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「リウマチ治療のブレークスルーとなりうるか」 JAK1/2阻害剤baricitinib第III相国際共同臨床試験日本人部分集団解析より

 長足の進歩を遂げてきた関節リウマチ(RA)治療であるが、それでもいまだ解決されない課題も存在する。多くの臨床医にとって頭の痛い問題は、アンカードラッグであるメトトレキサート(MTX)に不耐となった場合、十分な有効性を示す治療オプションが限定されていることである。また、MTX不応となり、生物学的製剤を選択する場合、多くの生物学的製剤がMTX併用下で有用性を示しているため、MTXを併用せざるを得ないことが多く、単剤で十分な有効性を示す治療選択肢がきわめて少ないことも課題といえよう。 baricitinib(以下Bari)は、現在臨床開発中の新規JAK1/2阻害剤であり、リウマチ治療のアンメットメディカルニーズを解決するために、複数の野心的な第III相臨床試験が実施されている。第60回日本リウマチ学会総会・学術集会(2016年4月、横浜)において、2件の第III相国際共同臨床試験の結果が発表された。注目を集める薬剤であるBariの第III相試験の国内初の発表でもあり、会場はセッション開始前から多くの立ち見聴講者であふれ関心の高さがうかがわれた。RA-BEGIN試験 慶應義塾大学医学部リウマチ内科教授 竹内 勤氏よりDMARDsナイーブである早期RA患者を対象に、Bari単剤群、MTX単剤群、Bari+MTX併用群の3群間で有効性および安全性を比較検討した第III相国際共同無作為化二重盲検試験の結果が発表された(日本人部分集団解析は以下カッコ内に示す)。本試験は、588例(104例)のDMARDsナイーブである早期RA患者を対象に行われ、Bariは単剤群、併用群ともに1日1回4mgを経口投与された。本試験の観察期間は52週であり、主要評価項目は24週時点におけるACR20を達成した患者割合であった。 24週時のACR20を達成した患者割合は、Bari単剤群で76.7%(72.4%)、MTX単剤群で61.9%(69.4%)、Bari+MTX併用群で78.1%(71.8%)であった。全集団における解析では、Bariを含む群はMTX群に比べ非劣性を示したのみならず、有意に高い(p<0.01)ことが示された。疾患活動性、身体機能および患者報告によるアウトカムの改善においても、Bariを含む群はMTX群に比べ有意に高い改善を示した。関節破壊進展の抑制はBari+MTX併用群で有意に高い抑制効果が認められた。52週時点での有害事象発現割合はBari単剤群で71.1%(96.6%)、MTX単剤群で71.9%(83.3%)、Bari+MTX併用群で77.7%(92.3%)であった。感染症に関して結核の発症は認められなかったが、日本人集団ではいずれの群においても6~10%の頻度で帯状疱疹の発症が認められ、これは非日本人集団に比べ高い発症割合だった。 日本人集団では、症例数が少ないことに起因すると考えても看過できない患者背景間のばらつきが生じており、MTX単剤群では他の2群に比べ軽症例が多く含まれていたことから、竹内氏は結果の解釈に留意が必要としながらも、「全集団の結果から、Bariは高い有効性と安全性を示す薬剤である」と述べ、本剤への期待感を示した。注記:日本人部分集団は症例数が少なく差の検出力が不足しているため、群間差の解釈は全集団の解析結果を記載RA-BEAM試験 産業医科大学第1内科教授 田中 良哉氏より、MTX不応例を対象としたBari+MTX群とアダリムマブ(ADA)+MTX群、プラセボ+MTX群を直接比較した第III相国際共同無作為化二重盲検試験の結果が発表された(日本人部分集団解析は以下カッコ内に示す)。本試験は1,305例(249例)の一定量以上のMTXが投与されている活動性RA患者を対象に行われ、Bariは1日1回4mgを経口投与、ADAは40mg隔週皮下投与が行われた。本試験の観察期間は52週であり、主要評価項目は12週時点におけるACR20を達成した患者割合であった。 12週時のACR20を達成した患者割合は、Bari+MTX群で70%(67%)、ADA+MTX群で61%(60%)、プラセボ+MTX群で40%(34%)であった。全集団における解析では、Bari+MTX群はADA+MTX群に比べ有意に高い(p≦0.05)ことが示された。また、DAS28-CRPの変化量も8週目以降でBari+MTXはADA+MTXに比べ有意に大きいことが示された。24週時での有害事象発現割合はBari+MTX群で70.8%(84.9%)、ADA+MTX群で67.0%(84.9%)、プラセボ+MTX群で60.0%(68.8%)であり、プラセボ群に比べ、Bari+MTX群、ADA+MTX群で発現割合が高い結果となった。重篤な有害事象の発現割合は、Bari+MTX群とADA+MTX群では同程度の発現割合であった。 田中氏は、「生物学的製剤よりも高い有効性と同様の安全性を示す経口剤が初めて登場した」と驚きをもってコメントし、さらに「ADA群に比べBari群では主治医の全般評価のみならず患者申告の全般評価においても、より早い段階から高い改善を示し、なかでも、朝のこわばりや痛み、倦怠感といったQOLを阻害しうる自覚症状の改善にも有用な薬剤であることが示された」と述べ、口演を終えた。注記:日本人部分集団は症例数が少なく差の検出力が不足しているため、群間差の解釈は全集団の解析結果を記載 懸念されてきたJAK阻害剤としての有害事象 JAK阻害剤に分類され臨床応用されている薬剤は2剤あり、baricitinibの臨床試験ではそれらの薬剤に特徴的な有害事象の発現に対しとくに注意深いモニタリングが行われている。トファシチニブ(主にJAK 1と3を阻害)で問題となっている日和見感染症発症に対する影響1)、および、3系統の血球がクローナルな増殖を来す骨髄増殖性疾患である真性多血症、骨髄線維症に対し臨床応用されているルキソリチニブ(主にJAK 1と2を阻害)の作用の一つが各血球数の減少である2)3)ことから、baricitinib投与による造血機能への影響が懸念された。 今回の2件の臨床試験では、ニューモシスチス肺炎(PCP)や結核などの日和見感染症の発症を増加させず、3系統の血球変動もほぼ許容できる範囲の結果であった。しかしながら、これらの結果は、あくまでも短期的かつ日常臨床とは異なる環境で行われた臨床試験によるものである。近い将来、本剤の臨床応用が可能になった際、上述したリスクを念頭に適正に使用することが求められるであろう。本剤の適正使用が確立された暁には、リウマチ治療のブレークスルーとなりうるポテンシャルを秘めた薬剤となると考えられる。

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強直性脊椎炎〔AS: ankylosing spondylitis〕

