。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2020年10月6日号の報告。

 4週間の切り替え期間と52週間の非盲検期間の2つのフェーズで構成された56週間にわたるブレクスピプラゾール長期試験の事後分析を行った。陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコアの平均変化量、治療反応率、治療中に発現した有害事象(TEAE)の数と発生率、その他の安全性パラメータの分析には、年齢層ベース(65歳以上の高齢者と65歳未満の非高齢者)の記述統計学を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・208例中33例が高齢者であった。
・高齢者の治療継続率は54.5%であり、56週目のブレクスピプラゾールの1日投与量および治療期間は、非高齢者と同様であった。
・ベースラインから56週目までのPANSS合計スコアの平均変化量は、高齢者で-13.8であり、非盲検期間を通じて改善効果は維持された。
・非高齢者のPANSS合計スコアの平均変化量は-9.0であり、高齢者と同等であった。
・TEAEの発生率は、高齢者で97.0%、非高齢者で82.3%であった。
・高齢者におけるTEAEの重症度は、ほとんどが軽度(75.8%)または中等度(18.2%)であり、治療中止に関連するTEAEの発生率は、非高齢者(13.1%)よりも高齢者(9.1%)のほうが低かった。
・高齢者における主な有害事象は、鼻咽頭炎(30.3%)、統合失調症症状の悪化(27.3%)であった。
・安全性プロファイルは、高齢者と非高齢者で類似していた。

 著者らは「ブレクスピプラゾールは、日本人高齢者の統合失調症治療に対し安全かつ効果的であることが示唆された」としている。

(鷹野 敦夫)