サイト内検索|page:2

検索結果 合計:450件 表示位置:21 - 40

21.

クローン病へのグセルクマブの静脈内導入療法と皮下維持療法の有効性と安全性:2つの第III相試験(GALAXI-2および3)の48週時点の結果(解説:上村 直実 氏)

 指定難病であるクローン病(CD)の患者数は日本でも次第に増加して、近々5万例に達する見込みであるが、潰瘍性大腸炎と違って軽症例は少なく中等症から重症例が多く、内科的治療により寛解不能で外科的手術が必要な患者も多いのが現状である。完全治癒が見込めないCDに対する治療の基本は、病気の活動性のコントロールにより寛解状態を維持し、さらに日常生活に影響する狭窄や瘻孔形成などの合併症を予防することにあるが、最近は内視鏡的な粘膜治癒を目的とした治療方針が必須となっている。粘膜治癒を目的とした抗TNF療法が使用されるケースが増えているが、抗TNF療法の無効例や効果が減弱してくる患者、副作用により治療中断を余儀なくされる症例が少なくなく、中等症から重症例に対しては、インターロイキン(IL)阻害薬や抗インテグリン抗体薬などの生物学的製剤が使用されることが多くなっている。 今回、中等症~重症の活動期CDの寛解導入および寛解維持療法における新たなIL阻害薬であるグセルクマブ(商品名:トレムフィア[ヒト型抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体])の有用性と安全性を検証するためにプラセボおよび抗IL12/IL-23p40抗体ウステキヌマブ(同:ステラーラ)を対照とした二重盲検トリプルダミー試験が行われた結果、グセルクマブが寛解導入および維持療法においてプラセボおよびウステキヌマブと比べて有意な優越性を示したことが2025年7月のLancet誌に掲載された。 本研究の特徴は、プラセボのみでなく実薬を対照とした点と寛解導入試験開始時の割り付けのままで維持療法終了時まで一貫して評価するtreat-through designを採用している点である。すなわち、寛解導入試験の開始時に2用量のグセルクマブとプラセボおよびウステキヌマブの4群に無作為割り付けをして、治療開始12週時点での臨床的奏効率を比較した後、そのまま同じ薬剤の投与を継続して40週時点での臨床的有効率および内視鏡的奏効率を比較検討した方法である。この研究方法は、潰瘍性大腸炎に対する寛解導入および維持療法におけるエトラシモドの有用性を示した研究(CLEAR!ジャーナル四天王「潰瘍性大腸炎の寛解導入および維持療法におけるetrasimodの有用性」)や活動性クローン病に対する抗サイトカイン抗体ミリキズマブの有効性と安全性(CLEAR!ジャーナル四天王「活動性クローン病に対する抗サイトカイン抗体ミリキズマブの有効性と安全性」)などで使用された研究デザインであり、今後、標準的な試験方法となる可能性が高い。 実薬同士の比較試験については、昨年報告されたCDに対するリサンキズマブ(商品名:スキリージ)とウステキヌマブの直接比較試験(CLEAR!ジャーナル四天王「クローン病に対するリサンキズマブとウステキヌマブの直接比較」)に引き続くものであるが、グセルクマブとウステキヌマブはわが国でCDに対する保険適用を有している薬剤であり、今後、このような実薬同士の比較試験が公表されると臨床現場で使用する際に有益な情報となると思われる。

22.

第278回 自己免疫疾患の電気治療を米国が初承認

自己免疫疾患の電気治療を米国が初承認自己免疫疾患の関節リウマチ(RA)を治療する迷走神経刺激(VNS)装置を米国FDAが承認しました1,2)。米国の医療機器会社SetPoint Medicalが開発し、製品名は同社の名を冠してSetPoint Systemといいます。SetPoint Systemは免疫系を調節する神経刺激(神経免疫調節)機器であり、自己免疫疾患への使用が承認された初の神経刺激装置となりました。他の自己免疫疾患と同様にRAも過剰な炎症反応を誘発する免疫の組織攻撃で生じ、痛みや腫れを引き起こし、ひどくすると内臓をも傷めます。RAの治療に使われる薬の多くは免疫系を抑制する作用があり、副作用としてがんや感染症を生じやすくする恐れがあります。治療が不十分な場合は多いらしく、米国のRA患者を調べた試験では4例に3例ほどが治療に満足していませんでした3)。治療が億劫になることも少なくないようで、多ければ2例に1例が薬物治療を2年以内に止めてしまうようです1)。既存のRA治療と異なり、SetPoint Systemは電気で迷走神経を刺激し、体にもともと備わる仕組みを活性化して炎症を鎮めて免疫を正常化します。SetPoint Systemはカプセル剤ほどの小粒な機器です。外来での手術で首の片方の迷走神経に沿わすように植え込んで使用します。長ければ10年間自動で迷走神経を1日1回電気で刺激し、迷走神経とつながる脾臓の免疫反応を調節します。SetPoint Systemの効果や安全性は中等~重度RA患者242例が参加した二重盲検無作為化RESET-RA試験で裏付けられています。SetPoint Systemが植え込まれて実際に電気刺激された患者のおよそ35%(35.2%)が12週間でACR20(20%以上のRA症状改善)を達成しました4)。SetPoint Systemを植え込みはしたものの目当ての電気刺激はしなかった偽治療群のACR20達成率は24%でした。RESET-RA試験を率いたリウマチ医のJohn Tesser氏によると、同試験でのSetPoint Systemの効果は1年後までの経過観察でも認められており、4例に3例が抗リウマチ薬なしで1年時点を迎えることができています。免疫を害さずRAを治療しうるSetPoint Systemは、免疫低下の代償と引き換えのこれまでのRA治療を刷新しうるとSetPoint Medical社は期待しています。SetPoint Systemの用途はどうやらRAにとどまらず、多発性硬化症やクローン病などの他の自己免疫疾患も治療できる可能性があります。実際、多発性硬化症患者を対象とした手始めの臨床試験の開始が昨年の10月初めまでに米国FDAに許可されており5)、Clinicaltrials.gov登録情報によると同試験は間もなく来月9月末に始まります6)。 参考 1) SetPoint Medical Receives FDA Approval for Novel Neuroimmune Modulation Therapy for Rheumatoid Arthritis / BusinessWire 2) Vagus nerve stimulation receives US approval to treat arthritis / NewScientist 3) Radawski C, et al. Rheumatol Ther. 2019;6:461-471. 4) SetPoint Medical Announces Late-Breaking Data from RESET-RA Study at ACR Convergence 2024 / BusinessWire 5) SetPoint Medical Receives FDA’s IDE Approval for U.S. Pilot Study of Neuroimmune Modulation Platform in Adults with Relapsing-Remitting Multiple Sclerosis / BusinessWire 6) The SetPoint System as a Pro-Remyelination Therapy for Relapsing-Remitting Multiple Sclerosis: A Pilot Study / Clinicaltrials.gov

23.

中等症~重症の活動性クローン病、グセルクマブ導入・維持療法が有効/Lancet

 中等症~重症の活動期クローン病患者において、プラセボおよびウステキヌマブと比較して、グセルクマブ(ヒト型抗ヒトIL-23 p19モノクローナル抗体)の静脈内投与による導入療法後、同薬の皮下投与による維持療法を行うアプローチは、有効性の複合エンドポイントが有意に優れ、忍容性も良好で安全性プロファイルは潰瘍性大腸などでの承認時のデータと一致することが、カナダ・カルガリー大学のRemo PanaccioneらGALAXI 2 & 3 Study Groupが実施した「GALAXI-2およびGALAXI-3試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2025年7月17日号に掲載された。同一デザインの2つの第III相無作為化treat-through試験 GALAXI-2・3試験は、試験期間48週間のプラセボおよびウステキヌマブ(実薬)を対照とする同一デザインの第III相二重盲検無作為化トリプルダミーtreat-through試験であり、2020年1月~2023年10月に日本を含む40ヵ国257施設で参加者の無作為化を行った(Johnson & Johnsonの助成を受けた)。 年齢18歳以上、3ヵ月以上続く中等症~重症の活動期クローン病の患者を対象とし、(1)クローン病活動指数(CDAI)スコアが220~450点で、1日の平均排便回数が3回を超えるか、または1日の平均腹痛スコアが1点を超える、(2)スクリーニング時の内視鏡検査でクローン病の証拠があり、簡易版クローン病内視鏡スコア(SES-CD)が6点以上、(3)回結腸の5つのセグメントのいずれかに潰瘍が存在することと定義した。 これらの患者を、次の4つの群に2対2対2対1の割合で無作為に割り付けた。(1)グセルクマブ200mg(0、4、8週目、静脈内投与)、同200mg(12~44週目、4週ごと、皮下投与)、(2)グセルクマブ200mg(0、4、8週目、静脈内投与)、同100mg(16~40週目、8週ごと、皮下投与)、(3)ウステキヌマブ約6mg/kg(0週目、静脈内投与)、同90mg(8~40週目、8週ごと、皮下投与)、(4)プラセボ(0、4、8週目、静脈内投与)、同(12~44週、4週ごと、皮下投与)。 プラセボ群のうち、12週目の時点で臨床的奏効が得られなかった患者は盲検下にウステキヌマブによる救済療法(12~44週、8週ごと、皮下投与)を受け、他の群の患者は12週時の奏効の有無にかかわらず当該治療を継続した。 主要複合エンドポイントとして、(1)12週時の臨床的奏効(CDAIスコアのベースラインから100点以上の低下、またはCDAIスコア150点未満)と48週時の臨床的寛解(CDAIスコア150点未満)、(2)12週時の臨床的奏効と48週時の内視鏡的奏効(SES-CDスコアのベースラインから50%以上の改善、またはSES-CDスコアが2点以下)を評価した。ウステキヌマブ群との比較でも良好な結果 1,021例(GALAXI-2試験508例[4群の年齢中央値の範囲:32.0~36.0歳、男性の割合の範囲:48~60%]、GALAXI-3試験513例[33.0~35.0歳、57~65%])を主解析の対象とした。 12週時の臨床的奏効と48週時の臨床的寛解の達成率は、GALAXI-2試験ではプラセボ群が12%(9/76例)であったのに対し、グセルクマブ200mg群は55%(80/146例)(補正後群間差:43%[95%信頼区間[CI]:32~54]、p<0.0001)、同100mg群は49%(70/143例)(38%[27~49]、p<0.0001)といずれの投与法とも有意に良好で、GALAXI-3試験でも同様の結果であった(13%[9例]vs.48%[72例]、補正後群間差:35%[95%CI:24~46]、p<0.0001/13%[9例]vs.47%[67例]、34%[23~45]、p<0.0001)。 また、12週時の臨床的奏効と48週時の内視鏡的奏効の達成率は、GALAXI-2試験ではプラセボ群の5%(4例)に比べ、グセルクマブ200mg群は38%(56例)(補正後群間差:33%[95%CI:24~42]、p<0.0001)、同100mg群は39%(56例)(34%[24~43]、p<0.0001)であり、いずれの投与法とも有意に優れ、GALAXI-3試験でも同様の結果が得られた(6%[4例]vs.36%[54例]、補正後群間差:31%[95%CI:21~40]、p<0.0001/6%[4例]vs.34%[48例]、28%[19~37]、p<0.0001)。 2つの試験の統合解析では、ウステキヌマブ群に比べ2つのグセルクマブ群とも、4つの長期(48週)的な有効性の主な副次エンドポイント(内視鏡的奏効、内視鏡的寛解[SES-CDスコアが4点以下、同スコアのベースラインから2点以上の低下、SES-CDの個々の項目のサブスコアがいずれも1点を超えない]、臨床的寛解と内視鏡的奏効の複合、深い寛解[臨床的寛解かつ内視鏡的寛解])がいずれも有意に良好だった。クローン病悪化とCOVID-19が多かった 2つの試験で48週までに、重篤な有害事象がグセルクマブ200mg群で21例(7%、発生率9.7件/100人年)、同100mg群で32例(11%、14.9件/100人年)、ウステキヌマブ群で35例(12%、18.4件/100人年)、プラセボ群(ウステキヌマブによる救済療法を受けた患者を含む)で23例(15%、23.8件/100人年)に発現した。 試験薬の投与中止に至った有害事象は、それぞれ19例(6%)、21例(7%)、22例(7%)、17例(11%)に、重篤な感染症は、3例(1%)、1例(<1%)、12例(4%)、6例(4%)に認めた。48週までに10%超で報告された最も頻度の高い有害事象は、クローン病の悪化および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)だった。全体で死亡例の報告はなかった。 著者は、「グセルクマブの有益性は、生物学的製剤による治療を受けていない患者や、生物学的製剤に不耐または効果不十分の既往歴を有する難治性の集団でも明らかであった」「treat-throughの研究デザインは、特定の時点における臨床アウトカムが維持療法の要件とはならないため、これまでの研究に比べ実臨床により近いものとなっている」「このデザインが寄与した重要な点は、導入療法で臨床的奏効が得られなかった患者のかなりの割合が、グセルクマブの皮下投与でアウトカムが改善したことである」としている。

