脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:4

虚血性脳卒中、救急車内でのnerinetide投与は有効?/Lancet

 虚血性脳卒中が疑われるすべての患者では、入院前の救急車内でのプラセボ投与と比較して神経保護薬nerinetideは、神経学的機能アウトカムを改善しないものの、症状発現から3時間以内に再灌流療法が選択された急性期虚血性脳卒中確定例では有効である可能性があることが、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のJim Christenson氏らが実施した「FRONTIER試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌2025年2月15日号で報告された。  FRONTIER試験は、急性期脳卒中が疑われる徴候や症状を呈するすべての患者、および虚血性脳卒中が確認された患者のアウトカムを改善するために、血栓溶解療法や血管内血栓除去術による通常の治療に加えて、入院前の環境でnerinetideを投与する早期治療が有効か否かの検証を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第II相試験であり、2015年3月~2023年3月に、カナダのオンタリオ州とブリティッシュコロンビア州の7施設で患者を登録した(Brain CanadaとNoNOの助成を受けた)。

3月は心筋梗塞・脳梗塞に要注意!?医療ビッグデータで患者推移が明らかに/MDV

 メディカル・データ・ビジョンは、自社の保有する国内最大規模の診療データベースを用いて急性心筋梗塞と脳梗塞に関するデータを抽出し、それぞれの患者数の月別推移、10歳刻みの男女別患者数、65歳以上/未満の男女別併発疾患患者比率を公表した。調査期間は2019年4月~2024年3月で、その期間のデータがそろっていた377施設を対象とした。  本データを用いて急性心筋梗塞と脳梗塞の患者数と季節性について検証したところ、2019年度が最も高い水準で推移しており、以降の年度はやや低下傾向にあるものの、季節的な変動は共通し、冬季では2~3月に急増する傾向がみられた。

頭痛が自殺リスクに及ぼす影響

 これまでの研究では、片頭痛と自殺リスクとの関連が示唆されているが、さまざまな頭痛疾患と自殺企図および自殺リスクとの関連を評価した研究は限られている。デンマーク・オーフス大学のHolly Elser氏らは、片頭痛、緊張性頭痛、外傷後頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(TAC)と自殺企図および自殺リスクとの関連を調査した。JAMA Neurology誌オンライン版2025年2月3日号の報告。

血栓溶解療法なしの急性期脳梗塞、nerinetideの有用性は?/Lancet

 シナプス後肥厚部タンパク質95(PSD-95)を阻害するエイコサペプチドであるnerinetideは、発症後12時間以内の急性期虚血性脳卒中患者において良好な機能的アウトカムの達成割合を改善しなかった。重篤な有害事象との関連はみられなかった。カナダ・カルガリー大学のMichael D. Hill氏らが、カナダ、米国、ドイツ、イタリア、オランダ、ノルウェー、スイス、オーストラリア、シンガポールの77施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「ESCAPE-NEXT試験」の結果を報告した。先行のESCAPE-NA1試験で、nerinetideは静脈内血栓溶解療法の非併用集団において機能的アウトカムの改善と関連していたが、血栓溶解療法との併用における有益性は確認されていなかった。

「DNAR」を説明できますか?高齢者救急について日本救急医学会が提言

 日本救急医学会では、高齢者救急に関連する学会・団体と共同で、⾼齢者が救急医療を必要としたときに適切で意に沿った医療を受けることができ、その後も納得できる暮らし⽅を選ぶことができるようにすることを目的として、「高齢者救急問題の現状とその対応策についての提言2024」を策定、2025年2月号の学会雑誌に掲載した。医療・福祉従事者のほか、市民、施設職員、救急隊員などそれぞれの立場に向けて提言を提示している。また、高齢者救急に関する用語が正しく使用されていない状況があることから、臨床現場で正しく使⽤されるようになることを目的として、「高齢者救急に関する用語の統一概念」が策定された。

