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2025-04-21 ~ 2025-04-26

2025/04/25

再発を伴わない二次性進行型多発性硬化症、tolebrutinibが障害進行リスク抑制/NEJM

ジャーナル四天王

 再発を伴わない二次性進行型多発性硬化症(SPMS)患者において、tolebrutinibによる治療はプラセボと比較し障害進行のリスクが低いことを、米国・クリーブランドクリニックのRobert J. Fox氏らHERCULES Trial Groupが、第III相二重盲検プラセボ対照試験「HERCULES試験」の結果で報告した。多発性硬化症(MS)では、経過中に徐々に神経学的症状の進行が生じることがあり、これは障害蓄積(disability accrual)と呼ばれている。現在のMSに対する疾患修飾療法は、再発とは関係のない障害蓄積に対する効果は限られており、その原因の一部は中枢神経系内での慢性、治療抵抗性の神経炎症にあると考えられている。tolebrutinibは、中枢移行性の高い経口ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬で、末梢および中枢神経系の両方の骨髄細胞(ミクログリアを含む)とB細胞を標的としている。これまで、再発を伴わないSPMSに対して承認された治療法はなかった。NEJM誌オンライン版2025年4月8日号掲載の報告。

米国出生率、中絶禁止導入州で上昇/JAMA

ジャーナル四天王

 米国において中絶禁止法を導入した州の出生率は、導入しなかった場合に予想される出生率より高く、とくに人種的マイノリティ、低学歴(大学卒業ではない)、低所得、未婚、若年、南部の州においてその差が大きかった。同国・ジョンズ・ホプキンズ・ブルームバーグ公衆衛生大学院のSuzanne O. Bell氏らが、出生証明書と国勢調査データを解析し報告した。このような超過出生は、社会サービスが最も脆弱で、母子の健康と福祉に関するアウトカムが最も不良な州で認められ、著者は、「既存の格差がさらに深刻化し、すでに逼迫している資源にさらなる負担をかける可能性がある」と指摘している。JAMA誌2025年4月15日号掲載の報告。

症状のない亜鉛欠乏症に注意、亜鉛欠乏症の診療指針改訂

医療一般

「亜鉛欠乏症の診療指針2024」が2025年1月に発行された。今回の改訂は7年ぶりで、きわめて重要な8つの改訂点が診療指針の冒頭に明記され、要旨を読めば最低限の理解がカバーできる構成になっている。だが、本指針内容を日常診療へ落とし込む際に注意したいポイントがある。そこで今回、本指針の作成委員長を務めた脇野 修氏(徳島大学大学院医歯薬学研究部 腎臓内科分野 教授)に、亜鉛欠乏症の現状や診断・治療を行う際の注意点などについて話を聞いた。

サブタイプ別転移乳がん患者の脳転移発生率、HER2低発現の影響は

医療一般

 約1万8千例を含む大規模な転移乳がん患者コホートを対象に、サブタイプおよび治療ライン別の脳転移の有病率と累積発生率、またHER2低発現が脳転移発生率に及ぼす影響を評価した結果、すべてのサブタイプで治療ラインが進むごとに発生率が上昇し、HER2低発現は従来のサブタイプ分類における発生率に影響を及ぼさないことが示唆された。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のSarah L Sammons氏らによるJournal of the National Cancer Institute誌オンライン版2025年3月31日号への報告。  本研究では、電子カルテに基づく全国規模の匿名化データベースが用いられた。主要評価項目は脳転移の初回診断とし、HER2低発現を含む転移乳がんのサブタイプおよび治療ライン別に、脳転移の有病率および発生率を推定した。全身治療開始時に脳転移を有さなかった患者における脳転移リスクは、累積発症率関数を用いて推定した。すべてのp値は両側検定に基づき、p≦0.05を統計学的有意とした。

2年間のフレマネズマブ治療の有効性および継続性〜国内単一施設観察研究

医療一般

 フレマネズマブの12週間に1回675mgを皮下投与した場合の長期的なアドヒアランスや有効性に関するリアルワールドデータは、依然として不足している。静岡赤十字病院の吉田 昌平氏らは、反復性片頭痛(EM)および慢性片頭痛(CM)に対する2年にわたるフレマネズマブ675mgの有効性およびアドヒアランスを評価し、治療中止理由の分析を行った。The Journal of Headache and Pain誌2025年3月11日号の報告。  対象は、静岡赤十字病院の頭痛センターに通院している患者のうち、2021年11月〜2022年6月にフレマネズマブの12週間に1回675mgを皮下投与する治療を行った15歳以上の患者。頭痛の頻度および重症度は、頭痛日誌を用いて記録した。観察期間は、治療開始後24ヵ月間までとした。治療中止理由は、フォローアップ時のカルテ記録より収集した。