24.

自己免疫疾患は気分障害リスクを高める

 関節リウマチ、炎症性腸疾患(IBD)、乾癬などの自己免疫疾患の罹患者は、一般集団に比べてうつ病、不安症(不安障害)、双極症(双極性障害)などの気分(感情)障害の発症リスクが約2倍高いことが、新たな研究で明らかになった。このようなリスク上昇は、男性よりも女性で顕著であることも示されたという。英エディンバラ大学臨床脳科学センターのArish Mudra Rakshasa-Loots氏らによるこの研究結果は、「BMJ Mental Health」に6月10日掲載された。 Rakshasa-Loots氏らはこの研究で、慢性炎症は抑うつ障害や不安症などの精神疾患の発症と関連していることを踏まえ、慢性炎症状態に置かれている自己免疫疾患患者では、精神的な健康問題を抱える割合が高いのではないかと考えた。この仮説を検証するために同氏らは、英国で新たに実施された大規模な健康調査(Our Future Health)に参加した18歳以上の成人156万3,155人のデータを解析した。この研究への参加にあたり、参加者は自身の身体的および精神的健康の履歴を報告していた。自己免疫疾患として、関節リウマチ、バセドウ病、IBD、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、乾癬の6つを対象としたところ、該当者は3万7,808人であった。 その結果、自己免疫疾患を有する人では、一般集団と比較して生涯に気分障害(うつ病、不安症、双極症)の診断歴を有する割合が有意に高いことが明らかになった(28.8%対17.9%、P<0.001)。気分障害の種類別に検討しても、結果は同様であった。また、自己免疫疾患を有する人では、現在抑うつ症状を有している(PHQ-9スコア≧10)割合が18.6%(一般集団10.5%)、現在不安症状を有している(GAD-7スコア≧8)割合が19.9%(同12.9%)であり、いずれも有意に高かった。 さらに、ロジスティック回帰モデルを用いた解析の結果、自己免疫疾患を有する人では一般集団と比べて気分障害を発症する可能性が有意に高く、オッズ比は1.86(95%信頼区間:1.82〜1.90)であった。この結果は、年齢、性別、気分障害の家族歴などの関連因子で調整後も維持された(オッズ比1.48、P<0.001)。 研究グループは、「これらの結果は、慢性炎症への曝露が気分障害のより大きなリスクと関連している可能性があるという仮説を裏付けている」と結論付けている。 さらに本研究では、性別ごとに気分障害の有病率を比較した結果、同じ身体疾患を有する場合でも、女性の方が男性よりも一貫して有病率が高いことも示された。具体的には、免疫疾患を有する人における生涯の気分障害の有病率は女性31.6%、男性20.7%、免疫疾患のない人では女性21.9%、男性12.7%であった。 研究グループは、「理論的には、性ホルモン、染色体因子、抗体の違いにより、これらの性差を部分的に説明できる可能性がある」と述べている。また研究グループは、うつ病の女性は血流中の炎症性化学物質のレベルが高い傾向にあることを指摘し、「これにより、女性では自己免疫疾患の有病率が高くなるとともに、免疫反応がメンタルヘルスに及ぼす影響も強まる可能性がある。こうした複合的な要因により、本研究で観察された女性での気分障害の有病率の高さが説明できる可能性がある」と述べている。 以上の結果を踏まえ研究グループは、「自己免疫疾患と診断された患者、特に女性患者に対する臨床ケアに定期的な精神疾患のスクリーニングを組み込むことで、気分障害の早期発見と、患者に合わせた精神保健介入の提供が可能になるかもしれない」と提言している。また、慢性的な痛み、疲労、睡眠障害、社会的孤立など、自己免疫疾患に関連する他の問題が気分障害のリスクに寄与しているかどうかを特定するために、さらなる研究を行う必要があると付け加えている。

25.

乾癬性関節炎では関節リウマチよりも診断が遅れる

 乾癬性関節炎(PsA)患者は関節リウマチ(RA)患者と比較して診断が遅れるという研究結果が、「Annals of the Rheumatic Diseases」に3月29日掲載された。 英バース大学のRachel A. Charlton氏らは、PsA患者とRA患者の診断に至るまでの期間を比較した。解析対象となったのは、PsA患者2,120人と、年齢と性別でマッチさせたRA患者2,120人であった。 解析の結果、症状が発現してから専門医に紹介されるまでの期間は、PsA患者の方がRA患者よりも長かった。PsA患者の方が、かかりつけ医を受診してから診断を受けるまでの期間が長く(平均112日対89日、ハザード比〔HR〕0.87)、二次医療機関に紹介された後の診断の遅れも認められた(HR 0.86)。多発性関節炎を有する患者において、ベースライン時における疾患修飾性抗リウマチ薬の処方率は、PsA患者の方がRA患者よりも低かった(それぞれ54.0%、69.0%)。28関節を対象とする疾患活動性スコアは、ベースライン時ではRA患者の方が高かったが、3カ月後にはPsA患者の平均スコアの方が高くなった。 著者らは、「本研究の結果から、早期診断・早期治療を促進し、患者の長期転帰を改善するためには、患者と医療チームの両方に対する教育が重要であることが示唆される」と述べている。 なお複数の著者が、製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

26.

