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2025-12-01 ~ 2025-12-07

2025/12/05

冠動脈CT血管造影の追加で初回冠動脈イベント予測は改善するか/JAMA

ジャーナル四天王

 冠動脈CT血管造影(CCTA)から得られる冠動脈硬化症に関する情報は、従来のリスク因子や冠動脈石灰化スコア(CACS)に追加することで、冠動脈イベントのリスク予測を若干改善し、1次予防が必要な個人の特定に役立つ可能性があることを、スウェーデン・ヨーテボリ大学のGoran Bergstrom氏らが観察コホート研究「Swedish Cardiopulmonary Bioimage Study:SCAPIS研究」の結果で報告した。冠動脈イベントの1次予防におけるリスク層別化戦略は、精度が不足していた。JAMA誌オンライン版2025年11月9日号掲載の報告。

選択的アミリン受容体作動薬eloralintide、週1回投与で有意な減量効果/Lancet

ジャーナル四天王

 米国・Endeavor HealthのLiana K. Billings氏らは、同国46施設で実施した第II相無作為化二重盲検プラセボ対照用量漸増試験において、肥満または過体重かつ肥満関連併存疾患を有する非2型糖尿病の成人に対する新規選択的アミリン受容体作動薬eloralintideが、48週間にわたり臨床的に意義のある用量依存的な体重減少をもたらし、忍容性は良好であったことを報告した。アミリンをベースとした治療法は、有望な肥満治療薬として注目を集めている。著者は、「eloralintideが肥満治療薬として有用である可能性を支持する結果である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2025年11月6日号掲載の報告。

ほとんどのPPIが高血圧の発症と関連

医療一般

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)と高血圧症の関連はまだ明確ではない。今回、名古屋大学のBasile Chretien氏らはこれらの関連やPPIのクラス効果、用量依存性があるかどうかを調査したところ、ランソプラゾール以外のPPIで高血圧症との関連が示唆され、用量反応傾向が認められた。BMJ Open誌2025年11月27日号に掲載。  著者らは、WHOの薬物監視データベースであるVigiBaseのリアルワールドデータを使用した。Medical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)V.26.1を用いて、1種類以上のPPI投与に関連する高血圧症の新規発症例を特定し、2024年10月28日までに系統的に収集した。多変量case/non-case研究デザインにおいて調整済み報告オッズ比(aROR)を算出し、PPI使用と高血圧症との医薬品安全性監視シグナル、およびPPI投与量と高血圧症の発症・悪化の用量依存性を分析した。

日本人小児におけるADHDサブタイプと肥満との関係

医療一般

 福島県立医科大学の川崎 幸彦氏らは、日本人小児における注意欠如多動症(ADHD)サブタイプの特徴とBMI-SDスコアに基づく肥満との関連を明らかにするため、ADHDの小児患者を対象とした臨床調査を実施した。Brain & Development誌オンライン版2025年10月29日号の報告。  対象は、ADHDと診断された日本人小児115例。患者は、ADHDのサブタイプ別に次の3群に分類された。グループ1は不注意優勢型ADHD(ADHD-I)、グループ2は多動性・衝動性優勢型ADHD(ADHD-HI)、グループ3はこれらの複合サブタイプ(ADHD-C)。各群の臨床的特徴を分析した。

高齢化の進む米国社会、成人が考える老後の見通しとは?

医療一般

 米国では高齢化が急速に進んでいる。米国国勢調査局によれば、65歳以上の成人が人口に占める割合は、2004年の12.4%から2024年には18%に急増した。こうした中、米ピュー研究所の研究者らが11月6日に発表した報告書によると、米国の65歳の高齢者は比較的前向きに年を重ねていると感じている一方、65歳未満の人では将来に不安を感じている人の方が多いことが明らかになった。  この調査は、2025年9月2日から8日にかけて米国の成人8,750人を対象に実施された。調査内容は、加齢に対する意識や65歳以上の成人の状況(健康、経済的状況、生活の質〔QOL〕など)についてであった。

雷雨の日には喘息関連の救急外来受診が増える

医療一般

 雷雨の最中や直後に喘息症状が急増する現象は、雷雨喘息と呼ばれている。この現象について検討した新たな研究で、雷雨の日には、実際に喘息関連の救急外来(ED)受診が大幅に増加することが示された。米カンザス大学医療センターのDiala Merheb氏らによるこの研究結果は、米国アレルギー・喘息・免疫学会年次学術会議(ACAAI 2025、11月6〜10日、米オーランド)で発表された。Merheb氏は、「これらの結果は、米国においても、雷雨が喘息患者に深刻な健康リスクをもたらす可能性があることを裏付けている」と述べている。

糖尿病を予防するにはランニングよりも筋トレの方が効果的?

