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2025-08-25 ~ 2025-08-31

2025/08/29

線維化を伴うMASH、efruxiferminが線維化を改善/Lancet

ジャーナル四天王

 中等度~重度の線維化を伴う代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)患者において、efruxifermin 50mg週1回投与はプラセボと比較し、96週時に線維化が改善した患者の割合が有意に高かった。米国・Houston Methodist HospitalのMazen Noureddin氏らが、米国の41施設で実施した第IIb相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「HARMONY試験」の96週時の評価結果を報告した。efruxiferminは、MASH治療薬として開発中の線維芽細胞増殖因子21(FGF21)アナログである。結果を踏まえて著者は、「第III相試験で、efruxiferminの有効性および安全性を評価することが望まれる」とまとめている。Lancet誌2025年8月16日号掲載の報告。

2型糖尿病治療薬、国際的持続評価システムの最新結果/BMJ

ジャーナル四天王

 中国・四川大学のKailei Nong氏らは、2型糖尿病治療薬の無作為化比較試験についてリビングシステマティックレビュー(living systematic review:LSR)とネットワークメタ解析(NMA)を用いて評価するシステムを開発。SGLT-2阻害薬、GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)、フィネレノンおよびチルゼパチドは、死亡、心血管疾患、慢性腎臓病および体重減少に関してリスク依存的に異なる有益性をもたらすが、薬剤特有の有害事象があることを明らかにした。著者は、「本評価システムは、最新のエビデンスを随時統合できるよう設計されている。エビデンスを持続的に更新する国際的なシステムとして、政策立案者、臨床医および患者の情報に基づく意思決定を支援し、研究の無駄を減らす可能性がある」と述べている。BMJ誌2025年8月14日号掲載の報告。

心アミロイドーシスの生存率向上に新たな治療選択肢/アルナイラム

医療一般

 トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)治療薬として、2025年6月25日に国内で適応追加承認を取得した核酸医薬のブトリシラン(商品名:アムヴトラ)。この治療薬が果たす役割について、7月に開催されたアルナイラムのメディアセミナーで北岡 裕章氏(高知大学医学部 老年病・循環器内科学 教授)が解説した。  心アミロイドーシスは心不全の原因疾患の1つで、2025年3月に発刊された『2025年改訂版 心不全診療ガイドライン』においてもその項目が設けられ、心不全として鑑別診断が重要な疾患として位置付けられた(推奨表57参照)。しかし現状は、「循環器医でもアミロイドーシスの概念をあまり持っていない医師も少なくない」と北岡氏は問題提起する。その理由について、「たった10年前には患者が300例ほどしかいないとされ、原因として疑うのは非常に難しい時代だった」とコメント。しかし、時代は変わり、核医学検査による診断法が確立したことで、120万人いると推定される心不全患者の10%程度をATTR-CMが占めることも明らかになってきている。とくにATTR-CMwtは加齢に起因することから、高齢者で診断されることが“まれではない”状況になっているが、2019年に治療薬として四量体安定化薬が処方できるようになったことで、「指数関数的に治療を受けられる患者数が増加している」と説明した。

LP.8.1対応組換えタンパクコロナワクチン、一変承認を取得/武田

医療一般

 武田薬品工業は8月27日のプレスリリースで、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン株LP.8.1を抗原株とした組換えタンパクワクチンの「ヌバキソビッド筋注1mL」について、厚生労働省より一部変更承認を取得したと発表した。ヌバキソビッド筋注は、同社がノババックスから日本での製造技術のライセンス供与を受けたもので、LP.8.1対応ワクチンは9月中旬以降に供給が開始される予定。  2025年5月28日に開催された「厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 研究開発及び生産・流通部会 季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会」において、2025/26シーズンの定期接種で使用する新型コロナワクチンの抗原組成は、WHOの推奨と同様に、「1価のJN.1、KP.2もしくはLP.8.1に対する抗原又は令和7年5月現在流行しているJN.1系統変異株に対して、広汎かつ頑健な中和抗体応答又は有効性が示された抗原を含む」とされている。

高齢入院患者におけるベンゾジアゼピン中止パターンとそれを阻害する因子

医療一般

 退院後のベンゾジアゼピン(BZD)長期使用は、高齢患者におけるBZD依存や重篤な薬物有害事象リスクを高める可能性がある。しかし、高齢者におけるBZD中止パターンとそれに関連する因子についての研究は限られている。米国・ハーバード大学のChun-Ting Yang氏らは、高齢者における入院後のBZD中止のパターンと関連因子を特定するため、後ろ向きコホート研究を実施した。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2025年7月27日号の報告。