治療法が大きく変化、アミロイドーシス診療ガイドライン8年ぶりに改訂

 『アミロイドーシス診療ガイドライン2025』が2024年12月に発刊された。2017年版から8年ぶりの改訂となるが、この間にアミロイドーシスの各病型の病態解明が進み、診断基準をはじめ、トランスサイレチン型(ATTR)アミロイドーシスに対する核酸医薬、ALアミロイドーシスに対する抗CD38抗体薬、アルツハイマー病(AD)による軽度認知障害および軽度の認知症に対する抗アミロイドβ抗体薬の発売など、治療法も大きな変化を遂げている。そこで今回、本ガイドライン作成委員長であり、アミロイドーシスに関する調査研究班1)を率いる関島 良樹氏(信州大学医学部 脳神経内科、リウマチ・膠原病内科 教授)にアミロイドーシスの現状や診断方法、本書の改訂点などについて話を聞いた。次々と上市された薬剤、最新の診断フローチャートが疾患に光を灯す アミロイドーシスとは、アミロイドの沈着により臓器障害を引き起こす疾患群であり、その原因となる前駆蛋白質についてはヒトでは42種類が同定されている。また、前駆蛋白質の産生部位とアミロイドの沈着部位との関係により、全身性と限局性に分類される。このほかにも病型によって有病率や診断方法、患者・家族へのアドバイスなどが異なることから、本書を「第I章 アミロイドーシスの診断の基礎知識」「第II章 病型別アミロイドーシス最新診療ガイドラインとCQ」の2本柱で章立て、各々が必要なページにたどり着けるような構成になっている。第I章では各冒頭に要約を示しながらアミロイドーシスの基礎知識を解説。第II章では代表的なアミロイドーシスをピックアップし、各病型(診療科別)のClinical Question、それぞれの患者数・有病率、どんな症例で疑うべきか、診断や治療について言及している。 本書の大きな改訂点の1つとして、関島氏は「2017年版は学会承認を得たものではなかったが、今回は5学会(日本アミロイドーシス学会、日本神経学会、日本循環器学会、日本腎臓学会、日本血液学会)の承認を得て作成した」と説明。これまでは各学会で個別のガイドラインを作成していたが、アミロイドーシスはアミロイドがさまざまな臓器に沈着し、特異的な所見に乏しい症例も少なくない。「全診療科の先生方に、本症を疑って鑑別診断にあたることが求められるため、全臓器横断的なガイドラインを目指した」ともコメントした。本書のp.17~18には、研究班で作成した最新版の診断基準を反映したアミロイドーシス診断のためのフローチャートが示されているので、患者のどこか(心臓、腎臓、消化管、手根管、関節・靭帯、眼、皮膚、各臓器の腫瘤性病変など)にアミロイドーシスの疑いを持ったら、このフローチャートをぜひ思い出してほしい。 また、診断や治療におけるこの8年の発展は目まぐるしく、各疾患の治療項目も充実した。治療において最も大きな変貌を遂げたのはATTRアミロイドーシスである。ATTRアミロイドーシスは遺伝性(ATTRv)と野生型(ATTRwt)に分類され、主な障害は末梢神経障害(ATTR-PN)と心筋症(ATTR-CM)である。たとえば、タファミジス(商品名:ビンダケル/ビンマック)は、ATTRvアミロイドーシスによる末梢神経障害(ATTRv-PN)の進行抑制に加え、2019年にATTR型心アミロイドーシス(ATTR-CM、野生型および変異型)に適応が拡大。核酸医薬(siRNA)であるパチシラン(同:オンパットロ)やブトリシラン(同:アムヴトラ)はATTRv-PN(トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー)治療薬として承認されている。さらに、ADによる軽度認知障害および軽度の認知症の進行抑制に対する抗アミロイドβ抗体薬(レカネマブ[同:レケンビ]、ドナネマブ[同:ケサンラ])も2023年以降に相次いで承認された。患者を“見て診る”、全医師が特徴をつかみ潜在患者発掘へ しかし、これらの治療薬をうまく使いこなしていくには、診断に至るまでの問診や身体診察が鍵となる。アミロイドーシス自体はさまざまな臓器や血管に沈着することから、すべての診療科に関わる病気であり、とくにADや近年注目を浴びているATTRwtアミロイドーシスは日本国内に数百万人が潜在患者として存在することから、「アミロイドーシスはコモンディジーズである」と話す。「10年前の全国調査1)では、ATTRwtアミロイドーシスの患者数は50人程度だったのが、今は約3,000人に上る。疾患別にみると、心不全患者の中には5万人以上の潜在患者がいると言われ、手根管症候群300万人のうち100万人以上がATTRwtが原因ではないかとわれわれは推測している。ATTRwtは50歳以上の男性、60歳以上の女性で多いため、整形外科領域では該当患者の手根管症候群の手術の際にアミロイド沈着の有無を検査することが浸透し始めている」と説明した。 このような状況を踏まえ、同氏は専門性に応じた理解が必要であるとし、「一般内科医の皆さまには、心不全、脊柱管狭窄症、手根管症候群といったよくある疾患にアミロイドーシスが潜んでいること、息切れや動悸などの心不全症状を生じる前から手足のしびれや痛み、物がつまみにくいなどの運動障害が先行していることがある点に注意してほしい。そして、認知症の約7割がAD2)であることを踏まえ、抗アミロイドβ抗体薬の適応となる軽度認知機能障害(MCI)から軽度の認知症の時期に脳神経内科などの専門科への紹介をしていただくことが重要」とコメントした。 一方、専門医に向けては診療科ごとに以下のような特徴を示した。――――――――――――――――――〇循環器:心アミロイドーシス(ATTRv、ATTRwt、AL)のうち、ATTRwtはとくに頻度が高く男性に多い。〇血液内科:ALアミロイドーシスでは、眼の周囲の出血によるラクーンアイサインがみられる。〇腎臓内科:蛋白尿の原因疾患としてALアミロイドーシスを鑑別に挙げる。長期透析患者で、手根管症候群,ばね指、破壊性脊椎関節症などの骨関節症状を呈する場合、Aβ2Mアミロイドーシスを考慮する。〇神経内科:成人発症の多発ニューロパチーの鑑別にアミロイドーシス(ATTRvおよびAL)を挙げる。高齢者の手根管症候群の主要な原因疾患としてアミロイドーシス(とくにATTRw)を考慮する。〇膠原病:関節リウマチなどで慢性炎症が持続する患者において、下痢や蛋白尿が認められた場合、血清アミロイドA(SAA)を前駆蛋白とするAAアミロイドーシスを鑑別に挙げる。―――――――――――――――――― このほかの特徴的な臨床所見として、「巨舌、上腕二頭筋の断裂(ポパイサイン)などがある。ポパイサインは、腱・靭帯アミロイドーシスによって上腕二頭筋の腱断裂が起こり、これにより上腕二頭筋が短縮して力こぶのように見える。ATTRwtアミロイドーシスで高頻度に見られるので注意してもらいたい」と説明した。 最後に同氏は「現在、アミロイドーシスは治療薬開発も世界的に盛んで、国内では今夏にSiRNA製剤ブトリシランにATTR-CMの適応追加が予定されているなど、目が話せない領域だ。ゲノム編集薬を用いた治療においてもアミロイドーシスが先駆けとなっていることから、3年後に予定している次回改訂ではこれらの知見を盛り込みたい」と締めくくった。

28.

軽症の免疫チェックポイント阻害薬関連肺臓炎へのステロイド、3週vs.6週(PROTECT)/ASCO2025

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が広く使用されるようになり、免疫関連有害事象(irAE)マネジメントの重要性が高まっている。irAEのなかで比較的多いものの1つに、薬剤性肺障害(免疫関連肺臓炎)がある。免疫関連肺臓炎の治療としては、一般的にステロイドが用いられるが、適切な治療期間は明らかになっていない。そこで、免疫関連肺臓炎に対するステロイド治療の期間を検討する無作為化比較試験「PROTECT試験」が本邦で実施された。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)において、藤本 大智氏(兵庫医科大学)が本試験の結果を報告した。本試験において、ステロイド治療期間を3週間とする治療レジメンは、6週間の治療レジメンに対する非劣性が示されなかった。 軽症の免疫関連肺臓炎に対する治療について、各種ガイドラインに記載されているステロイド治療期間は無作為化比較試験によって評価されたものではなく、専門家の意見により4~6週間と設定されている。また、軽症の免疫関連肺臓炎は死亡率が低く、長期のステロイド治療はICIの効果を損なう可能性が考えられ、有害事象を増加させる懸念がある。そこで、PROTECT試験では、ステロイド治療期間を3週間に短縮することが可能であるか検討した。・試験デザイン:国内無作為化比較試験・対象:ICIを投与中または投与後に、Grade1/2の免疫関連肺臓炎(CTCAE第5版)が認められた患者・試験群(3週群):プレドニゾロンを3週間かけて漸減・中止 51例・対照群(6週群):プレドニゾロンを6週間かけて漸減・中止 55例(1例は解析から除外)・評価項目:[主要評価項目]治療成功割合(ステロイド治療開始から8週後までSpO2≧90%[room air]、かつステロイドの増量・延長が必要な免疫関連肺臓炎の悪化・再燃なし)[副次評価項目]ステロイド中止までの期間、全生存期間(OS)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・全体として男性の割合が高く、3週群76%、6週群85%であった。喫煙歴のある患者も多く、過去喫煙または現喫煙の割合は、それぞれ88%、83%であった。PS0/1/2の割合は、それぞれ27%/65%/8%、20%/72%/7%であった。肺がんの割合は、それぞれ59%、56%であった。・主要評価項目の治療成功割合は、3週群66.7%、6週群85.2%であり、3週群の6週群に対する非劣性は検証されなかった(群間差:-18.5%、80%信頼区間[CI]:-29.0~-7.9、非劣性のp=0.629[非劣性マージン:-16%])。・試験全体期間中における肺臓炎の再燃または悪化割合は、3週群41.1%、6週群24.1%であり、3週群が多かった(p=0.046)。・ステロイド治療中止までの期間中央値は、3週群25日(95%CI:21~30)、6週群41日(同:41~42)であり、有意差はみられなかった(ハザード比[HR]:0.98、95%CI:0.63~1.52)。3週群では肺臓炎の再燃や悪化により、ステロイドの再開や増量に至った患者が多く、両群の生存曲線は交差した。・OS中央値は両群共に未到達で、有意差はみられなかった(HR:1.03、95%CI:0.46~2.29)。・Grade3以上の有害事象の発現割合は、3週群12%、6週群24%であり、3週群のほうが少ない傾向にあった。ステロイドの中止や減量に至った有害事象、死亡に至った有害事象はいずれの群にも認められなかった。高血糖(35%vs.50%)、皮膚障害(2%vs.13%)は6週群に多い傾向にあった。・間質性肺疾患に関する簡易健康状態質問票「K-BILD(King’s Brief Intestinal Lung Disease)質問票」に基づくQOLは、3週群と比べて6週群のほうが良好な傾向にあった。 本結果について、藤本氏は「ガイドラインに採用されている6週間のステロイド治療レジメンは、エビデンスに基づく免疫関連肺臓炎に対する標準治療であることを支持するものである」とまとめた。

29.

