脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

脳内出血24時間以内の低侵襲血腫除去術、180日アウトカム良好/NEJM

 急性期脳内出血後24時間以内に手術が可能だった患者において、低侵襲血腫除去術はガイドラインに基づく内科的管理に比べ、180日時点の機能的アウトカムが良好であることが示された。米国・エモリー大学のGustavo Pradilla氏らによる300例を対象とした多施設共同無作為化試験の結果で、著者らは「脳葉出血への介入が手術の効果に寄与しているものと思われる」と述べている。先行研究では、テント上脳内出血の外科的除去の試験は、概して機能への効果がないことが示されている。早期の低侵襲外科的除去により、内科的管理よりも良好なアウトカムが得られるかは明らかになっていなかった。NEJM誌2024年4月11日号掲載の報告。

認知機能低下の高齢者における活動時の疼痛の特徴

 神戸学院大学の中田 健太氏らは、アビー痛みスケール(APS)を用いて、認知機能が低下している高齢者の運動および活動に伴う疼痛を評価し、活動時の疼痛を効果的に反映するサブ項目を特定しようと試みた。Journal of Pain Research誌2024年3月5日号の報告。  富山県・池田リハビリテーション病院の筋骨格系疾患および認知機能低下を有する高齢患者225例を対象に横断的研究を実施した。歩行中または移動中の疼痛の評価には、言語式評価スケール(VRS)およびAPSを用いた。疼痛の有無や程度を最も正確に反映するAPSサブ項目を特定するため項目反応理論(IRT)を用いた。

レビー小体型認知症に対するドネペジルの有用性~国内第IV相試験

 ドネペジルは日本において、レビー小体型認知症(DLB)に対する治療薬として承認された。大阪大学の森 悦朗氏らは、DLBに対するドネペジルの有効性を評価するため、12週間の二重盲検期間における全体的な臨床症状に焦点を当てた第IV相試験の結果を報告した。Psychogeriatrics誌オンライン版2024年3月4日号の報告。  DLBが疑われる患者をプラセボ群(79例)またはドネペジル10mg群(81例)にランダムに割り付けた。主要エンドポイントは、臨床面接による認知症変化印象尺度-介護者入力(Clinician's Interview-Based Impression of Change plus Caregiver Input:CIBIC-plus)を用いて評価した全体的な臨床症状の変化とした。また、CIBIC-plusの4つの領域(全身状態、認知機能、行動、日常生活活動)およびミニメンタルステート検査(MMSE)、Neuropsychiatric Inventory(NPI)で測定した認知機能障害と行動および精神神経症状の変化も評価した。

早期アルツハイマー病に対するレカネマブの費用対効果

 2023年1月、米国FDAより軽度認知障害(MCI)またはアルツハイマー病による軽度認知症に対する治療薬としてモノクローナル抗体レカネマブが承認された。しかし、認知症に対するレカネマブの費用対効果は、不明なままである。カナダ・Memorial University of NewfoundlandのHai V. Nguyen氏らは、レカネマブの費用対効果およびアルツハイマー病の検査制度とAPOE ε4の状況によりどのように変化するかを定量化するため、本研究を実施した。Neurology誌2024年4月9日号の報告。  検査アプローチ(PET、CSF、血漿アッセイ)、治療法の選択(標準的治療、レカネマブ併用)、ターゲティング戦略(APOE ε4非キャリアまたはヘテロ接合性患者を特定するか否か)の組み合わせにより定義した7つの診断治療戦略について比較した。有効性は、クオリティ調整された生存年数により測定し、第3者および社会の観点から生涯期間にわたるコスト(2022年米国ドル)を推定した。次の5つの状態でhybrid decision tree-Markov cohort modelを構成した。(1)MCI(臨床的認知症重症度判定尺度[Clinical Dementia Rating Sum of Boxes:CDR-SB]スコア:0~4.5)、(2)軽度認知症(CDR-SBスコア:4.6~9.5)、(3)中等度認知症(CDR-SBスコア:9.6~16)、(4)高度認知症(CDR-SBスコア:16超)(5)死亡

推奨レベル以下の身体活動でも脳卒中リスクは低下する

 少し体を動かすだけでも、カウチポテト族のように怠惰に過ごすよりは脳卒中の予防に役立つようだ。身体活動レベルがガイドラインで推奨されているレベルに達していなくても、運動をしない人に比べると脳卒中リスクは18%低下することが、新たな研究で示された。ラクイラ大学(イタリア)バイオテクノロジー・応用臨床科学分野のRaffaele Ornello氏らによるこの研究の詳細は、BMJ社発行の「Journal of Neurology, Neurosurgery & Psychiatry」に3月5日掲載された。

