消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:47

切除不能転移大腸がん1次治療、FOLFOXIRI+ベバシズマブへのアテゾリズマブ上乗せ(AtezoTRIBE)/ESMO2021

 未治療の切除不能転移大腸がん(mCRC)に対し、FOLFOXIRI+ベバシズマブ(BEV)+アテゾリズマブはFOLFOXIRI+BEVと比較し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが、Gruppo Oncologico del Nord-Ovest(GONO)グループによる「AtezoTRIBE試験」で示された。イタリア・ピサ大学のChiara Cremolini氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。  AtezoTRIBE試験はGONOによる無作為化非盲検第II相試験で、mCRCの1次治療における第1選択であるFOLFOXIRI+BEVに、抗PD-L1抗体のアテゾリズマブを併用することにより、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)/DNAミスマッチ修復欠損(dMMR)の有無にかかわらず患者の予後を改善できるかを検証したもの。  

KRAS G12C変異大腸がん、adagrasib±セツキシマブ併用療法(KRYSTAL-1)/ESMO2021

 既治療のKRAS G12C変異陽性進行大腸がん(CRC)患者において、KRAS G12C阻害薬adagrasibの単剤療法およびセツキシマブとの併用療法は、忍容性が良好で有効性が期待できることが「KRYSTAL-1試験」で示され、米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のJared Weiss氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。  KRYSTAL-1試験は、KRAS G12C変異陽性の進行固形がん患者を対象とするマルチコホート第I/II相試験。  今回は、CRCを対象としたadagrasib単剤療法(第I/Ib相2例、第II相44例、データカットオフ日2021年5月25日、追跡期間中央値8.9ヵ月)、ならびにセツキシマブ併用療法(第Ib相32例、データカットオフ日2021年7月9日、追跡期間中央値7ヵ月)の中間解析が報告された。

胃腸症状とうつ病との関連~米国健康栄養調査

 最近、多くの調査において、うつ病の病因としてのマイクロバイオームの役割がトピックスとなっている。調査結果によると、腸内細菌叢による一般的な症状である腸内尿毒症が胃腸症状の問題の根底にあり、これがうつ病と関連していることが示唆されている。米国・タフツ大学のSarah J. Eustis氏らは、胃腸症状の徴候が認められる人では、抑うつ症状のオッズ比(OR)が有意に高いかどうかを検証するため、本研究を実施した。Journal of the Academy of Consultation-Liaison Psychiatry誌オンライン版2021年8月27日号の報告。

胃、食道腺がん1次治療のニボルマブ+化学療法の追加解析、ニボルマブ+イピリムマブ初回解析(CheckMate 649)/ESMO2021

 胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がんの1次治療において、ニボルマブ+化学療法(NIVO+Chemo)は化学療法単独と比較し、追跡期間を1年延長しても全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)の有意な改善が引き続き認められた。ただし、ニボルマブ+イピリムマブ(NIVO+IPI)については、PD-L1 CPS≧5の患者において化学療法単独と比較しOSの有意な改善は認められなかった。  第III相CheckMate-649試験の最新解析結果を、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのYelena Y. Janjigian氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。

mCRC、テモゾロミド後のイピリムマブ+ニボルマブ、PFSを延長(MAYA)/ESMO2021

 MGMT(O6-メチルグアニン-DNA メチルトランスフェラーゼ)発現陰性およびMGMTプロモーター領域のメチル化が確認されたMGMTサイレンシング、かつマイクロサテライト安定性(MSS)の転移大腸がん(mCRC)に対し、テモゾロミドによる過剰変異を利用することで、低用量イピリムマブ+ニボルマブ併用療法の持続的な効果を誘導できることが、「MAYA試験」で示され、イタリア・IRCCS財団国立がん研究所のFillippo Pietrantonio氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。

迅速承認がん治療薬、確認試験が否定的でも推奨薬のまま?/BMJ

 米国食品医薬品局(FDA)の迅速承認を受けたがん治療薬の適応症は、法令で定められた承認後確認試験で有効性の主要エンドポイントの改善が得られなかった場合であっても、3分の1が添付文書に正式なFDAの承認を得たものとして記載され、数年にわたり診療ガイドラインで推奨されたままの薬剤もあることが、カナダ・クイーンズ大学のBishal Gyawali氏らの調査で示された。研究の詳細は、BMJ誌2021年9月8日号で報告された。  研究グループは、FDAの迅速承認を受けたものの、承認後確認試験で主要エンドポイントの改善が得られなかったがん治療薬の規制上の取り扱いを調査し、承認後確認試験の否定的な結果が診療ガイドラインでの推奨にどの程度影響を及ぼしているかを評価する目的で、後ろ向き観察研究を実施した(米国・Arnold Venturesの助成を受けた)。

進行食道がん1次治療に免疫チェックポイント阻害薬の併用療法が参入(解説:上村直実氏)

外科的に切除不能な進行・再発または転移のある食道扁平上皮がんに対して、一般的には放射線・化学療法が行われている。このうち化学療法に関しては30年前からフルオロウラシルとシスプラチン等のプラチナ製剤の併用療法(FP療法)が標準治療として用いられてきたが、最近、免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-L1阻害薬)の登場によって大きな変化が起こりつつある。すなわち、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)やペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)など抗PD-L1阻害薬とFP療法の併用がFP療法単独に比べて、全生存期間(OS)や無増悪生存期間(PFS)を有意に延長するという研究結果が報告されている。

大腸がんガイドライン改訂案に関するパブリックコメント募集/大腸癌研究会

 大腸癌研究会は、治療ガイドライン改訂案についてのパブリックコメント募集を開始した。  募集しているのは「大腸癌治療ガイドライン医師用」2022年版に関するパブリックコメントで、大腸癌研究会のホームページ上に改訂案を公開している。  今回の改訂は、「薬物療法」と「Stage IV大腸癌の治療方針」に限定している。

がん薬物療法時の制吐目的のデキサメタゾン使用に関する合同声明/日本癌治療学会・日本臨床腫瘍学会

 新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、デキサメタゾン製剤の供給が不足している。2021年8月27日に厚生労働省から発出された「デキサメタゾン製剤の安定供給について」の通知を受け、新型コロナウイルス感染症患者およびがん患者の薬物療法に関して、9月9日、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会、日本感染症学会、日本呼吸器学会が合同声明文を発出した。  そのうち、がん患者の薬物療法に関する合同声明文では、がん患者の薬物療法に携わる医療関係者に対して、薬物療法によって発現する悪心・嘔吐(CINV)を制御するために使用されるデキサメタゾン製剤の適正使用およびデキサメタゾン内服薬の代替使用について、以下のように協力を呼びかけている。

進行食道がん1次治療、化療にペムブロリズマブ併用でOS延長/Lancet

 進行食道がんの1次治療において、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ+化学療法はプラセボ+化学療法と比較して、PD-L1陽性(CPS≧10)の食道扁平上皮がん患者の全生存(OS)期間を延長した。また、食道扁平上皮がん患者、PD-L1陽性(CPS≧10)患者、ならびに組織型にかかわらず全無作為化患者のOS期間および無増悪生存(PFS)期間を延長し、有害事象はすべて管理可能であることが示された。韓国・成均館大学校のJong-Mu Sun氏らが、世界26ヵ国168施設で実施された国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「KEYNOTE-590試験」の結果を報告した。これまで進行食道がんの1次治療は、フルオロピリミジン+プラチナ系薬剤併用療法に限られていた。Lancet誌2021年8月28日号掲載の報告。