全医師が遭遇しうる薬剤性肺障害、診断・治療の手引き改訂/日本呼吸器学会

 がん薬物療法の領域は、数多くの分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬(ICI)、抗体薬物複合体(ADC)が登場し、目覚ましい進歩を遂げている。しかし、これらのなかには薬剤性肺障害を惹起することが知られる薬剤もあり、薬剤性肺障害が注目を集めている。そのような背景から、2025年4月に『薬剤性肺障害の診断・治療の手引き第3版2025』が発刊された。本手引きは、2018年以来の改訂となる。本手引きの改訂のポイントについて、花岡 正幸氏(信州大学病院長/信州大学学術研究院医学系医学部内科学第一教室 教授)が第65回日本呼吸器学会学術講演会で解説した。いま薬剤性肺障害が注目される理由 花岡氏は、「いまほど薬剤性肺障害が注目を集めているときはない」と述べ、注目される理由として以下の5点を挙げた。(1)症例数の増加ICIなどの新規薬剤の登場に伴って薬剤性肺障害の報告が増加している。(2)人種差国際比較により、日本人で薬剤性肺障害の発症率が高い薬剤が存在する。(3)予後不良な病理組織パターン重症化するびまん性肺胞傷害(DAD)を呈する場合がある。(4)多様な病型非常に多くの臨床病型が存在し、肺胞・間質領域病変だけでなく気道病変、血管病変、胸膜病変も存在する。(5)新たな病態ICIによる免疫関連有害事象(irAE)など、新規薬剤の登場に伴う新たな病態が出現している。改訂のポイント8点 本手引きでは、改訂のポイントとして8点が挙げられている(p.viii)。これらについて、花岡氏が解説した。(1)診断・検査の詳説 今回の改訂において「図II-1 薬剤性肺障害の診断手順」が追加された(p.13)。薬剤性肺障害の疑いがあった場合には、(1)しっかりと問診を行って、原因となる薬剤の使用歴を調査し、(2)諸検査を行って他の原因疾患(呼吸器感染症、心不全、原病の悪化など)を否定し、(3)原因となる薬剤での既報を調べ、(4)原因となる薬剤の中止で改善するかを確認し、(5)再投与試験によって再発するか確認するといった流れで診断を実施することが記載されている。 肺障害の発症予測や重症化予測に応用可能なバイオマーカーの確立は喫緊の課題であり、さまざまな検討が行われている。そのなかから国内で報告されている3つのバイオマーカー候補分子(stratifin、lysophosphatidylcholine[LPC]、HMGB1)について、概説している。(2)最新の画像所見の紹介 薬剤性肺障害の画像所見が「表II-3 薬剤性肺障害の一般的なCT所見」にまとめられた(p.21)。薬剤性肺障害の代表的な画像パターンは、以下の5つに分類される。・DADパターン・OP(器質化肺炎)パターン・HP(過敏性肺炎)パターン・NSIP(非特異性間質性肺炎)パターン・AEP(急性好酸球性肺炎)パターン なお、今回の改訂において、特定の薬剤の肺障害としてALK阻害薬、ADCに関する画像所見が追加された。(3)薬物療法の例の追加 薬物療法のフローについて「図III-2 薬剤性肺障害の薬物療法の例」が追加された(p.50)。重症度別にフローを分けており、すべての症例でまず被疑薬を中止するが、無症状・軽症の場合は中止により改善がみられれば経過観察とする。被疑薬の中止による改善がみられない場合や中等症の場合は、経口プレドニゾロン(0.5~1.0mg/kg/日)を投与する。これで改善がみられる場合はプレドニゾロンを漸減し、2~3ヵ月以内に中止する。経口プレドニゾロンで改善がみられない場合や重症・DADパターンでは、ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン1,000mg/日×3日)を行い、経口プレドニゾロンに切り替える。改善がみられる場合は漸減し、改善がみられない場合はステロイドパルスを繰り返すか、免疫抑制薬の追加を行う(ただし、免疫抑制薬に薬剤性肺障害に対する保険適用はないことに注意)。(4)予後不良因子の追加 薬剤性肺障害の予後を規定する要因として報告されているものを以下のとおり列挙し、解説している。・背景因子(高齢、喫煙歴、喫煙指数高値、既存の間質性肺炎、喘息の既往[ICIの場合]など)・発症様式(低酸症血症、PS2~4など)・胸部画像所見(DADパターンなど)・血清マーカー(KL-6、SP-D、stratifinなど)・気管支肺胞洗浄液(BALF)所見(剥離性の反応性II型肺上皮細胞)・ICIによる肺障害と抗腫瘍効果 ICIについては、irAEがみられた集団で抗腫瘍効果が高いこと、ニボルマブによる肺障害が生じた症例のうち、腫瘍周囲の浸潤影を呈した症例は抗腫瘍効果が高かったという報告があることなどが記されている。(5)患者指導の項目の追加 薬剤の投与中に新たな症状が出現した場合は速やかに医療機関や主治医に報告するよう指導すること、とくに抗悪性腫瘍薬や関節リウマチ治療薬を使用する場合には、既存の間質性肺疾患の合併の有無を十分に検討することなどが記載された。また、抗悪性腫瘍薬の多くは医薬品副作用被害救済制度の対象外である点も周知すべきことが示された。(6)抗悪性腫瘍薬による肺障害を詳説 とくに薬剤性肺障害の頻度が高いチロシンキナーゼ阻害薬、ICI、抗体製剤(とくにADC)について詳説している。(7)irAEについて解説 ICIによって生じた間質性肺炎では、BALF中のリンパ球の増加や制御性Tリンパ球の減少、抗炎症性単球の減少、炎症性サイトカインを産生するリンパ球・単球の増加など、正常分画とは異なる所見がみられることが報告されている。このようにirAEに特異的な所見がみられる場合もあることから、irAEの発症機序について解説している。(8)医療連携の章の追加 本手引きについて、花岡氏は「非専門の先生や診療所の先生にも使いやすい手引きとなることを目指して作成した」と述べる。そこで今回の改訂で「第VI章 医療連携」を新設し、非呼吸器専門医が薬剤性肺障害を疑った際に実施すべき検査について、「図VI-1 薬剤性肺障害を疑うときの検査」にまとめている(p.123)。また、専門医への紹介タイミングや、かかりつけ医・非呼吸器専門医と呼吸器専門医のそれぞれの役割について「図VI-2 かかりつけ医と専門医の診療連携」で簡潔に示している(p.124)。すべての薬剤が肺障害を引き起こす可能性 花岡氏は、薬剤性肺障害の定義(薬剤を投与中に起きた呼吸器系の障害のなかで、薬剤と関連があるもの)を紹介し、そのなかで「薬剤性肺障害の『薬剤』には、医師が処方したものだけでなく、一般用医薬品、生薬、健康食品、サプリメント、非合法薬などすべてが含まれることが、きわめて重要である」と述べた。それを踏まえて、薬剤性肺障害の診療の要点として「多種多様な薬剤を扱う臨床医にとって、薬剤性肺障害は必ず鑑別しなければならない。すべての薬剤は肺障害を引き起こす可能性があることを念頭において、まず疑うことが重要であると考えている」とまとめた。

30.

nerandomilast、IPFとPPFの呼吸機能低下を抑制(FIBRONEER-IPF、ILD)/ATS2025

 ホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)阻害薬nerandomilastについて、国際共同第III相試験が2試験実施されている。特発性肺線維症(IPF)患者を対象とした「FIBRONEER-IPF試験」1)、進行性肺線維症(PPF)患者を対象とした「FIBRONEER-ILD試験」2)の結果が米国胸部学会国際会議(ATS2025 International Conference)で発表され、それぞれ2025年5月18、19日にNEJM誌へ同時掲載された。両試験において、nerandomilastは努力肺活量(FVC)の低下を有意に抑制した。【FIBRONEER-IPF試験】・試験デザイン:国際共同第III相無作為化プラセボ対照試験・対象:%FVC(FVCの予測値に対する実測値の割合)が45%以上で、%DLco(一酸化炭素肺拡散能の予測値に対する実測値の割合)が25%以上の40歳以上のIPF(12ヵ月以内のHRCTに基づく診断を受け、UIP[通常型間質性肺炎]またはprobable UIPパターンを有する)患者1,177例試験群1(低用量群):nerandomilast低用量(9mg、1日2回) 392例試験群2(高用量群):nerandomilast高用量(18mg、1日2回) 392例対照群(プラセボ群):プラセボ 393例・評価項目[主要評価項目]52週時におけるFVCのベースラインからの絶対変化量[主要な副次評価項目]初回急性増悪、呼吸器疾患による入院、死亡のいずれかの発生 主な結果は以下のとおり。・対象患者の平均年齢は70.2歳、%FVC平均値は78.2%、%DLco平均値は50.9%であった。・抗線維化薬の併用状況は、ニンテダニブが45.5%、ピルフェニドンが32.3%、併用なしが22.3%であった。・抗線維化薬の併用ありの集団は、併用なしの集団と比べて、IPF診断から試験組み入れまでの期間が長い(3.7年vs.2.8年)、%FVCが低い(77.1% vs.82.2%)、%DLcoが低い(49.6% vs.55.2%)、酸素補給の実施割合が高い(22.5% vs.16.0%)傾向にあった。・主要評価項目の52週時におけるFVCのベースラインからの絶対変化量は、プラセボ群が-183.5mLであったのに対し、低用量群が-138.6mL、高用量群が-114.7mLであり、いずれもプラセボ群と比較して有意にFVCの低下を抑制した(それぞれp=0.02、p<0.001)。nerandomilast投与群では、治療開始早期からFVCの低下が抑制され、76週時まで良好な傾向にあった。・抗線維化薬の併用の有無別にみると、抗線維化薬の併用なしの集団では、52週時におけるFVCのベースラインからの絶対変化量は、プラセボ群が-148.7mLであったのに対し、低用量群が-70.4mL、高用量群が-79.2mLであり、FVCの低下が抑制される傾向にあった。・ニンテダニブを併用する集団では、プラセボ群が-191.6mLであったのに対し、低用量群が-130.7mL、高用量群が-118.5mLであり、FVCの低下が抑制される傾向にあった。・ピルフェニドンを併用する集団では、プラセボ群が-197.0mLであったのに対し、低用量群が-201.8mL、高用量群が-133.7mLであり、低用量群ではFVCの低下抑制はみられなかった。この要因として、ピルフェニドンを併用する集団ではnerandimilastの血漿中濃度が低く、薬物相互作用が考えられた。・主要な副次評価項目については、低用量群、高用量群のいずれもプラセボ群と比較して有意な改善はみられなかった。ただし、高用量群で全死亡が減少する傾向がみられた。・nerandimilast投与群で最も多く発現した有害事象は下痢であった(プラセボ群16.0%、低用量群31.1%、高用量群41.3%)。下痢は、とくにニンテダニブを併用する集団で多く(それぞれ26.6%、49.5%、61.8%)、下痢による投与中止は33例にみられたが、そのうち29例がニンテダニブを併用する集団であった。【FIBRONEER-ILD試験】・試験デザイン:国際共同第III相無作為化プラセボ対照試験・対象:%FVCが45%以上で、%DLcoが25%以上の18歳以上のPPF(12ヵ月以内のHRCTに基づき10%以上の線維化が認められたIPF以外の間質性肺疾患[ILD])患者1,176例試験群1(低用量群):nerandomilast低用量(9mg、1日2回) 393例試験群2(高用量群):nerandomilast高用量(18mg、1日2回) 391例対照群(プラセボ群):プラセボ 392例・評価項目[主要評価項目]52週時におけるFVCのベースラインからの絶対変化量[主要な副次評価項目]初回急性増悪、呼吸器疾患による入院、死亡のいずれかの発生 主な結果は以下のとおり。・対象患者の平均年齢は66.4歳、%FVC平均値は70.1%、%DLco平均値は49.3%であった。UIPパターンまたはUIP-likeパターンを有する割合は71.4%であった。・抗線維化薬の併用状況は、ニンテダニブが43.7%であった。・PPFの分類は、自己免疫性ILDが27.6%、線維性過敏性肺炎が19.8%、分類不能型特発性間質性肺炎が19.6%、特発性非特異性間質性肺炎が19.4%、その他が13.5%であった。・主要評価項目の52週時におけるFVCのベースラインからの絶対変化量は、プラセボ群が-165.8mLであったのに対し、低用量群が-84.6mL、高用量群が-98.6mLであり、いずれもプラセボ群と比較して有意にFVCの低下を抑制した(いずれもp<0.001)。nerandomilast投与群では、治療開始早期からFVCの低下が抑制され、52週時まで良好な傾向にあった。・抗線維化薬の併用の有無別にみると、抗線維化薬の併用なしの集団では、52週時におけるFVCのベースラインからの絶対変化量は、プラセボ群が-154.1mLであったのに対し、低用量群が-82.3mL、高用量群が-95.2mLであり、FVCの低下が抑制される傾向にあった。・ニンテダニブを併用する集団では、プラセボ群が-180.9mLであったのに対し、低用量群が-87.8mL、高用量群が-102.9mLであり、FVCの低下が抑制される傾向にあった。・初回データベースロック時点において、主要な副次評価項目のイベント発生割合は、プラセボ群31.1%、低用量群28.0%、高用量群24.3%であり、低用量群(ハザード比:0.88、95%信頼区間:0.68~1.14)、高用量群(同:0.77、0.59~1.01)のいずれもプラセボ群と比較して数値的な改善傾向はみられたが、統計学的有意差はみられなかった。全死亡は低用量群(同:0.60、0.38~0.95)、高用量群(同:0.48、0.30~0.79)のいずれも減少する傾向がみられた。・nerandimilast投与群で最も多く発現した有害事象は下痢であり、とくにニンテダニブを併用する集団で多かった(プラセボ群36.5%、低用量群48.0%、高用量群49.1%)。