医療一般

 糖尿病の発症予防のために運動をするなら、ランニングよりもウエートリフティングの方が適しているのかもしれない。その可能性を示唆する研究結果が、「Journal of Sport and Health Science」に10月30日掲載された。米バージニア工科大学運動医学研究センターのZhen Yan氏らが行った動物実験の結果であり、高脂肪食で飼育しながらランニングをさせたマウスよりもウエートリフティングをさせたマウスで、より好ましい影響が確認されたという。  論文の上席著者であるYan氏は、「私たちは誰でも長く健康な人生を送りたいと願っている。そして、運動を習慣的に続けることが、その願いの実現のためにメリットをもたらすことは誰もが知っている。ランニングなどの持久力をつける運動と、ウエートリフティングなどのレジスタンス運動(筋トレ)は、どちらもインスリン感受性を高めるというエビデンスが、ヒトを対象として行われた数多くの研究で示されてきている」と話す。

2025/12/04

急性心房細動患者への薬物的除細動、vernakalant vs.プロカインアミド/BMJ

ジャーナル四天王

 急性心房細動患者の洞調律への迅速な復帰に関する薬物療法を直接比較した無作為化試験において、新薬であるvernakalantはプロカインアミドよりも復帰率が高く迅速な点で優れることが示された。カナダ・オタワ大学のIan G. Stiell氏らが「RAFF4試験」の結果を報告した。急性心房細動を呈し救急外来を受診した患者(一般的に発症から48時間以内)に対して、カナダの救急医の多くが薬物療法または電気的療法による除細動を行うが、古くて効果が限定的な薬物のプロカインアミドを用いることが多いという。今回の結果を踏まえて著者は、「vernakalantは急性心房細動患者の迅速な洞調律復帰と退院のために、安全で有効性が高い静脈内投与薬となりうるものである」とまとめている。BMJ誌2025年11月11日号掲載の報告。

eGFRcysとeGFRcrの乖離は死亡・心血管イベントと関連/JAMA

ジャーナル四天王

 外来患者において、eGFRcys(シスタチンC値を用いて算出した推定糸球体濾過量)の値がeGFRcr(クレアチニン値を用いて算出した場合)の値より30%以上低い患者は、全死因死亡、心血管イベントおよび腎代替療法を要する腎不全の発現頻度が有意に高いことが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のMichelle M. Estrella氏らChronic Kidney Disease Prognosis Consortium Investigators and Collaboratorsが、Chronic Kidney Disease Prognosis Consortium(CKD-PC)の患者データのメタ解析結果を報告した。eGFRの算出にクレアチニン値を用いた場合とシスタチンC値を用いた場合でeGFR値が異なる可能性があるが、これまでその差異の頻度および重要性は明らかになっていなかった。今回の解析では、外来患者の約11%および入院患者の約35%で、eGFRcys値がeGFRcr値より30%以上低い患者が認められることも示されている。JAMA誌オンライン版2025年11月7日号掲載の報告。

鉱質コルチコイド受容体拮抗薬(MRA)とSGLT2阻害薬の併用が慢性腎臓病(CKD)治療の基本となるか(解説:浦信行氏)

CLEAR!ジャーナル四天王

CKDに対する腎保護効果に関して、従来はアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の使用が基本であった。また、一層の腎保護効果を期待してこの両者の併用も分析されたことがあったが、作用機序が近いこともあって相加効果は期待し難かった。最近はMRAやSGLT2阻害薬の腎保護効果が次々と報告されるようになり、それぞれ複数の薬剤で有意な効果が報告されている。この両者の併用効果に関しては、2型糖尿病に伴うCKDを対象としたフィネレノンとエンパグリフロジン併用のCONFIDENCE試験が先行して行われ、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)で相加効果が確認されている。フィネレノンは従来のMRAとはMRへの結合の際の立体構造の変化が異なると報告され、その結果、高K血症の発症が少ないとされたが11.4%に認めた。エンパグリフロジンとの併用で9.3%に減少すると報告されたが、期待されたほど少なくはなかった。

