脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:5

MCI高齢者に対するVR介入の有効性〜メタ解析

 アルツハイマー病は、根治不能な疾患であるが、軽度認知障害(MCI)の段階で仮想現実(VR)を用いた介入を行うことで、認知症の進行を遅らせる可能性がある。中国・上海交通大学のQin Yang氏らは、MCI高齢者におけるVRの有効性を明らかにするため、ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Medical Internet Research誌2025年1月10日号の報告。  2023年12月30日までに公表された研究をWeb of Science、PubMed、Embase、Ovidよりシステマティックに検索した。対象研究は、55歳以上のMCI高齢者の認知機能、気分、QOL、体力に対するVRベース介入を自己報告で評価したRCT。調査されたアウトカムには、一般的な認知機能、記憶力、注意力/情報処理速度、実行機能、言語機能、視空間能力、うつ病、日常生活能力、筋力パフォーマンス、歩行/バランスなどを含めた。2人の独立した担当者により、特定された論文と関連レビューの検索結果およびリファレンスリストをスクリーニングした。介入の構成要素と使用された実施および行動変化の手法に関するデータを抽出した。適格基準を満たした場合に、メタ解析、バイアスリスク感度分析、サブグループ解析を実施し、潜在的なモデレーターを調査した。エビデンスの質の評価には、GRADEアプローチを用いた。

中血管閉塞脳卒中への血管内治療、アウトカムを改善せず/NEJM

 中血管閉塞を伴う急性期虚血性脳卒中患者に対する発症12時間以内の血管内血栓除去術(EVT)は、標準治療(現行ガイドラインに基づく静脈内血栓溶解療法)と比較して90日時点のアウトカム改善に結び付かなかったことが、カナダ・カルガリー大学のM. Goyal氏らESCAPE-MeVO Investigatorsが行った第III相多施設共同前向き無作為化非盲検評価者盲検試験の結果で示された。主幹動脈閉塞を伴う急性期虚血性脳卒中患者にはEVTが有効であるが、中血管閉塞を伴う急性期虚血性脳卒中患者にも当てはまるかどうかは不明であった。NEJM誌オンライン版2025年2月5日号掲載の報告。

日本における片頭痛治療パターン、急性期治療薬の過剰処方の可能性

 長岡技術科学大学の勝木 将人氏らは、日本における18歳以上の成人片頭痛患者に対する治療パターンを明らかにするため、メディカルビッグデータREZULTのデータベースを用いて、検討を行った。Cureus誌2024年12月18日号の報告。  REZULTデータベースの従業員ベースのレセプトデータを用いて、次の2つの要素について検討を行った。1つ目の要素(研究1)は、2020年に片頭痛と診断された患者における急性期治療薬の過剰処方率を評価するための横断的分析として実施した。過剰処方の定義は、トリプタンとNSAIDs、複数の薬剤の併用が90日以内に30錠以上または同一期間におけるNSAIDs単独で45錠以上とした。2つ目の要素(研究2)は、2010年7月〜2022年4月、初回片頭痛診断から2年以上にわたり患者フォローアップを行った縦断的分析として実施した。処方された錠数は、90日ごとに記録した。

スタチンと認知症リスクに関するメタ分析、最も顕著な予防作用が示された薬剤は

 世界の認知症患者数は、5,500万例に達するといわれており、2050年までに3倍に増加すると推定されている。心血管系への効果を期待し広く用いられているスタチンには、神経保護作用があるとされているが、認知症リスクに対する影響については、相反する結果が報告されている。ブラジル・アマゾナス連邦大学のFernando Luiz Westphal Filho氏らは、スタチンと認知症リスクとの関連を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Alzheimer's & Dementia誌2025年1月16日号の報告。

認知症ケアの方法間の比較:カウンターフレンチと、無農薬の農家レストランと、町の定食屋(解説:岡村毅氏)

 認知症と診断された人をどうやってケアするのがよいか、という実際的な研究である。1番目の群は「医療」で働いている専門家が、本人に合ったケアをコーディネートしてくれる。2番目の群は「地域」で働いている専門家が、いろいろとつないだりアドバイスしてくれる。3番目の群は、通常のケアである。これらを、認知症の行動心理症状(もの忘れ等の中核的な症状ではなく、たとえば、興奮とか妄想とか、介護者が最も困るもの)をメインアウトカムとして比較している。