31.

事例024 偽痛風治療の関節穿刺が算定漏れ【斬らレセプト シーズン4】

解説偽痛風について医師と雑談をしていました。医師の前で提出前の同傷病名のレセプトを画面に表示させていたところ、「『J116 関節穿刺』が算定されていないのではないか」と指摘を受けました。オーダー画面を確認しましたが関節穿刺の入力がありません。レセプトチェックシステムでもエラーが表示されていません。さらに同日のカルテプログレスを参照したところ「左膝から緑黄色混濁液吸引」の記述がありました。当該医師に確認したところ、「鑑別穿刺なので診察料に含まれるのでは」と返答がありました。関節穿刺は、関節内の検体採取料を行った場合には「D405 関節穿刺」、整形外科的処置を行った場合には「J116 関節穿刺」、穿刺薬液注入を行った場合には「G010 関節腔内注射」として所定点数の設定がありますので、行った目的や処置で区分して算定します。また、外来診察料にかかる包括範囲には含まれていません。同側同一関節に同時にこれらを行った場合には、いずれかの所定点数のみと使用したすべての薬剤が算定できます。今回は腫脹軽減と診断目的の穿刺排液であり、薬剤は使用していませんでしたから処置料のみが算定できます。当該医師にはこのことを説明し、患者に対して行われた行為は、必ずオーダー登録をされるようにお願いしました。算定担当者には、初診の偽痛風患者の多くでは関節穿刺が行われることを説明しました。レセプトチェックシステムには、初診と偽痛風をキーとして、いずれかの関節穿刺の有無を確認するようにコメントを表示させて算定漏れ対策としました。

32.

HAE患者さんの発作不安を解消するガラダシマブ発売/CSLベーリング

 CSLベーリングは、遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作の発症抑制にガラダシマブ(商品名:アナエブリ)が4月18日に販売されたことに合わせ、プレスセミナーを都内で開催した。プレスセミナーでは、ガラダシマブの概要やHAE治療の課題と展望などが説明された。HAE患者のニーズに応える治療薬ガラダシマブ 「HAE長期予防のための新たな選択肢『アナエブリ皮下注 200mgペン』の製品概要」をテーマにローズ・フィダ氏(研究開発本部長)が、ガラダシマブの開発の経緯や国際共同第III相試験であるVANGUARD試験の概要について説明した。 HAEは、常染色体顕性遺伝の遺伝性希少疾患であり、腹部や顔面、喉などの部位への浮腫やこれに伴う痛みなどを特徴とする。とくに喉が腫れた場合、呼吸の阻害により生命に関わることもある疾患である。  本症は、発症のタイミング、重症度、浮腫の部位の予測は困難であり、浮腫は通常12~24時間かけて悪化し、2~5日間持続する。 HAEの治療では、病期に応じてオンデマンド治療、短期発作抑制治療、長期発作抑制治療が行われている。とくに長期発作抑制治療では、患者は予測できない発作への不安と従来の治療アクセスへの負荷やコンプライアンスの難しさのため新しい治療薬の要望があり、今回研究・開発されたのがガラダシマブである。 ガラダシマブは、HAEの急性発作の発症抑制を効果効能とした月1回投与のプレフィルドペン製剤であり、通常、成人および12歳以上の小児には初回400mgを皮下投与し、以降は200mgを月1回皮下投与する。ガラダシマブは活性化されたFXIIを阻害することでカリクレイン・キニン系の開始部分を阻害し、それに続くブラジキニンの生成を抑制する。 国際共同第III相試験であるVANGUARD試験は、6ヵ月間の治療期における月間のHAE発作回数を主要評価項目に行われた。ガラダシマブ群39例、プラセボ群25例であった。 その結果、主要評価項目では、1ヵ月当たりのHAE発作回数の中央値(平均値)は、ガラダシマブで0.00回(0.27)に対し、プラセボ群では1.35回(2.01)で有意に低かった(p=0.001、両側Wilcoxon検定)。  副次評価項目である6ヵ月間の治療期のレスポンダー割合(HAE発作回数が50%以上減少した患者)はガラダシマブ群94.9%およびプラセボ群33.3%、治療中に無発作(発作減少率100%)の割合はそれぞれ61.5%および0%だった。 また、探索的項目として患者報告アウトカム質問票(AE-QoL[Angioedema Quality of Life Questionnaire]合計スコア)について、初回投与開始後からQOLの指標となったAE-QoL合計スコアの改善が認められ、その傾向は6ヵ月間持続した。 そのほか、安全性に関して重篤な有害事象、過敏症、アナフィラキシー、血栓症、出血の報告は認められず、注射部位反応はガラダシマブ群、プラセボ群ともに2例だけだった。主な有害事象は、ガラダシマブ群で上気道感染、上咽頭炎、頭痛などがみられた。HAEと確定診断されるまで平均15.6年という課題 「HAE治療における課題と期待、患者さんのQOLの向上を目指して」をテーマに秀 道広氏(広島市立広島市民病院 病院長)が、HAEの病態と診療での課題、今後の展望について説明した。 HAEは、血管中のC1蛋白分解酵素阻害因子(C1-INH)が低下し、ブラジキニンが上昇することで生じる限局性の浮腫で、一定時間(日数)後に跡形なく消失する。症状は蕁麻疹に似ているが、発症の機序は異なるため蕁麻疹の治療薬は効果がない(最近、C1-INH活性が正常なHAE3型というまれな病型も報告されている)。 HAEの診断は『遺伝性血管浮腫(HAE)診断ガイドライン 改訂 2023年版』(日本補体学会編)のアルゴリズムに基づいて行う。HAEを疑った場合、先述のC1-INH活性測定とC4測定の検査から診断を行うことができるが、「医療者などがHAEに気付くことができるか」という点が課題だという。 HAEは出現部位、浮腫の程度、頻度がさまざまであり、気付かれにくい疾患である。実際、わが国の研究で2016~17年に実施されたアンケート調査で121例のHAE患者は確定診断まで平均15.6年を要し、胃腸炎、虫垂炎、血管性浮腫などの他の疾患と診断されていた。また、HAEの症状出現から治療にかかるまでの時間は平均で87.4分という報告がある1)。 発作の出現部位では、胴体が72.4%、消化管が60.3%、四肢が31.0%の順で多く、夕方~早朝に出現が多いことが報告されている2)。 HAEの治療では年々治療薬が進化し、C1-INH点滴から始まり、急性発作時のイカチバント、長期発作抑制治療薬のベロトラルスタット、ラナデルマブとC1-INH皮下注製剤が登場している。 治療の目標は先述のガイドラインには「疾病負荷のない日常生活を可能な限り目指すことである」と記されているが、長期発作抑制治療中のHAE患者へのAE-QoLでは、発作頻度は低くても発作への恐れや恥ずかしさ、うつや不安傾向は変わっていないという報告もある3)。 以上から残された課題として、(1)いつ発作が起こるかわからない(2)発作治療は早いほうが効果的だがすぐに注射できるとは限らない(3)診断の遅れによる適正治療の遅れについて医療、製薬メーカー、患者会などが連携し、解決していく必要がある。

33.

