消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:48

日本人のがん患者の新型コロナウイルス抗体レベルは低いのか/JAMA Oncol

 がん患者における新型コロナ抗体レベルは健康成人と比べて低いのか。わが国のがん患者と、非がん罹患者としての医療者のあいだで、血清SARS-CoV-2抗体の状態を比較した国立がんセンター中央病院 矢崎 秀氏らの前向き研究が発表された。  対象は2020年8月3日~10月30日に、東京周辺の2つのがんセンターから、16歳以上のがん患者と医療者で前向きに登録された。  評価項目は、がん患者と医療者の血清有病率と抗体レベル。血清陽性の定義は、ヌクレオカプシドIgG(N-IgG)および/またはスパイクIgG(S-IgG)の陽性であった。がん患者は、薬物療法、外科手術、放射線療法などのがん治療を受けている。

ペグフィルグラスチムの自動投与デバイスを国内申請/協和キリン

 協和キリンは、2021年8月30日、テルモと共同開発中の持続型G-CSF製剤ペグフィルグラスチム(製品名:ジーラスタ))の自動投与デバイスについて、がん化学療法による発熱性好中球減少症注の発症抑制を適応症とした製造販売承認申請を厚生労働省に行った。  今回の申請は、協和キリンが実施した、安全性の評価を目的とする第I相臨床試験の結果に基づくもの。  ペグフィルグラスチムは、がん化学療法剤投与終了後の翌日以降に投与されるのが通常である。

急性肝性ポルフィリン症治療薬ギボシランナトリウムを発売/アルナイラムジャパン

 アルナイラムジャパン株式会社は、急性肝性ポルフィリン症(AHP)の治療薬としてギボシランナトリウム(商品名:ギブラーリ皮下注)189mgを8月30日に発売した。本治療薬は、わが国における2成分目のRNA干渉(RNAi)治療薬で、同社が国内で上市・販売するパチシランナトリウム(同:オンパットロ)に続く、2番目の製品となる。  急性肝性ポルフィリン症は、遺伝子変異により肝臓内のヘム産生に必要な特定の酵素が欠如することで生じ、これによりヘム生成の途中段階で作られる神経毒性を持つ物質(ポルフィリン体など)が蓄積することで、重症かつ原因不明の腹痛、嘔吐および痙攣などの急性かつ消耗性の発作を特徴とする、遺伝性のまれな代謝性疾患。20~30代の女性に多く、発作中に麻痺や呼吸停止を引き起こす可能性もあることから、生命を脅かす危険もある。また、多くの患者で発作と発作の間も持続する疼痛などの持続症状を伴い、日常機能や生活の質(QOL)に悪影響を及ぼすとされている。急性肝性ポルフィリン症はその症状などから、婦人科疾患、ウイルス性胃腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、虫垂炎などの他の疾患と診断されることもあり、他の疾患と診断された症例の約1/4で、急性肝性ポルフィリン症治療には必要のない、侵襲性の高い開腹手術などの処置が行われたとする国内データも報告されている。また、確定診断までの期間が10年以上に及ぶケースもあり、鑑別の難しさが課題となっている。

聖マリアンナ医大とMICINがDXに関する包括契約を締結

 聖マリアンナ医科大学と、株式会社MICINは、患者中心の医療実現を見据えた、ICT技術を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する両社の協業活動について、戦略的包括協定を締結した。  同協定は、聖マリアンナ医科大学とMICINが各々のリソースや強みを活かし、医薬品等の開発における治験・臨床研究領域、並びに専門医療の提供において、ICT技術の活用を通し、DXの実装および推進をすることで、患者を中心とした治験の実施や地域デジタル医療のモデル作成を目的としている。

一部の抗がん剤の投与患者、新型コロナ感染率が低い/JAMA Oncol

 アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を減少させる可能性のある抗がん剤(mTOR/PI3K阻害薬や代謝拮抗薬など)を投与している患者では、他の抗がん剤の投与患者と比べて有意にSARS-CoV-2感染率が低かったことが、米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのMichael B. Foote氏らのコホート研究で示された。JAMA Oncology誌オンライン版2021年8月19日号に掲載。  本研究では、まずLibrary of Integrated Network-Based Cellular Signaturesのデータベースを使用し、細胞株全体でACE2遺伝子の発現低下に関連する抗がん剤を特定した。次に、COVID-19パンデミック中にMemorial Sloan Kettering Cancer Centerでがん治療を受けていた1,701例の後ろ向きコホートについて、ACE2を減少させる抗がん剤での治療がSARS-CoV-2感染のオッズ比(OR)と関連があるかどうかを検討した。対象は、がんの積極的治療を受け、2020年3月10日~5月28日にSARS-CoV-2検査を受けた患者で、主要アウトカムはACE2を減少させる可能性のある抗がん剤による治療とSARS-CoV-2検査陽性との関連とした。

「遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)ガイドライン」刊行、ポイントは?

 遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)の診療に関しては、2017年に「遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)診療の手引き」が刊行されている。HBOC既発症者へのリスク低減手術の保険収載や、膵がん・前立腺がんへのPARP阻害薬の承認など、遺伝子検査に基づく治療・マネジメントがいっそう求められる中、Minds「診療ガイドライン作成マニュアル2017」を遵守する形で、今回新たにガイドラインがまとめられた。2021年8月7日、webセミナー「遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)診療ガイドライン 2021年版の解説(主催:厚生労働科学研究費補助金[がん対策推進総合研究事業]「ゲノム情報を活用した遺伝性腫瘍の先制的医療提供体制の整備に関する研究」班)が開催され、各領域のポイントが解説された。

ペムブロリズマブ、MSI-H大腸がんとTN乳がんに適応拡大/MSD

 MSDは2021年8月25日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)について、治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がん(大腸がん)およびPD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がんに関する国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得したことを発表した。  今回の承認は、化学療法歴のない治癒切除不能な進行・再発のミスマッチ修復(MMR)欠損またはMSI-Highを有する結腸・直腸がん患者307例(日本人22例を含む)を対象とする国際共同第III相試験KEYNOTE-177試験のデータ等に基づく。 同試験において、ペムブロリズマブ群は化学療法群と比較して、主要評価項目の一つである無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した(HR:0.60、95%CI:0.45~0.80)。安全性については、安全性解析対象例153例中、ペムブロリズマブ群で高頻度(10%以上)に認められた有害事象は、下痢(24.8%)、疲労(20.9%)、そう痒症(13.7%)、悪心(12.4%)、AST増加(11.1%)、発疹(11.1%)、関節痛(10.5%)および甲状腺機能低下症(10.5%)であった。

新「内科専門医」と「総合内科専門医」、年代・診療科別の取得予定は?医師1,000人に聞きました

 9月に実施が予定されていた「総合内科専門医」試験は来年度に延期となったが、新「内科専門医」試験は2021年7月に初めて実施され、従来の「認定内科医」試験は6月が最後の試験となった。今後の取得予定について、医師たちはどのように考えているのか? CareNet.comの内科系診療科の会員医師1,000人を対象にアンケートを行った(2021年度総合内科専門医試験について延期発表前の2021年8月12日~13日実施)。  回答者の属性としては、30代が35.6%と最も多く、40代(26.6%)、50代(20.5%)と続いた。既取得の認定医・専門医・指導医資格としては「内科認定医」が最も多く、60%以上が取得していた。総合内科専門医についても約36%の医師が既取得であり、約14%が内科指導医資格を有していた。

新たな薬物療法などを収載、「胃癌治療ガイドライン」が3年ぶりの改訂

 2021年7月下旬、「胃癌治療ガイドライン 第6版」が発行された。胃癌治療ガイドラインとしては前版(2017年11月発行、2018年1月改訂)から3年ぶりの改訂となる。前版で採用された構成(教科書形式による解説+CQ)を踏襲しつつ、Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017を参考とした作成方法を採用し、新たな薬剤や治療法の解説・推奨が追加された。  前版からの主な改訂点は以下のとおり。 1)外科・内視鏡治療、化学療法、緩和的治療に関するCQを前版の26項目から32項目に増加(新たに設けられたCQには免疫チェックポイント阻害薬、ゲノム検査に関するものが含まれる)。 2)日本胃癌学会と日本食道学会の実施した前向き研究結果に基づき、cT2-T4の食道胃接合部癌に対する手術アプローチとリンパ節郭清のアルゴリズムを示した。また食道胃接合部癌に関する3つのCQを作成し推奨を示した。 3)腹腔鏡下手術およびロボット支援下手術について、最新の研究状況を踏まえた推奨を示した。 4)切除不能進行・再発胃癌に対する化学療法のレジメンは、「推奨されるレジメン」、「条件付きで推奨されるレジメン」として、「治療法」の章のアルゴリズムに列記した。治療選択肢は増す一方、個々のレジメントを比較したエビデンスは十分でないため、優先順位は付けず、エビデンスレベルも記載しなかった。 5)免疫チェックポイント阻害薬の最新の研究成果をCQにて解説した。

電カルデータとEDCを連携、治験の負荷軽減と迅速化狙う/NTTデータ・ファイザー・国がん東

 臨床研究において、医療施設データの臨床データ収集システム(EDC:Electronic Data Capture)へのタイムリーな入力は国際的な課題である。NTTデータとファイザーR&Dは、国立がん研究センター東病院と臨床研究における臨床データの収集およびデータ品質点検の効率化に向けた共同研究を2021年7月から開始する。  臨床研究では、新薬等の効果と安全性を検証するためにALCOA(Attributable:帰属性、Legible:判読性、Contemporaneous:同時性、Original:原本性、Accurate:正確性)が担保された臨床データの収集が不可欠である。また、一般的に臨床データは、電子カルテを含む複数の原資料から収集される。