消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:46

潰瘍性大腸炎の寛解導入および維持療法における低分子医薬品ozanimodの有用性(解説:上村直実氏)

選択的スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体調節薬ozanimodの潰瘍性大腸炎(UC)に対する有用性を検証した第III相臨床試験の結果、中等度から重度UCの寛解導入および寛解維持に有効性を認めたことがNEJM誌に掲載された。選択的S1P受容体調整薬ozanimodはUC患者の大腸粘膜へのリンパ球の浸潤を抑えることで炎症を抑制する効果が期待されている新規の低分子医薬品である。UCは特定疾患に指定されている原因不明の炎症性腸疾患(IBD)であり、現在の患者数は約18万人である。

『がん治療におけるアピアランスケアガイドライン 2021年版』が発刊

 日本がんサポーティブケア学会が作成した『がん治療におけるアピアランスケアガイドライン2021年版』が10月20日に発刊した。外見(アピアランス)に関する課題は2018年の第3期がん対策推進基本計画でも取り上げられ、がんサバイバーが増える昨今ではがん治療を円滑に遂行するためにも、治療を担う医師に対してもアピアランス問題の取り扱い方が求められる。今回のがん治療におけるアピアランスケアガイドライン改訂は、分子標的薬治療や頭皮冷却法などに関する重要な臨床課題の新たな研究知見が蓄積されたことを踏まえており、患者ががん治療に伴う外見変化で悩みを抱えた際、医療者として質の高い治療・整容を提供するのに有用な一冊となっている。

デュルバルマブ+tremelimumab、肝がん1次治療として全生存期間を有意に延長(HIMALAYA)/AZ

 アストラゼネカは、2021年10月15日、第III相HIMALAYA試験の結果を発表。局所療法が適さない切除不能な肝細胞がん患者の1次治療として、デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)に、免疫反応を誘導(プライミング)する高用量のtremelimumab単回投与を追加した併用療法が、ソラフェニブと比較して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間の延長を示したことを明らかにした。

急性尿閉は泌尿生殖器・大腸・神経系オカルトがんの臨床指標?/BMJ

 急性尿閉は、泌尿生殖器や大腸、神経系のオカルトがん(潜在がん)の臨床マーカーとなる可能性があり、急性尿閉を呈する年齢50歳以上の患者で、明確な基礎疾患がみられない場合は、オカルトがんを考慮すべきとの知見が、デンマーク・オーフス大学のMaria Bisgaard Bengtsen氏らの調査で得られた。研究の成果は、BMJ誌2021年10月19日号で報告された。  本研究は、急性尿閉と診断された患者における泌尿生殖器、大腸、神経系のがんのリスクの評価を目的とするデンマークの全国的なコホート研究である(研究助成は受けていない)。

NAFLDの肝線維化ステージが肝合併症・死亡リスクに影響か/NEJM

 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の組織学的スペクトラム全体の死亡や肝臓・肝臓以外のアウトカムの予後は十分に解明されていないという。米国・バージニア・コモンウェルス大学のArun J. Sanyal氏らNASH Clinical Research Network(CRN)は「NAFLD DB2試験」において、NAFLDの中でも肝線維化stageが高い(F3、F4)患者は低い(F0~2)患者に比べ、肝関連合併症や死亡のリスクが高く、F4では糖尿病や推算糸球体濾過量が40%超低下した患者の割合が高いことを明らかにした。研究の成果は、NEJM誌2021年10月21日号で報告された。

汎PPAR作動薬のlanifibranor、活動性NASHに有効/NEJM

 活動性非アルコール性脂肪肝炎(NASH)患者において、汎ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)作動薬lanifibranorの1,200mg、1日1回24週間経口投与は、プラセボと比較して肝線維化が増悪することなく脂肪変性・活動性・線維化(SAF)評価スコアの活動性(SAF-A)が2点以上低下した患者の割合を有意に増加させた。ベルギー・アントワープ大学のSven M. Francque氏ら、lanifibranorの無作為化二重盲検プラセボ対照第IIb相試験「NATIVE試験」の結果を報告した。NASHの治療はアンメットニーズであるが、lanifibranorはNASHの発症に重要な役割を果たす代謝、炎症および線維形成の各経路を調節し、前臨床研究では1種類または2種類のPPARに対する作動薬より高い効果が示唆されていた。今回の結果を受けて著者は、「第III相試験におけるlanifibranorのさらなる評価が期待される」とまとめている。NEJM誌2021年10月21日号掲載の報告。

進むがん遺伝子パネル検査普及と見える課題/日本癌治療学会

 1万8,329例中607例、8.1%。C-CATに登録されたわが国のがん遺伝子パネル累積検査数と、そこから治療に結び付いた症例数および割合である。  2021年10月20~23日に開催された第59回日本癌治療学会学術集会のワークショップにおいて、わが国のがん遺伝子パネル検査の現状が発表された。大幅な検査の増加とともに、いくつかの課題が示されている。

迅速承認制度を適用しすぎるのも弊害がありそうだ(解説:折笠秀樹氏)

FDAが第II相の結果で迅速承認した抗がん剤を対象に、承認後の第III相試験で有効性が立証できなかった18件を調べたものです。第II相試験で代替エンドポイントの腫瘍縮小効果は有効であったのに、第III相試験の延命効果は有効でなかった事例が2016年から2020年の間に18件もあったのです。18件のそうした事例のうち、製薬企業が自主的に取り下げたのは11件、FDAが取り下げを命令したのが1件、残る6件は取り下げなかったというのです。日本での承認が初の抗がん剤、オプジーボは皆さんご存じでしょう。肝がんへの適応拡大を目指していましたが、第II相までの試験結果で2017年にFDAは迅速承認しました。承認後に行われた第III相試験で延命効果は有意に優れなかったことを受け、2021年4月にFDAの諮問委員会が開かれました。そこの投票で5:4と不支持が勝ったため、開発企業のBMSは自主的に承認を取り下げたようです。

IBDの新規経口薬ozanimod、潰瘍性大腸炎の導入・維持療法に有効/NEJM

 中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎(UC)患者に対する導入および維持療法として、新規経口薬として開発中のozanimodはプラセボと比較して、より有効であることが、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のWilliam J. Sandborn氏らによる、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験の結果、示された。ozanimodは、選択的スフィンゴシン-1-リン酸受容体調整薬で、炎症性腸疾患(IBD)の治療薬として開発が進められている。NEJM誌2021年9月30日号掲載の報告。

スルペラゾンに使用上の注意改訂指示、アレルギー反応に伴う急性冠症候群を追記

 セフォペラゾンナトリウム・スルバクタムナトリウム(商品名:スルペラゾンなど)の使用上の注意について、「重要な基本的注意」の項のショック、アナフィラキシーに関する注意喚起に「アレルギー反応に伴う急性冠症候群」を、また「重大な副作用」の「ショック、アナフィラキシー(呼吸困難等)」の項に「アレルギー反応に伴う急性冠症候群」を追記するよう、厚生労働省より2021年10月12日付けで改訂指示が発出された。