脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

砂糖の取り過ぎは認知症リスクと関連するか

 過剰な糖質の摂取は、認知症リスクの上昇と関連しているといわれているが、これまでの研究ではサンプル数が少なく、糖質の総量に着目しているため、特定の糖質サブタイプに関する調査は限られていた。中国・西安交通大学のYue Che氏らは、糖質の摂取量およびサブタイプと認知症リスクとの関係を評価するため、プロスペクティブコホート研究を実施した。The Journal of Prevention of Alzheimer's Disease誌オンライン版2025年7月31日号の報告。  英国バイオバンク参加者のうち、24時間食事回想法を1回以上実施した17万2,516人を対象に分析を行った。糖質の総量およびサブタイプ(遊離糖、果糖、ブドウ糖、ショ糖、麦芽糖、乳糖、その他の糖類)について、Cox比例ハザードモデルを用いて、認知症リスクに関するハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定した。性別による層別化分析も実施した。

AIチャットボットによるてんかん教育介入の効果、「えぴろぼ」の実用性と今後の課題

 てんかんを正しく理解し、偏見なく接する社会をつくるには、患者本人だけでなく周囲の人々の知識と意識の向上が欠かせない。こうした中、患者やその支援者にてんかんに関する情報や心理的サポートを提供する新しい試みとして、人工知能(AI)を活用したチャットボット「えぴろぼ」が登場した。今回、「えぴろぼ」の利用によって、てんかん患者に対する態度の改善や疾患知識の向上が認められたとする研究結果が報告された。研究は、国立精神・神経医療研究センター病院てんかん診療部の倉持泉氏らによるもので、詳細は「Epilepsia Open」に7月28日掲載された。

心房細動と動脈硬化、MRIで異なる脳血管病変示す/ESC2025

 心房細動(AF)とアテローム性動脈硬化症(以下、動脈硬化)は、一般集団と比較して脳血管病変の発生率を高める。今回、AF患者は動脈硬化患者と比較して、非ラクナ型脳梗塞、多発脳梗塞、重度の脳室周囲白質病変の発生頻度が高いことが明らかになった。本研究結果はカナダ・マクマスター大学のTina Stegmann氏らが8月29日~9月1日にスペイン・マドリードで開催されたEuropean Society of Cardiology 2025(ESC2025、欧州心臓病学会)の心房細動のセッションで発表し、European Heart Journal誌オンライン版2025年8月29日号に同時掲載された。

男女間におけるレビー小体とアルツハイマーにおける認知機能低下の違い

 カナダ・Sunnybrook Research InstituteのMadeline Wood Alexander氏らは、アルツハイマー型認知症(AD)とレビー小体型認知症(LBD)の神経病理および認知機能低下に対する性別や閉経年齢の影響を調査した。Annals of Neurology誌オンライン版2025年7月11日号の報告。  Rush Alzheimer's Disease Centerの3つのコホート(Religious Orders研究、Rush Memory and Aging Project、Minority Aging Research研究)およびNational Alzheimer's Coordinating Centerの神経病理データセットを用いて、分析を行った。LBD(大脳新皮質/辺縁系型vs.非大脳新皮質型)とADの神経病理学的評価には、神経斑(ジストロフィー性神経突起により囲まれているβアミロイド斑)と神経原線維変化を含めた。各データセットにおいて、LBDと性別が神経斑、神経原線維変化、認知機能低下に及ぼす相互の影響を検証した。さらに、Rushデータセットを用いて、女性の自然閉経年齢がLBDと神経斑、神経原線維変化、認知機能低下との関連を変化させるかを検証した。

カフェインの摂取量を増やすと認知機能が向上

 カフェインは、中枢神経刺激を目的に使用されることが一般的であり、神経保護作用を有するとされるが、認知機能との関連性についての集団研究によるエビデンスは限られている。中国・山西医科大学のXiaoli Wang氏らは、米国の60歳以上の成人におけるカフェイン摂取と認知機能との関連を評価した。Journal of Human Nutrition and Dietetics誌2025年8月号の報告。  2011〜14年の米国国民健康栄養調査(NHANES)データに基づき、60歳以上の米国成人2,461人を対象として、本研究を実施した。カフェイン摂取量の評価には24時間食事想起法、認知機能の評価にはアルツハイマー病登録コンソーシアム(CERAD)、動物流暢性検査(AFT)、数字符号置換検査(DSST)から得られた複合スコアを用いた。カフェイン摂取量と認知機能との関連性を評価するため、多変量ロジスティック回帰モデルを用いた。制限付き3次スプライン(RCS)を用いて用量反応関係を検討し、サブグループ解析および感度分析を実施した。

より長く、より速く歩くことが心臓の健康に有益

 毎日の散歩の距離を増やして歩くペースを上げると、高血圧に関連する心臓病や脳卒中のリスクを減らすのに役立つ可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。1日の歩数が2,300歩程度の場合と比較して、1,000歩増えるごとに心筋梗塞、心不全、脳卒中のリスクが低下することが明らかになったという。シドニー大学(オーストラリア)マッケンジー・ウェアラブル研究ハブ所長のEmmanuel Stamatakis氏らによるこの研究の詳細は、「European Journal of Preventive Cardiology」に8月6日掲載された。Stamatakis氏は、「これらの研究結果は、たとえ一般に推奨されている目標である1日1万歩を下回る運動量であっても、身体活動を行うことが有益であることを裏付けている」と欧州心臓病学会(ESC)のニュースリリースの中で述べている。

起立時のめまいや動悸に心不全治療薬が有効かも

 立ち上がったときに動悸やめまい、ふらつきを感じたことはないだろうか。これは、体位性頻脈症候群(POTS)と呼ばれる症状で、上記の症状に加え、疲労感や運動障害、胸痛、ブレインフォグ、吐き気などを伴うこともある。新たなパイロット研究の結果によると、イバブラジンと呼ばれる心不全治療薬が、POTS患者の心拍数の増加を抑え、血圧には影響を与えずに他の症状を大幅に改善する可能性のあることが示された。米バージニア大学保健学部のAntonio Abbate氏らによるこの研究結果は、「Journal of Cardiovascular Pharmacology」7月号に掲載された。  Abbate氏は、「これらの結果は、不適切な心拍数の増加こそが不調の原因であり、血圧に影響しない薬により心拍数を減らすことで生活の質(QOL)に違いをもたらすことができることを示唆している」とバージニア大学のニュースリリースの中で述べている。

BPSDに対する非薬理学的介護者介入の比較〜ネットワークメタ解析

 認知症の行動・心理症状(BPSD)の軽減に非薬理学的な介護者介入は有用であるが、最も効果的な非薬理学的介入は、依然として明らかとなっていない。中国・杭州師範大学のXiangfei Meng氏らは、BPSDに対するさまざまな介護者介入とそれらの症状に対する介護者の反応を比較するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。International Journal of Nursing Studies誌2025年10月号の報告。  2023年10月18日までに公表された研究を、PubMed、Embase、Cochrane Library、Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature(CINAHL)、PsycINFOよりシステマティックに検索した。バイアスリスクの評価にはRoB2、エビデンスの信頼性の評価にはCINeMA(Confidence in Network Meta-Analysis)を用いた。頻度主義的枠組みを用いたランダム効果ネットワークメタアナリシスを実施した。主要評価項目は、BPSD症状およびBPSDに関連する介護者の反応とした。