1 疾患概要■ 概念・定義強直性脊椎炎(ankylosing spondylitis:AS)は、脊椎関節炎(spondyloarthritis:SpA)といわれる疾患群の代表的疾患である。SpAは、(1)血清のリウマトイド因子陰性、(2)仙腸関節炎・脊椎炎および末梢関節炎があり、(3)患者はHLA-B27遺伝子を高率に保有する、という特徴を持つ。ASのほかに、反応性関節炎(reactive arthritis:ReA)、乾癬性関節炎(psoriatic arthritis: PsA)、炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)に伴う関節炎、分類不能(診断未確定)脊椎関節炎(undifferentiated SpA:uSpA)などがある(図1)。SpAの関節外症状にはぶどう膜炎など眼症状、膿漏性角化症や乾癬などの皮膚症状、IBDの腸疾患などが認められる。これらの症状はヒトHLA-B27遺伝子を有するラットにも認められ、「関節‐皮膚‐眼‐腸管」に及ぶ全身性疾患であることが理解できる。画像を拡大する最近、国際脊椎関節炎評価学会(Assessment of SpondyloArthritis international Society:ASAS)の分類基準では、本疾患は体軸性脊椎関節炎(axial spondyloarthritis:ax SpA)に分類される。■ 疫学ドイツでは成人の1%に発病し、関節リウマチと同程度の率とされているが、一般的に白人では0.5%、わが国のASの有病率は約0.02~0.03%と推定される。一般人口でみたHLA-B27の保有率は地域・民族によって異なり、北欧14%、欧米8%、中国・韓国5%、日本0.3%である。このため日本人のASの頻度は少ない。男女比は3~4:1で男性に多く、90%以上が40歳以前に発症する。■ 病因仙腸関節や付着部ではTNF-αなどの炎症性サイトカインが産生される。Th17細胞が関与する。自己免疫は明らかでなく、自然免疫の関与が想定されている。HLA-B27を構成する重鎖の構造異常があり、重合して2量体を形成することによって、NK細胞、B細胞、Th17細胞などの活性を引き起し、IL-23の産生が病因として推定されている。■ 症状1)炎症性腰背部痛(inflammatory back pain:IBP)仙腸関節炎・脊椎炎の症状は、「炎症性腰背部痛」として表現される。これは50歳以下に発症し、3ヵ月以上認められる背部痛であり、(1)30分を超える朝のこわばり、(2)背部痛は運動によって改善され、安静では改善されない、(3)睡眠時間の後半(明け方)に背部痛のため起こされる、(4)右や左に移動する殿部痛の4項目の特徴を持ち、2項目が該当すれば、IBPが存在すると分類される(Berlin criteria:感度70.3%、特異度81.2%)。椎間板ヘルニアなどの機械的な背部痛(mechanical back pain)は安静で良くなり、片側性であることが鑑別になる。線維筋痛症の疼痛と比べ、IBPは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が有効という特徴がある。2)仙腸関節炎・脊椎炎仙腸関節・脊椎は体軸性関節(axial joint)と呼ばれる。仙腸関節炎・脊椎炎の典型的な臨床症状はIBPである。脊柱を中心とした身体のこわばりがあり、腰殿部痛(仙腸関節痛、坐骨関節痛)、項部痛、胸部痛が主症状である。初期には、腰背部痛の激痛発作~寛解を繰り返すことが多い。病状の進行に伴い、脊柱の可動域制限が生じ、進行例では、脊柱の強直に至る。可動域制限により脊柱は後弯傾向になり、特徴的な前傾・前屈姿勢になる。3)付着部炎(enthesitis)関節周囲の靱帯付着部(足底、大腿骨大転子、脊椎棘突起、腸骨稜、鎖骨、肋骨など)に炎症が起こり、疼痛が生じる。滑膜炎(synovitis)とは鑑別する必要がある。4)末梢関節炎全経過中に末梢関節炎は、80%以上の症例に認められる。股、肩、膝、足の順に、片側性に出現する。初発症状が末梢関節炎であることも30%の症例に認められる。5)ぶどう膜炎前部ぶどう膜炎は、約30%に認められ、再発性で、片側性である。診断時にぶどう膜炎の既往を聞くことが必要である。■ 分類これまではSpAの個々の疾患を並列に分けて論じてきたが、実際には共通した病態や症状(axial spondylitis)に着眼して生物学的製剤の治療が行えるために、ASASによって、疾患が表1のように分類される。画像を拡大する■ 予後最近の文献では、罹病後10年の生存率は100%であった。女性では罹病後38年間以内における死亡症例はない。50年後の生存率は男性61%、女性77%であり、女性のほうが生命予後は良好であった。死因は(1)循環器疾患(40.0%)、(2)悪性新生物(26.8%)、(3)感染症(23.2%)などであった。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)これまでの診断では、改訂ニューヨーク診断基準(表2)が用いられてきた。しかし、単純X線所見で仙腸関節の所見が出現する時期は50%以上の症例が発症後5年以上かかる。このためMRIでの脂肪抑制T2強調像またはSTIR法で早期より診断が可能になり、ASASによる分類基準が提唱された。画像を拡大するASASの分類基準では、体軸性(axial)SpAおよび末梢関節(peripheral)のSpAの分類基準(図2、3)がある。体軸性SpA の分類には、(1)炎症性腰背部痛、(2)HLA-B27の存在、(3)仙腸関節の画像所見が、SpAの分類(診断)に重要であることが理解できる。画像を拡大する画像を拡大するしかし、ASAS基準は分類基準である。個々の症例の診断は、1)医師の経験に基づく判断、2)除外・鑑別診断に基づく判断、3)症例検討会など他の医師との確認、4)経時的な臨床所見からの検証、など多方面の視点からの確認作業を重ねて診断が行われる。診断された症例の中から疾患特異性を求めるために、ASASの分類基準の規定に照らし合わせ、満足した症例が疫学調査や臨床治験に組み込まれる(表3)。このため紙面のチェックリストを用いて、簡単にASAS基準に満足すれば ASであると診断することは誤りである。また、すぐにbiologics治療をはじめることも誤りである。線維筋痛症や機械的腰痛などが分類基準であるASAS基準を使用することによって誤診されることが、国内外から指摘されている。乾癬性関節炎に関するCASPAR分類も同様である。ASAS基準はあくまでも診断の参考として使用する。チェックリストを用いた診断では、除外・鑑別診断ができず、また、他医との臨床検討がおろそかになる。また、リウマチ性疾患は多くの場合、2~3回の診察にて診断名が明らかになるが、数ヵ月間の経時的な評価・確認に基づく診断が必要である。画像を拡大する■ 検査1)臨床検査診断に特異的な臨床検査はないが、赤沈促進、CRP上昇、血清IgA値の中程度の上昇、HLAタイピング(HLA-B27陽性)は重要な根拠である。2)画像診断仙腸関節および脊椎のX線所見とMRI所見が重要である。X線画像では、仙腸関節は初期に変化がみられ、通常両側性で対称性である。骨吸収(blurring)、切手の縁の刻みのような骨侵食像と骨硬化像、進行すると関節裂隙の狭小化、偽拡大や線維化、骨化、強直が認められる。仙腸関節の撮影は正面1枚では偽陽性と判定されやすいので、左右斜位での撮影を必ず行う(図4)。画像を拡大する脊椎の椎体は骨化が進むと前方椎骨間の骨性架橋の癒合(syndesmophytes)がみられ、竹様脊椎(bamboo spine)を呈する。MRI検査は骨髄浮腫や骨炎などの炎症部位が検出可能で鋭敏であり、X線所見が認められない“non-radiographic”の時期から病変を検出できる。ほかにSTIR画像、T1強調画像が用いられる。CTは、主に仙腸関節の不整や硬化など形態変化を検出する。慢性進行例では、MRIにて検出できないためCTの所見が重要である。■ 鑑別が必要な疾患1)強直性脊椎骨増殖症(diffuse idiopathic skeletal hyperostosis:DISH または ankylosing spinal hyperostosis:ASH)50歳以上の高齢者に認められる。血液所見で炎症反応は認めず、仙腸関節に不整は認められるが関節裂隙は保たれ、強直化も認めない。ASの靱帯骨棘(syndesmophyte)は縦方向に流れるように形成されるのに対して、DISHの骨棘(osteophyte)は横方向に伸び、かつ非対称性である。多くの靭帯の骨化が認められる。糖尿病を合併することがある。疼痛や可動域制限はあるがASほどではない。2)硬化性腸骨炎分娩後の女性に多くみられ、疼痛は仙腸関節周囲に限定し、血液所見での炎症反応は認めず、仙腸関節の関節面の変化より、腸骨側に三角形の均等な骨硬化像が認められる。3)膿疱性関節骨炎(掌蹠膿胞症性骨関節炎)掌蹠膿疱症(palmoplantar pustulosis)の患者に合併する関節炎で、SAPHO症候群に含まれる仙腸関節炎を10~40%合併する。脊椎の病変が多い。胸肋鎖骨肥厚症が90%出現する。関節炎発現時、皮膚病変がないこともあり、必ず既往歴を聞くことが大切である。4)線維筋痛症多数の疼痛点がASの付着部痛の部位と似ていることから、過剰診断または混同される。女性に多く、多彩でさまざまな症状を強く訴える。ASの症例は、一般的に我慢強い。血液検査や画像診断で異常は認められない。NSAIDsが無効であり、ぶどう膜炎の既往もない。HLA-B27陽性であることは少ない。5)変形性脊椎症、変形性仙腸関節症身体のこわばりや疼痛、可動域の制限などASと共通な臨床症状を呈するが、その程度は軽い。血液検査で炎症所見は認められない。X線所見上、一見AS類似の所見を呈するが、関節面の骨びらん・骨硬化はみられるものの、高齢になっても脊椎関節や仙腸関節の裂隙は保たれ、強直はみられない。脊椎正面像では、横方向に伸びる骨棘が特徴的である。仙腸関節下端にも骨棘が伸びる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)ASの治療の基本は、ASAS/EULARのAS治療に関する勧告(表4、図5)になる。主な治療は薬物療法と運動・理学療法である。画像を拡大する1)運動・理学療法定期的な運動・体操により姿勢や背骨の動きを保ち、痛みを和らげて運動機能を促進する。入浴やシャワーの後にストレッチを行うことにより関節の可動域が保たれる。温水プールでの運動や水泳が理想的である。背骨を伸ばす運動や深呼吸をする運動が勧められる。個人に適した強さの体操や運動を、無理せず継続して行うことが重要である。2)薬物療法基本はNSAIDsである。脊椎関節炎に対してはメトトレキサート(MTX)〔保険適用外〕を含む従来のDMARDsが有効であるというエビデンスはない。末梢関節炎に対してはサラゾスルファピリジン(商品名:アザルフィジンEN)〔保険適用外〕が有効である。ステロイドは主に関節局所への注射が使用される。骨粗鬆症予防にビスホスホネート製剤が併用される。NSAIDsの効果が不十分な脊椎の症状に対しては、TNF-α阻害薬の適応がある(表5、6)。画像を拡大する画像を拡大するわが国では、インフリキシマブ(同:レミケード)とアダリムマブ(同:ヒュミラ)が保険適用となっている。TNF-α阻害薬使用時にMTXを併用する必要はなく、かつ、併用効果のエビデンスはない。TNF-α阻害薬による骨形成抑制作用に関しては現時点では明らかにはなっていない。しかし、TNF-α阻害薬が炎症を抑え、疼痛を軽減することは、身体の活動・運動を促し、可動域減少を予防する。また、就学、就労、家事および育児の継続に有効な治療法と考えられる。3)手術進行した股関節の障害に対しては人工関節置換術が行われる。4 今後の展望ASおよびSpAに関する分類の再構築によって、治療の適応が拡大し、早期よりTNF-α阻害薬の使用ができるようになった。TNF-α阻害薬における骨形成阻害作用は確認されていないが、疼痛の緩和やADLの改善や体操によって、可動域制限の進行が抑制される可能性が期待される。アバタセプトやリツキシマブのASに対する治療効果は否定的である。IL-17阻害薬であるセクキヌマブ(商品名:コセンティクス)が2015年11月欧州で、また、2016年1月米国で承認となった。そのほかの治療薬の出現が待たれる。5 主たる診療科リウマチ科、整形外科、膠原病内科、放射線科、消化器内科、皮膚科、眼科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本リウマチ財団 リウマチ情報センター 対象とする病気:強直性脊椎炎(一般利用者向けのまとまった情報)日本脊椎関節炎学会(医療従事者向けのまとまった情報)日本整形外科学会 症状・病気をしらべる:強直性脊椎炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)長引く腰痛、実は…強直性脊椎炎の情報発信サイト(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)公的助成情報東京都福祉保健局:難病患者支援(患者、患者家族向けの情報)患者会情報日本AS友の会 Japan Ankylosing Spondylitis Club(JASC)(ASの患者、患者家族向けの情報)1)井上 久ほか. 強直性脊椎炎の診断と治療の実際. 2012; アボットジャパン株式会社、エーザイ株式会社.2)井上 久ほか.我が国の強直性脊椎炎(AS)患者の実態~第3回患者アンケート調査より~.日本脊椎関節炎学会誌;2011;3:29-34.3)Kobayashi S, et al. Mod Rheumatol.2012;22:589-597.公開履歴初回2013年08月29日更新2016年04月12日

