アルコール依存症は、早期死亡や障害の主要な要因である。インドでは、男性の約9%にアルコール依存症がみられるといわれている。アルコール依存症の短期アウトカムには、いくつかの臨床的要因が関与している可能性がある。インド・Jawaharlal Institute of Postgraduate Medical Education and ResearchのSushmitha T. Nachiyar氏らは、アルコール依存症患者の短期アウトカムについて調査を行った。Indian Journal of Psychological Medicine誌オンライン版2025年9月26日号の報告。
対象は、ICD-10 DCR基準に基づくアルコール依存症男性患者122例。アルコール依存症の重症度(SADQ)、断酒動機(SOCRATES)、全般認知能力(MoCA)、前頭葉認知能力(FAB)などの社会人口学的および臨床的パラメーターに基づき評価した。その後、過去30日間の飲酒について、タイムライン・フォローバック法を用いて1ヵ月および3ヵ月時点でフォローアップ調査を行った。
主な結果は以下のとおり。
・患者の平均年齢は40.6±7.6歳。
・アルコール摂取期間は18.56±7.22年、平均摂取量は1日当たり14.14±8.62単位であった。
・SADQスコアは25.13±12.01であり、中等度の依存症と評価された。
・MoCAスコアが低かった患者は67.2%(82例)、FABスコアが低かった患者は22.1%(27例)。
・1ヵ月後の再発率は約30%、3ヵ月後の再発率は50%であった。
・1ヵ月後の再発率と関連していた因子は、依存症発症時の年齢が若いことであった(p=0.012)。
・3ヵ月時点で禁酒の継続と関連する因子は、既婚(p=0.040)、過去の禁酒歴(p=0.003)、MoCAスコア(26超)の高さ(p=0.042)であった。
著者らは「アルコール依存症患者の約30%は1ヵ月以内に再発し、50%は3ヵ月後までに再発することが確認された。依存症発症時の年齢が若いことは、1ヵ月後の再発を予測し、既婚であること、過去の禁酒歴、全般認知能力が良好であることは3ヵ月後の禁酒を予測することが示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)