食習慣と若年性認知症発症リスク~イタリアでの調査

若年性認知症のリスクは、環境要因や食生活を含むライフスタイルによって変化する可能性がある。イタリア・モデナ・レッジョ・エミリア大学のTommaso Filippini氏らは、食生活と若年性認知症リスクとの関連を調査した。Nutrients誌2020年11月29日号の報告。
イタリア北部のモデナの新規若年性認知症患者54例および対照群として介護者54人を対象とした。食事の頻度に関する質問票により食生活を調査し、食物摂取と食事パターンのアドヒアランスについて評価を行った。食事の要因とリスクとの関係をモデル化するため、制限3次スプライン回帰分析を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・穀物摂取と若年性認知症は、U字型の関係を示し、350g/日超で若年性認知症リスクの増加が認められた。
・乳製品の大量摂取(400g/日超)も、若年性認知症リスクの増加と関連が認められた。
・全体として魚介類の摂取と若年性認知症リスクとの関連は認められなかった。保存や缶詰にされた魚類の摂取と若年性認知症リスクとの関連が認められたが、ほかの魚類では逆の関係が認められた。
・野菜(とくに葉菜類)の摂取は、100g/日超で強い逆相関が認められた。かんきつ類やドライフルーツも同様であった。
・全体として甘味の摂取と若年性認知症リスクとの関連は認められなかった。ドライケーキとアイスクリームでは正の相関が認められ、チョコレート製品では逆の関係が認められた。
・飲料については、コーヒー摂取量とU字型の関係が認められた以外では、関連が認められなかった。
・食事パターンに関しては、MINDダイエット(地中海式食事方法とDASH食を組み合わせた食事法)へのアドヒアランスが増加すると、若年性認知症リスクが直線的に減少した。
・地中海式食事方法とDASH食での逆相関は、アドヒアランスレベルが非常に高い場合のみで認められた。
著者らは「本研究は、食事の要因と若年性認知症リスクとの関係を調査した最初の研究であり、MINDダイエットに対するアドヒアランスの増加が、リスク減少につながる可能性があることが示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)
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