日本人の日常会話頻度と認知症リスク

医療一般

 中高年を対象とした大規模集団コホートで、日常会話の頻度と認知症リスクとの関連を検討した結果、会話頻度が低いと認知症リスクが高く、会話が月1回未満の場合は認知症リスクが2倍を超えることが示唆された。国立がん研究センターの清水 容子氏らがArchives of Gerontology and Geriatrics誌オンライン版2025年8月5日号に報告。  本研究は、2000~03年に多目的コホート研究であるJPHC研究で日常会話頻度を報告した50~79歳の参加者について、認知症の発症を2006~16年の介護保険認定記録を用いて追跡した。生活習慣や既往歴などの因子を調整したCox比例ハザードモデルを用いて、ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定した。また、居住形態(独居もしくは同居)と性別によるサブグループ解析を実施した。

人工甘味料はがん免疫療法の治療効果を妨げる?

医療一般

 マウスを用いた新たな研究で、一般的な人工甘味料であるスクラロースの使用は、がん患者の特定の免疫療法による治療を妨げる可能性のあることが示唆された。この研究ではまた、マウスに天然アミノ酸であるアルギニンのレベルを高めるサプリメントを与えると、スクラロースの悪影響を打ち消せる可能性があることも示された。米ピッツバーグ大学免疫学分野のAbby Overacre氏らによるこの研究結果は、「Cancer Discovery」に7月30日掲載された。  Overacre氏は、「『ダイエットソーダを飲むのをやめなさい』と言うのは簡単だが、がん治療を受けている患者はすでに多くの困難に直面しているため、食生活を大幅に変えるよう求めるのは現実的ではないだろう」と話す。同氏はさらに、「われわれは、患者の現状に寄り添う必要がある。だからこそ、アルギニンの補給が免疫療法におけるスクラロースの悪影響を打ち消すシンプルなアプローチとなり得るのは非常に喜ばしいことだ」と述べている。

2025/08/28

スピロノラクトン、維持透析患者の心不全・心血管死を減少させるか/Lancet

ジャーナル四天王

 維持透析を受けている腎不全患者において、スピロノラクトン25mgの1日1回経口投与はプラセボと比較し、心血管死および心不全による入院の複合アウトカムを減少させなかった。カナダ・McMaster UniversityのMichael Walsh氏らが、12ヵ国143の透析プログラムで実施した医師主導の無作為化並行群間比較試験「ACHIEVE試験」の結果を報告した。維持透析を受けている腎不全患者は心血管疾患および死亡のリスクが大きいが、スピロノラクトンがこれらの患者において心不全および心血管死を減少させるかどうかは明らかになっていなかった。著者は、「本試験では、維持透析患者におけるスピロノラクトン導入の有益性は認められなかった。維持透析患者の心血管疾患と死亡を減少させるための、ステロイド性ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬に代わる選択肢について、さらなる研究が必要である」とまとめている。Lancet誌2025年8月16日号掲載の報告。

抗IL-4Rαモノクローナル抗体薬stapokibart、鼻茸を伴う重症慢性副鼻腔炎に有効/JAMA

ジャーナル四天王

 鼻茸を伴う重症の慢性副鼻腔炎成人患者において、日常的な点鼻ステロイド療法にstapokibartを併用投与することで24週時の鼻茸サイズと鼻症状の重症度を有意に改善させることが示された。中国・首都医科大学のShen Shen氏らが、中国の51施設で実施した第III相無作為化二重盲検比較試験「CROWNS-2試験」の結果を報告した。stapokibartは、新規の抗インターロイキン4受容体αサブユニット(IL-4Rα)モノクローナル抗体であり、中国において中等症~重症のアトピー性皮膚炎ならびに季節性アレルギー性鼻炎の治療薬として用いられている。第II相無作為化二重盲検比較試験「CROWNS-1試験」において、鼻茸を伴う重症の好酸球性慢性副鼻腔炎に対する有効性が示されていた。JAMA誌オンライン版2025年8月18日号掲載の報告。

米国の小児におけるインフルエンザ関連急性壊死性脳症(IA-ANE)(解説:寺田教彦氏)