遺伝性アルツハイマーへのgantenerumab、発症リスク低下に有効か

医療一般

 最先端のアルツハイマー病治療薬が、実際にその進行を防ぐ可能性のあることが、小規模な研究で示された。脳内でアミロイドβ(Aβ)が過剰に産生される遺伝的変異を持ち、将来、アルツハイマー病を発症することがほぼ確実とされる試験参加者に、脳からAβを除去する抗Aβ IgG1モノクローナル抗体のガンテネルマブ(gantenerumab)を投与したところ、投与期間が最も長かった参加者ではアルツハイマー病の発症リスクが50%低下したことが示されたという。米ワシントン大学医学部のRandall Bateman氏らによるこの研究結果は、「The Lancet Neurology」4月号に掲載された。

tenecteplase、脳梗塞治療でアルテプラーゼと同等の効果

医療一般

 急性期脳梗塞の治療薬として2月28日、米食品医薬品局(FDA)により承認された血栓溶解薬のTNKase(一般名テネクテプラーゼ〔tenecteplase〕)の有効性と安全性は、米国の大多数の病院で使用されている血栓溶解薬のアルテプラーゼと同等であるとする研究結果が報告された。テネクテプラーゼには、アルテプラーゼと比べて投与に要する時間が格段に短いというメリットもある。米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのJustin Rousseau氏らによる本研究の詳細は、「JAMA Network Open」に3月12日掲載された。

低ホスファターゼ症の新たな歯科症状が明らかに―全国歯科調査

医療一般

 子どもの歯は6歳前後で永久歯へと生え変わる。もしそれより早く乳歯が抜け落ちたとしたら、そこに別の病気が隠れているかもしれない。  低ホスファターゼ症(HPP)は、無治療では死に至ることもある遺伝性の骨系統疾患であり、乳歯の早期脱落といった歯科的問題を伴うことが多い。この度、日本人におけるHPPの歯科的所見の調査を目的とした全国調査が行われ、この疾患に関する新たな歯科所見が認められたという。本調査は大阪大学大学院歯学研究科小児歯科学講座の大川玲奈氏、仲野和彦氏らによるもので、詳細は「Scientific Reports」に2月25日掲載された。

2025/04/24

分娩後出血の最大原因、子宮収縮不全と特定/Lancet

ジャーナル四天王

 英国・バーミンガム大学のIdnan Yunas氏らは、システマティックレビューとメタ解析により、分娩後出血の原因で最も多くみられたのは子宮収縮不全であることを明らかにした。著者は、「この所見は、すべての出産した女性に対して予防的に子宮収縮薬を投与すべきという世界保健機関(WHO)の推奨を裏付けるものである」と述べている。分娩後出血の原因を明らかにすることは、適切な治療およびサービスの提供に必要であり、分娩後出血のリスク因子を知ることは、修正可能なリスク因子への対応を可能とする。研究グループは、分娩後出血の原因とリスク因子の特定および定量化を目的に本検討を行った。Lancet誌オンライン版2025年4月3日号掲載の報告。

再発性多発性硬化症の再発抑制、tolebrutinib vs.teriflunomide/NEJM

ジャーナル四天王

 再発性多発性硬化症の患者において、tolebrutinibは年間再発率の低下に関してteriflunomideに対して優越性は示されなかった。カナダ・トロント大学のJiwon Oh氏らTolebrutinib Phase 3 GEMINI 1 and 2 Trial Groupが、2つの第III相二重盲検ダブルダミーイベント主導型試験「GEMINI 1試験」と「GEMINI 2試験」の結果を報告した。tolebrutinibは中枢移行性の高い経口ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬で、末梢性炎症および疾患関連のミクログリアおよびB細胞を含む中枢神経系の持続的な免疫活性を調節する。再発性多発性硬化症の治療における有効性および安全性の、さらなるデータが求められていた。NEJM誌オンライン版2025年4月8日号掲載の報告。

