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アザチオプリンや免疫チェックポイント阻害薬などに重大な副作用追加/厚労省

 2026年9月29日、厚生労働省より添付文書の改訂指示が発出され、アザチオプリンや各種免疫チェックポイント阻害薬(ICI)、トシリズマブなどに対して、「重大な副作用」などが追記された。アザチオプリン、脳神経や肝臓の所見に注意 免疫抑制薬のアザチオプリン(商品名:アザニン、イムラン)では、「可逆性後白質脳症症候群」および「肝類洞閉塞症候群(SOS)/肝中心静脈閉塞症(VOD)」が追記された。頭痛、意識障害、痙攣などの症状が現れた場合には、MRIなどによる画像診断を行うとともに、投与を中止し適切な処置を行うよう追記された。また、非硬変性門脈圧亢進症を含むSOS/VODが現れることがあるため、ビリルビン増加や腹水などが認められた場合は投与を中止し適切な処置を行うよう示された。免疫チェックポイント阻害薬、胃炎・食道炎を追加 以下のICIにおいて、「重大な副作用」の項に「重度の胃炎、食道炎」が追記された。免疫反応に起因すると考えられる重度の胃炎、食道炎が現れることがあり、異常が認められた場合には副腎皮質ホルモン剤の投与など、適切な処置を行うよう注意喚起されている。<対象医薬品>・アテゾリズマブ(テセントリク)・アベルマブ(バベンチオ)・セミプリマブ(リブタヨ)・チスレリズマブ(テビムブラ)・デュルバルマブ(イミフィンジ)・トレメリムマブ(イジュド)・レチファンリマブ(ジニイズ) なお、上記に該当しないイピリムマブ(ヤーボイ)、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)については、既存の記載にそれぞれ胃炎または食道炎が追記され、「重度の胃炎、食道炎」に改められた。トシリズマブ、薬剤性過敏症症候群を追加 生物学的製剤のトシリズマブ(アクテムラ[バイオ後続品含む])には、「薬剤性過敏症症候群」が新設された。発疹や発熱などの初期症状から、肝機能障害などを伴う遅発性の重篤な過敏症状が現れることがあり、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)などの再活性化を伴うことが多く、投与中止後も症状が遷延化することがあるため注意が必要とされた。そのほかの主な改訂内容○アプレミラスト(オテズラ)「重要な基本的注意」および「重大な副作用」の項に、「肝機能障害」が新設され、定期的な肝機能検査が求められる。○アレクチニブ塩酸塩(アレセンサ)「重要な基本的注意」の項に、重度の高トリグリセリド血症が現れ急性膵炎に至った症例が報告されたことから、定期的な血液検査を行うよう追記された。○オシメルチニブメシル酸塩(タグリッソ)「重要な基本的注意」および「重大な副作用」における血小板減少などの記載に、「再生不良性貧血」が追記された。○セルペルカチニブ(レットヴィモ)「重大な副作用」の項に、「皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)」が新設された。

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今年も「ワクチン虎の穴セミナー」を開催/プライマリ・ケア連合学会

 日本では、今年も麻しん流行や肺炎球菌ワクチンのPCV20への変更など、感染症やワクチンに関係する話題が多い。また、海外ではハンタウイルス、エボラ出血熱などの再興感染症の流行も危惧されている。 こうした環境の中、「こどもとおとなのワクチンサイト」を運営する日本プライマリ・ケア連合学会 感染症委員会 ワクチンチームは、10月に医師・医療従事者向けに「ワクチン虎の穴セミナー」を開催する。 本セミナーは、ワクチンの基本から応用、新しいワクチンのアップデート、渡航ワクチンに至るまで、盛りだくさんの内容を専門医などが講義するもので、初学者からアドバンスドな実践者までが学べる機会となる。 開催の概要は以下のとおり。【2026年(第9回)ワクチン虎の穴セミナー】■日時:10月11日(日) 13:00~18:00(終了後懇親会あり)10月12日(月・祝) 8:45~13:00■会場:アットビジネスセンター東京八重洲通りまたはオンラインのハイブリッド開催 ※参加日数は選択制であり、たとえば1日目はオンライン、2日目は会場参加も可能■対象:医師、医学生、メディカルスタッフ(看護師・薬剤師など)■主な内容(講義時間割は下記のサイトを参照): 日々の外来で遭遇する事例を交え、基本的な考え方から最新情報までを深掘り。明日からすぐに使えるエビデンスを網羅する。【先行動画】ワクチンの基本など・ワクチンの基本(種類、スケジュール、副反応など)・小児ワクチンのUpdate、医療従事者・免疫不全者のワクチン・抗体価の考え方、ワクチンコミュニケーション【1日目】外来で「よくある疑問」を徹底解説・肺炎球菌ワクチン、20価と21価どちらを勧める?・RSVワクチン、誰に打つのが正解?・帯状疱疹の罹患歴がある人にも、ワクチンは勧めるべき?・来年度定期接種予定の高用量インフルエンザワクチンの特徴は?【2日目】体験型ワークショップ(現地参加推奨)・外来でのワクチン推奨シミュレーション・痛みの少ないワクチン接種ワークショップ・ワクチン接種を躊躇する患者の対応、ロールプレイ【オプション】要申込:渡航ワクチン動画 2025年度ver.のアーカイブ配信・渡航医学と渡航ワクチンの総論・各論・渡航地別ワクチンスケジュール作成・旅行保険、基礎疾患をもつ患者の注意ポイントなど■参加費:1日参加・2日間通し参加、現地/オンライン参加、ともに同料金。【医師(研修医を除く)】A 現地参加/オンライン参加(参加日数は問わない) 参加費 会員:8,000円/非会員:1万円/懇親会費:2,000円B アーカイブ視聴のみ(募集開始は2026年11月以降)参加費 会員:7,000円/非会員:9,000円【学生・研修医・医師以外】参加形態によらず一律参加費 会員・非会員:5,000円(特別価格)/懇親会費:2,000円【オプション(希望者のみ)】渡航ワクチン2025年度講義動画のアーカイブ視聴参加費 2,000円■定員(1)現地参加者:両日ともに48名(2)リモート参加者:定員なし■申込方法 下記フォームよりお申し込みください。・現地参加者の交通費・宿泊費は各自で手配・負担。・注)【いずれか1日のみ現地参加希望】の場合は【現地参加を希望の方】のフォームからお申し込みください。・現地参加者の応募者が多数の場合、現地参加からリモート参加への変更をお願いする場合がありますので、あらかじめご了承ください。◆現地参加を希望の方◆リモート参加を希望の方◆アーカイブ視聴を希望の方 セミナー開催後(2026年11月〜)に改めて参加者を募集する予定 (詳しくは下記のワクチンサイトを参照のこと)【詳細はこちら】 こどもとおとなのワクチンサイト 日本プライマリ・ケア連合学会【セミナーに関するお問い合わせ】office@primary-care.or.jp(日本プライマリ・ケア連合学会 学会本部)