CLEAR!ジャーナル四天王

本報告は、米国2023~24年および2024~25年シーズンにおける小児インフルエンザ関連急性壊死性脳症(IA-ANE)の症例シリーズである。IA-ANEは、インフルエンザ脳症(IAE)の重症型で、米国2024~25年シーズンのサーベイランスにおいて小児症例の増加が指摘されていた(MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2025 Feb 27)。同レポートでは、小児インフルエンザ関連死亡例の9%がIAEによる死亡と報告され、早期の抗ウイルス薬使用と、必要に応じた集中治療管理、インフルエンザワクチン接種が推奨されていた。

富裕層の医師はどれくらい?/医師1,000人アンケート

医療一般

 野村総合研究所が2025年2月に公開したレポートによると、2023年の日本の富裕層・超富裕層の世帯数は前回調査(2021年)から11.3%増加し、合計約165万世帯となった。これは全体の約3%に当たる。では、医師のなかに富裕層・超富裕層はどれくらいいるのだろうか。そこで、CareNet.comでは20~60代の医師1,005人を対象に、世帯年収・純金融資産額に関するアンケート調査を実施した(2025年7月27日~8月2日実施)。本アンケート調査では、世帯年収と純金融資産額を調査し、富裕層・超富裕層の割合を算出した。また、資産運用の成功/失敗のエピソードも募集した。

cN0乳がんのセンチネルリンパ節生検省略、リアルワールドで見逃されるpN+の割合は?

医療一般

 INSEMA試験やSOUND試験の結果から、乳房温存術を受けるHR+/HER2-の臨床的腋窩リンパ節転移陰性(cN0)早期乳がんの一部の患者では、センチネルリンパ節生検(SNB)は安全に省略可能であるとされつつある。しかし、リンパ節転移の有無は術後治療の選択に極めて大きな影響を及ぼすため、SNB省略のde-escalation戦略の妥当性については依然として議論の余地がある。そこで、Nikolas Tauber氏(ドイツ・University Hospital Schleswig-Holstein)らは、INSEMA試験の基準を満たす患者にSNBを行い、その病理学的結果や術後治療への影響を解析することで、SNB省略時の影響をリアルワールドで推計した。その結果がEuropean Journal of Surgical Oncology誌2025年8月14日号に掲載された。

退職は健康改善と関連、とくに女性で顕著――35ヵ国・10万人規模の国際縦断研究/慶大など

医療一般

 退職が高齢者の健康に与える影響は一様ではない。近年、多くの国で公的年金の受給開始年齢が引き上げられ、退職時期の後ろ倒しが進んでいる。こうした状況に対し、退職の健康影響を検討した研究は数多いが、「認知機能を低下させる」「影響はない」「むしろ有益である」と結果は分かれていた。  慶應義塾大学の佐藤 豪竜氏らの研究グループは、米国のHealth and Retirement Study(米国健康・退職調査:HRS)をはじめとする35ヵ国の縦断調査データを統合解析し、50〜70歳の10万6,927例(観察数39万6,904例)を対象に、退職と健康・生活習慣の関連を検証した。本研究の結果はAmerican Journal of Epidemiology誌オンライン版2025年6月13日号に掲載された。

白血病治療薬が高リスク骨髄異形成症候群にも効果を発揮

医療一般

 最近承認された白血病治療薬が、致命的な骨髄疾患と診断された一部の患者にも有効である可能性が、パイロット試験で示された。骨髄異形成症候群(MDS)患者の約5人に3人が、米食品医薬品局(FDA)が2022年に、急性骨髄性白血病(AML)患者向けに承認したオルタシデニブ(商品名レズリディア)による治療に反応を示したという。米マイアミ大学シルベスター総合がんセンター白血病部門主任のJustin Watts氏らによるこの研究結果は、「Blood Advances」に7月16日掲載された。  オルタシデニブは、腫瘍の発生に関与する変異型イソクエン酸脱水素酵素1(IDH1)を選択的に阻害する薬である。FDAは、IDH1遺伝子変異陽性の再発または難治性AML成人患者に対してオルタシデニブを承認している。Watts氏らによると、AML患者の約10%にIDH1遺伝子変異が見られるという。しかし、この変異はMDS患者の約3〜5%にも見られるため、同氏らは、オルタシデニブがこの疾患の治療においても有効なのではないかと考えた。

