内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:165

Long COVIDにセロトニンが大きく関与している可能性

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の一部では、ウイルスが腸内に数カ月にわたり残存し、この残存ウイルスがセロトニン濃度を低下させ、それがlong COVIDの一因となっているようだ。このメカニズムにより、倦怠感、ブレインフォグ、記憶力低下などの症状を説明できる可能性があるという。米ペンシルベニア大学ペレルマン医科大学院のMaayan Levy氏らによる研究結果であり、詳細は、「Cell」10月26日号に掲載された。  COVID-19罹患後に症状が数カ月から数年続く、いわゆるlong COVIDになるのは、米国ではCOVID-19罹患者の約20%だという。論文の上席著者であるLevy氏は、同大学のニュースリリースで、「long COVIDの根底にある生物学的な側面の多くは不明である。その結果、診断と治療のための有効な手段がない」と述べている。今回の研究について同氏は、「long COVIDの発症メカニズムの解明に役立つほか、臨床医が患者を診断し、治療への反応を客観的に評価するのに役立つバイオマーカーを提示することができた」と説明する。

アルコール摂取が心臓などの異所性脂肪と関連

 2杯目のアルコールに手を出す前に、新たに報告された研究結果について、少し考えてみた方が良いかもしれない。飲酒量が多い人ほど、心臓の周りの脂肪蓄積が多いという。米ウェイクフォレスト大学のRichard Kazibwe氏らによる研究の結果であり、詳細は「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に9月8日掲載された。同氏は、「このような心臓への異所性脂肪は、成人の主な死亡原因である冠動脈性心疾患だけでなく、心不全や心房細動などの心臓病のリスク上昇と関連している」と話している。  エネルギーの貯蔵庫である脂肪は、通常であれば皮下脂肪を中心とする脂肪組織に蓄積される。しかし、食べ過ぎや運動不足が続いていると、内臓周囲や筋肉、肝臓など、本来は脂肪がたまりにくい所にも脂肪が蓄積されるようになる。そのような脂肪は「異所性脂肪」と呼ばれる。アルコールも異所性脂肪の蓄積を増やすリスク因子の一つである可能性があるが、これまでのところ飲酒量と異所性脂肪の関連は十分検討されていない。これを背景としてKazibwe氏らは、「アテローム性動脈硬化症の多民族研究(MESA)」のデータを用いた横断研究を行った。

脂質低下療法の効果にストロングスタチン間の違いはあるのか?(解説:平山篤志氏)

動脈硬化性疾患の2次予防にLDL-コレステロール(LCL-C)低下の重要性が明らかにされているが、ガイドラインにより、LDL-Cの管理目標値を達成するアプローチ(Treat to Target)と目標値を設定せず病態に応じたスタチンを投与するアプローチ(Fire and Forget)がある。韓国で行われたLODESTAR試験は、この2種のアプローチでOutcomeが異なるかを検討した試験で、すでに報告されたように管理目標値を達成できれば両者に優劣はなかった。本試験ではさらに、エントリーされた患者はTreat to Target群とFire and Forget群に分けられると同時に、2種のストロングスタチン、すなわちロスバスタチン群とアトルバスタチン群に割り付けられ、今回はスタチンの相違についての検討が報告された。

コロナワクチン、オミクロン初期の東京で850万人の感染を回避/京大

 2022年1~5月には、全世界的に新型コロナウイルス(COVID-19)のオミクロン株BA.1/BA.2が流行していた。京都大学大学院医学研究科の茅野 大志氏と西浦 博氏は、この時期のワクチン接種による集団レベルの影響を、全国でも比較的完全な接種歴データを有する東京都のデータを用いて評価した。その結果、ワクチン接種により約64万人の感染が直接回避され、集団接種による間接的な効果も含めると約850万人の感染が回避され、ワクチン接種しなかった場合と比較すると65%の感染を減少したと推定された。BMC Infectious Diseases誌2023年10月31日号に掲載の報告。