未治療の進行性肺線維症、ニンテダニブ+抗炎症薬の同時導入療法の安全性・有効性(TOP-ILD)/日本呼吸器学会

 進行性肺線維症(PPF)に対する治療は、原疾患の標準治療を行い、効果不十分な場合に抗線維化薬を使用するが、早期からの抗線維化薬の使用が有効な可能性も考えられている。そこで、未治療PPFに対する抗線維化薬ニンテダニブ+抗炎症薬の同時導入療法の安全性と有効性を検討する国内第II相試験「TOP-ILD試験」が実施された。本試験において、ニンテダニブ+抗炎症薬の同時導入療法は、治療継続率が高く、有効性についても良好な結果が得られた。第65回日本呼吸器学会学術講演会において、坪内 和哉氏(九州大学病院)が本試験の結果について解説した。・試験デザイン:医師主導国内第II相単群試験・対象:%FVC(努力肺活量の予測値に対する実測値の割合)が50%以上の未治療PPF※患者34例・治療方法:1~7日目にプレドニゾロン(10mg、1日1回)+タクロリムス(0.075mg/kg、1日2回)→8日目以降にニンテダニブ(300mg、1日2回)+プレドニゾロン(10mg、1日1回)+タクロリムス(0.075mg/kg、1日2回)・評価項目:[主要評価項目]同一患者における治療介入前と治療介入後24週間の%FVC変化率(相対値)の差解析計画:治療介入前と治療介入後24週間の%FVC変化率(相対値)の差が0より有意に大きい場合に主要評価項目達成とした。※:特発性非特異性間質性肺炎(iNSIP)、分類不能型特発性間質性肺炎(分類不能型IIPs)、線維性過敏性肺炎、関節リウマチに伴う間質性肺疾患(RA-ILD)のいずれか 主な結果は以下のとおり。・対象患者34例中32例が試験を完遂した。・対象患者の登録時の診断名は、分類不能型IIPsが16例、線維性過敏性肺炎が15例、iNSIPが2例、RA-ILDが1例であった。・対象患者の年齢中央値は71歳、男性の割合は64.7%であった。%FVC(平均値±標準偏差[SD])は75.2±17.1%、%DLco(平均値±SD)は58.2±12.6%であった。自己抗体陽性の割合は23.5%、気管支肺胞洗浄液(BALF)中のリンパ球割合(中央値)は9.0%(範囲:0.4~78.8)であった。UIP(通常型間質性肺炎)like patternを呈する割合は58.8%であった。・プレドニゾロン、タクロリムス、ニンテダニブの減量に至った割合はそれぞれ11.8%、8.8%、33.3%であった。有害事象のため薬剤中止となった症例はいなかった。・%FVCの相対変化率(%/年)は、治療介入前24週間が-20.9%であったのに対し、治療介入後24週間では11.2%であった。主要評価項目の治療介入前と治療介入後24週間の%FVC変化率(相対値)の差は32.1%(95%信頼区間:17.2~47.0)となり、主要評価項目は達成された。・サブグループ解析(BALF中のリンパ球割合20%以上/未満、UIP like patternあり/なし)において、いずれの集団でもニンテダニブと抗炎症薬の同時導入療法による良好な治療効果が示された。 本結果について、坪内氏は「抗線維化薬と抗炎症薬の同時導入療法は治療継続率が高く、有効な治療法となる可能性が示唆された。今後は治療開始後52週まで追跡し、有効性および安全性を検討する予定である」とまとめた。

34.

NSAIDsの長期使用で認知症リスク12%低下

 新たな研究によると、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の長期使用は認知症リスクを12%低下させる関連性が認められたが、短期および中期使用では保護効果は認められなかったという。オランダ・エラスムスMC大学医療センターのIlse Vom Hofe氏らによる本研究の結果はJournal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2025年3月4日号に掲載された。 研究者は、前向きの地域ベース研究であるロッテルダム研究から、ベースライン時に認知症のない1万1,745例を分析対象とした。NSAIDs使用データは薬局調剤記録から抽出され、参加者は非使用、短期使用(1ヵ月未満)、中期使用(1~24ヵ月)、長期使用(24ヵ月超)の4グループに分類され、定期的に認知症のスクリーニングを受けた。年齢、性別、生活習慣要因、合併症、併用薬などを調整因子として解析した。 主な結果は以下のとおり。・平均追跡期間14.5年の間に、1万1,745例(平均年齢66歳、女性60%)の参加者の18%が認知症と診断された。追跡期間終了時までに参加者の81%がNSAIDsを使用した。・NSAIDs使用は、長期使用者において認知症リスクの低下(ハザード比[HR]:0.88、95%信頼区間[CI] :0.84~0.91)と関連していたが、短期使用(HR:1.04、95%CI :1.02~1.07)と中期使用(HR:1.04、95%CI:1.02~1.06)では小さなリスク増加が観察された。・NSAIDsの累積用量は、認知症リスクの低下と関連しなかった。・非アミロイドβ(Aβ)低下作用型NSAIDsの長期使用における認知症リスク低下は、Aβ低下型NSAIDsよりも大きかった(HR:0.79対0.89)。・NSAIDsの長期使用による保護効果はAPOE4(対立遺伝子)を持たない参加者(HR:0.86)では観察されたが、有する参加者(HR:1.02)では観察されなかった。・NSAIDsの長期使用と発症リスクとの関連は、全原因認知症よりもアルツハイマー型認知症においてより顕著だった(HR:0.79)。 研究者らは「当研究は、抗炎症薬が認知症の進行に対する予防効果を有する可能性を示しており、その効果は累積用量ではなく、使用期間による可能性がある。しかし、副作用のリスクを考慮すると、認知症予防のために長期的なNSAIDs治療を推奨する根拠は不十分であり、さらなる研究が必要である」とした。

35.

国内DOAC研究が色濃く反映!肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症ガイドライン改訂/日本循環器学会

 『2025年改訂版 肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症および肺高血圧症ガイドライン』が3月28~30日に開催された第89回日本循環器学会学術集会の会期中に発刊され、本学術集会プログラム「ガイドラインに学ぶ2」において田村 雄一氏(国際医療福祉大学医学部 循環器内科学 教授/国際医療福祉大学三田病院 肺高血圧症センター)が改訂点を解説した。本稿では肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症の項について触れる。DOACの国内エビデンスの功績、ガイドラインへ反映 静脈血栓塞栓症(VTE)と肺高血圧症(PH)の治療には、直接経口抗凝固薬(DOAC)の使用や急性期から慢性期疾患へ移行していくことに留意しながら患者評価を行う点が共通している。そのため、今回よりVTEの慢性期疾患への移行についての注意喚起のために、「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン」「肺高血圧症治療ガイドライン」「慢性肺動脈血栓塞栓症に対するballoon pulmonary angioplastyの適応と実施法に関するステートメント」の3つが統合された。 肺血栓塞栓症(PTE)・深部静脈血栓症(DVT)のガイドライン改訂は2018年3月以来の7年ぶりで、当時は抗凝固療法におけるDOACのエビデンスが不足していたが、この7年の歳月を経て、DOACを用いたVTEの治療は飛躍的に進歩。DOAC単独での外来治療、誘因のないVTEや担がん患者の管理、長期治療などの国内の結果が明らかになり、改訂に大きく反映された。田村氏は、「本ガイドラインは、循環器専門医のみならず、呼吸器科、膠原病内科など多彩な診療科の協力の基に作成された。本領域は日本からのエビデンスが多いため、本邦独自の診断・治療アルゴリズムと推奨を検討した」とコメントした。VTE予後予測、PESIスコアや誘因因子評価を推奨 四肢の深筋膜より深部を走行する深部静脈に生じた血栓症を示すDVTと深部静脈血栓が遊離し肺動脈へ流入することで発症するPTEを、一連の疾患群と捉えてVTEと総称する。これらの予後に関しては推奨表2「VTEの予後に関する推奨とエビデンスレベル」(p.20)に示され、とくに急性期PTEでは治療方針の検討のために、近年普及している肺塞栓症重症度指数(PESI)ならびにsPESIを用いた患者層別化が推奨された(推奨クラスIIa、エビデンスレベルB)。また、国内の観察研究JAVA(Japan VTE Treatment Registry)やCOMMAND VTE Registryに基づくVTE再発予後についてもガイドライン内に示されている(p.21-22)。前者の研究によると、ワルファリン治療中のVTE再発率は2.8例/100患者・年であったが、治療終了後には8.1例/100患者・年に増加したという。そして、後者の研究からは、VTE診断後1年時点での再発率は、一過性の誘因のある患者群では4.6%、誘因のない患者群では3.1%、活動性のがんの患者群では11.8%であることが明らかになった。PTE診断と治療、判断に悩む中リスク群を拾えるように 急性PTEの診断については、「低血圧やショックがみられる場合には早期にヘパリン投与を考慮する、検査前臨床的確率を推定する際にWellsスコアあるいはジュネーブスコアを用いる、ルールアウトにはDダイマー測定を行う、最終的な確定診断にゴールドスタンダードの造影CT検査/緊急時の心エコー評価、ECMO導入後診断は肺動脈造影も考慮する(p.32)」と述べた。重症度別治療戦略については、前ガイドラインで曖昧であった2つの指標を挙げ、「右心機能不全では(1)右室/左室比が0.9 or 1.0以上、(2)右室自由壁運動低下、(3)三尖弁逆流血流速上昇を、心臓バイオマーカーについてはトロポニンI/TやBNP/NT-proBNPの評価を明確化したことで、判断が難しい中リスク群における血栓溶解療法と抗凝固療法との切り分けができるフローを作成した(p.36)」と解説。治療開始後の血栓溶解療法に関する推奨においては、「循環動態の悪化徴候がみられた場合には、血栓溶解療法を考慮する」点が追記(p.39)されたことにも触れた。 PTEの治療については、DOAC3剤の大規模臨床試験によるエビデンスが多数そろったことでDOACによるVTE治療は推奨クラスI、エビデンスレベルAが示され(p.40)、「低リスク群で“入院理由がない、家族や社会的サポートがある、医療機関の受診が容易である”といった条件がそろえば、DOACによる外来治療も可能となったことも非常に大きな改訂点」と説明した。DVT治療、中枢型と末梢型でアプローチに違い DVTにおいてもPTE同様に検査前臨床的確率の推定や下肢静脈超音波検査/造影CT検査を実施するが、今回の改訂ポイントは「中枢性・末梢性で治療アプローチが異なる点を明確に定義した」ことだと同氏は説明。「中枢性DVTの場合は初期(0~7日)または維持治療期(8日~3ヵ月)に関しては、PTE同様にワルファリンとDOACの使用とともに、すべての中枢性DVTに対して、抗凝固薬の禁忌や継続困難な出血がない場合には少なくとも3ヵ月の抗凝固療法を行うことが推奨されている(いずれも推奨クラスI、エビデンスレベルA、p.47)。一方で、末梢型DVTにおいては、「画一的な抗凝固療法を推奨するものではなく、症候性で治療を行う場合には3ヵ月までの治療を原則とし、無症候性でも活動性がん合併の患者においてはリスクベネフィットを考慮しながらの抗凝固療法が推奨される(推奨クラスIIb、エビデンスレベルB)」と説明した。カテ治療、血栓溶解薬併用と非併用に大別 急性PTEに対するカテーテル治療は、末梢でのコントロールが難渋する例、国内でのデバイスラグなども考慮したうえで、血栓溶解薬併用と非併用に大別している。非併用について、「全身血栓溶解療法が禁忌、無効あるいは抗凝固療法禁忌の高リスクPTEに対し、熟練した術者、専門施設にて血栓溶解薬非併用カテーテル治療を行うことを考慮する。また、抗凝固療法により病態が悪化し、全身血栓溶解療法が禁忌の中リスク急性PTEに対し、熟練した術者、専門施設にて血栓溶解薬非併用カテーテル治療を行うことを考慮する(いずれも推奨クラスIIa、エビデンスレベルC)」と示されている。 このほか、冒頭で触れた慢性疾患への移行については「慢性期疾患患者が急性期VTEを発症することもあるが、PTEが血栓後症候群(PTS)へ、DVTがPTS(血栓後症候群)へ移行するリスクを念頭に治療を行い、発症3~6ヵ月後の評価の必要性を提示していること(推奨表3、p.22)が示された。またCOVID-19での血栓症として、中等症I以下では画一的な抗凝固療法は推奨しない(推奨表1:推奨クラスIII[No benefit]、エビデンスレベルB)ことについて触れた。 最後に同氏は「誘因のないVTEや持続性の誘因によるVTEに対する抗凝固療法の長期投与の際に、未承認ではあるが長期的なリスクベネフィットを考慮したDOACの減量投与などを、今後の課題として検討していきたい」とコメントした。(ケアネット 土井 舞子)そのほかのJCS2025記事はこちら

