片頭痛や激しい頭痛の有病率~米国での調査

片頭痛や激しい頭痛による負荷に関して最新かつ正確に推定することは、働く人のニーズや健康資源を考える際のエビデンスに基づく意思決定において重要となる。米国・ハーバード大学医学大学院のRebecca Burch氏らは、米国政府の健康調査データを用いて、片頭痛や激しい頭痛の有病率、傾向および年齢、性別、経済状態による影響について調査を行った。Headache誌オンライン版2020年12月21日号の報告。
公開されている最新の統計情報をNational Hospital Ambulatory Medical Care Survey、National Ambulatory Medical Care Survey、National Health Interview Surveyより特定した。性別、年齢、経済状況の統計データに重点を置き、各研究より関連情報を抽出した。
主な結果は以下のとおり。
・米国における片頭痛や激しい頭痛の年齢調整有病率は、何年にもわたり安定していた。
・2018年の成人における片頭痛や激しい頭痛の年齢調整有病率は、15.9%であった。
・性別比も安定しており、男性で10.7%、女性で21.0%であった。
・片頭痛は公衆衛生上の重要な問題であり、2016年には約400万人が救急科を受診していた。頭痛は、救急受診理由の5番目に位置しており、15~64歳の女性に至っては、受診理由の3番目であった。
・片頭痛は、外来診療において430万人以上の受診があった。
・片頭痛や激しい頭痛を有する成人の多くは、不利益を被っていた。
・たとえば、2018年には、片頭痛を有する米国成人の約40%は失業しており、同様の割合が、貧困または貧困に近い層として分類された。
・約5人に1人は健康保険に加入しておらず、約3人に1人は高等教育以下であった。
著者らは「片頭痛や激しい頭痛は、米国における公衆衛生上の重大な問題であり、出産可能年齢の女性や社会経済的地位の低い女性では、最も大きな影響を及ぼす。そして、頭痛患者の多くは、社会経済的に不利益を被っていた。現在の新型コロナウイルスまん延による経済への影響は、これらの問題を悪化させる可能性がある。影響の大きな慢性疼痛に対する注目が集まり、治療提供や研究のための資金が見直されることは、将来の疾患負荷を軽減するために重要である」としている。
(鷹野 敦夫)
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