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2025-06-02 ~ 2025-06-08

2025/06/06

コントロール不良の高血圧、zilebesiran単回投与の上乗せが有効/JAMA

ジャーナル四天王

 インダパミド、アムロジピンまたはオルメサルタンによる治療下でコントロール不良の高血圧患者において、RNA干渉薬zilebesiran単回投与の追加により、プラセボと比較して3ヵ月時の収縮期血圧(SBP)の有意な低下が認められ、重篤な有害事象の発生は少なかったことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のAkshay S. Desai氏らが北米、英国など8ヵ国の150施設で実施した第II相無作為化二重盲検比較試験「KARDIA-2試験」で示された。高血圧患者を対象とした先行の単剤投与試験では、zilebesiranの単回皮下投与により3ヵ月時および6ヵ月時の血清アンジオテンシノーゲン値およびSBPの低下が認められていた。JAMA誌オンライン版2025年5月28日号掲載の報告。

GLP-1/GCG作動薬mazdutideの減量効果は?/NEJM

ジャーナル四天王

 肥満または体重関連合併症を有する過体重の中国人成人において、GLP-1/グルカゴン受容体デュアルアゴニストのmazdutide 4mgまたは6mgの週1回32週間投与により、臨床的に意義のある体重減少が認められたことを、中国・Peking University People's HospitalのLinong Ji氏らGLORY-1 Investigatorsが同国23施設で実施した第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「GLORY-1試験」の結果で報告した。インクレチンベースのデュアルアゴニスト療法は肥満に対して有効であることが示されており、mazdutideは第II相試験において肥満または過体重の中国人成人の体重減少が示されていた。NEJM誌オンライン版2025年5月25日号掲載の報告。

局所進行膵腺がん、腫瘍治療電場療法(TTフィールド)の上乗せでOS延長(PANOVA-3)/ASCO2025

医療一般

 切除不能局所進行膵腺がん(LA-PAC)患者において、腫瘍電場治療(TTフィールド)と化学療法の併用が全生存期間(OS)の改善を示した。  LA-PAC患者を対象にTTフィールドとゲムシタビン+nabパクリタキセル(GnP)の有用性を評価する第III相PANOVA-3試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)において、米国・Virginia Mason Medical CenterのVincent Picozzi氏から発表された。

進行尿路上皮がん維持療法、アベルマブ+SGがPFS改善(JAVELIN Bladder Medley)/ASCO2025

医療一般

 1次化学療法後に病勢進行のない切除不能の局所進行または転移を有する尿路上皮がん患者の維持療法として、アベルマブ+サシツズマブ ゴビテカン(SG)併用療法はアベルマブ単剤療法と比較して無増悪生存期間(PFS)を改善した。米国・Johns Hopkins Greenberg Bladder Cancer InstituteのJeannie Hoffman-Censits氏が、第II相国際共同無作為化非盲検比較試験(JAVELIN Bladder Medley試験)の中間解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表した。なお、この内容はAnnals of oncology誌オンライン版5月30日号に同時掲載された。

EGFR-TKI既治療のNSCLC、HER3-DXdの第III相試験結果(HERTHENA-Lung02)/ASCO2025

医療一般

 EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)による治療歴を有するEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、patritumab deruxtecan(HER3-DXd)は、無増悪生存期間(PFS)を改善したものの、全生存期間(OS)を改善することはできなかった。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)において、Tony S. K. Mok氏(中国・香港中文大学)が、国際共同第III相試験「HERTHENA-Lung02試験」の結果を報告した。すでに主要評価項目のPFSが改善したことが報告されており、OSの結果が期待されていた。

ESR1変異のER+/HER2-進行乳がん、vepdegestrantがフルベストラントよりPFS改善(VERITAC-2)/ASCO2025

医療一般

 CDK4/6阻害薬と内分泌療法で病勢が進行したエストロゲン受容体陽性(ER+)/HER2陰性(HER2-)進行乳がん患者を対象に、vepdegestrantとフルベストラントの有効性と安全性を比較した第III相VERITAC-2試験の結果、ESR1変異を有する患者においてvepdegestrant群の無増悪生存期間(PFS)が有意に改善したことを、米国・Sarah Cannon Research InstituteのErika P. Hamilton氏が国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表した。本研究は、2025年5月31日のNEJM誌オンライン版に同時掲載された。