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難治性リウマチに新規JAK阻害薬は有効か/NEJM

 生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)に効果不十分の難治性関節リウマチ(RA)患者に対し、新規経口薬の選択的ヤヌスキナーゼ(JAK)1および2阻害薬baricitinibの1日1回4mg投与で、12週時点の臨床的改善が認められたことが報告された。米国・スタンフォード大学医療センターのMark C. Genovese氏らが、24週間の第III相臨床試験の結果、報告した。baricitinibは第II相試験で、生物学的DMARDs投与歴のないRA患者の疾患活動性を低下したことが確認されていた。NEJM誌2016年3月31日号掲載の報告。527例を対象に、baricitinib1日1回2mg vs.同4mg vs.プラセボ 試験は2013年1月~14年9月に、24ヵ国178施設で527例を対象に行われた。被験者は、1種類以上のTNF阻害薬、他の生物学的DMARDsの治療歴があり、十分な効果が得られなかったか、忍容できない副作用のために治療中断となった、18歳以上の中等度~重度の活動性RA患者であった。 研究グループは被験者を、baricitinib1日1回2mg投与、同4mg投与、プラセボ投与の3群に1対1対1の割合で無作為に割り付け24週間投与した。 主要エンドポイントは、米国リウマチ学会基準の20%改善(ACR20)を認めた患者の割合であった。キー副次エンドポイントとして、健康評価質問票機能障害指数(HAQ-DI)、C反応性蛋白値に基づく28関節疾患活動性スコア(DAS28-CRP)、簡易疾患活動性指標(SDAI)スコア3.3以下(尺度0.1~86.0で、スコア3.3以下が寛解を示す)を評価。分析は、12週時点の主要およびキー副次エンドポイントのタイプIエラーを調整するため、ステップワイズ階層的仮定検定法を用いて行い、最初にACR20を評価、次いでHAQ-DIスコアとDAS28-CRPのベースラインからの変化を、最後にSDAIスコア3.3以下を評価した。また、すべての評価は、最初にbaricitinib 4mg群 vs.プラセボ群を、次に、baricitinib 2mg群 vs.プラセボ群の順で行った。12週時のACR20、4mg群 vs.プラセボ群で有意差 既治療について、生物学的DMARDsの投与が1種類であった患者は221例(42%)、2種類が160例(30%)、3種類以上が142例(27%)であった。また、それら生物学的DMARDs既治療患者のうち、TNF阻害薬による治療歴のない患者は約38%であった。 結果、主要エンドポイントの12週時点のACR20を達成した患者は、baricitinib 4mg群がプラセボ群よりも有意に多かった(55% vs.27%、p<0.001)。HAQ-DIスコア、DAS28-CRPについても、baricitinib 4mgとプラセボ群で有意差が認められたが(いずれもp<0.001)、SDAIスコア3.3以下に関しては有意差はみられなかった(p=0.14)。 24週間の有害事象の発現率は、プラセボ群(64%)よりもbaricitinib 2mg群(71%)および同4mg群(77%)で高率であった。感染症(31% vs.44%および40%)などが報告されている。 重篤有害事象の発現率は、プラセボ群7% vs. baricitinib 2mg群4%および4mg群10%であった。いずれも4mg群で、非メラノーマ皮膚がんが2例、主要有害心血管イベント(MACE)2例(うち1例は致死的脳卒中)が報告されている。 また、安全性評価の臨床検査データから、baricitinibは、好中球のわずかな減少、血清クレアチニンの増加、LDLコレステロールの増加と関連することが示唆された。 これらの結果を踏まえて著者は「さらなる試験を行い、長期の安全性と効果の持続性を評価する必要がある」とまとめている。

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トシリズマブは巨細胞性動脈炎に有効である(解説:金子 開知 氏)-514

 巨細胞性動脈炎(giant cell arteritis:GCA)は、大動脈とその分枝の中~大型動脈に起こる肉芽腫性血管炎である。多くは50歳以上の高齢者に起こる疾患であり、とくに浅側頭動脈が好発部位で、最も重要な障害は失明である。臨床症状としては発熱、頭痛、視力・視野異常、下顎跛行、側頭動脈の圧痛や拍動を認める。また、約30%にリウマチ性多発筋痛症を合併する。検査所見では、赤沈亢進、CRP上昇を認める。治療は、中等量あるいは高用量のステロイドが第1選択である。しかし、ステロイド減量中の再燃や治療抵抗例が少なからず存在し、免疫抑制薬やTNF阻害薬の併用が試みられてきたが、有効性が十分とは言い難かった。近年、GCAに対してIL-6阻害薬であるトシリズマブ(tocilizumab:TCZ)の有効性が注目されている。 今回、Villiger氏らが、GCA患者に対するTCZの有効性と安全性に関するプラセボ対照無作為化二重盲検試験を行った。対象は、新規または再発の基準を満たした50歳以上のGCA患者30例とした。対象患者を経口プレドニゾロン(1mg/kg/日より開始し規定に従い徐々に0mgまで減量)併用下で、TCZ併用群(20例)、プラセボ群(10例)に無作為に2対1の割合で2群に割り付け、TCZ 8mg/kgまたはプラセボを4週に1回、52週まで13回静脈内投与した。主要評価項目は12週目(その際プレドニゾロン0.1mg/kg/日)の、臨床症状や所見がなく、赤沈正常、CRP陰性化した完全寛解の割合とした。 結果は、12週での完全寛解率は、TCZ併用群85%(17例)であり、プラセボ群40% (4例)と比較して有意に高値であった。52週までの無再発率も、TCZ併用群85%(17例)で、プラセボ群20%(2例)と比べて有意に高率であった。52週間のプレドニゾロン積算投与量は、TCZ併用群では43mg/kgと、プラセボ群(110mg/kg)と比較して有意に低用量であった。重篤な有害事象は、TCZ併用群7例(35%)であり胃腸障害が多く、プラセボ群5例(50%)で心血管疾患が多くみられた。 本研究により、GCAに対する寛解導入および維持療法にTCZ併用の有効性が示された。しかし、TCZの治療効果判定には症状や炎症反応だけではなく、画像検査などによる動脈病変の評価も重要であり、今後は画像評価も必要と思われる。また、TCZ併用の長期的な安全性や寛解維持に達した後のTCZの減量や、TCZの投与期間も今後検討していく必要があると思われる。