塩分摂取と認知症リスク~メンデルランダム化研究

 観察研究では、食事による塩分摂取と認知症の発症リスクに潜在的な関連性があることが示唆されている。しかし、これらの研究では、逆因果関係や残留交絡因子の課題が発生しやすいことに注意を払う必要がある。中国・山西医科大学のKe Shi氏らは、塩分摂取と認知症リスクとの因果関係を調査するため、2サンプルメンデルランダム化(MR)研究を実施した。Genes & Nutrition誌2024年3月15日号の報告。  食事による塩分摂取と認知症リスクとの因果関係を調査するため、MR研究にサマリー統計を組み込んだ。塩分摂取と全体的な認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症など、さまざまなタイプの認知症リスクとの因果関係を推定した。主要なMR分析として、逆分散加重法を用いた。感度分析には、MR-PRESSO法、Leave-one-out法を採用した。多面性および異質性の検証には、MR-Egger intercept、コクランQ検定をそれぞれ用いた。

8人に1人の高齢者が手術後1カ月以内に再入院か

 全身麻酔を要する大手術を受けた高齢者のほぼ8人に1人(12%)が手術後30日以内に、また4分の1以上(28%)が半年以内に再入院していると推定されることが、新たな研究で明らかにされた。フレイル状態の人や認知症の人での再入院リスクはさらに高かったという。米イェール大学医学部外科分野准教授のRobert Becher氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に2月28日掲載された。  この研究では、National Health and Aging Trends Study(NHATS)に参加した65歳以上のメディケア受給者のデータを用いて、大手術後30日以内と180日以内の再入院率が推定された。大手術は、全身麻酔を用いて手術室で行われる、非経皮的かつ非内視鏡的な侵襲的手術と定義し、手術部位により6つのカテゴリー〔筋骨格系、腹部(消化器も含む)、血管、脳神経、心胸部、その他〕に分類した。NHATS参加者のうち、1,477人(平均年齢79.5歳、女性56%)が2011年から2018年の間に総計1,780件(全国レベルでは955万6,171件)の大手術を受けていた。

高齢入院患者のせん妄、認知症リスクが増加/BMJ

 認知症がなく、せん妄のエピソードを少なくとも1回経験している65歳以上の入院患者が初発の認知症の診断を受けるリスクは、せん妄のない患者のほぼ3倍に達し、せん妄のエピソードが1回増えるごとにリスクが20%増加することが、オーストラリア・クイーンズランド大学のEmily H. Gordon氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年3月27日号で報告された。  研究グループは、認知症のない高齢患者におけるせん妄と認知症発症との関連を評価する目的で、後ろ向きコホート研究を行った(オーストラリア国立保健医療研究評議会[NHMRC]の助成を受けた)。

3つのプロゲストーゲン、髄膜腫の新たなリスク因子に/BMJ

 高用量プロゲストーゲン(nomegestrol acetate、クロルマジノン、cyproterone acetate)は、頭蓋内髄膜腫のリスク因子として知られているが、他の多くのプロゲストーゲンのリスクの評価はなされていなかった。French National HealthのNoemie Roland氏らは、今回、新たにmedrogestone、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル、promegestoneの長期使用が髄膜腫の過剰なリスクと関連し、プロゲステロン、ジドロゲステロン、子宮内レボノルゲストレル放出システムにはリスクの上昇はみられず安全であることを示した。研究の成果は、BMJ誌2024年3月27日号に掲載された。

米国頭痛学会声明、片頭痛に対するCGRP標的療法の位置付け

 これまで第1選択治療として考えられてきたすべての片頭痛の予防的治療は、他の適応症のために開発され、その後片頭痛予防にも採用されている。これらの治療法は、有効性および忍容性の問題によりアドヒアランス低下が懸念されていた。前臨床および臨床エビデンスよりカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が片頭痛発症に重要な役割を果たしていることが示唆され、いくつかの片頭痛特異的な治療法が開発された。これらのCGRPをターゲットとした治療法は、片頭痛のマネジメントに革新的な影響を及ぼしたものの、第1選択治療として広く普及しているとはいえない。米国・UCLA Goldberg Migraine ProgramのAndrew C. Charles氏らは、米国頭痛学会から表明された片頭痛予防に対するカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)をターゲットとした治療法に関する最新情報を報告した。Headache誌オンライン版2024年3月11日号の報告。