内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:169

心不全へのARNI、日本人での安全性が明らかに(REVIEW-HF)/日本循環器学会

 急性・慢性心不全診療―JCS/JHFSガイドラインフォーカスアップデート版が2020年に発表され、国内における心不全(HF)治療も変化を遂げている。とくにアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)発売の影響は大きいが、そのサクビトリル・バルサルタン(商品名:エンレスト)の治療を受ける国内患者の特徴、忍容性、臨床転帰は明らかにされていない。そこで、金岡 幸嗣朗氏(国立循環器病研究センター)らが全国多施設観察研究の分析を行い、その結果を第88回日本循環器学会年次学術集会 Late Breaking Cohort Studies1にて報告した。

酒で顔が赤くなる人は、コロナ感染リスクが低い?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック時、日本は欧米などと比較して人口当たりの感染率・死亡率が低かったことが報告されている。この要因としては、手洗いやマスクなどの感染予防策が奏効した、日本の高い衛生・医療水準によるものなどの要因が考えられているが、アジア人に多い遺伝子型も一因となっている可能性があるとの報告がなされた。佐賀大学医学部 社会医学講座の高島 賢氏らによって国内で行われた本研究の結果は、Environmental Health and Preventive Medicine誌に2024年3月5日掲載された。  日本人をはじめとした東アジア人には、アルコールを分解するアルデヒド脱水素酵素2型(ALDH2)の活性が弱く、飲酒時に顔が赤くなる特性を持つ人(rs671変異体)が多い。

認知症リスクと喫煙に対する歯の喪失の影響~JAGESコホート研究

 歯の喪失には、さまざまな原因があるが、その原因別に健康への影響を評価した研究は、これまでなかった。東北大学の草間 太郎氏らは、現在また過去の喫煙歴と認知症リスクとの関連が、歯の喪失により媒介されるかを評価した。Journal of Clinical Periodontology誌オンライン版2024年2月7日号の報告。  65歳以上の成人を対象に、9年間のフォローアッププロスペクティブコホート研究を実施した。アウトカムは2013~19年の認知症罹患率、エクスポージャーは2010年の喫煙状況(非喫煙、喫煙歴あり、現在の喫煙)、メディエーターは2013年の残存歯数(19本以下、20本以上)として評価した。媒介分析を用いてCox比例ハザードモデルを適合させ、歯の喪失による認知症発症に対する喫煙の自然間接効果(NIE)のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)、およびそれらの媒介比率を推定した。

日本人の3つの食事パターン、脳が萎縮しやすいのは?

 日本人における食事パターンと脳容積の変化の関連はほとんど調べられていない。今回、国立長寿医療研究センターのShu Zhang氏らが、老化に関する長期縦断疫学研究プロジェクトで日本人の中高年を前向きに調査したところ、伝統的日本食を摂取する女性は、西洋食を摂取する女性より全灰白質の萎縮が少ないことが示された。一方、男性は食事パターンと脳萎縮との関連は認められなかったという。Nutrition Journal誌2024年3月12日号に掲載。

日本における片頭痛患者の治療パターンと特徴

 日本における片頭痛患者にみられる実際の臨床的特徴や治療実践については、十分に調査されていない。慶應義塾大学の滝沢 翼氏らは、近年の片頭痛の臨床実態、現在の治療選択肢では十分にコントロールできていない可能性のある患者の特徴を明らかにするため、レセプトデータベースを用いたレトロスペクティブコホート研究を実施した。The Journal of Headache and Pain誌2024年2月8日号の報告。  大規模レセプトデータシステムJMDCデータベースを用いて、調査を行った。2018年1月~2022年7月に頭痛または片頭痛と診断された患者を対象とした頭痛コホート、頭痛コホート内で片頭痛と診断され片頭痛治療薬を使用した患者を対象とした片頭痛コホートとして定義し、検討を行った。頭痛コホートでは、医療機関の特徴、二次性頭痛を鑑別するための画像検査の状況を検討した。片頭痛コホートでは、急性期およびまたは予防的治療では十分にコントロールできていない可能性のある患者の治療パターン、および特徴を評価した。