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第334回 京大病院、高知大病院などで相次いだ手術部位の誤認事故、執刀医の「確証バイアス」をどう防ぐかも課題に

第2次高市改造内閣が発足、厚生労働大臣は上野賢一郎氏続投こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。高市 早苗首相は、9月17日に内閣改造を実施、第2次高市改造内閣が発足しました。厚生労働大臣は上野 賢一郎氏が続投となりました。高市首相が各閣僚に出した指示書の全文が明らかになっており、厚労大臣への指示には、すべての世代で能力に応じて負担し支え合う「全世代型社会保障」の構築、データに基づく医療行政のメリハリ強化、「攻めの予防医療」などが挙げられています。当面の重要課題は70歳以上の医療費の窓口負担引き上げということになります。医療関係者が注目していた古川 俊治参議院議員の初入閣は、厚労大臣ではなくデジタル大臣になりました。医師であり弁護士でもある古川氏は、医療政策に精通、自民党の新型コロナウイルスワクチン対策プロジェクトチームの座長を務めたこともあります。高市首相の指示書には「国・自治体のAX・DX基盤の高度化・強靱化」が挙げられており、前任の松本 尚氏に続き、医師が日本のデジタル政策を引っ張ることになります。さて今回は、最近の医療事故報道で気になっていることを書いてみます。それは外科手術において、臓器、器官、手術部位の取り違えの事故が増えているのではないか、ということです。さすがに今の時代、患者取り違えの重大事故はほとんど起こっていないようですが、病変でない部位やまったく違う臓器を間違って切除する事故の報告が相次いでいます。いったいどんな理由、経緯で起きたのでしょうか。脳腫瘍手術で「腫瘍ではない可能性がある」との診断にもかかわらず誤って正常な部位を摘出京都大学医学部附属病院(京都市)は8月7日、脳腫瘍の手術中、誤って正常な部位を摘出する医療事故が起きたと発表しました。患者の50代女性は術前には通常の生活を送っていましたが、術後は自発呼吸ができず、手足が動かない状態とのことです。8月8日付の読売新聞等の報道によれば、女性は小脳や脳幹の周囲に良性の腫瘍が見つかり、放置するとリスクが高まるとの判断から、摘出手術をすることになりました。手術は今年7月末に実施され、術中に組織の一部を採取し顕微鏡検査による病理診断をした際、「腫瘍ではない可能性がある」という診断でしたが、執刀医である脳神経外科所属の40代男性医師は自らの経験などから「腫瘍の端を採取した」と判断、その部位の摘出手術を続行しました。手術後、女性の意識と呼吸が回復せずMRI検査を実施したところ、腫瘍は残っている一方、脳幹の損傷が判明、誤った部位を摘出したことがわかったそうです。同紙報道によれば、7日の記者会見で高折 晃史病院長は「心よりおわび申し上げる。患者の治療に最善を尽くす」と陳謝、脳神経外科の荒川芳輝科長は「執刀医の判断ミスや思い込みがあったのではないかと思う」と述べたとのことです。京大病院は今後、外部の有識者による事故調査委員会を設置して原因究明を進めるそうです。横行結腸人工肛門造設術で誤って胃を切離同様の事故は高知大学医学部附属病院(高知県南国市)でも起こっています。高知大学病院は8月31日、横行結腸手術で、誤って胃を切離するという医療事故が発生したと発表しました。患者は 80代の女性で、腹腔鏡下横行結腸人工肛門造設術において、本来人工肛門を造設する予定であった横行結腸ではなく、誤って胃を持ち上げ切離してしまったとのことです。術中に誤りに気づき、直ちに開腹手術に移行し、 切離した胃は速やかに再吻合した後、当初の目的であった横行結腸人工肛門造設術を完了したとしています。同病院は事故後の報告を受けて医療問題調査委員会を開催し事故原因等の調査を行いました。その結果、今回の事故は、術中の臓器確認の不徹底、術者・助手が抱いた違和感の確認不足、そして手術チーム内でのコミュニケーション不足が複合的に重なったことによるものであると結論づけました。そして再発防止策として、1)人工肛門造設術における臓器確認手順をより詳細に定め、結腸の解剖学的特徴の確認やマーキングの徹底、腹腔鏡下での複数回確認など、多重のチェック体制を導入すること、2)手術や治療において違和感があった場合には、その違和感の解決を最優先にし、解決できるまで先に進まないことを徹底すること、3)医療スタッフが遠慮なく意見を言い合える心理的安全性の高いチームづくりを進めること──の3点を挙げました。