脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:7

フロスの使用に脳梗塞の予防効果?

 デンタルフロス(以下、フロス)の使用は、口腔衛生の維持だけでなく、脳の健康維持にも役立つようだ。米サウスカロライナ大学医学部神経学分野のSouvik Sen氏らによる新たな研究で、フロスを週に1回以上使う人では、使わない人に比べて脳梗塞(虚血性脳卒中)リスクが有意に低いことが示された。この研究結果は、米国脳卒中学会(ASA)の国際脳卒中学会議(ISC 2025、2月5〜7日、米ロサンゼルス)で発表され、要旨が「Stroke」に1月30日掲載された。  この研究では、アテローム性動脈硬化リスクに関する集団ベースの前向き研究であるARIC研究のデータを用いて、フロスの使用と脳梗塞(血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症、ラクナ梗塞)および心房細動(AF)との関連が検討された。対象者は、ARIC研究参加者から抽出した、脳梗塞の既往がない6,278人(うち6,108人にはAFの既往もなし)とした。対象者の65%(脳梗塞の既往がないコホート4,092人、AFの既往がないコホート4,050人)がフロスを使用していた。

急性期脳梗塞、EVT+高気圧酸素治療vs.EVT単独/Lancet

 血管内血栓除去術(EVT)が可能であった主幹動脈閉塞を伴う急性期虚血性脳卒中患者において、高気圧酸素治療(normobaric hyperoxia treatment)の追加は、EVT単独の場合と比較して90日時点の機能的アウトカムが優れ、安全性に関する懸念はみられなかった。中国・首都医科大学のWeili Li氏らOPENS-2 Investigatorsが多施設共同無作為化単盲検シャム対照比較試験の結果を報告した。EVTは急性期虚血性脳卒中の再開通率を改善するが、EVTを受けた患者の約半数は良好な機能的アウトカムを得られない。研究グループは、EVT+高気圧酸素治療が、機能的アウトカムに及ぼす影響を評価した。Lancet誌2025年2月8日号掲載の報告。

脳の健康維持のために患者と医師が問うべき12の質問とは?

 米国神経学会(AAN)の「脳の健康イニシアチブ(Brain Health Initiative)は、人生のあらゆる段階において脳の健康に影響を与える12の要因についてまとめた論文を、「Neurology」に2024年12月16日発表した。論文には、神経科医が患者の脳の健康を向上させるために活用できる、スクリーニング評価や予防的介入の実践的アプローチに関する内容も含まれている。  脳の健康に関わる12の要因、およびそれを評価するための質問は、以下の通りである。これらについて自分自身に問うとともに、医師とも話し合うとよいだろう。

中/遠位血管閉塞による脳卒中、血管内治療は機能障害を改善せず/NEJM

 中大脳動脈(MCA)のdominant M2区域の急性閉塞に対する血管内治療(EVT)の有効性を示唆する無作為化試験のエビデンスがあるが、現在の米国および欧州のガイドラインでは、中血管または遠位血管の閉塞を有する虚血性脳卒中に対してEVTは推奨されず、禁忌ともされていないという。スイス・バーゼル大学病院のMarios Psychogios氏らDISTAL Investigatorsは、DISTAL試験において、中血管または遠位血管の閉塞による虚血性脳卒中患者の治療では、最良の内科治療単独と比較して、これにEVTを併用しても、機能障害レベルを改善せず、重篤な有害事象や死亡率の低下をもたらさないことを示した。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2025年2月5日号に掲載された。

MCI高齢者に対するVR介入の有効性〜メタ解析

 アルツハイマー病は、根治不能な疾患であるが、軽度認知障害(MCI)の段階で仮想現実(VR)を用いた介入を行うことで、認知症の進行を遅らせる可能性がある。中国・上海交通大学のQin Yang氏らは、MCI高齢者におけるVRの有効性を明らかにするため、ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Medical Internet Research誌2025年1月10日号の報告。  2023年12月30日までに公表された研究をWeb of Science、PubMed、Embase、Ovidよりシステマティックに検索した。対象研究は、55歳以上のMCI高齢者の認知機能、気分、QOL、体力に対するVRベース介入を自己報告で評価したRCT。調査されたアウトカムには、一般的な認知機能、記憶力、注意力/情報処理速度、実行機能、言語機能、視空間能力、うつ病、日常生活能力、筋力パフォーマンス、歩行/バランスなどを含めた。2人の独立した担当者により、特定された論文と関連レビューの検索結果およびリファレンスリストをスクリーニングした。介入の構成要素と使用された実施および行動変化の手法に関するデータを抽出した。適格基準を満たした場合に、メタ解析、バイアスリスク感度分析、サブグループ解析を実施し、潜在的なモデレーターを調査した。エビデンスの質の評価には、GRADEアプローチを用いた。