心不全患者における前立腺肥大症・前立腺がんが増加~日本のリアルワールドデータ

 前立腺肥大症および前立腺がんは心血管疾患リスクを上昇させる可能性がある。しかし、心血管疾患患者における前立腺肥大症や前立腺がんの有病率はわかっていない。今回、佐賀大学の兼田 浩平氏らが全国規模のリアルワールドデータで調査したところ、心血管疾患、とくに心不全による入院患者において、前立腺肥大症・前立腺がんの有病率が増加していることがわかった。Frontiers in Cardiovascular Medicine誌2023年10月19日号に掲載。

軽度認知障害および早期認知症患者向けアプリの有用性を評価した

 順天堂大学の浜口 玲央氏らは、ライフクエストが開発した軽度認知障害(MCI)および早期認知症患者向けのスマートフォンアプリケーション「LQ-M/D App」の実現可能性、有用性、潜在的な効果を評価するため、本研究を実施した。Frontiers in Digital Health誌2023年9月12日号の報告。  「LQ-M/D App」は、認知機能、身体運動トレーニング、生活習慣の習得機能およびユーザーエンゲージメントを強化するために、アップデート後に追加された継続性向上機能を有するMCIおよび早期認知症患者向けのスマートフォンアプリケーションである。継続性向上機能としては、トレーニング内容の最適化、疾患教育機能、ファミリーアプリによる家族でのモニタリングの機能が含まれる。

厚生労働省に糖尿病治療薬の安定供給を要望/糖尿病関係三団体

 糖尿病治療薬のGLP-1受容体作動薬の適用外処方が社会問題となり、その供給不足が報道されている。また、後発医薬品メーカーの不祥事や原料の不足などで糖尿病患者への必要な既存の治療薬の供給にも不安が生じている。  こうした現在の状況に鑑み、2023年11月7日に日本糖尿病協会((理事長:清野 裕氏、患者代表理事:中園 徳斗士氏)、日本糖尿病学会(理事長:植木 浩二郎氏)、日本くすりと糖尿病学会(理事長:朝倉 俊成氏)の三団体は連名で厚生労働省に対し「糖尿病治療薬の安定供給に関する要望書」を提出した。

冬季入浴での突然死、気温の影響は?/鹿児島大学

 冬季に向かい入浴する機会が増えてきている。わが国では入浴関連死が諸外国に比べて頻度が高いという報告もある。そこで、その疫学的特徴を明らかにし予防につなげるために、鹿児島大学大学院医歯学総合研究科法医学分野の勝山 碧氏らの研究グループは、鹿児島県における入浴関連死の検案記録を調査した。その結果、入浴関連死の90%以上が65歳以上の高齢者であり、16~20時と通常の入浴時間の死亡が約半数を占めていた。Scientific Reports誌2023年2月8日に掲載。

ざ瘡に期待できる栄養補助食品は?

 ざ瘡(にきび)治療の補助としてビタミン剤やそのほかの栄養補助食品に関心を示す患者は多い。しかし、それらの有効性や安全性は明らかではなく、推奨する十分な根拠は乏しい。そこで、米国・Brigham and Women's HospitalのAli Shields氏らの研究グループは、ざ瘡治療における栄養補助食品のエビデンスを評価することを目的にシステマティックレビューを行った。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年10月25日号の報告。  研究グループは、PubMed、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Web of Scienceの各データベースを開設から2023年1月30日まで検索した。ざ瘡患者を対象に栄養補助食品(ビタミンやミネラル、植物抽出物、プレバイオティクス、プロバイオティクスなど)の摂取を評価した無作為化比較試験を解析し、臨床医が報告したアウトカム(全体評価や病変数など)、患者が報告したアウトカム(QOLなど)、有害事象を抽出した。試験のバイアスリスクはCochrane risk of bias toolを用いて、論文の質をGood、Fair、Poorに分類した。