ガイドライン順守率が精神疾患の長期アウトカムに及ぼす影響〜統合失調症とうつ病におけるEGUIDEプロジェクト

医療一般

 精神科医療の普及と教育に対するガイドラインの効果に関する研究(EGUIDEプロジェクト)は、精神科医に対してガイドラインの教育の講習を行い、統合失調症およびうつ病のガイドライン順守治療を促進することを目的として、日本で開始されたプロジェクトである。参加医師への短期的な効果は、すでに報告されていたが、長期的および施設全体への効果は依然として不明であった。国立精神・神経医療研究センターの長谷川 尚美氏らは、ガイドライン順守による治療が、施設間で時間の経過とともに改善するかどうかを評価した。その結果、潜在的な拡散効果またはスピルオーバー効果が示唆された。Neuropsychopharmacology Reports誌2025年12月号の報告。

夕食時間が蛋白尿に影響、時間帯や患者特性は?

医療一般

 蛋白尿や微量アルブミン尿は、心血管疾患および全死亡リスク上昇との関連が報告されている。また、いくつかの研究で、夕食時間の遅さと蛋白尿との関連が報告されているが、患者特性などは明らかにされていない。そこで今回、りんくう総合医療センター腎臓内科の村津 淳氏らは、夕食時間の遅さが蛋白尿を来すことを明らかにし、とくに低BMIの男性で強く関連することを示唆した。本研究結果はFront Endocrinol誌2025年11月10日号に掲載された。  研究者らは、夕食時間の遅さと蛋白尿の出現との関連を評価するため、りんくう総合医療センターの健康診断データを用い、推定糸球体濾過量(eGFR)60mL/分/1.73m2以上で腎疾患の既往のない2,127人(男性1,028人、女性1,099人)を対象に横断研究を実施。週3日以上、就寝前2時間以内に夕食を取った参加者を夕食時間が遅い群と定義した。夕食時間による蛋白尿の影響は、臨床的関連因子(年齢、性別、喫煙歴、飲酒歴、既往歴など)を調整したロジスティック回帰モデルを用いて評価した。また、これまでに報告された横断研究では、蛋白尿の有病率はBMI(kg/m2)とJ字型関係を示していることから、今回、男女別でBMIと腹囲を各3群に区分。BMIは、男性では22.3未満、22.3~24.9、24.9以上に分け、女性では20.3未満、20.3~23.0、23.0以上と分けた。ウエスト周囲径(cm)は、男性は83.0未満、83.0~90.1、90.1以上、女性は75.0未満、75.0~83.5、83.5以上として評価した。

中年期の高感度トロポニンI高値が認知症と関連/Eur Heart J

医療一般

 中年期の高感度心筋トロポニンI(hs-cTnI)高値は、その後の認知症発症リスクの上昇、認知機能低下の加速、脳容積の減少と関連していたことが示された。本結果は、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのYuntao Chen氏らが実施した前向きコホート研究「Whitehall II研究」で示され、European Heart Journal誌オンライン版2025年11月6日号で報告された。  研究グループは、Whitehall II研究の参加者のうち、ベースライン時(1997~99年)に45~69歳で、認知症および心血管疾患の既往がなく、hs-cTnI値が得られた5,985例を対象として解析を行った。hs-cTnI値に基づき、参加者を4群(2.5ng/L未満[定量下限未満:参照群]、2.5~3.4ng/L、3.5~5.2ng/L、5.2ng/L超)に分類した。主要評価項目は認知症の発症とした。認知機能の推移および脳MRI画像指標(2012~16年のサブ解析:641例)についても評価した。また、認知症発症例と非発症例(年齢、性別、教育歴でマッチング)を1:4の割合でマッチングさせたコホート内症例対照研究により、認知症診断前のhs-cTnI値の長期的推移を検討した。

夜間の人工光が心臓の健康に悪影響を与える

医療一般

 人工的な光による夜間の過剰な照明の悪影響、いわゆる“光害”が、心臓病のリスクを高めることを示すデータが報告された。米マサチューセッツ総合病院のShady Abohashem氏らの研究によるもので、米国心臓協会(AHA)年次学術集会(AHA Scientific Sessions 2025、11月7~10日、ニューオーリンズ)で発表された。  この研究の解析対象は、2005~2008年に同院でPET検査またはCT検査を受けた466人(年齢中央値55歳、男性43%)。光害のレベルは、人工衛星のデータに基づき各地の夜間の人工光の強さを割り出したデータベースと、研究参加者の居住地住所を照らし合わせて把握した。

