ニュース 週別アーカイブのコーナー。毎日発信されるニュースを週別に表示。見逃した記事もまとめてこちらでチェック。

2024-04-15 ~ 2024-04-20

2024/04/19

多枝病変のSTEMI、FFRガイド下完全血行再建か責任病変のみPCIか/NEJM

ジャーナル四天王

 多枝病変を有するST上昇型心筋梗塞(STEMI)または超高リスクの非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)患者において、追跡期間4.8年時点の全死因死亡、心筋梗塞または予定外の血行再建術の複合リスクは、血流予備量比(FFR)ガイド下完全血行再建術と責任病変のみの経皮的冠動脈インターベンション(PCI)で差は認められなかった。スウェーデン・カロリンスカ研究所のFelix Bohm氏らが、スウェーデン、デンマーク、セルビア、フィンランド、ラトビア、オーストラリア、ニュージーランドの7ヵ国32施設で実施した無作為化試験「FFR-Guidance for Complete Nonculprit Revascularization trial:FULL REVASC試験」の結果を報告した。多枝病変を有するMI患者およびSTEMI患者におけるFFRガイド下完全血行再建術の有益性は明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2024年4月8日号掲載の報告。

ALK陽性非小細胞肺がんの術後補助療法、アレクチニブvs.化学療法/NEJM

ジャーナル四天王

 切除可能なStageIB~IIIAのALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法として、アレクチニブはプラチナ製剤ベースの化学療法と比較し無病生存期間(DFS)を有意に改善した。中国・南方医科大学のYi-Long Wu氏らALINA Investigatorsが、日本を含む26ヵ国の113施設で実施した国際共同無作為化非盲検第III相試験「ALINA試験」の結果を報告した。切除可能なALK融合遺伝子陽性NSCLC患者の術後補助療法はプラチナ製剤ベースの化学療法が標準治療であるが、化学療法と比較したアレクチニブの有効性および安全性についてはデータが不足していた。NEJM誌2024年4月11日号掲載の報告。  研究グループは、18歳以上で抗がん剤による全身療法歴のない切除可能なStageIB(腫瘍≧4cm)、II、またはIIIA(UICC/AJCC第7版に基づく)のALK融合遺伝子陽性NSCLC患者を、アレクチニブ群(600mgを1日2回、24ヵ月間または再発・容認できない毒性発現まで経口投与)またはプラチナ製剤ベースの化学療法群(1サイクル21日として最大4サイクル静脈内投与)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。

慢性腎臓病の入院抑制を意図した電子記録+診療推進者介入の効果は証明されず(解説:浦信行氏)

CLEAR!ジャーナル四天王

慢性腎臓病(CKD)、2型糖尿病、高血圧は腎不全に至る3大疾患であるが、これらを合併した症例に1年間の電子記録+診療推進者介入が入院を減少させるかを、非盲検クラスター無作為化試験で検討した成績がNEJM誌に報告された。その結果は4月17日公開のジャーナル四天王に詳述されているが、主要アウトカムと副次アウトカムのいずれも通常ケア群に対して有意な効果を示さなかった。結果は1年という比較的短期間の検討であることが影響した可能性は否定できない。加えて腎機能障害の程度もeGFRで49mL/min程度、HbA1cで7.5%前後、血圧は133/73mmHg前後といずれも比較的コントロールされており、また使用薬剤もRA系阻害薬が68%ほどの症例に使用されており、通常ケア群においても良好な治療がなされていることで差がつきにくかった要素もあると思われる。関与した診療推進者は看護師あるいは薬剤師であった点も介入の限界をうかがわせる。腎機能障害に対する運動療法の効果や栄養摂取バランスの効果も注目されるようになった昨今、介入者がリハビリ職や栄養士であればどうであったか。フレイルやサルコペニア、栄養バランスに介入する試みであれば、違った結果を見られたかもしれない。BMIは33と肥満者が多いが、サルコペニア肥満も機序は異なるが心血管疾患の有意なリスクである。

CPRはいつまで続けるべきか? In-Hospital CPA レジストリからの報告(解説:香坂俊氏)

CLEAR!ジャーナル四天王

レジストリデータとは臨床的なデータベースのうちで「特定の手技・手術や疾患イベント[診断確定や入院等]を起点として収集されるもの」と自分は考えていますが、本研究はこの特性をフルに活かした形で、心肺蘇生(CPR)に関する重要な情報の提供を行っています。研究の内容を非常に短く要約すると、「CPR開始から32分が経過すると神経学的に予後が良好な退院率は1%未満となり、39分が経過すると生存退院率そのものが1%未満となる」ということになりますが、この研究の長所としては、