抗精神病薬の減量、D2受容体親和性と再発との関連

医療一般

 抗精神病薬維持療法は、初回エピソード精神疾患の再発予防に有効であるが、抗精神病薬使用患者の多くは、寛解後に副作用、長期的な健康上の懸念、スティグマ、自立への希望から、抗精神病薬の減量または中止を望むことは少なくない。現在のガイドラインでは、抗精神病薬の漸減が推奨されているが、とくに初発エピソードから寛解した患者における最適な漸減スピードは依然として不明である。また、抗精神病薬のD2受容体親和性によっても再発リスクに影響を及ぼす可能性がある。オランダ・University of GroningenのShiral S. Gangadin氏らは、初回エピソード精神疾患患者における寛解後の抗精神病薬減量と再発リスクとの関係およびD2受容体親和性の影響を評価した。World Psychiatry誌2025年6月号の報告。

口唇ヘルペスウイルスがアルツハイマー病リスクと関連か

医療一般

 単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)感染がアルツハイマー病(AD)発症リスクと関連しており、抗ヘルペス薬の使用がそのリスクを低減する可能性が、米国の大規模リアルワールドデータを用いた後ろ向き症例対照研究で示された。本研究は、米国・ギリアド・サイエンシズのYunhao Liu氏らにより実施された。BMJ Open誌2025年5月20日号に掲載。  本研究では、米国の大規模民間保険請求データベース「IQVIA PharMetrics Plus」を用い、2006~21年の間にADと診断された50歳以上の患者34万4,628例を特定し、年齢、性別、地域、データベース登録年、医療機関受診回数でマッチングした同数の対照者を1対1の割合で抽出し、後ろ向きマッチング症例対照研究を実施した。

2025/06/05

高濃度乳房女性の検診、マンモグラフィに追加すべき検査は?/Lancet

ジャーナル四天王

 乳がんスクリーニングを受ける高濃度乳房の女性にとって、最も有益な補助的画像検査法は明らかになっていない。英国・ケンブリッジ大学のFiona J. Gilbert氏らは、マンモグラフィ陰性の高濃度乳房の女性における補助的画像検査として、簡易的(abbreviated)MRI(AB-MR)、全自動乳房超音波(Automated Breast Ultrasound System:ABUS)および造影マンモグラフィ(contrast-enhanced mammography:CEM)をデジタルマンモグラフィ(FFDM、標準画像検査法)と比較した無作為化試験「BRAID試験」を行った。中間解析の結果、AB-MRとCEMは、ABUSと比較して浸潤がんの検出率が3倍高く、半分のサイズのがんが検出可能であったことを報告した。著者は、「本検討では、高濃度乳房の女性において、補助的な画像検査はがんの早期発見に結び付く可能性が示されたが、過剰診断の程度は推定されていない」と述べている。Lancet誌2025年5月31日号掲載の報告。

ICU入室患者の鎮静、α2作動薬vs.プロポフォール/JAMA

ジャーナル四天王

 機械換気を受ける集中治療室(ICU)入室患者において、デクスメデトミジンまたはクロニジンをベースとした鎮静はプロポフォールをベースとした鎮静と比較して、抜管までの時間の短縮に関して優越性は示されなかった。英国・エディンバラ大学のTimothy S. Walsh氏らA2B Trial Investigatorsが行った無作為化試験の結果で報告された。α2アドレナリン受容体作動薬をベースとした鎮静が、プロポフォールをベースとした鎮静(通常ケア)と比較して、抜管までの時間を短縮するかどうかは不明であった。JAMA誌オンライン版2025年5月19日号掲載の報告。

ED-SCLCへのアテゾリズマブ+化学療法、維持療法にlurbinectedin上乗せでPFS・OS改善(IMforte)/ASCO2025

医療一般

 PS0/1の進展型小細胞肺がん(ED-SCLC)の標準治療は、プラチナ製剤+エトポシド+PD-L1阻害薬であり、維持療法としてPD-L1阻害薬単剤での投与を継続する。カルボプラチン+エトポシド+アテゾリズマブによる治療の維持療法に、lurbinectedinを上乗せすることで、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)が改善することが示された。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)において、Luis Paz-ares氏(スペイン・Hospital Universitario 12 de Octubre)が、海外第III相無作為化比較試験「IMforte試験」のOSの中間解析およびPFSの主解析の結果を報告した。本結果は、Lancet誌オンライン版2025年6月2日号に同時掲載された。

