内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:168

アルツハイマー病治療薬レカネマブ、厚労省専門部会が薬事承認を了承/エーザイ・バイオジェン

 2023年8月21日、lecanemab(一般名:レカネマブ、商品名:レケンビ点滴静注200mg/同500mg、以下「レカネマブ」)は、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会において製造販売承認が了承された。今回の了承に際して、エーザイとBiogen(米国)は共同ステートメントを発表し、「厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会において、レカネマブの早期アルツハイマー病治療薬としての製造販売承認が了承されたことは、わが国のアルツハイマー病治療における大きな前進であると受け止めている」とした。

飲酒で発症リスクが上がるがん、下がるがん~女性80万人の前向き研究

 アルコール摂取は一部のがん発症リスクの増加や減少に関連していると考えられている。今回、英国・オックスフォード大学のSarah Floud氏らが、前向き研究であるUK Million Women Studyで調査したところ、アルコール摂取量が増えると、上部気道・消化管がん、乳がん、大腸がん、膵臓がんのリスクが増加し、甲状腺がん、非ホジキンリンパ腫、腎細胞がん、多発性骨髄腫のリスクが低下する可能性が示された。また、この関連は、上部気道・消化器がんを除いて、喫煙、BMI、更年期ホルモン療法による変化はなかった。BMC Cancer誌2023年8月16日号に掲載。

高血圧への第1選択としての利尿薬vs.他の降圧薬~コクランレビュー

高血圧患者における死亡率、心血管イベントの発生率、有害事象による中止率などについて、第1選択薬としてのサイアザイド系利尿薬と他のクラスの降圧薬を比較したシステマティックレビューの結果を、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のMarcia Reinhart氏らがThe Cochrane Database of Systematic Reviews誌2023年7月13日号に報告した。  2021年3月までのCochrane Hypertension Specialized Register、CENTRAL、MEDLINE、Embase、および臨床試験登録が検索された。対象は1年以上の無作為化比較試験で、第1選択薬としての利尿薬と他の降圧薬の比較、および死亡率とその他のアウトカム(重篤な有害事象、総心血管系イベント、脳卒中、冠動脈性心疾患[CHD]、うっ血性心不全、有害作用による中止)が明確に定義されているものとした。

外来・入院・集中治療別マネジメントを記載、COVID-19診療の手引き第10.0版/厚労省

 厚生労働省は8月21日、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第10.0版」を公開し、全国の自治体や関係機関に通知した。2023年2月に公開された第9.0版以来、5類移行後初めての改訂となる本版は、オミクロン株に置き換わって以降の国内外の知見が反映され、よりコンパクトな内容になっている。とくに外来診療にも役立てられるよう、第4章では、前版までは重症度別に記載されていたマネジメントが、「外来診療」「入院診療」「集中治療」別にまとめなおされている。また、本手引きを基に作成された「COVID-19 外来診療の基礎知識」の表も公開された。

筋トレは方法次第で1日3秒、週3日で効果あり!?

 「筋力トレーニングはつらいので嫌い」という人は、少なくないだろう。しかし1日3秒、週3日で効果があるとしたらどうだろうか。新潟医療福祉大学とオーストラリア・Edith Cowan Universityの研究グループは、1日3秒、週3日の全力の伸張性収縮(重りをゆっくりと降ろすなどの運動)を4週間実施することで、筋力が増加することを明らかにした。本研究結果は、吉田 麗玖氏(間庭整形外科医院)らによってEuropean Journal of Applied Physiology誌オンライン版2023年7月28日号で報告された。  健康な大学生26人を対象として、全力の伸張性収縮を1日3秒、週2日実施する群(週2日群)と1日3秒、週3日実施する群(週3日群)に均等に割り付け、4週間のトレーニングを実施した。4週間のトレーニング前後における短縮性収縮、等尺性収縮、伸張性収縮時の随時最大筋力の変化を群間比較した。また、上腕二頭筋、上腕筋の筋厚の変化も比較した。これらの結果は、先行研究において1日3秒、週5日のトレーニングを4週間実施した群(週5日群)とも比較した。