間質性肺炎合併肺がん、薬物療法のポイント~ステートメント改訂/日本呼吸器学会

医療一般

 2017年10月に初版が発行された『間質性肺炎合併肺癌に関するステートメント』について、2025年4月に改訂第2版が発行された。肺がんの薬物療法は、数多くの分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬(ICI)、抗体薬物複合体(ADC)が登場するなど、目覚ましい進歩を遂げている。そのなかで、間質性肺炎(IP)を合併する肺がんの治療では、IPの急性増悪が問題となる。そこで、近年はIP合併肺がんに関する研究も実施され、エビデンスが蓄積されつつある。これらのエビデンスを含めて、本ステートメントの薬物療法のポイントについて、池田 慧氏(神奈川県立循環器呼吸器病センター)が第65回日本呼吸器学会学術講演会で解説した。

個々のCDK4/6阻害薬、適した患者像は?(PALMARES-2)

医療一般

 HR+/HER2-の進行乳がんに対するCDK4/6阻害薬と内分泌療法の併用療法は、内分泌療法単独よりも無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)を有意に延長したことが報告されている。3剤のCDK4/6阻害薬はそれぞれ薬理作用や安全性が異なるが、有効性を直接比較した大規模な試験は実施されていないため、特定の状況においてどのCDK4/6阻害薬がより効果的であるかは臨床的に重要な課題である。そこで、イタリア・IRCCS財団国立がん研究所のLeonardo Provenzano氏らは、パルボシクリブ、アベマシクリブ、ribociclibを内分泌療法と併用した場合の有効性を比較する多施設共同観察研究「PALMARES-2試験」を実施した。  対象は、2016年1月~2023年9月にイタリアのがんセンター18施設で治療を開始したHR+/HER2-の進行乳がん患者であった。本研究は観察研究であるため、CDK4/6阻害薬および内分泌療法は担当医が選択して処方した。主要評価項目はリアルワールドにおけるPFS(rwPFS)であった。多変量Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、個々のCDK4/6阻害薬とrwPFSの関連性を解析した(データカットオフ:2024年1月31日)。

PPI投与量とC. difficile感染症リスクの関係~用量反応メタ解析

医療一般

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)使用者は非使用者と比べClostridioides difficile感染症(CDI)リスクが上昇することが報告されているが、これまでのメタ解析では、用量反応的な関係についての検討は行われていない。スウェーデン・カロリンスカ研究所のMatilda Finke氏らによる用量反応メタ解析の結果、PPI投与量とCDIリスクとの関連は、正の相関を示すことが明らかになった。Journal of Infection誌オンライン版4月14日号掲載の報告。  本研究では、PubMed、Embase、Web of Science、およびCochrane Libraryを用いて、PPIとCDIに関する縦断研究を検索した。収集されたデータは、1日当たりのPPI投与量(DDD:defined daily doses)およびPPI治療期間に基づく2つの2段階ランダム効果用量反応メタ解析にそれぞれ組み入れられた。PPI非使用者と比較した補正相対リスク(RR)と95%信頼区間が推定された。

高齢糖尿病患者へのインスリン イコデク使用Recommendation公開/糖尿病学会

医療一般

 日本糖尿病学会(理事長:植木 浩二郎氏[国立国際医療研究センター研究所 糖尿病研究センター長])は、4月18日に「高齢者における週1回持効型溶解インスリン製剤使用についてのRecommendation」(高齢者糖尿病の治療向上のための日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会作成)を公開した。  週1回持効型インスリン製剤インスリン イコデク(商品名:アウィクリ注)は、注射回数を減少させ、持続的なインスリン作用をもたらすことから、ADLや認知機能の低下により自己注射が困難な高齢患者に血糖管理が可能になると期待される。  その一方で、週1回投与という特徴から、投与調節の柔軟性には制限があり、一部の患者では低血糖が重篤化する懸念がある。

アリピプラゾールによるドパミン受容体シグナル伝達調整が抗うつ効果に及ぼす影響

医療一般

 即効性抗うつ薬であるケタミンは、解離作用を含む好ましくない精神異常作用を有する。現在、抗うつ効果を維持しながら、これらの副作用を抑制する効果的な戦略は存在しない。京都大学のDaiki Nakatsuka氏らは、マウスとヒトにおけるケタミンの精神異常作用と抗うつ作用に対するドパミンD2/D3受容体拮抗薬とパーシャルアゴニストの影響を調査した。Translational Psychiatry誌2025年3月8日号の報告。  主な内容は以下のとおり。 ・パーシャルアゴニストであるアリピプラゾールにより、精神異常作用を減弱し、強制水泳試験においてケタミンの抗うつ作用の維持、増強が認められた。 ・一方、拮抗薬であるracloprideは、マウスにおいていずれの作用も抑制した。