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フィーバー國松の不明熱コンサルト

第1回 循環器内科「パパッとエコーでわからないもの」 第2回 消化器内科「内視鏡、やってみたけど」 第3回 呼吸器内科「肺は大丈夫だけど、苦しい」 第4回 腎臓内科「腎臓がやられているというだけで…」 第5回 血液内科「骨髄検査は正常です」 第6回 神経内科「答えは脳ではない」 第7回 膠原病内科「それでもスティル病とは言えない」 第8回 感染症内科「ほかに何があるでしょうか?」 循環器、消化器、呼吸器…どんな臓器の専門医でも日々の専門診療のなかでなかなか原因が突き止められない「熱」に直面することがあります。そんな専門医が抱える不明熱を「熱」のスペシャリスト・フィーバー國松が徹底分析。各科で遭遇しやすいキホンの熱から、検査ではわからない困った熱まで、それらの鑑別方法、対処法を詳しく解説します。 国立国際医療研究センター病院で不明熱外来を担う講師は、院内外の各科からさまざまな不明熱のコンサルトを受け、日々、その発熱の原因究明に挑んでいます。本DVDで取り上げるのは、循環器、消化器、呼吸器、腎臓、血液、神経、膠原病、感染症の8領域。「熱」に自信を持って立ち向かえる!発熱診療の強力な手がかりをお届けします!第1回 循環器内科「パパッとエコーでわからないもの」第1回は循環器内科編。循環器内科でみられるキホンの不明熱、検査ですぐにはわからない困った不明熱を解説します。「循環器疾患で来たはずなのに発熱が続いている…」「救命後に下がらない熱…」特に入院中の患者によくみられる不明熱のさまざまな可能性と、原因究明のためのアプローチを、熱のスペシャリスト・國松淳和氏がご紹介します。第2回 消化器内科「内視鏡、やってみたけど」第2回は消化器内科編。自己免疫疾患から機能性疾患まで、幅広くさまざまな疾患を扱う消化器内科医が、しばしば遭遇する不明熱について解説します。内視鏡や生検では診断のつかない、困った熱の原因を探るためのヒントを紹介します。10歳代から20年以上続く発熱と腹痛の原因疾患とは…!?第3回 呼吸器内科「肺は大丈夫だけど、苦しい」第3回は呼吸器内科編。不明熱のコンサルトを受けることも多い呼吸器内科医が、本当に困る不明熱について解説します。呼吸器という限られた臓器のなかで感染症から、まれな悪性疾患まで、さまざまな疾患の可能性がありうる領域です。特に混乱しやすいのが、原因が呼吸器疾患でなかった場合…肺炎と肺炎随伴胸水と考えていた患者が、実は横隔膜下膿瘍だったなど。見落としがちな疾患をリストアップして紹介します。第4回 腎臓内科「腎臓がやられているというだけで…」第4回は腎臓内科編。腎臓内科で不明熱に遭遇した場合、熱源が疑えても「造影剤を使用しにくい」「試験的な投薬をしにくい」という問題があります。腎機能障害患者の不明熱に対して想起すべき鑑別疾患、絶対に行うべき検査について解説します。また、長期透析という特別な背景を持つ患者の不明熱については、どうアプローチすべきなのか!? 國松氏がコンサルトを受けた実際の症例も紹介。 第5回 血液内科「骨髄検査は正常です」第5回は血液内科編。「不明熱と血球減少」は臨床内科医にとって鬼門!そのため血球減少の相談が血液内科の先生に集中しがちです。そんな他科からのコンサルトや、基礎疾患のわからない外来患者を効率よく診断するために、血球減少を来すキホンの疾患リスト、ウイルス性疾患の鑑別点を紹介します。抗体検査はもちろん必要ですが、時として素早い臨床診断も重要です。第6回 神経内科「答えは脳ではない」第6回は神経内科編。”Help me! Help me!” は神経内科医が押さえておきたい熱が出る12病態の頭文字!病態ごとに想起すべき疾患名をリストアップして解説します。また、「循環器内科のまれで重篤な疾患」と勘違いされがちな感染性心内膜炎(IE)についてもレクチャー。心原性脳塞栓症の患者が来たら、まずはIEのハイリスク群からチェックしましょう!よくある疾患でも、その裏に隠れている疾患を見逃さないための注意が必要です。第7回 膠原病内科「それでもスティル病とは言えない」第7回は膠原病科編。発熱のコンサルトに慣れている膠原病科の先生は、その原因疾患が膠原病であれば困ることはありません。困るのはやはり、最大かつ永遠の好敵手であるリンパ腫!SLEや成人スティル病など、臨床診断を行う膠原病科医にとって、病理組織検査でなければ診断できないものこそ難問です。そんな膠原病科の不明熱について、熱のスペシャリスト國松淳和先生が、症例診断も交えて解説します。第8回 感染症内科「ほかに何があるでしょうか?」日頃から不明熱の精査に慣れている感染症内科の先生方が困るのは、感染症を検討し尽くしても診断のつかない不明熱!皮疹、高サイトカイン、菌血症様という代表的な症候から臨床診断するコツや、不明熱精査と同時に始める「不明熱治療」という考え方と方法について解説します。症例検討は、ほぼ無症候で40度以上の発熱を2年間も繰り返す12歳女児。その最終診断とは?

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巨細胞性動脈炎の寛解導入にトシリズマブは有効/Lancet

 巨細胞性動脈炎(GCA)患者に対し、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体トシリズマブと経口プレドニゾロンの併用投与は、経口プレドニゾロン単独投与に比べ、完全寛解率や、長期無再発生存率も高いことが示された。スイス・ベルン大学のPeter M. Villiger氏らが、巨細胞性動脈炎患者30例を対象に行った初となる無作為化試験の結果で、Lancet誌オンライン版2016年3月4日号で発表された。巨細胞性動脈炎に対し、糖質コルチコイド治療はゴールドスタンダードで重篤な血管合併症を防ぐが、罹患・死亡率が高い。トシリズマブは、巨細胞性動脈炎の寛解導入・維持に用いられていることから、研究グループは、新規および再発患者に対するトシリズマブの安全性と有効性を確認するため今回の検討を行った。投与後12週の完全寛解率を比較 検討は第II相プラセボ対照無作為化二重盲検試験で、2012年3月3日~14年9月9日の間、ベルン大学病院単施設で、米国リウマチ学会1990年版基準を満たした巨細胞性動脈炎の新規または再発診断を受けた50歳以上の患者30例を対象に行われた。 研究グループは被験者を無作為に2対1の割合で2群に分け、一方にはトシリズマブを(8mg/kg、20例)、もう一方にはプラセボを(10例)、4週に1回、52週(13回)にわたり静脈内投与した。なお、両群に経口プレドニゾロン(1mg/kg/日で開始し、徐々に0mgまで減量)が投与された。 主要評価項目は、12週目のプレドニゾロン投与量0.1mg/kg/日時点で、完全寛解が認められた患者の割合だった。12週時点で完全寛解はトシリズマブ併用群85%、プラセボ群40%と有意な差 被験者のうち巨細胞性動脈炎の新規発症者は、トシリズマブ+プレドニゾロン群16例(80%)、プラセボ+プレドニゾロン群7例(70%)だった。 結果、12週時点で完全寛解が認められたのは、プラセボ群4例(40%)に対し、トシリズマブ併用群は17例(85%)と有意に高率だった(リスク差:45%、95%信頼区間[CI]:11~79、p=0.0301)。52週時点の無再発生存率は、プラセボ群2例(20%)に対し、トシリズマブ併用群17例(85%)だった(リスク差:65%、95%CI:36~94、p=0.0010)。 プレドニゾロン中止までの平均生存期間は、トシリズマブ併用群(38週)がプラセボ群(50週)より短く(両群差:12週、95%CI:7~17、p<0.0001)、そのため52週間のプレドニゾロン累積投与量は、プラセボ群110mg/kgに対し、トシリズマブ群は43mg/kgと有意な少量投与に結び付いた(p=0.0005)。 重篤有害事象の報告は、プラセボ群5例(50%)、トシリズマブ群7例(35%)だった。

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ベーチェット病〔BD: Behcet’s disease〕