運動による死亡リスク低下、女性はより短時間で効果

 身体活動は心血管系および全死因死亡リスクを低下させるために広く推奨されているが、米国疾病予防管理センター(CDC)および米国心臓協会/米国心臓病学会が推奨する身体活動の基準を満たす米国人は全体の4分の1以下で、さらに女性は男性に比べ身体活動の実施量が少ない。では、身体活動による健康増進効果に性差はあるのか。中国・北京清華長庚医院のHongwei Ji氏らによる研究がJournal of the American College of Cardiology誌2024年2月27日号に掲載された。  研究者らは、CDCと国立保健統計センターの統計データを用いて、身体活動に関するデータを提供した米国成人41万2,413例(55%女性、年齢中央値44歳)を対象とした前向き研究を行った。

血糖値や体重のコントロールに最も有効なGLP-1受容体作動薬は? (解説:小川大輔氏)

GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病に対して血糖降下作用や体重減少効果のある優れた治療薬である。セマグルチドやチルゼパチドのほか、日本では発売されていないGLP-1受容体作動薬も含めて、数多くあるGLP-1受容体作動薬の中で血糖コントロールや体重減少効果に対して、最も有効な製剤は何か? その問いに答える論文がBMJ誌に発表された。著者らは成人2型糖尿病患者を対象とし、12週間以上プラセボあるいは他のGLP-1受容体作動薬と比較した無作為化対照試験を抽出した。そのうちクロスオーバー試験、非劣性試験、現在使用されていない薬剤との比較試験などは除外し、基準を満たした76試験のネットワークメタ解析を行った。

早期アルツハイマー病における攻撃的行動と関連する脳の変化

 認知症患者の精神神経症状は、介護者の負担につながり、患者の予後を悪化させる。これまで多くの神経画像研究が行われているものの、精神神経症状の病因学は依然として複雑である。東京慈恵会医科大学の亀山 洋氏らは、脳の構造的非対称性が精神神経症状の発現に影響している可能性があると仮説を立て、本研究を実施した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2024年2月23日号の報告。  アルツハイマー病患者における精神神経症状と脳の非対称性との関連を調査した。対象は、軽度のアルツハイマー病患者121例。日本の多施設共同データベースより、人口統計学的データおよびMRIのデータを収集した。脳の非対称性は、左脳と右脳の灰白質体積を比較することで評価した。精神神経症状の評価には、Neuropsychiatric Inventory(NPI)を用いた。その後、脳の非対称性と精神神経症状との相関関係を包括的に評価した。

高齢者の身体活動量、推奨値を変更/厚労省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」

 厚生労働省は健康・医療・介護分野における身体活動を支援する関係者を対象として、身体活動・運動に関する推奨事項や参考情報をまとめた「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」を2024年1月に公表した。「健康づくりのための身体活動基準 2013」から10年ぶりの改訂となる。同ガイドの改訂に関する検討会で座長を務めた中島 康晴氏(九州大学大学院医学研究院整形外科 教授)に主な改訂点とその背景について話を聞いた。  今回の改訂では、「健康日本21(第三次)」のビジョンの中で示されている「誰一人取り残さない健康づくり(inclusion)」ならびに「より実効性をもつ取組の推進(implementation)」の観点から、ライフステージごと(成人、こども、高齢者)に身体 活動・運動に関する推奨事項をまとめるとともに、「慢性疾患(高血圧、2型糖尿病、脂質異常症、変形性膝関節症)を有する人の身体活動のポイント」「働く人が職場で活動的に過ごすためのポイント」など個人差を踏まえた推奨事項を示している点が大きな特徴。それぞれ2~4ページごとにまとめられており、指導の際のツールとしての使いやすさを考慮して作成されている。

微小プラスチック、心血管イベント・死亡リスク上昇と関連/NEJM

 頸動脈プラークからマイクロプラスチックまたはナノプラスチック(MNP)が検出された患者は、検出されなかった患者と比較して、追跡34ヵ月時点の心筋梗塞、脳卒中、全死因死亡の複合リスクが有意に高かった。イタリア・University of Campania Luigi VanvitelliのRaffaele Marfella氏らが多施設共同の前向き観察試験の結果を報告した。いくつかの研究で、摂取や吸入、皮膚への曝露を通じてMNPが体内に入り込み、細胞組織や臓器に作用することが示されており、MNPは母乳、尿、血液だけでなく、胎盤、肺、肝臓などでも見つかっている。最近行われた前臨床モデル研究では、MNPが心血管疾患の新たなリスク因子であることが示唆されていたが、このリスクがヒトに及ぶという直接的なエビデンスは示されていなかった。NEJM誌2024年3月7日号掲載の報告。