左脚の大腿骨頸部骨折なのに右脚に人工骨頭を挿入愛知県では左右の脚を間違える事故も起こっています。一宮市立市民病院は8月26日、左脚の大腿骨頸部を骨折した80代女性に対し、手術で誤って右脚の大腿骨頸部に人工骨頭を挿入する医療事故があったと発表しました。同病院は女性に損害賠償金として550万円を支払うことで和解に合意したとのことです。8月27日付の中日新聞等の報道によれば、女性は2024年12月、転倒によるけがで受診し、左大腿骨頸部骨折と診断され、人工骨頭を入れる手術を受けることになりました。しかし、入院後に担当となった整形外科医は手術承諾書に誤って「右大腿骨頸部骨折」と記入し、骨折していない右大腿骨を手術してしまいました。術後のX線撮影で左右の誤りに気づき、後日骨折した左大腿骨の手術を行いました。女性はリハビリで歩行器を使えば歩けるレベルに回復したとのことです。同病院は、手術前に複数人で手術承諾書を確認したが間違いに気付けなかった点を問題視、再発防止策として今後は手術前に複数人で電子カルテと手術部位の照らし合わせを徹底するとしています。執刀医が「腫瘍の端の組織を採ったため腫瘍が含まれていなかった」と考えた理由とは?以上、いずれも8月に公になった医療事故ですが、どの手術も複数の確認機会をすり抜けて手術部位の誤認にまで至ったことに驚きます。1999年1月に横浜市立大学医学部附属病院で発生した患者取り違え事故(心臓手術予定の患者と肺がん手術予定の患者を取り違えて手術を行い、手術が終わるまで誰も取り違えに気づかなかった事故)以降、医療機関での患者確認の徹底が進み、今では手術における患者取り違えはほぼ起こっていません。その一方、臓器や病変、器官の取り違えがなぜ今でも頻繁に起こっているのでしょうか?京大病院の事故については、8月22日付のデイリー新潮が「〈京大病院で医療ミス〉ベテラン執刀医が失敗した原因は…」と題する記事を配信、事故が起こった背景を詳しく報じています。同記事によれば、女性患者の疾患は小脳や脳幹に隣接する小脳橋角部にある3cmほどの良性腫瘍だったそうです。同記事にコメントを寄せた脳神経外科医は、「小脳橋角部は脳の中でもアプローチが難しい領域の1つです。さらに、今回の手術は患者さんが横向きの姿勢だったため、術前に撮影した画像データと実際の手術部位を照らし合わせるナビゲーションシステムの精度が十分でなく、“腫瘍への道筋”は執刀医の経験が優先される状況だったとみられます」と話すとともに、病理診断で腫瘍ではないとの結果が出たにもかかわらず、執刀医が「腫瘍の端の組織を採ったため腫瘍が含まれていなかった」などと考えた理由について、「この誤認は“確証バイアス”と呼ばれます。自分の思い込みが正しいと証明するため、反対の情報を無視してしまう脳のクセです」と語っています。確証バイアスによって突き進む執刀医が1人いたとしても、それを押し止める医師や医療スタッフがいれば…確証バイアス(confirmation bias)とは、認知心理学などの分野で使われる用語で、自分の信念や仮説を裏付ける情報ばかりを集め、それに反する情報を無意識に無視または軽視してしまう認知の偏りのことです。意思決定や評価の場面で非合理的な判断を引き起こすため、医療事故においても医師の確証バイアスが原因となるケースは少なくないと言われています。それにしても、確証バイアスによって突き進む執刀医が1人いたとしても、それを押しとどめる医師や医療スタッフが現場にいなかった、というのも不思議です。高知大のケースでも「医療スタッフが遠慮なく意見を言い合える心理的安全性の高いチームづくりを進めること」を再発防止策に挙げているのも、こうした確証バイアス対策と言えるかもしれません。もっとも、先述のデイリー新潮の記事は、京大病院の関係者の「会見で診療科長が口にした“判断ミスや思い込み”はつまり、経験からくる慢心です。手術の過程で違和感を覚えたスタッフもいたと思われます。ですがチームでもっとも場数を踏んでいる執刀医の判断を覆すのは難しい。それが現実です」というコメントを紹介しており、実際の手術で執刀医に意見することの困難さがうかがえます。今後、日本の医療現場で「遠慮なく意見を言い合える心理的安全性の高いチーム」が普及・定着していかない限り、臓器、器官、手術部位の取り違え事故はいつまで経っても減っていかないでしょう。

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香り付きの清掃製品が室内空気汚染の原因に?