DLBCLの予後予測、1次治療後のPhasED-Seqを用いたctDNAによるMRDが有用~前向き多施設共同研究/ASCO2025

医療一般

 1次治療を受けるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者の予後予測に、治療終了時におけるPhasED-seq(phased variant enrichment and detection sequencing)を用いた循環腫瘍DNAによる測定可能残存病変(ctDNA-MRD)検出が有用であることが、全国規模の前向き多施設共同研究で示された。オランダ・Amsterdam UMC Location Vrije UniversiteitのSteven Wang氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表した。

HER2陽性胃がん2次治療、T-DXdがラムシルマブ+パクリタキセルを上回る(DESTINY-Gastric04)/ASCO2025

医療一般

 切除不能または転移のあるHER2陽性胃がんに対する標準的な1次治療は、トラスツズマブ+化学療法の併用である。最近のKEYNOTE-811試験の結果に基づき、CPS 1以上であればペムブロリズマブ併⽤も推奨される。その後の2次治療の標準治療はラムシルマブ+パクリタキセルまたはペムブロリズマブだが、ペムブロリズマブは今後1次治療で使われることが見込まれ、ラムシルマブ+パクリタキセルが実質的な標準治療の位置付けとなる。  DESTINY-Gastric04試験は、現在は切除不能HER2陽性胃がんの3次治療以降に承認されているADC・トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)を、2次治療としてラムシルマブ+パクリタキセル併用療法と直接比較した試験である。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で国立がん研究センター東病院の設楽 紘平氏が本試験の結果を発表し、この内容はNEJM誌オンライン版2025年5月31日号に同時掲載された。

AI+CDK4/6i療法中にESR1変異検出、camizestrantへの切り替えでPFS改善(SERENA-6)/ASCO2025

医療一般

 ER+/HER2-の進行または転移を有する乳がんと診断され、アロマターゼ阻害薬(AI)+CDK4/6阻害薬の併用療法中にESR1変異が検出された患者を対象に、camizestrant+CDK4/6阻害薬への切り替えまたはAI+CDK4/6阻害薬の継続の有用性を検討した第III相SERENA-6試験の中間解析の結果、camizestrant+CDK4/6阻害薬への切り替えによって無増悪生存期間(PFS)が統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示したことを英国・Royal Marsden HospitalのNicholas C. Turner氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表した。本研究は、2025年6月1日のNEJM誌オンライン版に同時掲載された。

労働時間ではなく仕事の種類がうつ病リスクに影響

医療一般

 労働時間や労働形態が中高年のうつ病リスクに及ぼす影響を検討した研究は、比較的少ない。中国・Hangzhou Normal UniversityのYu Zhu氏らは、とくに報告の少ない中国における労働時間や労働形態とうつ病リスクとの関連を調査するため、本研究を実施した。Journal of Affective Disorders誌2025年8月1日号の報告。  本研究は、2011〜20年のChina Health and Retirement Longitudinal Survey(CHARLS)のデータを用いて検討を行った。うつ病の測定には、10項目からなるCESD-10尺度を用いた。潜在成長曲線モデル(LGCM)を用いて労働時間がうつ病リスクに及ぼす影響を分析し、マルチレベル一般化推定方程式を用いて労働形態(職種および雇用形態を含む)とうつ病リスクとの関連を調査した。

日本人中年女性、歩数を増やしても心血管リスクは同じ?