36.

クローン病患者の便意切迫感を改善するミリキズマブ/リリー・持田製薬

 日本イーライリリーと持田製薬は、ミリキズマブ(商品名:オンボー)のクローン病(CD)に対する適応追加にあたり、4月10日にメディアセミナーを開催した。 今回適応拡大されたミリキズマブは、2023年6月に同じ炎症性腸疾患の潰瘍性大腸炎の治療薬として発売され、今回、中等症~重症の活動期CDの治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)の適応が追加された。 セミナーでは、同社が行ったCD患者へのアンケート結果やミリキズマブの適応拡大における第III相臨床試験VIVID-1試験の概要が説明された。クローン病患者が苦しんでいる日常生活 「クローン病の疾患概要と課題、便意切迫感の影響と実態に関する調査結果について」をテーマに日比 紀文氏(慶應義塾大学医学部 名誉教授)が、病態などの説明と持田製薬が行った患者アンケートの概要を述べた。 CDは、免疫異常などの関与で起こる肉芽腫性炎症性疾患であり、わが国には約7万例の患者が推定され、男性に多く、わが国では10代後半からの発症が多いという。主な症状としては、下痢、腹痛、発熱などがある。また、潰瘍性大腸炎と異なり、大腸のほかにも胃や小腸でも病変が認められ、縦走潰瘍、敷石像などが内視鏡で観察される。また、全層性の炎症で、瘻孔や狭窄もあり、痔ろうなど腸管合併症も認められる。そして、CDの病型分類では、小腸大腸型で1番患者数が多く、小腸型と大腸型では同じ割合で患者がいる。 CDの症状に対する患者と医師の認識の差について、「QOLに最も影響を与える症状」では、患者が「便意切迫感」(65%)が1番多かったのに対し、医師では「腹痛」(82%)だった1)。 この患者が挙げる便意切迫感は、「突然かつ緊急に感じる排便の必要性」と定義され、患者のQOLを著しく悪化させている。そこで、日比氏と持田製薬は、2025年1~2月にアンケートを実施し、CDにおける便意切迫感の影響と実態に関する調査結果を発表した。 調査は、CD患者100人、一般人431人、医師106人にインターネットで実施された。質問で「便意切迫感に襲われた経験がある人(98人)に頻度」を聞いたところ、「1日1回以上」と回答した人が42.8%だった。また、CD患者100人に「便意切迫感にどの程度困っているか」を聞いたところ、「日常生活を普通に過ごせないくらい」が14.0%、「困っているが普通の生活を努力して維持できる」が62.0%と全体で約75%の患者が困っていると回答していた。そのほか、日常生活の便意切迫感で困っていることでは「トイレの待ち時間に不安を感じる」が54.0%、人生において便意切迫感で困っていることでは「仕事・学校を辞めた」が24.0%と患者に多大な影響を及ぼしていることがうかがえた。CDの症状や便意切迫感について、「どのように理解され、対応してほしいか」を患者に聞いたところ、「困るときがあるので、求められたら手を差し伸べてほしい」が45.0%で1番多い回答だった。 以上から「便意切迫感の課題」として、患者は日常生活だけでなく人生のイベントに影響を受けていること、日常生活の維持に患者の努力があること、本音では患者は「便意切迫感から解放されたい」と思っていること、この「便意切迫感」は、周囲には伝えきれていないことを示した。最後に日比氏は、「今後は日常生活の中で『便意切迫感』に不安にならない環境作りが大切だ」と指摘し、「その実現には、周囲の偏見や誤解をなくすことが重要だ」と語った。臨床試験でミリキズマブは便意切迫感を改善 「クローン病に対する新しい治療選択肢について」をテーマに、久松 理一氏(杏林大学医学部消化器内科学 教授)が、ミリキズマブの特徴と第III相臨床試験VIVID-1(AMAM)試験の概要について説明した。 「令和5年クローン病治療指針(内科)」2)では、軽症~中等症~重症まで3段階に分けて使用する薬剤が示されている。ミリキズマブは、既存治療で効果不十分な場合に、中等症以上の病変で使用することができる治療薬。 本剤は、抗IL-23p19モノクローナル抗体製剤として、腸管炎症の原因となるサイトカインを作る免疫細胞に指令を出すIL-23に付着し、指令を阻害することでサイトカイン産生を阻む機序を持つ。使用に際しては、治療開始時に寛解導入療法として点滴静注製剤1回900mgを4週間隔で3回投与し、その後は維持療法として皮下注製剤1回300mgを4週間隔で投与する。 そして、今回適応拡大で行われた第III相臨床試験VIVID-1(AMAM)試験では、CD患者を対象に(1)患者報告型アウトカム(PRO)による12週における臨床的改善かつ52週における内視鏡的改善、(2)PROによる12週における臨床的改善かつ52週におけるCrohn’s disease activity index(CDAI)による臨床的寛解の2つを主要評価項目として、プラセボに対するミリキズマブの優越性を評価した。 試験対象は、ステロイド系薬剤、免疫調節薬などに対し効果不十分、効果減弱または不耐の中等症~重症の活動性CD患者1,152例(日本人28例を含む)。 試験の結果、12週時点でPROによる臨床的改善かつ52週時点で内視鏡的改善を達成した患者の割合は、ミリキズマブ群(579例)で38.0%に対し、プラセボ群(199例)で9.0%だった。また、12週時点でPROによる臨床的改善かつ52週時点でCDAIによる臨床的寛解を達成した患者の割合は、ミリキズマブ群(579例)で45.4%に対し、プラセボ群(199例)で19.6%だった。 そのほか、52週時点の排便回数・腹痛スコアのベースラインからの変化量は、ミリキズマブ群(579例)は-3.28であったのに対し、プラセボ群(199例)は-1.39だった。腹痛スコアも52週のミリキズマブ群(579例)は-1.16だったのに対し、プラセボ群(199例)は-0.52だった。 では、既存の治療薬との効果の違いはあるのか。ウステキヌマブとの比較で、52週時点でのCDAIによる臨床的寛解を達成した患者の割合は、ミリキズマブ群(579例)が54.1%でウステキヌマブ群(287例)の48.4%に対し非劣性であった。同じく52週時点での内視鏡的改善を達成した患者の割合は、ミリキズマブ群が48.4%、ウステキヌマブ群が46.3%だった。 安全性については、死亡事例はなく、主な有害事象としては、貧血、関節痛、頭痛などが報告された。 最後に久松氏は「ミリキズマブは、中等症~重症の活動期CD患者の臨床症状、粘膜炎症および患者報告アウトカムをいずれも改善したこと、排便回数、腹痛および便意切迫感の有意な改善が認められたこと、CD患者を対象とした臨床試験で新たな有害事象の懸念は認められなかったこと」に言及して講演をまとめた。

37.