中血管閉塞脳卒中への血管内治療、アウトカムを改善せず/NEJM

 中血管閉塞を伴う急性期虚血性脳卒中患者に対する発症12時間以内の血管内血栓除去術(EVT)は、標準治療(現行ガイドラインに基づく静脈内血栓溶解療法)と比較して90日時点のアウトカム改善に結び付かなかったことが、カナダ・カルガリー大学のM. Goyal氏らESCAPE-MeVO Investigatorsが行った第III相多施設共同前向き無作為化非盲検評価者盲検試験の結果で示された。主幹動脈閉塞を伴う急性期虚血性脳卒中患者にはEVTが有効であるが、中血管閉塞を伴う急性期虚血性脳卒中患者にも当てはまるかどうかは不明であった。NEJM誌オンライン版2025年2月5日号掲載の報告。

日本における片頭痛治療パターン、急性期治療薬の過剰処方の可能性

 長岡技術科学大学の勝木 将人氏らは、日本における18歳以上の成人片頭痛患者に対する治療パターンを明らかにするため、メディカルビッグデータREZULTのデータベースを用いて、検討を行った。Cureus誌2024年12月18日号の報告。  REZULTデータベースの従業員ベースのレセプトデータを用いて、次の2つの要素について検討を行った。1つ目の要素(研究1)は、2020年に片頭痛と診断された患者における急性期治療薬の過剰処方率を評価するための横断的分析として実施した。過剰処方の定義は、トリプタンとNSAIDs、複数の薬剤の併用が90日以内に30錠以上または同一期間におけるNSAIDs単独で45錠以上とした。2つ目の要素(研究2)は、2010年7月〜2022年4月、初回片頭痛診断から2年以上にわたり患者フォローアップを行った縦断的分析として実施した。処方された錠数は、90日ごとに記録した。

スタチンと認知症リスクに関するメタ分析、最も顕著な予防作用が示された薬剤は

 世界の認知症患者数は、5,500万例に達するといわれており、2050年までに3倍に増加すると推定されている。心血管系への効果を期待し広く用いられているスタチンには、神経保護作用があるとされているが、認知症リスクに対する影響については、相反する結果が報告されている。ブラジル・アマゾナス連邦大学のFernando Luiz Westphal Filho氏らは、スタチンと認知症リスクとの関連を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Alzheimer's & Dementia誌2025年1月16日号の報告。

認知症ケアの方法間の比較:カウンターフレンチと、無農薬の農家レストランと、町の定食屋(解説:岡村毅氏)

 認知症と診断された人をどうやってケアするのがよいか、という実際的な研究である。1番目の群は「医療」で働いている専門家が、本人に合ったケアをコーディネートしてくれる。2番目の群は「地域」で働いている専門家が、いろいろとつないだりアドバイスしてくれる。3番目の群は、通常のケアである。これらを、認知症の行動心理症状(もの忘れ等の中核的な症状ではなく、たとえば、興奮とか妄想とか、介護者が最も困るもの)をメインアウトカムとして比較している。

アルツハイマー病患者に対する有酸素運動のベネフィット/BMJ Open

 アルツハイマー病患者の認知機能や実行機能に対する身体活動の影響は、数多くの研究で調査されているものの、その結果は完全に一致しているとはいえない。また、特定のトレーニングや使用する評価ツールに関する研究も、不十分である。中国・湖南渉外経済学院のLinlin Yang氏らは、有酸素運動がアルツハイマー病患者のQOL、認知機能、抑うつ症状に及ぼす影響を調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。BMJ Open誌2025年1月11日号の報告。  対象研究には、アルツハイマー病患者に対する介入として有酸素運動を用いたすべてのランダム化比較試験(RCT)を含めた。2024年3月12日までに公表された研究を、PubMed、Web of Science、Cochrane Library、EMBASE、Scopus、CINAHL、CNKIより、システマティックに検索した。2人の独立した著者により、定義された手法を用いてデータ選択、検索を行った。バイアスリスク、システマティックレビューおよびメタ解析、エビデンスの確実性の評価には、それぞれCochrane risk of bias tool、ランダム効果モデル、GRADE(Grading of Recommendations Assessment Development and Evaluation)ツールを用いた。研究間の異質性を評価するため、Stata MP V.18.0およびV.14.0を用いてメタ回帰を実施した。標準化平均差(SMD)および95%信頼区間(CI)を算出した。データは、Cochrane CollaborationのReview Manager V.5.4を用いてレビューした。結果の安定性および信頼性を確認するため感度分析を実施し、出版バイアスを確認するためファンネルプロットおよびEgger's testを用いた。出版バイアスの修正および評価には、Duval and Tweedie clipping methodを用いた。