進行肺がん、初診から治療までの待機期間が治療効果に影響/日本呼吸器学会

医療一般

 肺がん治療において、初診から治療開始までの時間が長くなるほど悪液質の発症率は増加し、さらに悪液質があると治療効果が低下すると示唆された。  悪液質は進行がんの50〜80%に合併し、がん死亡の20〜30%を占める予後不良な病態であるため、早期からの介入が重要である。肺がんでは、治療が進化する一方、病期診断、病理学的診断に加え、遺伝子変異の有無やPD-L1の発現率などの専門的検査が必要となり、初診から確定診断・治療開始までに一定の期間が必要となる。

大腸がん患者の死亡リスクが高くなる超加工食品は?

医療一般

 大腸がんと診断された後の超加工食品摂取量と死亡率を調査した前向きコホート研究によって、アイスクリーム/シャーベットの摂取量が多いほど大腸がんによる死亡リスクが高く、超加工食品全体および油脂/調味料/ソースの摂取量が多いほど心血管疾患(CVD)による死亡リスクが高いことを、中国・南京医科大学のDong Hang氏らが明らかにした。eClinicalMedicine誌2024年3月号掲載の報告。  これまでの研究により、超加工食品の摂取が多い男性では大腸がんの発症リスクが約30%高いことが報告されている。しかし、大腸がんと診断された後の超加工食品摂取が大腸がんの予後にどのような影響を与えるかはまだ解明されていない。そこで研究グループは、米国のNurses’ Health Study(NHS)に参加した35~55歳の女性看護師と、Health Professionals Follow-Up Study(HPFS)に参加した40~75歳の男性医療者のデータを用いた前向きコホート研究を行った。

カルシウムとビタミンDの摂取は閉経後女性の全死亡リスクに影響せず

医療一般

 慢性疾患の予防効果を目的にカルシウムとビタミンDを摂取している更年期の女性をがっかりさせる研究結果が報告された。閉経後女性の慢性疾患の予防戦略に焦点を当てた「女性の健康イニシアチブ(Women's Health Initiative;WHI)」のデータを事後解析した結果、カルシウムとビタミンDの摂取により、閉経後女性のがんによる死亡リスクは7%低下するものの、心血管疾患による死亡リスクは6%上昇するため、全死亡に対する正味の効果はないことが明らかになった。米アリゾナ大学健康推進科学分野教授のCynthia Thomson氏らによるこの研究の詳細は、「Annals of Internal Medicine」に3月12日に掲載された。

親を見れば自分の肥満リスクが分かる

医療一般

 中年期に太ることを心配している人は、両親がその頃にどうだったかを確認してみてほしい。新たな研究で、両親が中年期に肥満だった場合、その子どもも中年期に肥満になる可能性は、両親が正常体重だった場合に比べて6倍高く、また両親のどちらかが中年期に肥満だった場合でも、子どもが中年期に肥満になる可能性は3倍以上高いことが示された。ノルウェー北極大学地域医療学のMari Mikkelsen氏らによるこの研究結果は、欧州肥満学会(ECO 2024、5月12~15日、イタリア・ベネチア)で発表される。

特殊なMRIが治療抵抗性統合失調症の予測に有用か

医療一般

 特殊な脳スキャンによって、精神病患者が治療に反応しない(治療抵抗性)統合失調症に移行するかどうかを正確に予測できる可能性があるとする研究結果を、アムステルダム大学(オランダ)のMarieke van der Pluijm氏らが、「The American Journal of Psychiatry」に3月13日報告した。  この脳スキャンは、中枢神経系のニューロメラニンと呼ばれる色素を測定するもので、ニューロメラニン感受性(neuromelanin-sensitive)MRI(NM-MRI)と呼ばれる。この色素を視覚的に示すことで、ドーパミンの機能レベルを知ることができる。ドーパミンは脳の報酬系から分泌される神経伝達物質の一つで、やる気や幸福感、運動調節に関わっている。そのため、ドーパミンの分泌過多は精神病に付随する攻撃性や衝動制御の低下をもたらす可能性がある。