 掃除したばかりの部屋に漂う柑橘系や松、花の香りには、予想外のものが伴っている可能性がある。それは、目に見えない空気汚染である。新たな研究で、一般的な香り付きの製品か植物由来成分の製品かにかかわらず、清掃製品から放出される香料成分が室内の空気中のオゾンと反応してナノ粒子を形成することが示された。この粒子を吸い込むと、肺の奥深くまで到達する可能性があるという。米パデュー大学土木・建設工学分野のBrandon Boor氏らによるこの研究は、米国化学会主催の秋季国際会議(ACS Fall 2026、8月23~27日、米シカゴ)で発表された。研究グループは、曝露を減らすため、無香料の製品を選ぶことや使用中に換気扇を使うこと、洗浄中はオゾン発生装置を使用しないことを推奨している。 Boor氏らは、新型コロナウイルス感染症のパンデミック中に、洗浄剤や化学消毒剤が室内環境に与える影響について研究を始めた。研究を進める中で、同氏らはこれらの製品の多くに強い香料が含まれていることに気付いた。Boor氏は、「香料を入れる目的は多くの場合、室内を心地良い香りの空間にするためだ。しかし、きれいな空気は強い柑橘系の香りなどしない。実際には、何もにおいがしないはずだ」と述べる。 過去の研究では、松の木から放出されるピネンなどの植物由来のテルペン類がオゾンと反応して大気中のナノ粒子を生成することが明らかにされている。これらのナノ粒子は凝集し、最終的には雲の種となるほど大きくなる。しかし、森林ではテルペン類の濃度が比較的低いため、粒子形成はゆっくりと進行するという。 一方、室内で香り付きの製品を使用すると、香料成分が環境表面や噴霧された液滴から蒸発する際にテルペン類が放出される。洗浄液に含まれていることが多いテルペン類は、ピネン、リモネン(レモンなどの柑橘類に含まれる香気成分)、チモール(タイムに含まれる香気成分)、リナロール(ラベンダーなどに含まれる香気成分)などで、その濃度は自然界に存在する濃度よりもはるかに高いとされている。その結果、清掃中に空気中のテルペン類濃度は、森林での濃度の数十倍から数百倍にも達する可能性があるとBoor氏は指摘する。 日常的な清掃の過程で何が起きるのかを調べるため、研究グループは、キッチンや浴室などを備えた小さなモデルハウスで、従来の香り付きの液体製品と植物由来成分を含む消毒スプレーやウェットティッシュを使い、空気中の揮発性有機化合物とナノ粒子の粒径分布をリアルタイムで測定した。 その結果、環境表面の洗浄や消毒を行うと、テルペン類およびテルペノイド類の混合比は10~1,000 ppbまで急上昇し、しばしば屋外の森林環境で観測されるレベルを上回った。これらの化合物は、特にオゾンなどの室内酸化剤と反応し、ナノ粒子の核生成と成長を引き起こした。その核生成速度は1 cm3当たり毎秒約10万個、凝縮成長速度は1時間当たり最大300 nmで、屋外で一般的に観測される値を大幅に上回った。その結果、室内ナノ粒子数濃度は、一時的に1 cm3当たり10万~1億個に達した。さらに、これらのナノ粒子は、急速に成長することで呼吸器系のさまざまな部位に効率よく沈着する大きさに達し、その結果、単位時間当たりの吸入量は、自動車からの排出ガスなどの一次燃焼源による曝露と同程度かそれを上回った。 Boor氏は、「重要なのは、清掃によって環境表面からウイルスや細菌を除去できる一方、目に見えない空気汚染が生じる可能性があるという点だ。空気中に目に見えるほこりや煙はなくとも、こうした粒子は形成されている」と述べている。研究グループは、ナノサイズの粒子は、呼吸器への刺激や炎症の一因となったり、血流に入り込んだりする可能性があると警告している。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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高カリウム血症時はソリタ-T1で万事OK?【ケースで学ぶ輸液オーダー】第7回

