Moderna社mRNAワクチン、3万例超で94.1%の有効性/NEJM

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2021/01/14

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する、Modernaのワクチン「mRNA-1273」の有効性(重症化を含む発症の予防効果)は94.1%に上ることが、3万例超を対象にした第III相無作為化プラセボ対照試験で明らかになった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のLindsey R. Baden氏らが報告した。安全性に対する懸念は、一過性の局所および全身性の反応以外に認められなかったという。mRNA-1273ワクチンは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の膜融合前安定化スパイクタンパク質をコードする脂質ナノ粒子カプセル化mRNAベースのワクチンで、2020年12月に米国では緊急使用の承認が発表されている。NEJM誌オンライン版2020年12月30日号掲載の報告。

投与2回目から2週間以降の感染予防効果を検証

 試験は全米99ヵ所の医療機関を通じて、18歳以上でSARS-CoV-2感染や同感染による合併症の高リスク者を対象に、観察者ブラインド化にて行われた。

 研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方にはmRNA-1273(100μg)を、もう一方にはプラセボを、28日間隔で2回筋肉注射した。初回接種は2020年7月27日~10月23日に行われた。

 主要エンドポイントは、2回目投与から14日以降のCOVID-19発症の予防で、SARS-CoV-2感染歴のない被験者を対象に評価した。

mRNA-1273群の症候性COVID-19発生率、3.3件/1,000人年

 ボランティア被験者数は3万420例で、mRNA-1273群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けられた(各群1万5,210例)。ベースラインでSARS-CoV-2感染のエビデンスが認められたのは2.2%。被験者の96%超が2回接種を受けた。

 2回目投与から14日以降に症候性COVID-19が認められたのは、プラセボ群185例(56.5件/1,000人年、95%信頼区間[CI]:48.7~65.3)に対し、mRNA-1273群では11例(3.3件/1,000人年、1.7~6.0)で、ワクチン有効率は94.1%(95%CI:89.3~96.8、p<0.001)だった。

 1回目投与から14日以降の症候性COVID-19など主な副次解析や、ベースラインでSARS-CoV-2感染のエビデンスが認められた者を含めた評価、65歳以上に限定した評価でも、有効性は同等であることが認められた。

 重症COVID-19の発生は30例(うち1例が死亡)で、全例がプラセボ群だった。接種後の中等度で一過性の反応原性が発現する頻度は、mRNA-1273群で高率だった。重篤な有害イベントはまれで、発現頻度は両群で同程度だった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)