日本における抗CGRP抗体の使用状況~日本頭痛学会会員オンライン調査

医療一般

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)モノクローナル抗体は、片頭痛治療の選択肢を大きく変えた。しかし、日本ではCGRP関連新規片頭痛治療薬ガイドライン(1ヵ月当たりの片頭痛日数[MMD]が4日以上および予防的治療の失敗が1回以上)はよく知られているものの、抗CGRP抗体のリアルワールドでの使用および関連する頭痛ケアの状況については、よくわかっていない。慶應義塾大学の滝沢 翼氏らは、日本における抗CGRP抗体の使用経験および使用の意思決定について、調査を行った。The Journal of Headache and Pain誌2024年3月15日号の報告。

2024/04/18

脳内出血24時間以内の低侵襲血腫除去術、180日アウトカム良好/NEJM

ジャーナル四天王

 急性期脳内出血後24時間以内に手術が可能だった患者において、低侵襲血腫除去術はガイドラインに基づく内科的管理に比べ、180日時点の機能的アウトカムが良好であることが示された。米国・エモリー大学のGustavo Pradilla氏らによる300例を対象とした多施設共同無作為化試験の結果で、著者らは「脳葉出血への介入が手術の効果に寄与しているものと思われる」と述べている。先行研究では、テント上脳内出血の外科的除去の試験は、概して機能への効果がないことが示されている。早期の低侵襲外科的除去により、内科的管理よりも良好なアウトカムが得られるかは明らかになっていなかった。NEJM誌2024年4月11日号掲載の報告。

早期パーキンソン病へのGLP-1受容体作動薬、進行抑制効果を確認/NEJM

ジャーナル四天王

 診断後3年未満のパーキンソン病患者を対象とした糖尿病治療薬のGLP-1受容体作動薬リキシセナチド療法について、第II相のプラセボ対照無作為化二重盲検試験で、プラセボと比較して12ヵ月時点での運動障害の進行を抑制したことが示された。ただし、消化器系の副作用を伴った。フランス・トゥールーズ大学病院のWassilios G. Meissner氏らLIXIPARK Study Groupによる検討結果で、NEJM誌2024年4月4日号で発表された。リキシセナチドは、パーキンソン病のマウスモデルで神経保護特性を示すことが報告されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「より長期かつ大規模な試験により、パーキンソン病患者に対するリキシセナチドの有効性および安全性を確認することが必要である」とまとめている。

低リスク子宮頸がん、単純子宮全摘は広汎子宮全摘と比較し3年以内の骨盤再発率について非劣性(解説:前田裕斗氏)

CLEAR!ジャーナル四天王

広汎子宮全摘術は子宮(+卵管・卵巣)に加えてその周辺組織を切除する手術で、子宮頸がんI期・II期で行われることがある。早期の低リスク子宮頸がんでは、子宮傍組織浸潤は1%未満でしか認められないと複数の後ろ向き研究が報告しており、広汎子宮全摘術の必要性が議論されている。今回のSHAPE試験では、早期の低リスク子宮頸がんについて単純子宮全摘術+骨盤内リンパ節郭清の広汎子宮全摘術に対する3年以内の再発に関する非劣性が確かめられた。結果は3年以内の骨盤内再発について非劣性が示されたほか、術後4週間以内の有害事象や、術後4週間以内、以降ともに尿閉や尿失禁の発生率は単純子宮全摘術で有意に低かった。

喫煙と乳がんリスク~日本の9研究のプール解析

医療一般

 喫煙と乳がんリスクは生物学的には相関することが妥当であるにもかかわらず、疫学研究では一貫していない。今回、岐阜大学の和田 恵子氏らが9つの前向き研究のプール解析を実施した結果、現喫煙者は50歳になる前に乳がんを発症するリスクが高く、とくに30歳になる前から喫煙するとリスクが高いことが示唆された。副流煙による受動喫煙との関連はみられなかったという。International Journal of Epidemiology誌2024年6月号に掲載。

がん関連DVTに対するエドキサバン長期投与のネットクリニカルベネフィット、サブグループ解析(ONCO DVT)/日本循環器学会

医療一般

  昨年8月欧州心臓学会(ESC)のHot Line SessionでONCO DVT Study“の試験結果(がん関連下腿限局型静脈血栓症[DVT]におけるエドキサバンの長期投与の有効性を示唆)が報告されて話題を呼んだ。今回、その続報として西本 裕二氏(大阪急性期・総合医療センター心臓内科)らが、サブグループ解析(事後解析)結果について、第88回日本循環器学会学術集会のLate Breaking Clinical Trials 2で報告した。

