脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:6

とくに注意すべき血液検査のパニック値とは?死亡事例の分析と提言~医療安全調査機構

 日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)は、血液検査パニック値が関与していた死亡事例の分析を実施し、事故防止のための提言(医療事故の再発防止に向けた提言 第20号)を公表した(2024年12月)。パニック値とは「生命が危ぶまれるほど危険な状態にあることを示唆する異常値」とされ、緊急異常値や緊急報告検査値などとも呼ばれる。今回、死亡に至った過程で血液検査パニック値が関与していた12事例が分析対象とされ、分析を基に5つの提言が示された。

日本人の認知症予防に有効な緑茶やコーヒーの摂取量は

 緑茶やコーヒーには認知機能低下の予防効果があることが報告されているが、認知機能に対する長期的な影響は、よくわかっていない。慶應義塾大学の是木 明宏氏らは、中年期における緑茶やコーヒーの摂取が認知症予防に及ぼす影響を調査した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2025年1月8日号の報告。  JPHC佐久メンタルヘルスコホートには、1,155人(1995年時点の年齢:44〜66歳)の参加者が含まれた。参加者の緑茶およびコーヒーの摂取量は、1995年と2000年のアンケートにより評価した。認知機能レベルは、2014〜15年に神経心理学的評価を行った。有意な認知機能低下(マルチドメイン認知機能低下およびより重篤な状態と定義)を従属変数としてロジスティック回帰分析を行った。性別および年齢による層別化解析も行った。

急性期脳梗塞、血管内再灌流後にウロキナーゼ動注は有効か?/JAMA

 主幹動脈閉塞を伴う急性期虚血性脳卒中で、最終健常確認後24時間以内に血管内血栓除去術を受け、ほぼ完全または完全な再灌流が達成され静脈内血栓溶解療法歴のない患者に対し、ウロキナーゼ動脈内投与(動注)を追加しても90日後の機能障害のない生存は改善しなかった。中国・重慶医科大学附属第二医院のChang Liu氏らPOST-UK investigatorsが、中国の35施設で実施した医師主導の無作為化非盲検評価者盲検試験「Adjunctive Intra-Arterial Urokinase After Near- Complete to Complete Reperfusion for Acute Ischemic Stroke(POST-UK)試験」の結果を報告した。末梢動脈および微小循環における持続性または新たな血栓は、介入後の梗塞を促進し神経学的回復の可能性を低下させる恐れがあるが、血管内血栓除去術後の動脈内血栓溶解療法が、機能障害のない生存を高める有望な戦略となることが第IIb相臨床試験「CHOICE試験」で示されていた。JAMA誌オンライン版2025年1月13日号掲載の報告。

脳梗塞治療は完全に心筋梗塞治療の後追い?(解説:後藤信哉氏)

血栓溶解療法による心筋梗塞の予後改善効果を示す論文は、循環器領域にて大きなインパクトがあった。しかし、経皮的カテーテル治療(percutaneous coronary intervention:PCI)が標準治療となり、血栓溶解療法は標準治療とはならなかった。PCIをしても冠動脈内各所に血栓は残る。線溶療法にて血栓を取り切るほうが良いかも? との仮説は循環器領域でも生まれた。しかしPCIに線溶療法を追加すると、むしろ予後は悪化する場合が多かった。医師は線溶効果を期待して線溶薬を投与するが、ヒトの身体には恒常性維持機能がある。線溶が亢進して身体が出血方向に傾けば、血栓性が亢進して止血方向の作用も生まれる。現在は線溶薬による凝固系亢進メカニズムも詳しく理解されるようになった。

急性期脳梗塞、再灌流後のtenecteplase動注は有益か/JAMA

 主幹動脈閉塞を伴う急性期脳梗塞を発症し、最終健常確認時刻から24時間以内に血管内血栓除去術(EVT)を受け、ほぼ完全または完全な再灌流を達成した患者において、補助的なtenecteplase動脈内投与(動注)は、90日時点の障害なしの患者の割合を有意に増加させなかった。中国・重慶医科大学附属第二医院のJiacheng Huang氏らPOST-TNK Investigatorsが無作為化試験「POST-TNK試験」の結果を報告した。JAMA誌オンライン版2025年1月13日号掲載の報告。