急性期病院におけるBPSDの有病率〜メタ解析

 認知症の行動・心理症状(BPSD)は、急性期病院における治療を複雑にする可能性があり、このようなケースにおけるBPSDに関するエビデンスは多様である。タイ・Prince of Songkla UniversityのKanthee Anantapong氏らは、急性期病院におけるBPSDの有病率を特定し、関連するリスク因子、治療法、アウトカムを評価した。Age and Ageing誌2025年1月6日号の報告。  2024年 3月5日までに公表された急性期病院入院中の認知症高齢者におけるBPSDの有病率に関する研究をCochrane Library、MEDLINE、PsycINFOより検索し、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。研究のスクリーニング、選択、データ抽出には、独立した二重レビュープロセスを用いた。12項目のBPSDに関するデータは、Neuropsychiatric Inventory Questionnaire(NPI)およびアルツハイマー病行動病理学尺度(BEHAVE-AD)に基づき抽出した。リスク因子、治療、アウトカムをレビューした。メタ解析を用いて、結果を統合した。

フロスの使用に脳梗塞の予防効果?

 デンタルフロス(以下、フロス)の使用は、口腔衛生の維持だけでなく、脳の健康維持にも役立つようだ。米サウスカロライナ大学医学部神経学分野のSouvik Sen氏らによる新たな研究で、フロスを週に1回以上使う人では、使わない人に比べて脳梗塞(虚血性脳卒中)リスクが有意に低いことが示された。この研究結果は、米国脳卒中学会(ASA)の国際脳卒中学会議(ISC 2025、2月5〜7日、米ロサンゼルス)で発表され、要旨が「Stroke」に1月30日掲載された。  この研究では、アテローム性動脈硬化リスクに関する集団ベースの前向き研究であるARIC研究のデータを用いて、フロスの使用と脳梗塞(血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症、ラクナ梗塞)および心房細動(AF)との関連が検討された。対象者は、ARIC研究参加者から抽出した、脳梗塞の既往がない6,278人(うち6,108人にはAFの既往もなし)とした。対象者の65%(脳梗塞の既往がないコホート4,092人、AFの既往がないコホート4,050人)がフロスを使用していた。

急性期脳梗塞、EVT+高気圧酸素治療vs.EVT単独/Lancet

 血管内血栓除去術(EVT)が可能であった主幹動脈閉塞を伴う急性期虚血性脳卒中患者において、高気圧酸素治療(normobaric hyperoxia treatment)の追加は、EVT単独の場合と比較して90日時点の機能的アウトカムが優れ、安全性に関する懸念はみられなかった。中国・首都医科大学のWeili Li氏らOPENS-2 Investigatorsが多施設共同無作為化単盲検シャム対照比較試験の結果を報告した。EVTは急性期虚血性脳卒中の再開通率を改善するが、EVTを受けた患者の約半数は良好な機能的アウトカムを得られない。研究グループは、EVT+高気圧酸素治療が、機能的アウトカムに及ぼす影響を評価した。Lancet誌2025年2月8日号掲載の報告。

脳の健康維持のために患者と医師が問うべき12の質問とは?

 米国神経学会(AAN)の「脳の健康イニシアチブ(Brain Health Initiative)は、人生のあらゆる段階において脳の健康に影響を与える12の要因についてまとめた論文を、「Neurology」に2024年12月16日発表した。論文には、神経科医が患者の脳の健康を向上させるために活用できる、スクリーニング評価や予防的介入の実践的アプローチに関する内容も含まれている。  脳の健康に関わる12の要因、およびそれを評価するための質問は、以下の通りである。これらについて自分自身に問うとともに、医師とも話し合うとよいだろう。

中/遠位血管閉塞による脳卒中、血管内治療は機能障害を改善せず/NEJM

 中大脳動脈(MCA)のdominant M2区域の急性閉塞に対する血管内治療(EVT)の有効性を示唆する無作為化試験のエビデンスがあるが、現在の米国および欧州のガイドラインでは、中血管または遠位血管の閉塞を有する虚血性脳卒中に対してEVTは推奨されず、禁忌ともされていないという。スイス・バーゼル大学病院のMarios Psychogios氏らDISTAL Investigatorsは、DISTAL試験において、中血管または遠位血管の閉塞による虚血性脳卒中患者の治療では、最良の内科治療単独と比較して、これにEVTを併用しても、機能障害レベルを改善せず、重篤な有害事象や死亡率の低下をもたらさないことを示した。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2025年2月5日号に掲載された。