高カリウム血症時はソリタ-T1で万事OK?カリウムの入っていない輸液といえば、まず誰もが初期研修医時代にソリタ-T1号輸液と教わりますよね。では、輸液療法中に高カリウム血症になった場合、正常化するまでとりあえずソリタ-T1を続けておけば万事OKなのでしょうか?症例70歳男性、大腸穿孔による急性汎発性腹膜炎術後体重60kg併存疾患高血圧、慢性腎臓病術後の腸管麻痺が持続しているため、腸管機能回復までの間は絶食としてしばらく中心静脈栄養を行うことになりました。右上腕に挿入したシングルルーメンの末梢挿入式中心静脈カテーテルから、術後10日目時点でエルネオパNF2号1日2,000mLの栄養輸液を行っています。この間、術後の創痛に対し、フルルビプロフェン アキセチルを1日3回点滴していました。後期研修医A君は、併存疾患の慢性腎臓病に留意し、NSAIDs投与に伴う腎機能低下を来していないか確認するため、そろそろBUNやCrをチェックすべきと考えました1)。採血を行ったところ、BUNはやや上昇、Crは横ばい、Kは6.0mEq/Lと上昇していました。幸い心電図異常は認めません。A君「輸液をカリウムフリーにしなくては…」A君は急いで本日の2本目の点滴をソリタ-T1 500mLに変更し、向こう3日間はソリタ-T1を1日2,000mL投与するオーダーを出しました。すると翌日朝、A君は病棟看護師にコールされました。看護師「患者さんが冷や汗をかいています。簡易血糖が20です!」高カリウム血症には常にソリタ-T1?ソリタ-T1はカリウムフリーということは誰もが知っています。しかし、その糖濃度はどれだけなのか答えられますか? エルネオパNF2号とソリタ-T1、皆さんおなじみのソリタ-T3のエネルギー、糖濃度、ナトリウムとカリウムの含有量を比較してみましょう(図1)。図1 1L当たりのエネルギー、糖、ナトリウム、カリウム含有量比較画像を拡大するソリタ-T1のエネルギーや糖濃度の低さが際立ちますね。一方、ナトリウムは生理食塩水の半分以上と多く設定されています。それもそのはず、ソリタ-T1は生理食塩水と5%ブドウ糖液を1対1で混合した組成がもとになっているからです。当然アミノ酸も含んでいません。救急の現場で詳細のわからない患者さんに、とりあえずカリウムフリーで輸液したい場合の生理食塩水500mL。高カリウム血症が判明している患者さんの維持輸液を開始するときに、とりあえずカリウムフリーでソリタ-T1 500mL。このような「とりあえず」は全然問題ありません。しかし、本症例のように、栄養輸液をしばらく行ってから生じた高カリウム血症に対しては、それに起因する症状がなければ、急いでソリタ-T1に走らずに落ち着いてカリウムフリーの栄養輸液メニューを作ってみましょう。所属施設の薬剤師と相談し、あらかじめ院内で自作メニューの組成を決めていると便利ですよ。NST薬剤師によるカリウムフリーメニュー作りのコツ基本的には、カリウム非含有のTPN輸液基本液(糖・電解質輸液)とアミノ酸製剤を組み合わせ、そこに総合ビタミン製剤と微量元素製剤を加えて調剤します。以下のコツを踏まえ、エルネオパNF2号に近い組成のカリウム非含有TPN製剤を作成してみましょう。コツ1直前まで投与していたTPNキット製剤の組成(とくに水分量、糖質量、アミノ酸量、ナトリウム量、ビタミン、微量元素)に近づけることを意識する。本症例では、エルネオパNF2号の組成に近づけることを目標に輸液メニューを作成。コツ2調製回数がなるべく少なく済むよう、所属施設の採用品を組み合わせることを意識する。調製回数を減らすことで、調製時間の短縮に加え、不溶性微粒子や細菌などの混入リスクの低減にもつながる。これらのコツを踏まえ、当院で作成しているエルネオパNF2号に近い組成のカリウムフリーメニューを示します(表1)。当院では重い点滴をぶらさげて歩行する患者さんの転倒リスクを考慮し、1バッグ当たりの水分は約1kg程度までとなるよう工夫しています。また、電子カルテ内の医師オーダーセットにカリウムフリーメニューを登録し、簡便かつ安全な処方を可能としています2)。表1 エルネオパNF2号類似Kフリー自作製剤と本家の比較画像を拡大する本症例の分析本症例は、慢性腎臓病の患者さんへNSAIDsを定期的に投与し、腎障害が増悪して高カリウム血症を来しました。A君の頭には、カリウムなし=ソリタ-T1の回路しかなく、あわてて高カロリー輸液をソリタ-T1に変更し、漫然と継続したことで低血糖を招きました。その後、薬剤師に相談してエルネオパNF2号類似のカリウム非含有TPN製剤を調整してもらい、カリウム値が正常化するまで使用しました。高カリウム血症には常にソリタ-T1でよいわけではありません。あらかじめ自院でカリウムフリーの輸液メニューを作っておき、共有すると便利です。ワルファリン服用患者ではビタミンK含有量の違いに注意エルネオパNF2号2,000mLに含有されているフィトナジオン(ビタミンK1)は、2mgから0.150mgへ減量された経緯があります。国内に上市されている総合ビタミン剤の多くはフィトナジオン2mgを含有しており、これを含む自作のカリウム非含有TPN製剤にエルネオパNFから切り替えると、ビタミンK含有量がエルネオパNFよりも多くなり、ワルファリン服用中の患者さんでは相互作用で効果が減弱する恐れがあります。ワルファリン服用患者の適切なビタミンK摂取量は150μg/日と報告されており3)、このような場合はPT-INRのモニタリング強化、または直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)への変更を検討しましょう。1)Baker M, et al. Am J Kidney Dis. 2020;76:546-557.2)カリウムフリー輸液を組み立てよう!:下馬栄養倶楽部(参照 2026年9月3日)3)佐藤陽子ほか. 食品衛生学雑誌. 2015;56:157-165.

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加糖飲料の毎日の摂取は胃がんのリスク上昇と関連

 加糖飲料(sugar-sweetened beverage;SSB)が悪影響を及ぼすのは歯だけではないようだ。新たな研究で、SSBを1日1サービング(約237mL)超摂取する人の胃がんの発症リスクは、SSBをほとんど摂取しない人の約2.5倍である可能性が示された。米マス・ジェネラル・ブリガムがん研究所のAndrew Chan氏らによる研究で、詳細は8月17日付で「Gastro Hep Advances」に掲載された。 Chan氏は、「米国人を対象に、SSBの摂取と胃がんとの関連を示した研究は、われわれが知る限り今回が初めてである。胃がんは世界でがんによる死亡原因の第5位だが、食事が胃がんの発症にどう関与するのかについては、これまでほとんど分かっていなかった」と述べている。 この研究では、Nurses’ Health Study(NHS)とHealth Professionals Follow-up Study(HPFS)のデータを用いて、SSBまたは人工甘味料入り飲料(artificially sweetened beverage;ASB)の摂取と胃がん発症との関連を解析した。SSBには、レモネード、炭酸飲料、スポーツドリンクなどが含まれていた。飲料摂取に関する調査が開始された1986年を本研究のベースラインとし、このときの調査に回答したNHS参加者の女性看護師6万8,311人、HPFS参加者の男性医療従事者4万2,973人を解析に含めた。飲料の摂取量は、ほぼ摂取しない(1サービング未満/月)、1~3サービング/月、1~3サービング/週、4~7サービング/週、1サービング超/日の5カテゴリーに分類した。 320万4,001人年の追跡期間中に278例(NHS:140例、HPFS:138例)の胃がん症例が確認された。NHSとHPFSを統合して解析した結果、SSBの摂取量が1サービング超/日の群の胃がんの発症リスクは、ほぼ摂取しない群の2.45倍であった(ハザード比2.45、95%信頼区間1.49~4.04)。コホート別に解析しても、SSBの摂取量が1サービング超/日の群の胃がん発症のハザード比は、NHSとHPFSでそれぞれ3.04(95%信頼区間1.46~6.33)、1.99(95%信頼区間1.00~3.93)であった。一方、ASBの摂取と胃がん発症との間に関連は認められなかった。 研究グループは、リスク上昇の背景には、体重増加やインスリン抵抗性の上昇、ステロイドホルモンの不均衡、炎症、DNA損傷、ディスバイオシス(口腔細菌叢や腸内細菌叢のバランスが乱れた状態)が関与している可能性があるとの見解を示している。

