消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:49

JAK阻害薬フィルゴチニブ、潰瘍性大腸炎の寛解導入・維持に有効(解説:上村直実氏)

潰瘍性大腸炎(UC)は特定疾患に指定されている原因不明の炎症性腸疾患(IBD)であり、最近の全国調査によると18万人以上の患者が存在している。UCに対する薬物治療については、寛解導入および寛解維持を目的として5-ASA製剤、ステロイド製剤、免疫調節薬、生物学的製剤が使用されている。なかでも生物学的製剤については、抗TNF阻害薬、インターロイキン阻害薬ウステキヌマブ、インテグリン拮抗薬ベドリズマブ、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬など、異なる作用機序を有する分子標的薬が次々と開発され、それぞれの臨床試験結果が報告されている。なお、本邦のIBD診療ガイドライン2020において、血球成分除去療法や生物学的製剤の適応はステロイド依存例で免疫調節薬も効果のない患者やステロイド抵抗性の患者に限定されている。さらにJAK阻害薬と免疫調節薬チオプリン製剤との併用が原則禁忌となっている。

抗精神病薬で治療された統合失調症患者における非アルコール性脂肪性肝疾患リスク

 統合失調症患者のメタボリックシンドローム有病率は、一般集団よりも高いことはよく知られているが、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の有病率については、あまり知られていない。下総精神医療センターの是木 明宏氏らは、抗精神病薬で治療された統合失調症患者におけるNAFLDリスクについて、調査を行った。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2021年6月4日号の報告。  腹部エコー検査を実施した統合失調症および統合失調感情障害患者253例の医療記録を分析した。

ラロトレクチニブがNTRK陽性固形がん治療薬として発売/バイエル

 バイエル薬品は、2021年7月7日、NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発固形がんの治療薬として、ラロトレクチニブ(製品名:ヴァイトラックビ)を発売したと発表。  ラロトレクチニブは、NTRK遺伝子融合陽性の進行・再発の固形がん治療に特化したトロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)阻害薬として開発された。同剤は、NTRK遺伝子融合を有する成人および小児固形がん患者に対する高い奏効割合と持続的な奏効、NTRK遺伝子融合を有する中枢神経系原発腫瘍に対する高い病勢コントロール率を示している。

ふるさと納税、最も高額な寄付金と返礼品は?/医師1,000人に聞きました

 2008年から始まった「ふるさと納税」。言葉としては定着しているようだが、実際に医師の間にはどの程度浸透しているのだろうか。今回、医師の1回あたりの最高寄付金額や申込みの多い返礼品についてアンケート調査を行った。その結果、利用率は83%、人気の返礼品は肉類であることが明らかになった。また、1回の寄付金額が100万円以上と回答したのは14人(利用者の1.7%)だった。一方、ふるさと納税を利用していない17%における大半の理由は“面倒くさい”だったが、「地元の税収を減らしたくない」「趣旨に賛同できない」などの意見も挙げられた。

無症状直腸クラミジア、ドキシサイクリン vs.アジスロマイシン/NEJM

 男性間性交渉者における無症状の直腸クラミジア感染症の治療では、ドキシサイクリンの7日間投与はアジスロマイシンの単回投与と比較して、微生物学的治癒の達成割合が高く、有害事象の発現頻度は低いことが、オーストラリア・メルボルン大学のAndrew Lau氏らの検討で示された。研究の成果はNEJM誌2021年6月24日号で報告された。  本研究は、オーストラリア3州の5つのsexual healthクリニックが参加した二重盲検無作為化対照比較試験であり、2016年8月~2019年8月の期間に実施された(オーストラリア国立保健医療研究評議会[NHMRC]の助成による)。

KRASG12C変異がんのKRAS阻害薬への耐性機序が明らかに/NEJM

 KRAS阻害薬adagrasibおよびsotorasibの臨床試験では、KRASの12番目のコドンにグリシンからシステインへのアミノ酸置換(KRASG12C)が発現しているがんに対する有望な抗腫瘍活性が確認されている。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のMark M. Awad氏らは、これらのKRAS阻害薬に対する耐性獲得の機序について検討し、多様なゲノム機序および組織学的機序によって耐性がもたらされており、この薬剤耐性の発現の遅延や克服には、新たな治療戦略を要することを示した。NEJM誌2021年6月24日号掲載の報告。