医療一般

 毎日の歩数と心血管イベントの関連の研究において、中年世代の男女別のデータは少ない。今回、金沢大学の竹治 泰明氏らが7万人以上のコホート研究で解析した結果、男性では歩数が最も多い群(1万歩/日以上)は最も少ない群(4,000歩/日未満)と比べて心血管疾患リスクが大幅に低かったが、女性では関連がみられなかった。この結果は中年男性の心血管疾患リスク軽減のためには毎日1万歩歩くべきという推奨を支持しているが、男女における最適な歩数目標を確立するには大規模な男女別のデータ分析が必要と述べている。Journal of the American Heart Association誌オンライン版2025年5月23日号に掲載。

2025/06/04

血栓溶解療法後の低リスク例、低頻度のモニタリングで十分か/Lancet

ジャーナル四天王

 急性期虚血性脳卒中に対する静脈内血栓溶解療法では、施行後の高強度のモニタリングが標準とされ、患者だけでなく看護師の負担がとくに大きく、果たして症候性脳出血のリスクが低い患者にも必要かとの疑問が生じている。中国・復旦大学のCraig S. Anderson氏らOPTIMISTmain Investigatorsは、「OPTIMISTmain試験」において、血栓溶解療法を受けた軽度または中等度の神経学的障害を有する患者では、モニタリングの頻度を低くした低強度モニタリングは高強度の標準モニタリングに対し、不良な機能的アウトカムの発生に関して非劣性であるとの弱いエビデンスを確認し、重篤な有害事象の発現にも差はないことを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2025年5月21日号に掲載された。

脳梗塞患者に対する血栓溶解療法の低強度モニター(解説:内山真一郎氏)

CLEAR!ジャーナル四天王

OPTIMISTmain試験は、急性期脳梗塞患者に対する血栓溶解療法後の低強度モニターを検討する初めての無作為化比較試験である。血栓溶解療法開始の2時間以内に臨床的に症状が安定しており、NIHSSが10点未満の軽症~中等症の虚血性脳卒中患者において、低強度モニターと標準的モニターの転帰を比較した。低強度モニターのプロトコールは、神経所見とバイタルサインを血栓溶解療法後2時間は15分ごと、8時間は2時間ごと、24時間までは4時間ごとに評価し、標準的なモニター(6時間は30分ごと、その後1時間ごと)と比較した結果、90日後の転帰不良例(mRSが2以上)も症候性頭蓋内出血も両群間で差がなく、低強度モニターは標準的なモニターに対して非劣性であることが弱いエビデンスながら示された。

小細胞肺がん2次治療、タルラタマブがOS・PFS改善(DeLLPhi-304)/ASCO2025

医療一般

 2ライン以上の治療歴を有する小細胞肺がん(SCLC)患者を対象とした国際共同第II相試験「DeLLphi-301試験」において、タルラタマブが良好な成績を示したことを受け、本邦では「がん化学療法後に増悪した小細胞肺癌」の適応で2025年4月16日に発売された。また、『肺癌診療ガイドライン2024年版』では、全身状態が良好(PS0~1)な再発SCLCの3次治療以降にタルラタマブを用いることを弱く推奨することが記載されている。より早期におけるタルラタマブの有用性を検討する試験として、SCLCの2次治療におけるタルラタマブの有用性を化学療法との比較により検証する国際共同第III相試験「DeLLphi-304試験」が進行中である。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)において、Charles M. Rudin氏(米国・メモリアルスローンケタリングがんセンター)が、本試験の第1回中間解析の結果を報告した。本試験において、タルラタマブは化学療法と比較して全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を改善することが示された。本結果は、NEJM誌オンライン版2025年6月2日号に同時掲載された。

HER2+進行乳がん1次治療のT-DXd+ペルツズマブ、進行/死亡リスクを44%減(DESTINY-Breast09)/ASCO2025

医療一般

 HER2+の進行または転移を有する乳がん患者の1次治療として、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)+ペルツズマブ併用療法の有用性を評価した第III相DESTINY-Breast09試験の中間解析の結果、現在の標準治療よりも無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことを、米国・ダナファーバーがん研究所のSara M. Tolaney氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表した。  DESTINY-Breast09試験は、HER2+の進行または転移を有する乳がん患者の1次治療として、T-DXd単独またはT-DXd+ペルツズマブ併用療法の有効性と安全性を、標準治療であるタキサン+トラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法(THP療法)と比較評価することを目的として実施された。対象は、HER2+(IHC 3+またはISH+)の進行または転移を有する乳がんと診断され、進行・転移病変に対する化学療法またはHER2標的療法の治療歴がない、または内分泌療法歴が1ラインのみの患者であった。術前または術後補助療法として化学療法またはHER2標的療法の治療歴があっても、転移までの期間が6ヵ月を超える場合は対象となった。

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