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インフルで入院しやすい人、死亡リスクが高い人の特徴~メタ解析

 インフルエンザ患者における入院および死亡に関連するリスク因子を特定することは、臨床管理および公衆衛生戦略を策定するうえで重要である。今回、中国・Shandong University School of Public HealthのYa Gao氏らは、WHOインフルエンザ臨床ガイドラインの更新を支援する目的で、季節性インフルエンザ患者における入院および全死因死亡のリスク因子を系統的レビューおよびメタ解析で検討した。その結果、非重症例の入院の主要リスク因子として、65歳以上、免疫不全、心血管疾患、神経疾患、慢性呼吸器疾患が、重症例の全死因死亡の主要リスク因子として、2次細菌感染、栄養不良、敗血症、急性腎障害、65歳以上、慢性心血管疾患、悪性腫瘍、慢性神経疾患が示唆された。Lancet Respiratory Medicine誌オンライン版2026年9月8日号に掲載。 本研究では、Medline、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature、Global Healthにおいて、2000年1月1日~2025年10月30日に発表された観察研究を検索した。対象とした研究は、年齢を問わず、検査で確認された季節性インフルエンザ患者を登録し、少なくとも1つのリスク因子と入院または全死因死亡との関連について調整済み効果推定値を報告したものとした。逆分散法によるランダム効果モデルでメタ解析を行い、エビデンスの確実性はGRADEアプローチで評価した。 主な結果は以下のとおり。・特定された3万5,808件の登録のうち、63研究(計215万518例、平均年齢:3.6~87.9歳)が適格基準を満たしていた。・非重症インフルエンザ患者における入院の主要なリスク因子として、GRADEで確実性が中または高のエビデンスにより、高齢(成人における10歳上昇当たりのオッズ比[OR]:1.72、95%信頼区間[CI]:1.02~2.89)、心血管疾患(OR:2.72、95%CI:1.24~5.94)、HIV感染/免疫不全/免疫抑制(OR:2.70、95%CI:1.55~4.70)、慢性呼吸器疾患(OR:2.24、95%CI:1.90~2.64)、神経疾患全般(OR:2.31、95%CI:1.65~3.24)が示された。・非重症例の入院に関する追加リスク因子としては、妊娠(OR:1.88、95%CI:1.73~2.05)、糖尿病(OR:1.84、95%CI:1.26~2.67)、悪性腫瘍(OR:1.75、95%CI:1.12~2.75)が認められた。・重症インフルエンザ患者における全死因死亡の主要なリスク因子として、2次細菌感染(OR:4.13、95%CI:1.53~11.14)、栄養不良(OR:3.29、95%CI:1.57~6.89)、敗血症(OR:3.19、95%CI:2.08~4.89)、急性腎障害(OR:2.92、95%CI:1.11~7.73)、65歳以上(OR:2.47、95%CI:2.21~2.75)、慢性心血管疾患(OR:2.43、95%CI:1.16~5.09)、悪性腫瘍(OR:2.21、95%CI:1.31~3.72)、慢性神経疾患(OR:2.08、95%CI:1.13~3.83)が示された。・重症例の全死因死亡に関する追加リスク因子としては、肝疾患全般(OR:1.86、95%CI:1.35~2.58)、HIV感染/免疫不全/免疫抑制(OR:1.79、95%CI:1.51~2.13)、慢性閉塞性肺疾患(OR:1.74、95%CI:1.37~2.20)が認められた。

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第77回 「もう打たなくていい」は本当か?最新155本の研究が示すコロナワクチンの効果と安全性