花粉症時のアイウォッシュ、その使用傾向が調査で明らかに

医療一般

 アイウォッシュ(洗眼)は花粉症シーズンの目のトラブル対策として有効な手段だが、洗眼剤の使用傾向は年齢、既往歴、生活習慣などの違いによって異なる、とする研究結果が報告された。若年層、精神疾患の既往、コンタクトレンズ(CL)利用者などが洗眼剤使用に関連する因子であったという。研究は順天堂大学医学部眼科学講座の猪俣武範氏らによるもので、詳細は「Scientific Reports」に3月10日掲載された。  洗眼剤の使用はアレルギー性結膜炎の初期症状の軽減に効果的であるとされるが、現在、花粉症患者における洗眼剤使用の疫学的特徴に関しては知識のギャップが存在している。このギャップを埋めることは、花粉症管理において包括的でエビデンスに基づいた洗眼剤のガイドラインを作成するために不可欠である。そのような背景から、研究グループは花粉症患者における洗眼剤使用者と非使用者を総合的にプロファイリングし、花粉症とセルフケアの習慣に関連するパターンと特徴を特定することを目的とした大規模疫学研究を実施した。

2025/04/23

高齢の大動脈弁狭窄症、TAVI後のダパグリフロジン併用で予後を改善/NEJM

ジャーナル四天王

 重症の大動脈弁狭窄症で経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)を受け、心不全イベントのリスクが高い高齢患者において、標準治療単独と比較してSGLT2阻害薬ダパグリフロジンを併用すると、全死因死亡または心不全悪化の発生率が有意に改善することが、スペイン・Centro Nacional de Investigaciones Cardiovasculares Carlos IIIのSergio Raposeiras-Roubin氏らDapaTAVI Investigatorsが実施した「DapaTAVI試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2025年4月10日号に掲載された。  DapaTAVI試験は、TAVIを受けた大動脈弁狭窄症の高齢患者におけるダパグリフロジン併用の有効性と安全性の評価を目的とする医師主導型の無作為化対照比較試験であり、2021年1月~2023年12月にスペインの39施設で参加者の無作為化を行った(Instituto de Salud Carlos IIIなどの助成を受けた)。

大腸がん死亡率に対する大腸内視鏡検査と2年ごとの便潜血検査の有用性(解説:上村直実氏)

CLEAR!ジャーナル四天王

日本対がん協会の報告によると、2023年の部位別がん死亡数を死因順位別にみると、男性は肺がん、大腸がん、胃がん、膵臓がん、肝臓がんの順に多く、女性は大腸がん、肺がん、膵臓がん、乳がん、胃がんの順となっている。同年の大腸がん罹患者数は14万8,000人で死亡者数が5万3,000人とされており、罹患者のうち3人に1人が死亡する可能性が推測される。このように、大腸がんは肺がんの次にがん死亡者数が多い疾患であるが、早期がんの完治率は90%以上という特徴を有する疾患であり、早期発見、とくに検診が非常に重要である。

医師の子供の約6割が中学受験または予定している/医師1,000人アンケート

医療一般

 2023年の調査によると、東京都では5人に1人が中学受験をして進学するなど、大都市圏では中高一貫校に人気がある。「公立学校よりも豊かな学習環境で学ばせたい」や「来るべき大学受験のために進学校で学ばせたい」など理由はさまざまである。  では、大都市圏の医師の子供は中学受験を行っているのであろうか。また、受験の動機や合格するための対策、受験までの費用などどのくらい支出しているのだろうか。  CareNet.comでは、3月21~27日にかけて、関東圏(東京都・埼玉県・神奈川県・千葉県)、関西圏(大阪府・兵庫県・京都府)の会員医師1,000人に「中学受験」の実状について聞いた。

女性の低体重/低栄養症候群のステートメントを公開/日本肥満学会

医療一般

 日本肥満学会(理事長:横手 幸太郎氏〔千葉大学 学長〕)は、4月17日に「女性の低体重/低栄養症候群(Female Underweight/Undernutrition Syndrome:FUS)ステートメント」を公開した。  わが国の20代女性では、2割前後が低体重(BMI<18.5)であり、先進国の中でもとくに高率である。そして、こうした低体重や低栄養は骨量低下や月経周期異常をはじめとする女性の健康に関わるさまざまな障害と関連していることが知られている。その一方で、わが国では、ソーシャルネットワークサービス(SNS)やファッション誌などを通じ「痩せ=美」という価値観が深く浸透し、これに起因する強い痩身願望があると考えられている。そのため糖尿病や肥満症の治療薬であるGLP-1受容体作動薬の適応外使用が「安易な痩身法」として紹介され、社会問題となっている。

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