新型のリブレ2はスキャン不要で1分ごとに測定/アボットジャパン

医療一般

 アボットジャパンは、3月28日に糖尿病管理のための持続グルコース測定器「FreeStyleリブレ2」の新発売に合わせて、都内でメディアセミナーを開催した。セミナーでは、本機の新しい機能や特徴の説明、血糖変動の可視化がいかに重要か糖尿病専門医の講演、トークセッションなどが行われた。  FreeStyleリブレは、持続グルコース測定技術を用いたデバイスで、60ヵ国以上、550万人以上の人々に使用されている。  本機は上腕の後ろ側に専用センサーを装着し、スマートフォンあるいは専用リーダーをセンサーにかざすと、その画面に測定値が表示されるもの。また、衣服の上からも読み取ることができ、1つのセンサーで最長14日間24時間グルコースプロファイルを記録することができる。

うつ病に対するブレクスピプラゾール補助療法の有用性

医療一般

 うつ病患者は不安症状が高頻度でみられ、そのような患者では抗うつ薬に対する治療反応が低下し、機能的な悪影響につながる恐れがある。カナダ・トロント大学のRoger S. McIntyre氏らは、不安症状を伴ううつ病患者における補助的ブレクスピプラゾール治療の抑うつ症状および機能に対する有効性を評価するため、ランダム化二重盲検プラセボ対照試験(RCT)の事後分析を実施した。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2024年3・4月号の報告。  うつ病患者および抗うつ薬治療で効果不十分な患者を対象に、補助的ブレクスピプラゾール治療6週間RCT3件よりデータを抽出した。患者は、DSM-Vの不安による苦痛(anxious distress)に準じて層別化した。ベースライン時から6週目までのMontgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)の項目スコアおよびシーハン障害尺度(SDS)の平均スコアの変化について、補助的ブレクスピプラゾール治療群(2mg、2~3mg)とプラセボ群で比較を行った。

プライマリケア提供者の不足は緊急手術の増加を招く

医療一般

 プライマリケア医やナース・プラクティショナー(医師の指示なしで一定の治療や治療が可能な看護師)が不足している地域に住む米国人は、緊急手術が必要になったり合併症を発症したりするリスクの高いことが、新たな研究で明らかになった。こうした人では、退院後に再入院するリスクが高いことも示された。米ミシガン大学外科学分野のSara Schaefer氏らによる研究で、詳細は「Health Affairs」3月号に掲載された。  Schaefer氏は、「潜在的な問題を特定し、画像診断や手術のために患者を専門病院などへ紹介するプライマリケア提供者の役割は、迅速に対処すべき問題が緊急事態に陥るのを防ぐ上で大きな違いを生む可能性がある」とミシガン大学のニュースリリースの中で述べている。

ピロリ菌の除菌治療の失敗は虫歯と関連

医療一般

 ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の除菌治療に成功するかどうかは、虫歯の有無と有意に関連しているとの研究結果が示された。朝日大学歯学部口腔感染医療学講座社会口腔保健学分野の岩井浩明講師、友藤孝明教授らによる研究であり、詳細は「Scientific Reports」に2月19日掲載された。  ピロリ菌は、胃炎、胃潰瘍、胃がんなどを引き起こす。胃がんの90%以上はピロリ菌が原因とされている。ピロリ菌の感染者は減少傾向であるものの、2017年時点で日本人の約3600万人が感染しており、年齢が上がるほど感染率は高まる。ピロリ菌の感染者には抗菌薬による除菌治療が行われるが、除菌は必ず成功するわけではない。除菌失敗の可能性としてピロリ菌の薬剤耐性が報告されているが、まだ不明な点も多く、さらなる研究が必要とされている。

2024/04/17

診療ファシリテーターの介入、CKDや高血圧患者の入院は減少せず/NEJM

ジャーナル四天王

 腎機能障害をもたらす3疾患(慢性腎臓病[CKD]、2型糖尿病、高血圧)を有する患者のケアに対し、電子健康記録(electronic health record:EHR)に基づくアルゴリズムと、医療従事者を支援する診療ファシリテーターを導入する介入は、通常ケアと比較して、1年の時点での入院の減少に至らないことが、米国・テキサス大学サウスウェスタン医療センターのMiguel A. Vazquez氏らが実施した「ICD-Pieces試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2024年4月4日号に掲載された。

週間アーカイブ