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンは、今も打つ意味があるのでしょうか。JAMA誌に発表された最新の系統的レビュー論文は、2025年8月以降に公表された155本の研究を総ざらいし、ワクチンが高齢者・妊婦・乳幼児・持病のある人で入院リスクをおおむね半分に減らし続けていること、そして新たな安全性の懸念は見つからなかったことを報告しました1)。いまも「風邪」で終わらない病気新型コロナは、すでに「ただの風邪」になったと感じている方も多いかもしれません。しかし、米国の2024~25年シーズンだけで、推定1,040万~1,670万例が感染し、29万~45万例が入院、3万4千~5万3千例が亡くなったと報告されています。入院率が最も高いのは75歳以上で、次いで生後6ヵ月未満の赤ちゃんです。そしてコロナ関連死の88.4%は65歳以上に集中しています。つまり「重症化しやすい人」がはっきりしている病気なのです。今回のレビューは、米国の研究チームが2025年8月~2026年6月末に発表された論文1万1,829本から、質の基準を満たした155本を選び、最新の流行に合わせて更新されたワクチンの効果と安全性をまとめたものです。入院リスクは「およそ半分」結果をそれぞれ数字で見てみましょう。ワクチンの有効率(VE)とは、「接種した人が、しなかった人と比べて発症などのリスクをどれだけ減らせたか」を示す割合です。65歳以上の高齢者:2025~26年シーズンのワクチンで、コロナ関連の入院リスクが53.0%低下。集中治療室(ICU)入室に対しては57.0%、人工呼吸や院内死亡に対しては73.0%の減少が報告されています。18〜64歳の成人:入院リスクが54.0%低下(2024~25年シーズン)。妊娠中の接種:妊婦本人の救急外来受診が58.0%減少。さらに生まれてきた赤ちゃんの生後2ヵ月間のコロナ関連の受診も50〜54%減りました。妊娠のどの時期に打っても効果がみられています。生後9ヵ月~4歳の乳幼児:救急外来受診が76.0%減少。免疫能が低下している人(透析患者など):ICU入室や死亡といった重篤な結果が32~53%減少。医療従事者:3~5回接種した人は2回だけの人に比べ、検査で確認された感染が41.0%、いわゆる「コロナ後遺症」も57.0%少なくなっていました。注意すべきは、これらは「感染そのものをゼロにする」数字ではないことです。ワクチンの主な役割は、たとえ感染しても入院や死亡といった深刻な事態を避けることにあり、その効果は「おおむね半分に減らす」と覚えておくとよいでしょう。安全性はどうだったかワクチンの話題になると必ず出てくるのが副反応の懸念です。今回のレビューでは、心筋炎・心膜炎、心筋梗塞、ギラン・バレー症候群、脳卒中、血栓症といった「特に注目すべき有害事象」について、150万例を超える米国退役軍人のデータを含む複数の大規模研究を検証しました。結論は「新たな安全性の懸念は見つからなかった」というものです。心筋炎については、若い男性で2回目接種後にリスクが上がるという報告が以前からあり、米国では2022年2月に接種間隔を延ばす指針の変更が行われています。今回のレビューで心筋炎リスクの上昇を報告した研究は、いずれもこの変更前に接種した人を対象としたもので、変更後に限って調べた研究では新たなリスク上昇は報告されていません。妊婦では、死産、早産、低出生体重児のいずれも増加はみられず、むしろ早産はわずかに少ないという結果でした。インフルエンザワクチンとの同時接種でもリスク上昇は確認されていません。もちろん限界もあります。多くが観察研究であり、接種する人としない人の背景の違いを完全には取り除けません。また、これは米国のデータであり、接種状況や流行が異なる日本にそのまま当てはまるとは限りません。それでも、私たちが知っておきたいのは以下の点です。コロナは今も高齢者や乳幼児にとって重い病気であり、更新されたワクチンは重症化リスクをおおむね半分に減らし、その安全性は膨大なデータで裏付けられ続けている、ということです。とくに65歳以上の方、妊娠中の方、持病で免疫が下がっている方は、秋の流行シーズン前にかかりつけ医と接種について相談する価値があるでしょう。1)Lipson RA, et al. COVID-19 vaccine effectiveness and safety for the 2026-2027 respiratory season. JAMA. 2026 Sep 2. [Epub ahead of print]2)Wiegand RE, et al. Interim estimated effectiveness of 2025-2026 COVID-19 vaccines in adults using a test-negative design. JAMA Netw Open. 2026;9:e2625152.3)Ma KC, et al. Estimated effectiveness of 2024-2025 COVID-19 vaccination against severe COVID-19. JAMA Netw Open. 2026;9:e2557415.4)Eide HN, et al. COVID-19 mRNA vaccination in pregnancy and risk of infection in early childhood. Pediatrics. 2026;157:e2025073661.5)Irving SA, et al. Effectiveness of 2024-2025 COVID-19 vaccines in children in the United States-VISION, August 29, 2024-September 2, 2025. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2025;74:607-614.

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11月まで要警戒!「蚊媒介感染症に関する特定感染症予防指針」改訂