第264回 線維筋痛症女性の痛みが健康な腸内細菌の投与で緩和、生活の質も向上

線維筋痛症女性の痛みが健康な腸内細菌の投与で緩和、生活の質も向上腸内細菌入れ替えの線維筋痛症治療の効果が、イスラエルでの少人数の臨床試験で示されました1)。どこかを傷めていたり害していたりするわけでもないのに、体のほうぼうが痛くなる掴みどころのない慢性痛疾患である線維筋痛症の少なくともいくらかは、健康なヒトからの腸内細菌のお裾分けで改善するようです。線維筋痛症は多ければ25人に1人の割合で認められ、主に女性が被ります。線維筋痛症の根本原因や仕組みは不明瞭で、的を絞った効果的な治療手段はありません。線維筋痛症で生じる神経症状は痛みに限らず、疲労、睡眠障害、認知障害をもたらします。それに過敏性腸症候群(IBS)などの胃腸障害を生じることも多いです。腸内微生物が慢性痛のいくつかに携わりうることが示されるようになっており、IBSなどの腸疾患と関連する内臓痛への関与を示す結果がいくつも報告されています。線維筋痛症の痛みやその他の不調にも腸内微生物の異常が寄与しているのかもしれません。実際、線維筋痛症の女性の腸内微生物叢が健康なヒトと違っていることが最近の試験で示されています。そこでイスラエル工科大学(通称テクニオン)の痛み研究者Amir Minerbi氏らは、健康なヒトの腸内細菌を投与することで線維筋痛症の痛みや疲労が緩和しうるのではないかと考えました。まずMinerbi氏らは、線維筋痛症の女性とそうではない健康な女性の腸内微生物を無菌マウスに移植して様子をみました。すると、線維筋痛症の女性の腸内微生物を受け取ったマウスは、健康な女性の腸内微生物を受け取ったマウスに比べて機械刺激、熱刺激、冷刺激に対してより痛がり、自発痛の増加も示しました。続く実験で腸内細菌の入れ替えの効果が裏付けられました。最初に線維筋痛症の女性の微生物をマウスに投与して痛み過敏を完全に発現させます。その後に抗菌薬を投与して腸内微生物を一掃した後に健康な女性の微生物を移植したところ、細菌の組成が変化して痛み症状が緩和しました。一方、抗菌薬投与なしで健康な女性の微生物を投与した場合の細菌組成の変化は乏しく、痛みの緩和は認められませんでした。線維筋痛と関連する細菌を健康なヒトからの細菌と入れ替えることは、痛み過敏を解消する働きがあることをそれら結果は裏付けています。その裏付けを頼りに、細菌の入れ替えがヒトでも同様の効果があるかどうかが線維筋痛症の女性を募った試験で調べられました。試験には通常の治療のかいがなく、とても痛く、ひどく疲れていて症状が重くのしかかる重度の線維筋痛症の女性14例が参加しました。それら14例はまず抗菌薬と腸管洗浄で先住の腸内微生物を除去し、続いて健康な女性3人から集めた糞中微生物入りカプセルを2週間ごとに5回経口服用しました。最後の投与から1週間後の評価で14例のうち12例の痛みが有意に緩和していました。不安、うつ、睡眠、身体的な生活の質(physical quality-of-life)の改善も認められ、症状の負担がおおむね減少しました。投与後の患者の便検体を調べたところ、健康な女性の細菌と一致する特徴が示唆されました。健康な女性の微生物投与の前と後では糞中や血中のアミノ酸、脂質、短鎖脂肪酸の濃度に違いがありました。また、コルチゾンやプロゲスチンなどのホルモンのいくつかの血漿濃度が有意に低下する一方で、アンドロステロンなどのホルモンのいくつかの糞中濃度の上昇が認められました。「14例ばかりの試験結果を鵜呑みにすることはできないが、さらなる検討に値する有望な結果ではある」とMinerbi氏は言っています2)。 参考 1) Cai W, et al. Neuron. 2025 Apr 24. [Epub ahead of print] 2) Baffling chronic pain eases after doses of gut microbes / Nature

38.

帯状疱疹、有害事象として報告が多い薬剤は

 米国食品医薬品局(FDA)の有害事象報告システム(FAERS)データベースを用いて、帯状疱疹の報告と関連薬剤を評価した後ろ向きpharmacovigilance研究の結果、複数の高リスク薬剤が特定された。さらに、これらの薬剤の中には添付文書に帯状疱疹リスクについての記載がないものがあることも明らかになった。中国・Xuzhou Medical UniversityのJiali Xia氏らによるFrontiers in Pharmacology誌オンライン版2025年3月26日号への報告。 本研究では、2004年第1四半期~2024年第3四半期までのFAERSにおける帯状疱疹に関する報告を解析し、とくに帯状疱疹発症の報告数が多い上位30薬剤を抽出した。また、薬剤と帯状疱疹との潜在的関連を評価するために、不均衡分析(disproportionality analysis)の手法を用いて、比例報告比(PRR)および報告オッズ比(ROR)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・2004~24年の対象期間において、FAERSには帯状疱疹に関する報告が5万164件登録されていた。関連が示唆された薬剤の大部分は免疫抑制剤であった。・発症年齢としては、41~65歳が最も多く(31.11%)、次いで65歳以上(26.05%)、19~41歳(7.46%)、18歳以下(1.33%)の順であった。性別では女性の割合が高く(64.41%)、男性を大きく上回った。・報告件数が最も多かったのはアダリムマブ(3,577件)であり、エタネルセプト(3,380件)、トファシチニブ(2,696件)、インフリキシマブ(2,240件)、レナリドミド(1,639件)が続いた。・報告件数が多かった30薬剤のうち24薬剤は添付文書に帯状疱疹リスクが記載されていたが、残る7薬剤にはその記載がなかった。7薬剤は、セクキヌマブ、インターフェロンβ-1a、ヒト免疫グロブリンG、ゴリムマブ、アレンドロン酸ナトリウム、プレガバリン、イブルチニブであった。・RORが最も高かったのはアニフロルマブ(n=45、ROR:20.97、PRR:19.87)であり、ロザノリキシズマブ(n=7、ROR:16.05、PRR:15.40)、ocrelizumab(n=1,224、ROR:9.64、PRR:9.42)、アレムツズマブ(n=286、ROR:9.34、PRR:9.13)、トファシチニブ(n=2,696、ROR:8.27、PRR:8.11)が続いた。・RORが高かった30薬剤のうち18薬剤は添付文書に帯状疱疹リスクが記載されていたが、残る12薬剤にはその記載がなかった。12薬剤は、ロザノリキシズマブ、トジナメラン、エラペグアデマーゼ、サトラリズマブ、エフガルチギモド アルファ、プララトレキサート、シクレソニド、efalizumab、Ambrosia artemisiifolia pollen、アレンドロン酸ナトリウム、pentoxifylline、anakinraであった。 著者らは、本研究で実施された不均衡分析は因果関係を証明するものではないとし、リスクを定量化し根本的なメカニズムを解明するには、前向き研究が必要としている。そのうえで、これらの薬剤を使用する際に、臨床医は帯状疱疹リスク増加の可能性について考慮する必要があるとまとめている。

39.

組み換え帯状疱疹ワクチン シングリックス、定期接種として使用可能に/GSK

 グラクソ・スミスクラインは、2025年4月1日、予防接種法施行規則および予防接種実施規則の一部改正で帯状疱疹が予防接種法のB類疾病に位置づけられたことにより、同社の帯状疱疹のワクチン「シングリックス筋注用(以下、シングリックス)」が定期接種として使用可能となったと発表した。 シングリックスは、帯状疱疹の予防を目的とした世界で初めての遺伝子組換え型のサブユニットワクチンで、現在50ヵ国以上で販売されている。日本では、2018年3月23日に50歳以上を対象に、2023年6月26日に帯状疱疹発症リスクの高い18歳以上を対象に承認を取得している。また、シングリックスは、50歳以上で10年以上の帯状疱疹の予防効果の持続が示されている。 日本人成人の90%以上は、帯状疱疹の原因となるウイルスがすでに体内に潜んでいる可能性があり、50歳を過ぎると帯状疱疹の発症が増え始め、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を発症するといわれている。 また、高血圧・糖尿病・リウマチ・腎不全といった基礎疾患罹患者は、帯状疱疹の発症リスクが高くなるという報告がある。たとえば、高血圧患者は、非高血圧患者と比較して発症リスクが約1.9倍、糖尿病患者は、非糖尿病患者と比較して約2.4倍というデータが報告されている。帯状疱疹ワクチンの定期接種対象者定期接種の対象者:・65歳の者・60歳以上65歳未満の者であって、ヒト免疫不全ウイルスにより免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害を有する者対象者の経過措置:・令和7年4月1日から令和12年3月31日までの間に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳又は100歳となる日の属する年度の初日から当該年度の末日までの間にある者・令和7年4月1日から令和8年3月31日までの間、令和7年3月31日において100歳以上の者帯状疱疹ワクチン「シングリックス」 製品概要製品名:シングリックス筋注用一般名:乾燥組換え帯状疱疹ワクチン効能又は効果:帯状疱疹の予防国内製造販売承認取得日:・50歳以上:2018年3月23日・帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上:2023年6月26日販売国数:50ヵ国以上(2025年3月時点)用法及び用量:・50歳以上:0.5mLを2回、通常、2ヵ月の間隔をおいて、筋肉内に接種する。・帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上:0.5mLを2回、通常、1~2ヵ月の間隔をおいて、筋肉内に接種する。有効性:・50歳以上の成人:97.2%・50~59歳:96.6%・60~69歳:97.4%・70歳以上:97.9%予防効果の持続性:10年以上安全性:・重大な副反応:ショック、アナフィラキシー・主な副反応:疼痛、発赤、腫脹、胃腸症状(悪心、嘔吐、下痢、腹痛)、頭痛、筋肉痛、疲労、悪寒、発熱

40.

全身性強皮症診療ガイドライン 2025年版

7年ぶりに全身性強皮症のみ独立させ改訂新版として刊行!本ガイドラインは2017年発行「全身性強皮症・限局性強皮症・好酸球性筋膜炎・硬化性萎縮性苔癬の診断基準・重症度分類・診療ガイドライン」から全身性強皮症のみ独立させて改訂し、新版として刊行したものである。新たに骨関節病変と小児の2項目が追加され、CQ数は各項目で増減があり、全体として26個増えた。診断基準・重症度分類は変更がないが、CQでは新規治療薬に関するエビデンスが記載されている。全身性強皮症診療に関わるすべての医師必読の1冊。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する全身性強皮症診療ガイドライン 2025年版定価4,400円(税込)判型B5判頁数228頁発行2025年1月編集厚労科研 強皮症研究班ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

検索結果 合計:450件 表示位置:21 - 40