アルツハイマー病患者に対する有酸素運動のベネフィット/BMJ Open

 アルツハイマー病患者の認知機能や実行機能に対する身体活動の影響は、数多くの研究で調査されているものの、その結果は完全に一致しているとはいえない。また、特定のトレーニングや使用する評価ツールに関する研究も、不十分である。中国・湖南渉外経済学院のLinlin Yang氏らは、有酸素運動がアルツハイマー病患者のQOL、認知機能、抑うつ症状に及ぼす影響を調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。BMJ Open誌2025年1月11日号の報告。  対象研究には、アルツハイマー病患者に対する介入として有酸素運動を用いたすべてのランダム化比較試験(RCT)を含めた。2024年3月12日までに公表された研究を、PubMed、Web of Science、Cochrane Library、EMBASE、Scopus、CINAHL、CNKIより、システマティックに検索した。2人の独立した著者により、定義された手法を用いてデータ選択、検索を行った。バイアスリスク、システマティックレビューおよびメタ解析、エビデンスの確実性の評価には、それぞれCochrane risk of bias tool、ランダム効果モデル、GRADE(Grading of Recommendations Assessment Development and Evaluation)ツールを用いた。研究間の異質性を評価するため、Stata MP V.18.0およびV.14.0を用いてメタ回帰を実施した。標準化平均差(SMD)および95%信頼区間(CI)を算出した。データは、Cochrane CollaborationのReview Manager V.5.4を用いてレビューした。結果の安定性および信頼性を確認するため感度分析を実施し、出版バイアスを確認するためファンネルプロットおよびEgger's testを用いた。出版バイアスの修正および評価には、Duval and Tweedie clipping methodを用いた。

認知症ケア、積極的介入でアウトカムに差はなし/JAMA

 認知症ケア専門家による医療システムを基盤とするケアとソーシャルワーカーや看護師による地域ケアのいずれにおいても、認知症患者の行動症状および介護者の負担に関して、積極的介入と通常ケア(介入なし)による有意な違いは認められなかった。米国・David Geffen School of Medicine at UCLAのDavid B. Reuben氏らが、米国の4施設で実施した無作為化試験の結果を報告した。認知症に対するさまざまなケアの有効性は明らかになっていなかった。JAMA誌オンライン版2025年1月29日号掲載の報告。

血中セロトニン低下は認知症や神経精神症状にどう影響しているか

 脳内のセロトニン調節不全は、認知症や神経精神症状と関連しているといわれている。しかし、機能低下、認知機能障害、軽度の行動障害、脳萎縮などの認知症前駆症状を検出するうえで、血中セロトニン濃度の有用性は、依然としてよくわかっていない。シンガポール国立大学のMing Ann Sim氏らは、高齢者における血中セロトニン濃度と認知症や神経精神症状との関連を評価するため、5年間のプロスペクティブ研究を実施した。Brain Communications誌2025年1月9日号の報告。  対象は、ベースライン時に認知機能障害のないまたは認知機能障害はあるものの認知症でない高齢者。対象患者の神経心理学的評価を毎年行った。認知機能の評価には、モントリオール認知評価、Global Cognition Z-scores、臨床的認知症尺度(CDR)を用いた(機能低下:ベースラインから0.5以上の増加)。軽度の行動障害は、ベースラインおよび毎年のNeuropsychiatric Inventory assessment(NPI)、脳萎縮はベースラインMRIから皮質および内側側頭葉の萎縮スコアを用いて評価した。その後、ベースライン時の血中セロトニン濃度と神経心理学的および神経画像的測定とを関連付け、横断的および縦断的に評価した。さらに、血中セロトニン濃度と横断的脳萎縮スコアとの関連性も評価した。

飲酒は健康リスクに影響

 米国保健福祉省(HHS)は1月14日に発表した報告書の草案の中で、飲酒は早期死亡リスクを高める可能性があることを警告した。報告書によると、「米国では男女ともに1週間当たり7杯(米国の基準飲酒量〔ドリンク〕であるアルコール14g相当を1杯と表記)以上の摂取で1,000人中1人が飲酒に起因した死亡のリスクを負い、このリスクは1週間当たりの飲酒量が9杯以上になると100人中1人に高まる」という。  この報告書の目的は、健康リスクを最小限に抑えるための1週間当たりの飲酒量の基準値に関するエビデンスを得ることであった。ただし草案では、研究結果は要約されているが飲酒量に関する具体的な勧告は含まれていない。現行の米国のガイドラインでは、飲酒量に関して、男性は1日当たり2杯、女性は1杯を超えた量を飲むべきではないとの推奨が示されている。しかし、今回の報告書では、この基準を満たす量であってもリスクのある可能性が示唆されている。

血清ビタミンDレベルと片頭痛との関連

 ビタミンDは片頭痛の発症と関連していると考えられているが、その関連の本質は、十分に解明されているとはいえない。いくつかの研究において、ビタミンD欠乏と片頭痛との関連が示唆されているが、一貫性はなく、決定的な結果が得られていない。中国・河南中医薬大学のShunfa Hao氏らは、ビタミンDと片頭痛の関連をより深く理解するため、本研究を実施した。その結果、血清ビタミンDレベルと片頭痛有病率との間に、負の相関が認められたことを報告した。PloS One誌2025年1月3日号の報告。  対象患者は、2001〜04年の米国国民健康栄養調査(NHANES)データより抽出した9,142人。血清ビタミンDレベルの定義は、25(OH)D2+25(OH)D3(nmol/L)とした。片頭痛に関する情報は、NHANES質問票のその他の頭痛の項より、自由記入に基づき収集した。ビタミンDと片頭痛リスクとの関連性の評価には、多重ロジスティック回帰、smoothed curve fitting、層別化解析を用いた。