2型糖尿病の全死亡、亜鉛欠乏で増加

提供元:ケアネット

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公開日:2025/10/22

 

 亜鉛不足が心不全の予後に関連することはいくつかの研究より報告されているが、今回、台湾・Chi Mei Medical CenterのYu-Min Lin氏らは、2型糖尿病患者における亜鉛欠乏が全死亡および心血管系合併症リスクを有意に高めることを明らかにした。

 本研究はTriNetXが保有するデータベースを用いて、後ろ向きコホート研究を実施。亜鉛測定が行われていた18歳以上の2型糖尿病患者を亜鉛欠乏群(血清亜鉛<70μg/dL)と対照群(70~120μg/dL)に分類し、傾向スコアマッチング(PSM)を行った。主要評価項目は全死亡および心血管疾患の複合アウトカム(脳血管合併症、不整脈、炎症性心疾患、虚血性心疾患、その他の心疾患[心不全、非虚血性心筋症、心停止、心原性ショック]、血栓性疾患)で、各ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・適格患者2万3,041例のうち亜鉛欠乏患者は9,503例、亜鉛正常値患者は1万3,538例で、PSM後、各群に7,886例が割り付けられた。
・対照群と比較した場合、亜鉛欠乏群での全死亡はHR:2.08(95%CI:1.72~2.51、p<0.001)、心血管アウトカムの複合はHR:1.15(95%CI:1.08~1.24、p<0.001)といずれの発生率も高かった。
・亜鉛欠乏群では、不整脈(HR:1.20、95%CI:1.10~1.32、p<0.001)、炎症性心疾患(HR:1.54、95%CI:1.07~2.21、p<0.001)、そのほかの心機能障害(HR:1.23、95%CI:1.08~1.40、p<0.001)の発生率も上昇した。

 本結果を踏まえ研究者らは、「2型糖尿病患者の管理において、血清亜鉛値をモニタリングし、対処することの潜在的な臨床的重要性を強調する」としている。

(ケアネット 土井 舞子)