臓器移植患者、ワクチン3回接種で抗体価が大幅上昇/NEJM

 固形臓器移植を受けた患者は、新型コロナワクチンを2回接種しても免疫応答が弱いことが報告されている。そして、移植患者はワクチン2回接種後であっても感染後の重症化リスクが高いことが報告されている。これらを受け、フランス公衆衛生庁は、免疫抑制状態の患者に3回目の接種を行うことを推奨している。NEJM誌オンライン版2021年6月23日号「CORRESPONDENCE」では、3回接種した臓器移植患者の抗体価が報告された。

急性肝性ポルフィリン症治療薬ギボシランが承認/Alnylam Japan

 Alnylam Japanは、6月23日に急性肝性ポルフィリン症(AHP)の治療薬としてギボシラン(商品名:ギブラーリ皮下注189mg)が厚生労働省から製造販売承認を取得したと発表した。ギボシランは、国内における2成分目のRNA干渉(RNAi)治療薬であり、同社が国内で上市・販売する2番目の製品となる。なお、米国、EU、ブラジル、カナダ、スイスではすでに承認されている。発売日、薬価は未定。  AHPは、遺伝性の超希少疾患群であり、消耗性で生命を脅かしうる急性発作や患者さんによっては日常生活の機能(ADL)や生活の質(QOL)に悪影響を及ぼす持続症状を特徴とする。本症は、急性間欠性ポルフィリン症(AIP)、遺伝性コプロポルフィリン症(HCP)、異型ポルフィリン症(VP)、およびALA脱水酵素欠損性ポルフィリン症(ADP)の4つの病型があり、いずれの病型も遺伝子変異により肝臓内のヘム産生に必要な特定の酵素が欠如することで生じ、これにより体内のポルフィリンが毒性量まで蓄積する。AHPは労働年齢や出産年齢の女性に偏って発生し、症状はさまざまとなる。最もよくみられる症状は、重症かつ原因不明の腹痛であり、随伴症状として、四肢痛、背部痛、胸痛、悪心、嘔吐、錯乱、不安、痙攣、四肢脱力、便秘、下痢、暗色尿または赤色尿もみられる。また、AHPはその徴候および症状が非特異的であるため、婦人科疾患、ウイルス性胃腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、虫垂炎などのより一般的な他の疾患と診断され、AHPと正確に診断されない原因となり、その結果、確定診断までの期間が15年に及ぶこともある。その他、本症では発作中に麻痺や呼吸停止を引き起こす可能性や長期罹患に伴う肝細胞がんなどのリスクもあることから、生命を脅かす危険もある疾患である。

フィルゴチニブ、潰瘍性大腸炎の寛解導入・維持に有効/Lancet

 中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎患者の治療において、JAK阻害薬フィルゴチニブ(200mg)は、忍容性が良好で、プラセボと比較して寛解導入療法および寛解維持療法における臨床的寛解の達成割合が高いことが、カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のBrian G. Feagan氏らが実施した「SELECTION試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年6月3日号で報告された。  研究グループは、潰瘍性大腸炎の治療におけるフィルゴチニブの有効性と安全性を評価する目的で、2つの寛解導入療法試験と1つの寛解維持療法試験から成る二重盲検無作為化プラセボ対照第IIb/III相試験を行った(米国・Gilead Sciencesの助成による)。本試験には、日本を含む40ヵ国341施設が参加し、2016年11月~2020年3月の期間に患者登録が行われた。

F1 CDx、MSI-Hightがんのコンパニオン診断として承認/中外

 中外製薬は、2021年06月22日、遺伝子変異解析プログラム「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」について、ニボルマブおよび、:ペムブロリズマブの高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有するがんに対するコンパニオン診断として厚生労厚生労働省より承認を取得したと発表。  今回の承認により、FoundationOne CDx がんゲノムプロファイルにて、ニボルマブの「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」、およびペムブロリズマブの「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」に対し各々の薬剤の適応判定補助として利用が可能となる。