日本語でわかる最新の海外医学論文|page:455

BRCA1/2変異女性の乳がんリスク、60歳以降は?

 BRCA1もしくはBRCA2変異キャリアの60~80歳の乳がんリスクについて、カナダ・Toronto-Sunnybrook Regional Cancer CenterのNeda Stjepanovic氏らの遺伝性乳がん臨床研究グループが大規模前向き研究を実施した結果、どちらの変異キャリアにおいても60歳以降も乳がん発症リスクは高いままであることが示された。Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2021年1月10日号に掲載。  本研究の被験者は、60歳時にがん既往歴がなく両側とも乳房の手術をしていない女性699人。乳がんの診断、予防的な両側乳房切除術、もしくは死亡するまで追跡し、60~80歳における乳がん(浸潤性およびin situ)の年発生率と累積発生率を計算した。また、ホルモン補充療法、乳がん家族歴、両側卵巣摘出術と乳がんリスクとの関連を評価した。

新型コロナ、再入院しやすい患者の特徴は?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の初発感染で入退院した患者のうち、9%が退院後2ヵ月以内に同じ病院に再入院していたことが明らかになった。また、複数の病院で患者の1.6%が再入院していた。再入院の危険因子には、65歳以上、特定の慢性疾患の既往、COVID-19による初回入院以前の3ヵ月以内の入院、高度看護施設(SNF:skilled nursing facility)への退院または在宅医療への切り替えが含まれていた。米国疾病予防管理センター(CDC)のMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)11月13日号での報告。  CDC研究班は、Premier Healthcare Database の電子健康記録と管理データを使用し、退院、再入院のパターン、およびCOVID-19による初回入退院後の再入院に関連する人口統計学的および臨床的特徴を評価した。

食習慣と若年性認知症発症リスク~イタリアでの調査

 若年性認知症のリスクは、環境要因や食生活を含むライフスタイルによって変化する可能性がある。イタリア・モデナ・レッジョ・エミリア大学のTommaso Filippini氏らは、食生活と若年性認知症リスクとの関連を調査した。Nutrients誌2020年11月29日号の報告。  イタリア北部のモデナの新規若年性認知症患者54例および対照群として介護者54人を対象とした。食事の頻度に関する質問票により食生活を調査し、食物摂取と食事パターンのアドヒアランスについて評価を行った。食事の要因とリスクとの関係をモデル化するため、制限3次スプライン回帰分析を用いた。

肺がん放射線、左前下行枝照射量と心臓有害事象の関係/JAMA Oncol

 放射線療法が冠動脈疾患(CHD)のリスクを高めることは知られているが、胸部への照射が避けられない肺がんではどうすべきか。米国・ダナ・ファーバーがん研究所およびブリガム&ウィメンズ病院のKatelyn M. Atkins氏らは、最適な心臓線量の制限がCHDの既往の有無で異なる可能性があることを明らかにした。著者は、「心臓リスクの層別化と積極的なリスク軽減戦略を改善するために、今回示された制限についてさらなる研究が必要である」とまとめている。JAMA Oncology誌オンライン版2020年12月17日号掲載の報告。

母の子宮頸がん細胞が子に移行、国立がん研究センターが発表/NEJM

 国立がん研究センター中央病院の荒川 歩氏らは、小児の肺がん2例について、腫瘍組織と正常組織のペアサンプルを用いたルーチン次世代シークエンスで偶然にも、肺がん発症は子宮頸がんの母子移行が原因であることを特定したと発表した。移行したがん細胞の存在は同種の免疫応答によって示され、1例目(生後23ヵ月・男児)では病変の自然退縮が、2例目(6歳・男児)では腫瘍の成長速度が遅いことがみられたという。また、1例目は、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブを投与することで、残存するがん細胞の消失に結び付いたことも報告された。腫瘍組織と正常組織のペアサンプルを用いたルーチン次世代シークエンスは、わが国の進行がん患者を対象とした前向き遺伝子プロファイリング試験「TOP-GEAR」の一環として行われた解析で、114のがん関連遺伝子の変異を検出することを目的とする。1例目の患児に対するニボルマブ(3mg/kg体重を2週ごと)投与は、再発または難治固形がんを有する日本人患児を対象としたニボルマブの第I相試験で行われたものであった。症例の詳細は、NEJM誌2021年1月7日号で報告されている。

