短期間のテストステロン補充療法は心血管イベントを増やさない
短期間のテストステロン補充療法では、心血管イベントのリスクが有意に上昇することはないとする論文が発表された。英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)のChanna Jayasena氏らが行ったシステマティックレビューとメタ解析の結果であり、米国内分泌学会(ENDO 2022、6月11~14日、アトランタ)で発表されるとともに、「The Lancet Healthy Longevity」6月号に掲載された。
男性更年期障害とも呼ばれる加齢性腺機能低下症に対して、男性ホルモンのテストステロンを補充する治療法が行われることがある。ただしこの治療は、ヘマトクリット〔血液中の血球成分(大半は赤血球)が占める割合〕の上昇を伴いやすく、血栓ができやすくなる可能性が指摘されている。しかし、それによる心血管イベントや死亡リスクへの影響の有無はよく分かっていない。この疑問解明の手がかりを探るため、Jayasena氏らはこれまでの無作為化比較試験(RCT)の結果を統合して解析する、システマティックレビューとメタ解析という手法による検討を行った。