トランスジェンダー女性のホルモン治療は心血管リスクを高めない

医療一般

 トランスジェンダー女性が、男性から女性への性別移行のために女性ホルモンの一種であるエストラジオールを使用しても、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まることはないことが、新たな研究で示された。それどころか、トランスジェンダー女性に対するホルモン治療は、生まれつきの性別と性自認が一致するシスジェンダー男性と比べて、心臓や血管に対する保護的な効果がある可能性が示されたという。アムステルダム大学医療センター(オランダ)のLieve Mees van Zijverden氏らによるこの研究の詳細は、「European Heart Journal」に11月4日掲載された。

2025/12/03

現金給付による死亡率低下、そのメカニズムとは/Lancet

ジャーナル四天王

 米国・ペンシルベニア大学のAaron Richterman氏らは以前、現金給付プログラムが低・中所得国(LMIC)において、女性と幼児の死亡率を人口集団レベルで大幅に低下させることを報告している。同氏らの研究チームは今回、この死亡率の低下の背景にあるメカニズムの探索を目的に検討を行い、現金給付プログラムによって、妊産婦保健サービスの利用や子供の健康・栄養状態などに関連する12のアウトカムが大幅に改善されることを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2025年11月10日号に掲載された。  本研究では、2段階差分の差分分析を用いて、アフリカ、中南米・カリブ海地域、東南アジアの37のLMICにおける人口動態・健康調査(DHS)の個人レベルのデータと、2000~19年の政府主導の現金給付プログラムの包括的なデータベースを統合し、プログラム導入前後で、プログラム実施国と非実施国を比較した(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。

1日1杯のコーヒーは心房細動を予防する?(解説:名郷直樹氏)

CLEAR!ジャーナル四天王

コーヒーは紅茶、日本茶と並び、日本でも最もよく飲まれているカフェイン含有飲料であるが、カフェインの依存性や不整脈に対して避けるべきものとして扱われてきた歴史がある。しかし、カフェインと不整脈の関係を検討した研究結果は必ずしも一致したものではなく、2023年にはカフェインと上室性期外収縮に必ずしも関連が認められなかったというランダム化比較試験も発表されている。このように関連が不確実な状況を踏まえて行われたのが、今回のコーヒーと心房細動の再発の関連をみたランダム化比較試験である。電気的除細動術予定で日頃コーヒーを飲んでいる患者を対象とし、1日1杯以上のコーヒーを飲むグループと、コーヒーを6ヵ月間禁止するグループを比較して、心房細動と心房粗動の発生を1次アウトカムとした、プラセボを使わず、アウトカムの評価をマスキングしたProspective Randomized Open Blinded Endpoint Study:PROBE Studyである。

気象関連疼痛に期待される食事性フラボノイドの有用性

医療一般

 悪天候や気象変動は健康に悪影響を及ぼし、気象関連疼痛と呼ばれる症状を引き起こす可能性がある。症状の緩和には、鎮痛薬などによる薬物療法が一般的に用いられているが、副作用を引き起こす可能性がある。そのため、非薬物療法や食事療法への関心が高まっている。大塚製薬の池田 泰隆氏らは、気象関連疼痛に対する食事性フラボノイドであるケンフェロールの有効性を評価するため、オープンラベルパイロット研究を実施した。International Journal of Biometeorology誌2025年10月号の報告。

血圧コントロールに地域差、降圧目標達成が高い/低い都道府県は?/東北医科薬科大ほか

医療一般

 日本における降圧治療開始後の血圧コントロール状況には、地域間で格差が存在し、降圧目標達成割合は医師の偏在や脳血管疾患死亡と関連していることが、岩部 悠太郎氏(東北医科薬科大学)らによる大規模なリアルワールドデータ解析で示された。『高血圧管理・治療ガイドライン2025』では、年齢にかかわらず降圧目標を「130/80mmHg未満(診察室血圧)」としているが、本研究では治療開始後にこの目標を達成できた患者は26.7%にとどまった。本研究結果は、Hypertension Research誌オンライン版2025年11月18日号で報告された。

注射で脳まで届く微小チップが脳障害治療の新たな希望に

医療一般

 手術で頭蓋骨を開くことなく、腕に注射するだけで埋め込むことができる脳インプラントを想像してみてほしい。血流に乗って移動し、標的とする脳の特定領域に自ら到達してそのまま埋め込まれるワイヤレス電子チップの開発に取り組んでいる米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究グループが、マウスを使った実験で、厚さ0.2μm、直径5〜20μmというサブセルラーサイズのチップが、人の手を介さずに脳の特定領域を認識し、そこに移動できることを確認したとする研究成果を報告した。詳細は、「Nature Biotechnology」に11月5日掲載された。

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