Moderna社mRNAワクチン、3万例超で94.1%の有効性/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する、Modernaのワクチン「mRNA-1273」の有効性(重症化を含む発症の予防効果)は94.1%に上ることが、3万例超を対象にした第III相無作為化プラセボ対照試験で明らかになった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のLindsey R. Baden氏らが報告した。安全性に対する懸念は、一過性の局所および全身性の反応以外に認められなかったという。mRNA-1273ワクチンは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の膜融合前安定化スパイクタンパク質をコードする脂質ナノ粒子カプセル化mRNAベースのワクチンで、2020年12月に米国では緊急使用の承認が発表されている。NEJM誌オンライン版2020年12月30日号掲載の報告。

炎症性サイトカインとβ細胞機能(解説:住谷哲氏)-1342

1型糖尿病は膵島関連自己抗体が陽性の1A型と陰性の1B型に大別される。1A型は抗体陽性であるが正常耐糖能であるstage 1、耐糖能異常はあるが糖尿病を発症していないstage 2、そして糖尿病を発症してインスリン投与が必要となるstage 3へ進行するとされている1)。自己抗体が陽性であることから発症に何らかの自己免疫異常が関与していることは間違いないと考えられ、これまでに多くの介入試験が実施されてきたが、現在でもその発症予防は確立されていない。

片頭痛や激しい頭痛の有病率~米国での調査

 片頭痛や激しい頭痛による負荷に関して最新かつ正確に推定することは、働く人のニーズや健康資源を考える際のエビデンスに基づく意思決定において重要となる。米国・ハーバード大学医学大学院のRebecca Burch氏らは、米国政府の健康調査データを用いて、片頭痛や激しい頭痛の有病率、傾向および年齢、性別、経済状態による影響について調査を行った。Headache誌オンライン版2020年12月21日号の報告。  公開されている最新の統計情報をNational Hospital Ambulatory Medical Care Survey、National Ambulatory Medical Care Survey、National Health Interview Surveyより特定した。

統合失調症の自殺死亡率とその方法

 統合失調症患者の主な死因の1つは、自殺である。台湾・国立政治大学のChun-Hung Pan氏らは、統合失調症患者の自殺方法別の発生率を一般集団と比較するため、コホート研究を実施した。Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology誌オンライン版2020年11月27日号の報告。  対象は、2001~16年の台湾健康保険研究データベースより抽出した統合失調症患者17万4,039例。フォローアップ期間中に死亡した患者数は2万6,926例、その内自殺により死亡した患者は3,033例であった。

人工呼吸器未装着COVID-19入院患者、トシリズマブで重症化を抑制/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)肺炎入院患者(人工呼吸器は未装着)において、トシリズマブは人工呼吸器装着または死亡の複合アウトカムへの進行を減らす可能性が示されたが、生存率は改善しなかった。また、新たな安全性シグナルは確認されなかった。米国・マウントサイナイ医科大学のCarlos Salama氏らが389例を対象に行った無作為化試験の結果で、NEJM誌2021年1月7日号で発表された。COVID-19肺炎ではしばしば強い炎症状態が認められる。COVID-19の発生率には、十分な医療サービスが受けられない人種および民族のマイノリティ集団における不均衡がみられるが、これらの集団のCOVID-19肺炎入院患者について、IL-6受容体モノクローナル抗体トシリズマブの安全性と有効性は確認されていなかった。

COVID-19外来患者、中和抗体カクテルでウイルス量低減/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の中和抗体カクテル「REGN-COV2」は、ウイルス量を低減する効果があることが示された。免疫反応が起きる前の患者、あるいはベースラインのウイルス量が高い患者でより大きな効果が認められ、安全性アウトカムは、REGN-COV2投与群とプラセボ投与群で類似していたという。米国・Regeneron PharmaceuticalsのDavid M. Weinreich氏らが、COVID-19外来患者を対象とした進行中の第I~III相臨床試験の中間解析の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2020年12月17日号掲載の報告。