※疾患名にある「Behcet's」は「」が正しい綴りですが、WEB上では正しく表示されない場合があるため、本ページでは「Behcet's」としています。1 疾患概要■ 概念・定義ベーチェット病(BD)は、多臓器侵襲性の非肉芽腫性炎症性疾患であり、病因はいまだ不明の多因子疾患で、口腔粘膜のアフタ性潰瘍、皮膚病変、眼病変、外陰部潰瘍を4主病変として、急性炎症性発作を繰り返すことを特徴とする疾患である。病名の由来は、1937年、トルコのイスタンブール大学皮膚科のベーチェット教授の報告に基づく。近年、新患症例の減少と病態の軽症化が指摘されている。■ 疫学1972(昭和47)年にスモン、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス(SLE)とともに最初に厚生労働省(当時は厚生省)の特定疾患の治療研究事業対象疾患として指定された。疾患の伝播経路から「シルクロード病」ともいわれる。特定疾患医療受給者数は、2万35人で(2015年3月末現在の特定疾患医療受給者数は1万9,147人)、男女比はほぼ同数だが特殊型や重症型は男性に多い。■ 病因(図1)遺伝的にはHLA-B51やHLA-A26との関連、環境因子としてS.sanguinisや熱ショック蛋白(HSP)との関連などが報告されている。近年では、IL-10、IL23R/IL12RB2のほか、ERAP-1(Endoplasmic reticulum aminopeptidase 1)、TLR-4(Toll-like receptor 4)、NOD2(Nucleotide-binding oligomerization domain-containing protein 2)およびMEFV(Mediterranean fever)などの関与も報告されているが、病因はいまだ不明の多因子疾患である。近年、MEFVの関与を含め、臨床所見やコルヒチン(商品名:コルヒチン[わが国ではベーチェット病・同ぶどう膜炎に対しては未承認])に対する有効性などの類似所見から家族性地中海熱などの範疇である自己炎症症候群との関連が報告されている。画像を拡大するBDの病態は、獲得免疫および自然免疫の双方から説明される。獲得免疫では、IL-12などが関与するTh1型の免疫反応が生じることが報告されている(IL-10はTh1型の免疫反応には抑制的)。それらの過程にHLA-B51、HLA-A26などのMHCクラスⅠ遺伝子の関与が推測されているが、近年、BDにMHCに付与するペプチドをトリミングする網内系アミノぺプチダーゼ(ERAP)のSNPが疾患感受性遺伝子として報告され、BD発症におけるHLA-B51陽性との相乗効果が示唆されている。自然免疫では、臨床所見の類似性などから家族性地中海熱などの自己炎症症候群との関連が指摘されていたが、近年、家族性地中海熱の原因遺伝子MEFV M694Vが疾患感受性遺伝子であることが報告された。実際に、それらの疾患に過剰に産生される炎症性サイトカイン(IL-1、TNF)はBDの治療標的でもある。また、Toll様受容体4(TLR-4)およびヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)の異常も指摘されていたが、近年の遺伝学的解析により、TLR4やNOD2も疾患感受性遺伝子として同定された。炎症性サイトカインの分子標的治療に加えて、将来、IL-10、HO-1、ERAPおよび細菌を標的とした治療の開発も期待できる。(田中良哉編. 免疫・アレルギー疾患の分子標的と治療薬事典. 羊土社; 2013. p. 230. より改変)■ 症状(図2)口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍、毛嚢炎様皮疹、結節性紅斑様皮疹、皮下の血栓性静脈炎、外陰部潰瘍などの粘膜皮膚病変および虹彩毛様体炎、ぶどう膜炎などの眼病変を主病変とする。また、大関節を主とする関節炎や副睾丸炎、さらには、生命予後にも影響を与える腸管、神経、血管病変を副病変とする。画像を拡大する■ 分類(表1)口腔粘膜のアフタ性潰瘍、皮膚病変、眼病変、外陰部潰瘍の4主病変すべてを併せ持つ完全型、および4主病変と5副病変(関節炎、副睾丸炎、腸管病変、血管病変、神経病変)の組み合わせにより、不全型(3主病変 or 2主病変+2副病変 or 眼病変+1主病変または2副病変)、疑い(主病変の一部のみ)、その他に分類される。また、副病変のうち、生命に関わるもの、あるいは後遺症を残す腸管、血管、神経病変が主病変で、不全型以上のものは特殊型として分類されている。画像を拡大する■ 予後重症の眼病変は日常生活動作を著しく障害するが、概して、特殊型を除き生命予後はよい。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)BDには疾患特異的な組織像やバイオマーカーがなく、経過を通じての再発性アフタ性潰瘍炎、皮膚病変、眼病変、外陰部潰瘍の4主病変、関節炎、副睾丸炎、腸管病変、血管病変、神経病変などの5副病変の臨床症状の組み合わせにより診断される。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)(表2)病因が不明で特異的な治療法はなく、一般的な生活指導のほかに、局所療法をはじめとした対症療法が主体となる。2007年1月に世界に先駆けて保険収載(効能追加)された難治性ぶどう膜炎に対するインフリキシマブ(商品名:レミケード)や、シクロスポリン(同:サンディミュンほか)および眼症状、皮膚粘膜症状、関節炎などに対するコルヒチン(未承認)は効果が認められている。消化器病変、血管病変、中枢神経病変の特殊型には副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬が有効な場合があるが、2013年5月、腸管BDにアダリムマブ(同:ヒュミラ)が、2015年8月には特殊型3型(腸管、血管、神経)のすべてにインフリキシマブが保険収載(効能追加)された。画像を拡大する4 今後の展望近年、病態の軽症化が指摘されている。理由は不明だが、その1つとしてインフラ整備の影響が考えられる。また、BDはTh1型の疾病であるが、Th2型の疾病であるアレルギー体質の増加なども指摘されている(シーソー現象)。病因に関しては、主として自然免疫系が関与する自己炎症症候群に分類する試みがあるが、BD患者には有意にHLA-B51が多いことから、自然免疫、獲得免疫の双方の関与が示唆される。さらに、近年の遺伝子学的研究により、IL-10、IL23R/IL12RB2、ERAP-1、TLR-4、NOD2、MEFVなどの疾患感受性遺伝子が新たに発見されており、今後、それらの機能解析によりさらなる進歩が期待できる。なお、厚生労働省ベーチェット病研究班では、世界的な診断、治療の標準化を目指して、特殊型の診療ガイドライン、眼病変の診療ガイドラインを報告しているが、平成28年度をめどにCQを含む新たなガイドライン作成のために厚労省BD班を中心として検証中である。治療面では、難治性ぶどう膜炎にインフリキシマブ、腸管BDに対してアダリムマブ、特殊型(腸管、血管、神経)に対してインフリキシマブが保険収載(効能追加)された。現在も、アプレミラストをはじめ、多くの臨床治験が施行中であり、さらなる治療の選択肢の増加が期待される。5 主たる診療科リウマチ・膠原病内科、眼科、皮膚科、その他の内科(消化器内科、神経内科、血管内科、循環器内科)、外科(血管外科、消化器外科)※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報ISBD(International Society For Behcet’s Disease)(国際ベーチェット病協会の英文での疾患説明)公的助成情報難病情報センター(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)厚生労働省科学研究費補助金 ベーチェット病に関する調査研究班(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)難病ドットコム ベーチェット病(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報ベーチェット病友の会(ベーチェット病患者と患者家族の会)NPO法人 海外たすけあいロービジョンネットワーク(眼炎症スタディーグループより改名)(眼炎症患者と患者家族の会)1)腸管ベーチェット病診療ガイドライン平成21年度案 ~コンセンサス・ステートメントに基づく~. ベーチェット病に関する調査研究 平成20~22年度(総括・分担研究報告書.研究代表者 石ヶ坪良明). 2011 ; p.231-234.2)腸管ベーチェット病診療コンセンサス・ステートメント案(2012). ベーチェット病に関する調査研究 平成24年度(総括・分担研究報告書 研究代表者 石ヶ坪良明). 2013; p.149-154.3)神経ベーチェット病の診断予備基準. ベーチェット病に関する調査研究 平成20~22年度(総括・分担研究報告書 研究代表者 石ヶ坪良明). 2011; p.239-234.4)ベーチェット病眼病変診療ガイドライン. ベーチェット病に関する調査研究 平成20~22年度(総括・分担研究報告書 研究代表者 石ヶ坪良明). 2011; p.197-226.5)Yoshiaki Ishigatsubo,editor. Behcet's Disease From Genetics to Therapies.Tokyo:Springer;2015.公開履歴初回2013年08月22日更新2016年02月16日

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若年性皮膚筋炎、プレドニゾン+MTXが有益/Lancet

 新規発症の若年性皮膚筋炎に対し、プレドニゾン+シクロスポリン併用またはプレドニゾン+メトトレキサート(MTX)併用は、いずれもプレドニゾン単剤と比較して有効であるが、安全性プロファイル、ステロイド節約効果においてプレドニゾン+MTX併用が支持されることが明らかにされた。イタリア・Istituto Giannina GasliniのNicolino Ruperto氏らが、22ヵ国54施設が参加した無作為化試験の結果、報告した。これまで皮膚筋炎および若年性皮膚筋炎の治療に関するデータは、大半が散発的で非無作為化によるケースシリーズ報告しかなかった。Lancet誌オンライン版2015年11月27日号掲載の報告より。プレドニゾンの単独と併用を比較 試験には、18歳以下で新規に若年性皮膚筋炎を発症し、未治療であり、皮膚または消化器系潰瘍のない患者を登録して行われた。 2006年5月31日~10年11月12日に、139例をプレドニゾン単独(47例)、プレドニゾン+シクロスポリン併用(46例)、プレドニゾン+MTX併用(46例)に無作為に割り付けて追跡評価した。患者、研究者は治療割り付けをマスキングされなかった。 主要アウトカムは、PRINTO20改善(6ヵ月時点で6つのコア指標のうち3指標で20%改善)に達した患者の割合、臨床的寛解までまたは治療不成功までの期間とした。 3治療群をKruskal-Wallis検定、Friedman's検定で比較し、生存分析はKaplan-Meier曲線とlog-rank検定にて行った。分析はintention to treat法による。 試験は、導入期(2ヵ月間)、維持期(22ヵ月間)、拡張期(3年以上)の3期にわたって行われ、本論では導入期と維持期2年以上を経過した結果を報告。追跡期間中央値は35.5ヵ月であった。臨床的寛解が観察されたのはMTX併用群のみ 6ヵ月時点でPRINTO20改善に達したのは、単独群24例(51%)、シクロスポリン併用群32例(70%)、MTX併用群33例(72%)であった(p=0.0228)。 臨床的寛解までの期間中央値は、MTX併用群41.9ヵ月であったが、他の2群では観察できなかった(MTX併用群の増大比2.45倍、95%信頼区間[CI]:1.2~5.0、p=0.012)。 治療不成功までの期間中央値は、単独群16.7ヵ月、シクロスポリン併用群53.3ヵ月、MTX併用群は観察できなかった(単独群の増大比1.95倍、95%CI:1.20~3.15、p=0.009)。 プレドニゾン中断までの期間は、単独群35.8ヵ月に対し、併用群は29.4~29.7ヵ月であった(p=0.002)。 有害事象の発現頻度は、シクロスポリン併用群で有意に多く、皮膚や皮下組織障害、消化器系システム障害、一般・全身障害がみられた。 感染症、寄生虫感染症はシクロスポリン併用およびMTX併用群で多くみられた。なお試験期間中の死亡例は報告されていない。