2025/08/27

複雑性黄色ブドウ球菌菌血症へのdalbavancin週1回投与、標準治療に非劣性/JAMA

ジャーナル四天王

 複雑性黄色ブドウ球菌菌血症で、初期治療により血液培養の陰性化と解熱を達成した入院患者において、標準治療と比較してdalbavancin週1回投与は、70日の時点で「アウトカムの望ましさ順位(desirability of outcome ranking:DOOR)」が優越する確率は高くないが、臨床的有効性は非劣性であることが、米国・デューク大学のNicholas A. Turner氏らが実施した「DOTS試験」で示された。黄色ブドウ球菌菌血症に対する抗菌薬静脈内投与は、一般に長期に及ぶためさまざまな合併症のリスクを伴う。dalbavancin(リポグリコペプチド系抗菌薬)は、終末半減期が14日と長く、in vitroで黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性菌を含む)に対する抗菌活性が確認されていた。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2025年8月13日号で報告された。

若年者の大腸がん検診受診率を上げる方法は?(解説:上村 直実 氏)

CLEAR!ジャーナル四天王

わが国における2023年の部位別がん死亡数は、男性では肺がん、大腸がん、胃がん、膵臓がんの順に多く、女性では大腸がん、肺がん、膵臓がんの順となっている。同年の大腸がん罹患者数は推定14万8,000例で死亡者数が5万3,000例とされており、罹患者のうち3例に1例が死亡すると推測される。大腸がんの場合、早期がんの完治率は90%以上であり、早期発見とくに検診ないしはスクリーニングの整備が喫緊の課題となっている。西欧諸国では免疫学的便潜血検査(FIT)、便中の多標的RNA検査、直接の大腸内視鏡検査などさまざまな検診方法の有効性を比較する臨床研究が盛んに報告されている。しかし、いずれの検診方法を行っても、大腸がんの死亡率低下には検診の受診率がキーポイントとなっている。今回、大腸がんの著明な増加が報告されているものの検診受診率がきわめて低い若年者(45~49歳)を対象として、最も効果的なリクルート法を模索した臨床研究が施行された結果、電子媒体を用いてFITのみまたは大腸内視鏡検査のみの推奨に対して受諾または拒否を選択する方法に比べて、FITと大腸内視鏡検査2種類を送付したものから患者が能動的に選択する方法の検診受診率が有意に高く、さらにFITのキットを直接郵送して患者に受諾または拒否を選択してもらう方法が最も有効であることが2025年8月のJAMA誌に報告された。

T-DXd、化学療法未治療のHER2低発現/超低発現の乳がんに承認取得/第一三共

医療一般

 第一三共は2025年8月25日、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、商品名:エンハーツ)について、日本において「ホルモン受容体陽性かつHER2低発現又は超低発現の手術不能又は再発乳癌」の効能又は効果に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。  本適応は、2024年6月開催の米国臨床腫瘍学会(ASCO2024)で発表された、化学療法未治療のホルモン受容体陽性かつ、HER2低発現またはHER2超低発現の転移再発乳がん患者を対象としたグローバル第III相臨床試験(DESTINY-Breast06)の結果に基づくもので、化学療法未治療のHER2低発現またはHER2超低発現の乳がんを対象に承認された日本で初めての抗HER2療法となる。

アカラブルチニブ、マントル細胞リンパ腫に承認取得/AZ

医療一般

 アストラゼネカは、アカラブルチニブマレイン酸塩水和物(商品名:カルケンス錠100mg)について、「マントル細胞リンパ腫」を効能又は効果として、2025年8月25日付で厚生労働省より承認を取得したことを発表した。本承認は国際共同第III相ECHO試験の結果などに基づくもので、米国、EU、ほか数ヵ国でマントル細胞リンパ腫(MCL)に承認されている。

最低賃金上昇へは診療報酬の期中改定対応を要望/日医

医療一般

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、8月20日に定例記者会見を開催した。会見では、「最低賃金の上昇を受けた期中改定の必要性」と、10月に開催される「女性のがん」に関するシンポジウムの概要が説明された。  はじめに会長の松本氏が「賃上げに関する指標が軒並み高水準で上がってきている中で、人員配置の制約もあり、医療職1人当たりの労働生産性を上げて、全体の員数を減らすといったような対応は難しく、人員を確保し続ける必要がある。また、診療報酬は固定価格であり、医療機関は賃上げにはとても対応できるような経営状況にはない。

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