「ω-3多価不飽和脂肪酸、ビタミンD、筋力トレーニング運動による治療は効かない」ってほんと?(解説:島田俊夫氏)-1341

ω-3多価不飽和脂肪酸の中でもEPA、DHAが、心脳血管障害、がんの予防に効果があるか否かについては、議論の多いところである。しかしながら、ちまたではこれらのサプリメントへの嗜好が強くなっている。さらにビタミンDに関しても実臨床の中で、すでに骨粗鬆症の治療にあまねく使用されている。また、筋力トレーニングの運動プログラムは健康改善に寄与するとの考えが生活の中に定着している。

双極性障害と摂食障害との関連~メタ解析

 双極性障害と摂食障害との相互関係については、データが不十分なため、よくわかっていない。イタリア・フェデリコ2世ナポリ大学のMichele Fornaro氏らは、双極性障害患者の摂食障害有病率および摂食障害患者の双極性障害有病率を調査し、相互関係を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年11月13日号の報告。  2020年4月20日までに公表された双極性障害と摂食障害との関連を検討した研究を、MEDLINE、PsycINFOデータベースよりシステマティックに検索した。

SGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommendationを改訂/日本糖尿病学会

 日本糖尿病学会(理事長:植木 浩二郎)は、2014年に策定された「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」を改訂し、2020年12月25日に第6版を公表した。  2017年9月以降より発売されているSGLT2阻害薬とDPP-4阻害薬の配合薬の留意点、成人1型糖尿病患者におけるインスリン製剤との併用療法でのケトアシドーシスのリスクや注意点についてなどについて記載されている。学会では、これらの情報がさらに広く共有されることで、副作用や有害事象が可能な限り防止され、適正使用が推進されるように注意を促している。

成人発症のがんサバイバー、2次原発がんの発症・死亡リスク高/JAMA

 米国の成人発症がんの生存者は一般集団と比較して、いくつかの種類の原発がんで、2次原発がん(SPC)の発症およびSPCによる死亡のリスクが高く、喫煙または肥満に関連する一部のSPCは、がん生存者全体におけるSPC罹患およびSPCによる死亡に占める割合が高いことが、米国がん協会(ACS)のHyuna Sung氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年12月22・29日号に掲載された。新たながんを発症するがん生存者の数は増加すると予測されている。一方、成人発症がんの生存者におけるSPCのリスクに関して、包括的なデータは十分でないという。

COVID-19入院患者への中和抗体、レムデシビルへの上乗せ効果示せず/NEJM

 レムデシビルの投与を受けている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者において、中和モノクローナル抗体LY-CoV555(bamlanivimab)の単回投与はプラセボと比較して、5日目までの有効性に差はないことが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のJens D. Lundgren氏らが実施した「ACTIV-3/TICO LY-CoV555試験」で明らかとなった。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2020年12月22日号に掲載された。抗ウイルス薬レムデシビルは、COVID-19入院患者の回復までの期間を短縮することが示されているが、有効な追加治療が早急に求められている。また、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対する受動免疫を活用して、感染に対する液性免疫応答を増強することは、COVID-19患者の臨床評価における優先事項とされる。LY-CoV555は、COVID-19外来患者においてウイルス負荷および入院・救急診療部受診の頻度を低減することが知られている。