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想像以上に難しいRAの「バイオフリー」

 現在、生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARDs)は多くの関節リウマチ(RA)患者で使用されているが、寛解時にbDMARDsの使用を中止しても疾患コントロールができる患者はどれくらいの割合で存在するのだろうか。ハーバード大学の吉田 和樹氏らは、日常診療における寛解時にbDMARDsを中止した場合の影響について調査を行ったところ、bDMARDsフリーによるclinical disease activity index(CDAI)寛解は高確率で失敗に終わることがわかった。この結果は、一度寛解に至った後も疾患コントロールを行うことが難しいことを示している。ただし、寛解を維持した患者の中には非生物学的製剤治療の変更を行った者もいた。bDMARDsの費用が高額であることを考慮すれば、bDMARDsの中止後に疾患コントロールを行う治療戦略は重要な選択肢である可能性がある。Rheumatology誌オンライン版2015年9月8日号の掲載報告。 調査では、わが国におけるRA患者の多施設登録データベース「Ninja」のデータを用いた。bDMARDsを使用しており、かつbDMARDs中止前のCDAI 2.8以下の寛解が1回以上ある患者を対象とした。bDMARDsフリーによる疾患コントロールの失敗は「bDMARDsの再使用」「non-bDMARDs・経口ステロイドの増量」「CDAI寛解の喪失」により定義された。 主な結果は以下のとおり。・bDMARDsで寛解を達成した1,037例のうち、46例でbDMARDsを中止した。・46例のうち41例(89.1%)が女性であり、罹病期間の中央値は6年で、31例(70.5%)でレントゲン上にびらんが観察された。・46例のうち27例(58.7%)がメトトレキサートを用いており、19例(41.3%)が経口ステロイドを用いていた。・bDMARDsフリーの寛解喪失率は1年で67.4%、2年で78.3%と推定された。・多くみられたbDMARDsフリーによる疾患コントロール失敗の理由は、CDAI寛解喪失とbDMARDs再使用であった。・寛解中のCDAIの値が低いほど、疾患コントロール失敗も少なかった。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第24回

第24回:痛風の診断と治療、そして予防監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 先日、痛風結節のある患者が受診されました。高齢女性で、かなり食生活が乱れているようでした。診断と治療に関しての基本的な流れを確認しつつ、家庭医として予防についても考えてみました。厳密なプリン体摂取制限による尿酸値低下の影響は少ないといわれているものの、食事習慣の改善については根拠を持ってアドバイスをしたいと思っています。 以下、文献1より(一部文献3を含む)痛風は尿酸ナトリウム結晶により、主に第1中足骨関節(MTP:metatarsophalangeal joint)が侵される、有痛性の関節炎である。ほかにも横足根関節(MT:midtarsal joint)、足関節にも多く、長期罹患例では膝関節、手指関節にも生じうるが、股関節、肩関節はまれである。女性ホルモンが尿酸排泄を増加させるので、閉経前の女性は男性に比べて痛風の有病率が低いとされている。また、アルコール(とくにビール)、肉類(とくに赤肉、ジビエ、内臓)、魚介類(貝、大型海水魚)、フルーツジュース、高濃度果糖液の入った飲料などの摂取は痛風のリスクを高める。(表1) 画像を拡大する痛風の診断基準としては、米国リウマチ学会のもの(表2)が用いられることが多く、発症リスクの計算については、オンラインで利用できるものがある2)。鑑別診断は、偽痛風、化膿性関節炎(まれだが痛風との合併あり)をはじめとした感染症、外傷である。表2. 痛風の診断基準1. 尿酸塩結晶が関節液中に存在することまたは2. 痛風結節の証明または3. 以下の11項目のうち6項目以上を満たすことa) 2回以上の急性関節炎の既往があるb) 24時間以内に炎症がピークに達するc) 単関節炎であるd) 関節の発赤があるe) 第1中足趾節関節の疼痛または腫脹があるf) 第1中足趾節関節の病変であるg) 片側の足関節の病変であるh) 痛風結節(確診または疑診)があるi) 血清尿酸値の上昇があるj) X線上の非対称性腫脹がある(骨びらん周囲に骨硬化像を伴うことと、関節裂隙が保たれていることで、RAとの鑑別可能)k) 発作の完全な寛解がある上記のような診断基準ではあるが、可能な限り関節液中の尿酸-ナトリウム結晶の証明が求められる。超音波やMRI、CTは必ずしも診断には必要ないとされる。ただし、超音波において、軟骨表面の尿酸塩結晶の検出は、Double contour signとして有名である。痛風性関節炎の診断上の注意点3)1.痛風発作中の血清尿酸値は低値を示すことがあり、診断的価値は高くない2.関節液が得られたら迅速に検鏡し、尿酸塩結晶の有無を同定する3.痛風結節は診断上価値があるが頻度は低い急性期の治療については、副腎皮質ステロイドの経口投与とNSAIDsが同等に効果的である (推奨レベルB)。第1選択はNSAIDsであり、歴史的にはインドメタシンが好んで使用されているが、他のNSAIDsに比べて効果があるというエビデンスはない。ステロイドは短期間で終了すると再燃がありうるため、10~14日で漸減していく。コルヒチンはやや高価であり、鎮痛効果はなく、発症後72~96時間経過していると効果に乏しいとされる。再発予防の治療については、痛風の既往があり、かつ年2回以上の発作(CKD stage2以上では年1回以上)、痛風結節、または尿酸結石の既往がある場合には尿酸を下げる治療を考慮する。症状がなくても発作後3~6ヵ月は治療を継続し、症状がみられる場合には引き続き継続する。服薬についても選択肢は多くあるが、ここではフェブキソスタットとアロプリノールが同等に効果がある(推奨レベルB)と述べるに留める。日本での目標値としては尿酸値6mg/dL以下に維持するのが望ましいとされている。食生活習慣の改善としては、体重減少はリスクを下げる。果糖液、プリン体を多く含む動物性蛋白、とくにビールを含むアルコールを避けるべきである。一方で、プリン体を多く含む野菜は痛風のリスクを上昇させないといわれている。野菜や低(無)脂肪の乳製品の摂取が推奨される。(ただし、推奨レベルはC)※推奨レベルはSORT evidence rating systemに基づくA:一貫した、質の高いエビデンスB:不整合、または限定したエビデンスC:直接的なエビデンスを欠く※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Hainer BL, et al. Am Fam Physician. 2014;90:831-836. 2) Gout diagnosis calculator. the GP education and training resource.http://www.gp-training.net/rheum/gout.htm (参照2015.11.4). 3) 日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改訂委員会. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン ダイジェスト版.http://www.tufu.or.jp/pdf/guideline_digest.pdf (参照 2015.11.4).

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MTX併用により関節リウマチのTKAは減少するか

 関節リウマチ(RA)が進行して関節破壊が進んだ場合、人工膝関節置換術(TKA)を行うケースが少なくない。そこで、名古屋大学の浅井 秀司氏らは、TNF阻害薬で長期治療中のRA患者における関節破壊の進行に起因するTKA発生に関して、MTXを併用するとどの程度の影響があるのか調査を行った。その結果、MTXを併用することでTKAの発生率を56%抑制することがわかった。The Journal of rheumatology誌オンライン版2015年10月1日号の掲載報告。 調査は、2001年5月1日から2008年5月31日までに同大学病院でTNF阻害薬治療を受けたRA患者155例(310の膝関節)のうち、関節破壊の徴候のある68例(111の膝関節)を対象とし、5年以上にわたって後ろ向きに行われた。フォローアップ期間の中央値(四分位範囲)は8.1年(7.0~9.3)であった。 主な結果は以下のとおり。・MTXを併用していた膝関節は79関節(71%)であった。・カプランマイヤー推定によると、TKAの累積発生率はMTX非併用群と比較して、MTXを併用した群で有意に低かった(5年時点での発生率:24% vs.45%、p=0.035)。・Cox比例ハザードモデルを使用した多変量解析によると、MTX併用(ハザード比 0.44、95%CI:0.22~0.89)、Larsenグレード(2.93、95%CI:1.94~4.41)、高年齢(1.04、95%CI:1.01~1.08)はTKAの独立した予測因子であることが明らかとなった。

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巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)〔GCA : giant cell arteritis〕