モデルナXBB対応コロナワクチン、新変異株EG.5やFL.1.5.1にも有効

 米国・Moderna社は8月17日付のプレスリリースにて、2023年秋の新型コロナワクチン接種に向けて承認申請中のXBB系統対応ワクチン(mRNA-1273.815)について、予備的臨床試験で、全世界で感染が拡大している新たな変異株EG.5およびFL.1.5.1に対して、中和抗体の有意な増加が確認されたことを発表した。本結果により、同社の新たなワクチンが、今季流行が懸念される変異株にも効果的であることが示唆された。  新たな変異株であるEG.5は「エリス」とも呼ばれ、世界保健機関(WHO)は8月9日にこの変異株を含むEG.5系統を「注目すべき変異株(VOI)」に指定した。EG.5はXBB.1.9.2の子孫系統であり、XBB.1.5と同じスパイクアミノ酸プロファイルを持つ。

アルツハイマー病のリスク因子

 アルツハイマー病は最も一般的な認知症であるが、その原因はいまだ不明である。その理由として、多因子疾患であるアルツハイマー病に関する研究が十分に行われていない可能性が挙げられる。オーストラリア・シドニー大学のMichael Allwright氏らは、UK Biobankのデータセットを用いて、アルツハイマー病に関連する既知のリスク因子をランク付けし、新たな変数を模索するため本研究を実施した。その結果、アルツハイマー病の最も重大なリスク因子は、APOE4対立遺伝子の保有であることが再確認された。APOE4キャリアにおける新たなリスク因子として肝疾患が抽出された一方で、「不眠/不眠症」は、APOE4のステータスとは無関係にアルツハイマー病の予防効果が確認された。著者らは、肝疾患を含む併存疾患の将来的な治療により、アルツハイマー病のリスクが同時に低下する可能性があるとしている。Aging Brain誌2023年6月17日号の報告。

医療者のメンタルヘルス、1日20分の在宅運動で改善

 COVID-19のパンデミック中、医療従事者のメンタルヘルスは著しく低下したことが報告されている。医療従事者を対象に、アプリを使った在宅運動プログラムの介入を行い、メンタルヘルスが改善するかどうかを見た試験の結果が、JAMA Psychiatry誌オンライン版2023年8月9日号に掲載された。  ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)のVincent Gosselin Boucher氏らの研究チームは2022年4月6日~7月4日に同エリアの医療機関において参加者を募集した。参加者は指定のアプリを使い、自重インターバルトレーニング、ヨガ、バー運動など、在宅で行う20分/日、週4回の運動を、12週間継続するように求められた。運動に対するアドヒアランスはアプリ利用時間から測定した。

高齢コロナ感染者の退院後死亡率、インフルより高い/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院後に生存退院した米国の65歳以上の高齢者(メディケア受給者)88万3,394人を含む後ろ向きコホート研究で、インフルエンザで入院後に生存退院した高齢者と比較した結果、COVID-19で入院した高齢者の生存退院後の死亡リスクが高率であったことが、米国・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのAndrew S. Oseran氏らにより明らかにされた。ただし、両者の差は退院後の早期においてみられるものであり、同死亡リスクはパンデミックの経過と共に漸減していたという。BMJ誌2023年8月9日号掲載の報告。

HIVはコンドーム無しのセックスでもうつりません―How low viral load is low enough for HIV zero transmission(解説:岡慎一氏)

HIVはセックスでうつるので、コンドームで予防しましょう。これは、わが国で40年間言われ続けている予防法である。「HIVが感染したのは、コンドームの使い方が悪かったからだ」と、使い方まで事細かに指導されてきた。しかし、感染は減らなかった。曝露前予防(PrEP)の有効性が確認されると、「PrEPでコンドームの使用が減るので、ほかの性感染症が増える」と、PrEPを批判する人まで出てくる始末である。コンドームを使うなとは言わないが、口からでもうつる梅毒はコンドームでは防げない。ほかの性感染症もしかり。この10年、HIV感染予防に有効なのは、コンドームではなく「治療でウイルス量を下げることだ」ということが、多くの臨床研究から明らかになってきた。