日本における片頭痛診療の現状、今求められることとは

 日本では、片頭痛を治療する医療機関および医師の専門分野における実際の治療パターンに関する調査は十分に行われていない。慶應義塾大学の滝沢 翼氏らは、日本の片頭痛患者の実際の臨床診療および治療パターンを医療機関や医師の専門分野別に評価するため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。PLoS One誌2024年12月19日号の報告。  2018年1月〜2023年6月のJMDC Incより匿名化された片頭痛患者のレセプトデータを収集した。片頭痛を治療する医療機関および医師の専門分野別に患者の特性や治療パターンを評価した。

身近な血圧計から心房細動の早期発見に寄与する新システム発表/オムロン

 オムロンヘルスケアは、血圧測定時に同時に得られるバイタルデータを解析することで「脈の乱れ」をを検知するシステムの完成に合わせ、プレセミナーを開催した。  セミナーでは、心房細動(AF)におけるバイタルデータの重要性や開発された血圧測定でAFのリスク検出をする次世代アルゴリズム“Intellisense AFib”の説明が行われた。  「脳・心血管イベントの抑制における心房細動管理の重要性」をテーマに清水 渉氏(日本医科大学大学院医学研究科循環器内科学分野 教授)がAFの発症リスクと家庭におけるバイタルデータ計測の重要性について、説明を行った。

緑茶に認知症予防効果?~65歳以上の日本人約9千人の脳を解析

 緑茶の摂取が認知症の予防につながる可能性が報告された。柴田 修太郎氏(金沢大学医薬保健学総合研究科 脳神経内科学)らの研究グループは、認知症のない65歳以上の日本人を対象として、緑茶およびコーヒーの摂取量と脳MRIの関係を検討した。その結果、緑茶の摂取量が多いほど、脳白質病変容積が小さい傾向にあった。一方、コーヒーには脳MRIの解析結果との関連はみられなかった。本研究結果は、npj Science of Food誌2025年1月7日号に掲載された。  健康長寿社会の実現を目指し、65歳以上の1万人超を対象として実施されている認知症コホート研究「JPSC-AD研究」の参加者のうち、認知症がなく脳MRIデータを取得できた8,766人を対象として、本研究を実施した。対象者を緑茶、コーヒーの1日当たりの摂取量(200mL以下、201~400mL、401~600mL、601mL以上)で分類し、脳白質病変、海馬、全脳の容積との関連を検討した。

てんかん患者は網膜の神経軸索脱落が速い

 てんかんは、光干渉断層撮影(OCT)で観察される網膜神経軸索の脱落と関連しており、若年患者でも明らかな網膜の変化が見られることが知られている。また、てんかん患者における網膜神経軸索脱落の程度が、発作頻度や多剤併用療法と関連するとの報告もある。しかし縦断的研究が少ないことから、網膜変化の進行速度や発作頻度が与える影響については不明な点が多かった。ミュンヘン大学病院(ドイツ)のLivia Stauner氏らは、てんかん患者と健常者を対象に網膜の神経軸索脱落に関する追跡調査を実施。その結果の詳細が10月9日、「Epilepsia」に掲載された。

日本初、認知症診療支援のための神経心理検査用プログラム発売

 大塚製薬とアイ・ブレインサイエンスは、認知症の診療支援のための神経心理検査用プログラム(商品名:ミレボ)について、2025年1月1日付で認知症領域のSaMD(Software as a Medical Device、プログラム医療機器)として初めて保険適用を取得し、1月14日より販売を開始した。  ミレボは、アイトラッキング(視線計測)技術を用いて行う神経心理検査用プログラムである。タブレット端末にインストールしたアプリ「ミレボ」を用いることにより、約3分で簡便に検査を行い、客観的な検査結果を得ることができる。また、画面に表示される質問に沿って被検者が正解の箇所を見つめることにより、データが自動的にスコア化され、定量的かつ検査者の知識や経験に依存せず客観的に評価することが可能になる。