1 疾患概要■ 概念・定義巨細胞性動脈炎(giant cell arteritis:GCA)は、大動脈とその分枝の中~大型動脈に起こる肉芽腫性血管炎である。頸動脈の頭蓋外の動脈(とくに側頭動脈)が好発部位のため、以前は、側頭動脈炎(temporal arteritis:TA)といわれた。発症年齢の多くは50歳より高齢であり、しばしばリウマチ性多発筋痛症(PMR)を合併する。1890年HunchingtonらがTAの症例を報告し、1931年にHortonらがTAの臨床像や病理学的特徴を発表したことからTAとしての古い臨床概念が確立し、また、TAは“Horton’s disease”とも呼ばれてきた。その後1941年Gilmoreが病理学上、巨細胞を認めることから“giant cell chronic arteritis”の名称が提唱された。この報告により「巨細胞性動脈炎(GCA)」の概念が確立された。GCAは側頭動脈にも病変を認めるが、GCAのすべての症例が側頭動脈を傷害するものではない。また、他の血管炎であっても側頭動脈を障害することがある。このためTAよりもGCAの名称を使用することが推奨されている。■ 疫学 1997年の厚生省研究班の疫学調査の報告は、TA(GCA)の患者は人口10万人当たり、690人(95%CI:400~980)しか存在せず、50歳以上では1.48人(95%CI: 0.86~2.10)である。人口10万人当たりの50歳以上の住民のGCA発症率は、米国で200人、スペインで60人であり、わが国ではTA(GCA)は少ない。このときの本邦のTA(GCA)の臨床症状は欧米の症例と比べ、PMRは28.2%(欧米40~80%)、顎跛行は14.8%(8~50%)、失明は6.5%(15~27%)、脳梗塞は12.1%(27.4%)と重篤な症状はやや少ない傾向であった。米国カリフォルニア州での報告では、コーカシアンは31症例に対して、アジア人は1例しか検出されなかった。中国やアラブ民族でもGCAはまれである。スカンジナビアや北欧出身の家系に多いことが知られている。■ 病因病因は不明であるが、環境因子よりも遺伝因子が強く関与するものと考えられる。GCAと関連が深い遺伝子は、HLA-DRB1*0401、HLA-DRB1*0404が報告され、約60%のGCA症例においてどちらかの遺伝子を有する。わが国の一般人口にはこの2つの遺伝子保持者は少ないため、GCAが少ないことが推定される。■ 症状全身の炎症によって起こる症状と、個別の血管が詰まって起こる症状の2つに分けられる。 1)全身炎症症状発熱、倦怠感、易疲労感、体重減少、筋肉痛、関節痛などの非特異的な全身症状を伴うので、高齢者の鑑別診断には注意を要する。2)血管症状(1)頸部動脈:片側の頭痛、これまでに経験したことがないタイプの頭痛、食べ物を噛んでいるうちに、顎が痛くなって噛み続けられなくなる(間歇性下顎痛:jaw claudication)、側頭動脈の圧痛や拍動頸部痛、下顎痛、舌潰瘍など。(2)眼動脈:複視、片側(両側)の視力低下・失明など。(3)脳動脈:めまい、半身の麻痺、脳梗塞など。(4)大動脈:背部痛、解離性大動脈瘤など。(5)鎖骨下動脈:脈が触れにくい、血圧に左右差、腕の痛みなど。(6)冠動脈:狭心症、胸部痛、心筋梗塞など。(7)大腿・下腿動脈:間歇性跛行、下腿潰瘍など。3)合併症約30%にPMRを合併する。高齢者に起こる急性発症型の両側性の頸・肩、腰の硬直感、疼痛を示す。■ 分類側頭動脈や頭蓋内動脈の血管炎を呈する従来の側頭動脈炎を“Cranial GCA”、大型動脈に病変が認められるGCAを“Large-vessel GCA”とする分類法が提唱されている。大動脈を侵襲するGCAは、以前、高安動脈炎の高齢化発症として報告されていた経緯がある。GCA全体では“Cranial GCA”が75%である。“Large-vessel GCA”の中では、大動脈を罹患する型が57%、大腿動脈を罹患する型が43%と報告されている(図)。画像を拡大する■ 予後1998年の厚生省全国疫学調査では、治癒・軽快例は87.9%であり、生命予後は不良ではない。しかし、下記のように患者のQOLを著しく阻害する合併症がある。1)各血管の虚血による後遺症:失明(約10%)、脳梗塞、心筋梗塞など。2)大動脈瘤、その他の動脈瘤:解離・破裂の危険性に注意を要する。3)治療関連合併症:活動性制御に難渋する例では、ステロイドなどの免疫抑制療法を反復せねばならず、治療関連合併症(感染症、病的骨折、骨壊死など)で臓器や関連の合併症にてQOLが不良になる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)1990年米国リウマチ学会分類基準に準じる。5項目のうち3項目を満足する場合、GCAと分類する(感度93.5、特異度91.2%)。厚生労働省の特定疾患個人調査票(2015年1月)は、この基準にほぼ準拠している。5項目のうち3項目を満足する場合に、GCAと診断される(表1)。画像を拡大する■ 検査1)血液検査炎症データ:白血球増加、赤沈亢進、CRP上昇、症候性貧血など。CRP赤沈は疾患活動性を反映する。2)眼底検査必須である。虚血性視神経症では、視神経乳頭の虚血性混濁浮腫と、網膜の綿花様白斑(軟性白斑)を認める。3)動脈生検適応:大量ステロイドなどのリスクの高い免疫抑制治療の適応を決めるために、病理学的検討を行うべきである。ただし、進行性の視力障害など、臨床経過から治療を急ぐべきと判断される場合は、ステロイド治療開始を優先し、側頭動脈生検が治療開始の後でもかまわない。側頭動脈生検の実際:症状が強いほうの側頭動脈を局所麻酔下で2cm以上切除する。0.5mmの連続切片を観察する。病理組織像:中型・大型動脈における(1)肉芽腫性動脈炎(炎症細胞浸潤+多核巨細胞+壊死像)、(2)中膜と内膜を画する内弾性板の破壊、(3)著明な内膜肥厚、(4)進行期には内腔の血栓性閉塞を認める。病変は分節状に分布する(skip lesion)。動脈生検で巨細胞を認めないこともある。4)画像検査(1)血管エコー:側頭動脈周囲の“dark halo”(浮腫性変化)はGCAに特異的である。(2)MRアンギオグラフィー(MRA):非侵襲的である。頭蓋領域および頭蓋領域外の中型・大型動脈の評価が可能である。(3)造影CT/3D-CT:解像度でMRAに優る。全身の血管の評価が可能である。3次元構築により病変の把握が容易である。高齢者・腎機能低下者には注意すること。(4)血管造影:最も解像度が高いが、侵襲的である。高齢者・腎機能低下者には注意すること。(5)PET-CT(2015年1月現在、保険適用なし):質的検査である。血管壁への18FDGの取り込みは、血管の炎症を反映する。ただし動脈硬化性病変でもhotになることがある。5)心エコー・心電図など:心合併症のスクリーニングを要する。■ 鑑別診断1)高安動脈炎(Takayasu arteritis:TAK)欧米では高安動脈炎とGCAを1つのスペクトラムの中にある疾患で、発症年齢の約50歳という違いだけで分類するという考えが提案されている。しかし、両疾患の臨床的特徴は、高安動脈炎がより若年発症で、女性の比率が高く(約1:9)、肺動脈病変・腎動脈病変・大動脈の狭窄病変が高頻度にみられ、PMRの合併はみられず、潰瘍性大腸炎の合併が多く、HLA-B*52と関連する。また、受診時年齢と真の発症年齢に開きがある症例もあるので注意を要する。現時点では発症年齢のみで分けるのではなく、それぞれGCAとTAKは1990年米国リウマチ学会分類基準を参考にすることになる。2)動脈硬化症動脈硬化症は、各動脈の閉塞・虚血を来しうる。しかし、新規頭痛、顎跛行、血液炎症データなどの臨床的特徴が異なる。GCAと動脈硬化症は共存しうる。3)感染性大動脈瘤(サルモネラ、ブドウ球菌、結核など)、心血管梅毒細菌学的検査などの感染症の検索を十分に行う。4)膠原病に合併する大動脈炎など(表2)画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)治療の目標は、(1)全身炎症症状の改善、(2)臓器不全の抑制、(3)血管病変の進展抑制である。ステロイド(PSL)は強い抗炎症作用を有し、GCAにおいて最も確実な治療効果を示す標準治療薬である。■ 急性期ステロイド初期量:PSL 1mg/kg/日が標準とされるが、症状・合併症に応じて適切な投与量を選択すること。2006~2007年度の診療ガイドラインでは、下記のように推奨されている。とくに、高齢者には圧迫骨折合併に注意する必要がある。1)眼症状・中枢神経症状・脳神経症状がない場合:PSL 30~40 mg/日。2)上記のいずれかがある場合:PSL 1mg/kg/日。■ 慢性期ステロイド漸減:初期量のステロイドにより症状・所見の改善を認めたら、初期量をトータルで2~4週間継続したのちに、症状・赤沈・CRPなどを指標として、ステロイドを漸減する。2006~2007年度の診療ガイドラインにおける漸減速度を示す。1)PSL換算20mg/日以上のとき:2週ごとに10mgずつ漸減する。2)PSL換算10~20mg/日のとき:2週ごとに2.5mgずつ漸減する。3)PSL換算10mg/日以下のとき:4週ごとに1mgずつ、維持量まで漸減する。重症例や活動性マーカーが遷延する例では、もう少しゆっくり漸減する。■ 寛解期ステロイド維持量:維持量とは、疾患の再燃を抑制する必要最小限の用量である。2006~2007年度の診療ガイドラインでは、GCAへのステロイド維持量はPSL換算10mg/日以下とし、通常、ステロイドは中止できるとされている。しかし、GCAの再燃例がみられる場合もあり、GCAに合併するPMRはステロイド減量により再燃しやすい。■ 増悪期ステロイドの再増量:再燃を認めたら、通常、ステロイドを再増量する。標的となる臓器病変、血管病変の進展度、炎症所見の強度を検討し、(1)初期量でやり直す、(2)50%増量、(3)わずかな増量から選択する。免疫抑制薬併用の適応:免疫抑制薬はステロイドとの併用によって相乗効果を発揮するため、下記の場合に免疫抑制薬をステロイドと併用する。1)ステロイド効果が不十分な場合2)易再燃性によりステロイド減量が困難な場合免疫抑制薬の種類:メトトレキサート、アザチオプリン、シクロスポリン、シクロホスファミドなど。■ 経過中に注意すべき合併症予後に関わる虚血性視神経症、脳動脈病変、冠動脈病変、大動脈瘤などに注意する。1)抗血小板薬脳心血管病変を伴うGCA患者の病変進展の予防目的で抗血小板薬が用いられる。少量アスピリンがGCA患者の脳血管イベントおよび失明のリスクを低下させたという報告がある。禁忌事項がない限り併用する。2)血管内治療/血管外科手術(1)各動脈の高度狭窄ないし閉塞により、重度の虚血症状を来す場合、血管内治療によるステント術か、バイパスグラフトなどによる血管外科手術が適応となる。(2)大動脈瘤やその他の動脈瘤に破裂・解離の危険がある場合も、血管外科手術の適応となる。4 今後の展望関節リウマチに保険適用がある生物学的製剤を、GCAに応用する試みがなされている(2015年1月現在、保険適用なし)。米国GiACTA試験(トシリズマブ)、米国AGATA試験(アバタセプト)などの治験が行われている。わが国では、トシリズマブの大型血管炎に対する治験が進行している。5 主たる診療科リウマチ科・膠原病内科、循環器内科、眼科、脳神経外科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 巨細胞性動脈炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)今日の臨床サポート 巨細胞性動脈炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)J-STAGE(日本臨床免疫学会会誌) 巨細胞性動脈炎(医療従事者向けのまとまった情報)2006-2007年度合同研究班による血管炎症候群の診療ガイドライン(GCAについては1285~1288参照)(医療従事者向けのまとまった情報)1)Jennette JC, et al. Arthritis Rheum. 2013;65:1-11.2)Grayson PC, et al. Ann Rheum Dis. 2012;71:1329-1334.3)Maksimowicz-Mckinnon k,et al. Medicine. 2009;88:221-226.4)Luqmani R. Curr Opin Cardiol. 2012;27:578-584.5)Kermani TA, et al. Curr Opin Rheumatol. 2011;23:38-42.

