家事をしない人は認知症リスクが高い?米国65歳以上の10年間調査

提供元:ケアネット

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公開日:2025/10/06

 

 身体活動レベルは、アルツハイマー病およびその他の認知症発症リスクに影響を及ぼす。米国・カリフォルニア大学のNan Wang氏らは、65歳以上の米国人を対象に、家事頻度の変化が認知機能に及ぼす影響を評価するため、10年間にわたる家事頻度の変化と認知機能との相関を調査した。The Permanente Journal誌オンライン版2025年9月10日号の報告。

 Health and Retirement Studyに参加した65歳以上の米国人8,141例のデータを分析した。2008~10年の家事頻度の変化を「一貫して高い」「低から高へ変化」「高から低へ変化」「一貫して低い」の4つに分類し、評価した。認知機能は、2010~18年に複合スコア(範囲:0~35)を用いて測定し、混合効果線形回帰モデルを用いて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・参加者の年齢中央値は75±6.6歳、女性の割合は59.3%であった。
・家事頻度が「高から低へ変化」「一貫して低い」と回答した人は、「一貫して高い」と回答した人と比較し、認知機能低下との関連が認められた(各々、0.079[95%信頼区間[CI]:-0.117~−0.042]、0.090[95%CI:-0.126~-0.054])。
・家事頻度が「低から高へ変化」と回答した人と「一貫して高い」と回答した人との認知機能低下は、統計的に有意な差が認められなかった(β=-0.027[95%CI:−0.074~0.019]、p=0.252)。
・この関連性は、女性と男性で同様であり(Pinteraction=0.765)、80歳以上と65~79歳でも同様であった(Pinteraction=0.069)。

 著者らは「高齢期に家事への関与が低い状態から高い状態に移行するか、一貫して高い状態を維持することは、性別や年齢にかかわらず、認知機能の低下を遅らせる可能性が示唆された」としている。

(鷹野 敦夫)