FIDELIO-DKD試験-非ステロイド系選択的鉱質コルチコイド受容体拮抗薬finerenoneに、心腎保護効果あり!(解説:石上友章氏)-1340

慢性腎臓病(CKD)診療の究極のゴールは、腎保護と心血管保護の、両立にある。腎機能低下・透析を回避して、長生きできる治療法が、待ち望まれている。高血圧、糖尿病は、CKDのリスクであり、降圧薬、血糖降下薬には、高血圧・糖尿病を修正・軽快することで、間接的にCKDないしDKDの進展抑制が可能である。しかし、降圧薬であるACE阻害薬・ARBの確たる『降圧を超えた臓器保護作用』については、議論の余地があった。レニン・アンジオテンシン(RA)系は、重要な創薬標的であり、これまでさまざまな薬剤が上市されてきた。RA系の最終産物であるアンジオテンシンIIは、腎内作用と、腎外作用があり、副腎を刺激してアルドステロンの分泌を促進することは、主要な腎外作用である。アルドステロンは、11βHSD2存在下でコルチゾールが不活化することで、核内にある鉱質コルチコイド受容体(MR)と結合し、アルドステロン誘導性タンパク質(AIP:aldosterone inducible protein)の遺伝子発現を通して、アルドステロン作用を発揮する。

院外心肺停止・治療抵抗性心室細動へECMOを適応することで救命率・社会復帰率が顕著に改善される(解説:今井靖氏)-1339

今回はLancet誌に報告された興味深い論文を紹介するとともに、この領域の現状と課題について論じたい。院外心肺停止・心室細動の患者において、半数以上の患者は初期ACLS(advanced cardiac life support)に不応性である。今回米国で、院外心肺停止・治療抵抗性心室細動に対してextracorporeal membrane oxygenation(ECMO)を用いた心肺蘇生と標準的ACLSとをランダム化比較する研究が実施された。ミネソタメディカルセンターにおいて、第II相単施設オープン試験として18~75歳の心肺停止・心室細動を対象としている。3回のAEDによる電気的除細動が無効、Lund University Cardiac Arrest System(LUCAS)という機械的心肺蘇生装置を使用、30分以内の移送時間という状況において、患者を、スクラッチカードを用いてランダムに上述の2群に割り付けている。主要エンドポイントは生存退院、副次的エンドポイントは安全、生存、退院後3および6ヵ月目での機能的評価とした。すべての解析はITT解析となっている。2019年8月8日~2020年6月14日の間、36例(平均59歳[36~73歳]、83%男性)の患者が登録された。6例を除外し、30例を半数ずつACLS群とECMO群とに割り付けた(1例は途中で脱落)。結果であるが、生存退院はACLS群では15例中1例(7%、95%信頼区間:1.6~30.2)、ECMO群では14例中6例(43%、95%信頼区間:21.3~67.7)であった。本研究は米国国立心肺血液研究所(National Heart, Lung, and Blood Institute)によって、予定されていた初回中間解析で明らかな有意差がついたと判断され中止となった。30例の登録の段階ですでにECMO群の優位性が示されたためであるが、6ヵ月後についてもECMO群で優れていた。

体験ルポ・新型コロナワクチン接種(2)新たなワクチンに臨むために必要なこと

 国内では、連日のように過去最多の感染者数が確認されている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。行動を変え、消毒を徹底するなどの地道な自助努力が、現時点ではわれわれにできる唯一の感染防止策であり、ワクチン接種の開始が待ち望まれるところである。  感染者数世界最多の米国では、世界に先駆け2020年12月14日からワクチン接種が実施されている。本稿は、米国・ワシントンDCの病院に勤務する日本人医師の安川 康 介氏がケアネットに寄せたワクチン接種の体験ルポ第2弾である。安川氏は、2020年12月16日に1回目のワクチン接種を経験し、今回は、2回目となる1月5日の接種の際に経験した体調変化や周りの接種者の反応、日本が新たなワクチンに臨むために必要なことについてレポートしている。

うつ病患者のBMIと治療結果との関連

 うつ病患者では、抗うつ薬の治療反応が悪いと、BMIが高まる可能性がある。しかし、治療反応に対する低体重の影響はよくわかっていない。また、治療反応を予測するためにBMI測定を実施すべきかについても研究されていなかった。中国・首都医科大学のLe Xiao氏らは、うつ病患者のBMIと治療結果との関連について検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年11月12日号の報告。  抗うつ薬(パロキセチン、ミルタザピン、パロキセチン+ミルタザピン)の治療結果を報告した臨床試験の成人うつ病患者202例のデータを事後分析した。