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夜間高血圧とRAの疾患活動性は関連があるか

 夜間高血圧と関節リウマチ(RA)の全身性炎症はともに独立した心血管疾患の予測因子であるが、夜間高血圧と関節リウマチの疾患活動性にどんな関連があるのかは、ほとんど知られていない。 そこで、大阪市立大学の濱本 佳恵氏らは71例のRA患者に対して24時間自由行動下血圧測定(ABPM)を行い、夜間血圧の下降度合いと関節リウマチの疾患活動性について関連性を調査した。さらに71例のうち、同意が得られた25例について、4週間のリウマチ治療介入後に夜間血圧の下降度合いが改善したかどうか評価するためにABPMを再度行った。 その結果、関節リウマチの疾患活動性が高いほど夜間血圧の下降度合いが小さいことがわかった。 主な結果は以下のとおり。・71例のDAS28-CRPは4.8±1.6、夜間血圧の下降度合いは5.6±8.9%。・DAS28-CRPは夜間血圧の下降度合いと有意かつ独立して逆相関している(標準偏回帰係数β=-0.388、p=0.004)。・25例のDAS28-CRPはリウマチ治療介入後5.4±1.1から3.5±0.8(p<0.0001)と有意に下降した。・夜間収縮期血圧は121.2±22.5mmHgから112.5±18.8mmHg(p=0.02)と有意に下降し、夜間血圧の降下度合いは4.5±9.2%から10.6±5.8%(p=0.002)と有意に上昇した。・日中の血圧とは無関係であることがわかった。

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長引く原因不明の腰痛 もしかして●●!?

 2015年7月10日都内にて「強直性脊椎炎、指定難病認定への期待~治療環境とQOLの向上について考える~」と題したプレスセミナーが開催された。 本セミナーでは、大阪大学大学院 医学系研究科 運動器バイオマテリアル学 准教授の冨田 哲也氏、順天堂大学医学部附属順天堂医院 整形外科・スポーツ診療科 非常勤講師の井上 久氏、大阪行岡医療大学 医療学部理学療法科教授の村田 紀和氏、そして、患者の代表として日本AS友の会の政岡 泰雅氏の4名が、強直性脊椎炎(AS)の概要やAS診断・治療の問題点、患者自身の経験談、指定難病認定について講演を行った。■ASの概要 ASは仙腸関節炎や脊椎炎、末梢関節炎、靱帯・腱の付着部炎などを来す慢性炎症性疾患であり、10~30歳代の男性に多く発症する。 初期症状は腰部、臀部、背部の痛みであり、その痛みはとくに夜間・朝方に強く、機械的腰痛とは異なり運動により軽快するという特徴がある。 また、ASの80%以上でHLA-B27遺伝子が陽性であることからその関与が示唆されている。■AS診断・治療の問題点 わが国では諸外国と比較して患者数が少ないこともあり、その診断・治療法が十分に認知されておらず、発症から確定診断に至るまでに10年もの歳月を費やしてしまうケースも少なくない。生物学的製剤の登場により、治療の選択肢は広がっていることからも早期診断・早期治療が求められている。 また、ASと診断され、治療を開始した後も患者はさまざまな問題を抱えている。たとえば、器質的障害を抱えている患者は脊柱・股関節可動制限によるADL障害があり、MRI・DXA装置などの検査機器内に水平に入れないことによる疾患の見逃しや誤診の可能性が否定できない。また、人工関節がある場合には感染の原因となったり、画像検査で雑信号が発生することによる疾患の見逃しなどの可能性があり注意が必要である。■患者の立場から ASは少年~青年期に発症することが多く、また症状の発現に波があることから、「さぼっている」「怠け者」として扱われ、家庭・学校・職場などで理解を得られないことも少なくない。実際、政岡氏自身も職場の理解が得られずに退職に追い込まれたという。その後ASに造詣が深い医師に出会い、生物学的製剤を投与することで病状は安定し、仕事を再開できるようになった。生物学的製剤は高額であることもあり、今回の指定難病認定は患者の立場からも非常に喜ばしいことだという。■指定難病認定について 平成3年に設立された日本AS友の会は、指定難病認定に向けて、患者実態調査や厚生労働省への陳情活動、関連団体との連携を行ってきた。これまでの努力が実を結び、昨年5月23日に成立した難病新法(難病の患者に対する医療などに関する法律)により、ASは医療費助成対象疾患である指定難病に認定された。ただし、医療費助成の対象となるのは重症例であるため、申請にあたり、世界初となるASの重症度分類を作成したという。 ASが指定難病に認定されたことは大きな一歩である。この制度を活用し、社会復帰に向けて歩みを進めていただければ幸いである。

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セクキヌマブ、乾癬性関節炎の症状改善/Lancet

 乾癬性関節炎に対し、ヒト抗インターロイキン17Aモノクローナル抗体セクキヌマブの皮下投与が有効であることが明らかになった。英国・グラスゴー大学のIain B. McInnes氏らが397例を対象に行った第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。300mg、150mg投与ともに半数以上の人が目標とした改善率(米国リウマチ学会20%改善率:ACR20)を達成したという。Lancet誌オンライン版2015年6月26日号掲載の報告より。世界76ヵ所を通じ、397例を対象に試験 試験は、アジア、オーストラリア、カナダ、ヨーロッパ、米国の医療施設76ヵ所を通じて、2013年4月~2013年11月にかけて、18歳以上の乾癬性関節炎の患者397例を対象に行われた。 研究グループは被験者を無作為に4群に分け、セクキヌマブ 300mg、150mg、75mg、プラセボを、第3週までは週1回、第4週目からは4週に1回、それぞれ皮下投与した。 主要エンドポイントは、24週時点でACR20を達成していた患者の割合だった。ACR20達成率、300mg群、150mg群で5割以上 結果、ACR20達成率は、300mg群が54%(対プラセボ群オッズ比:6.81、95%信頼区間:3.42~13.56、p<0.0001)、150mg群が51%(同:6.52、3.25~13.08、p<0.0001)だった。75mg群は29%(同:2.32、1.14~4.73、p=0.0399)であり、プラセボ群は15%だった。 16週までで最も頻度の高かった有害事象は上気道感染症と鼻咽頭炎だった。上気道感染症の発現率は300mg群が4%、150mg群が8%、75mg群が10%、プラセボ群が7%であり、鼻咽頭炎はそれぞれ6%、4%、6%、8%だった。重篤な有害事象の発現率は、それぞれ5%、1%、4%、2%だった。なお死亡例の報告はなかった。 これらを踏まえて著者は、「セクキヌマブ 300mgと150mgの皮下投与は、乾癬性関節炎の症状を改善することが示された。このことは、本疾患患者にとってセクキヌマブは新たな治療オプションとなることを示唆するものである」とまとめている。

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早期RAでシムジアが初期治療から使用可に

 6月3日都内にて、アステラス製薬株式会社・ユーシービージャパン株式会社共催のプレスセミナーで、北海道大学大学院 免疫・代謝内科学分野 教授の渥美 達也氏が講演を行った。 PEG化TNFα阻害薬「シムジア(一般名:セルトリズマブ ペゴル)」の適応は、これまで「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(RA)」に限られていたが、5月に取得した追加効能承認により、関節の構造的損傷の進展リスクが高いと推測される患者に対しては、抗リウマチ薬による治療歴がない場合でも使用できるようになった。 今回の追加効能承認の根拠である国内第III相試験「C-OPERA」は、メトトレキサート(MTX)投与歴がなく、「抗CCP抗体高値」や「リウマトイド因子陽性かつ/または早期びらんの存在あり」といった予後不良因子を持つ発症後1年以内のRA患者を対象として実施された。 試験結果より、MTXとシムジアを併用した群ではMTX単独投与群と比較して、52週後の骨関節破壊の進展割合が有意に減少することがわかった。 「医療経済的な観点からみるとすべての症例が対象とはいえないが、抗CCP抗体高値、リウマトイド因子陽性など関節破壊の進行が予測され、かつ歯科医師など関節破壊により社会生活に大きな影響を受ける患者は適応となるだろう」と渥美氏は説明した。 安全性に関しては、MTXを最大用量まで投与することもあり、両群ともに重篤な感染症である「ニューモシスティスジロヴェシ肺炎」が数例認められているため、早期RAといえども治療にあたっては注意が必要である。 最後に渥美氏は、「RAの関節破壊はとくに発症後2年間で急速に進行するため、この時期にしっかり治療を行うことが重要である」と強調し、講演を締めくくった。

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