 人類の多くが不快に感じる蚊。刺されれば、かゆみや腫れに悩まされる身近な存在である。一方で、蚊はデング熱やチクングニア熱などの感染症を媒介することがあり、ときに人の健康を脅かす「危険な存在」でもある。蚊は15~20℃で活動を始め、25~30℃で最も活発に行動するといわれている。近年は、気候変動などに伴う地球温暖化や残暑の長期化の影響を受け、国内におけるヒトスジシマカなどの生息域や活動期間も拡大しつつある。さらに、訪日外国人の増加などを背景に、海外から持ち込まれた蚊媒介感染症が国内で広がるリスクにも注意が必要である。 こうした状況を踏まえ、厚生労働省は2026年6月26日、『蚊媒介感染症に関する特定感染症予防指針』を改正した。今回の改正では、輸入症例を起点とする国内感染の拡大を想定し、自治体の平時からの備えや研究・監視体制などが強化された。輸入症例を起点とした国内感染に備える 日本では、海外で感染した「輸入症例」を起点に、国内の蚊がウイルスを媒介して感染が広がる可能性がある。そのため今回の改正では、国内に常在していない蚊媒介感染症の発生を想定した「平常時からの備え」の項が新設された。「平常時からの備え」ーーーーー 国は、空港及び海港周辺における海外からの媒介蚊の侵入状況等の調査において、国内に定着していない媒介蚊又は国内に常在しない蚊媒介感染症の病原体を保有する媒介蚊が見つかった場合に備え、平時から措置に必要な殺虫剤等の備蓄を行うものとする。 また、多くの都道府県等において輸入感染症例が発生していることを踏まえ、都道府県等及び市町村は、有効かつ適切な蚊の駆除を達成するため、国内感染症例の発生に着実に備えることが重要である。このため、都道府県等及び市町村においては、必要に応じて、平時からの殺虫剤の備蓄や散布機の整備についても検討するとともに、駆除に当たって事業者に委託する場合は、適切な知識及び技術を有すると判断される事業者を選定し、当該事業者との連携に努めることとする。 また、都道府県等及び市町村は、媒介蚊の密度調査等を実施する場合、当該調査等に従事する者が蚊媒介感染症にかかることを防止するための防蚊対策を徹底するものとする。ーーーーー 上記のとおり、国はこうした感染症を媒介する蚊が発見された場合などに備え、殺虫剤の備蓄をすることが求められ、都道府県や市町村に対しても殺虫剤や散布機の備蓄、駆除を担う事業者の確保などが求められる。また、国内で感染例が確認された場合には、自治体と国が迅速に情報を共有し、感染推定地域での蚊の密度調査や必要な対策を行い、複数の症例などから感染拡大の可能性が高いと判断される場合には、蚊の駆除や区域への立入制限などを行う。 「蚊を増やさない」ための研究、患者には献血制限も 改正では、研究開発に関する内容も拡充された。デング熱とチクングニア熱には現在、国内で承認されたワクチンがなく、ワクチン開発を含む研究の推進が求められている。さらに、媒介蚊の殺虫剤に対する抵抗性を調査した結果を踏まえて薬剤を選択する対策手法の開発、地理情報システム(GIS)や植生図を活用した媒介蚊の分布調査、外来性媒介蚊の早期検出を含めたモニタリングシステムの構築などを活用した発生リスクの把握、海外から侵入する媒介蚊の早期発見などについても、研究・監視体制の強化として盛り込まれた。また、蚊を介した二次感染の防止を図るため、蚊媒介感染症と診断された患者について、治癒後あるいは症状消失後も一定期間は献血を控えることが明記された。 かゆくて不快なだけと思われがちな蚊だが、感染症を媒介することで、個人の健康だけでなく地域への感染拡大にも関わる。「蚊に刺されるのは不快、そして危険」――身近な蚊を感染症対策の観点から捉え直すことも、蚊媒介感染症への備えにつながる。 今後は蚊の活動期間長期化やインバウンドの現状を踏まえ、発熱や皮疹を訴える患者の診察において、常に蚊媒介感染症を鑑別診断に挙げることが求められるようだ。

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クローン病〔CD : Crohn’s disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)は、クローン病(CD)と潰瘍性大腸炎の両疾患の総称である。CDは原因不明であるが、免疫異常などの関与が考えられる肉芽腫性炎症性疾患である。主として若年者に発症し、小腸・大腸を中心に浮腫や潰瘍を認め、 腸管狭窄や瘻孔など特徴的な病態が生じる。すでに18~19世紀に現在のCDに相当すると考えられる症例報告があり、その後1932年、米国・ニューヨークのMount Sinai HospitalのBurrill B. Crohn氏、Leon Ginzburg氏、Gordon D. Oppenheimer氏の3人が、終末回腸炎14例を“Regional Ileitis:A Pathologic and Clinical Entity”として発表した。現在では口腔から肛門までの消化管のあらゆる部位に起こりうることが判明している。消化管以外にも種々の合併症(腸管外合併症)を伴うため、全身性疾患としての対応が必要である。■ 疫学もともと白人やユダヤ人種に多いとされていたが、近年わが国をはじめとするアジア地域や南米などで患者が急増しグローバル化してきている。2023年に実施された全国疫学調査による推定患者数(軽症者を含む)はCD9万6,000人、令和5年度特定疾患医療受給者証所持者数は5万2,108人である。わが国および東アジアでは男性患者の割合が多く、欧米では男女差は認められない。発症年齢のピークは10代後半~20代とされている。日本人初発CD患者において小腸に病変を有するのは82.7%、狭窄や瘻孔を有しているのは36.5%、肛門病変を有しているのは48.9%と報告されている。■ 病因炎症性腸疾患の病態はまだ完全には解明されていないが、疾患関連遺伝子に代表される遺伝学的素因を背景に、食事や衛生環境などの環境因子の変化に伴う腸内微生物叢と宿主の免疫機構との間の恒常性維持の破綻により引き起こされる多因子疾患と考えられている。CDの腸管局所ではTNF-α、IL-23、IFN-γといった炎症性サイトカイン・ケモカインの過剰産生が起こっている。■ 症状臨床像は病変の部位や範囲により異なる。下痢や腹痛などの消化管症状と発熱や体重減少・栄養障害などの全身症状を認め、貧血、関節炎、虹彩炎、皮膚病変などの合併症に由来する症状も呈する。小児では成長障害で見つかることもある。病状が進行すれば腸管合併症(狭窄、瘻孔)を生じ、通過障害や皮膚瘻からの排膿などを来すことがある。また、肛門病変を合併すると排便時痛、排膿や圧痛を伴う肛門部の腫脹・発赤・結節を認める。■ 予後外科手術率でみると2000年以前は発症後10年間での手術率は46.5%であったのに対して2000年以後は26.2%と低下している。しかし、依然として手術率の高い疾患である。腸管切除の主たる理由は小腸狭窄である。また、CDによる大腸炎も潰瘍性大腸炎と同様に炎症性発がんのリスクとなる。その他、わが国では肛門管がん、痔瘻がん合併の報告が欧米と比較して多い。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)診断は難治性炎症性腸管障害に対する調査研究班の診断基準(表)に基づく。CDの診断では鑑別診断として潰瘍性大腸炎、腸管ベーチェット病、感染性腸炎などの疾患を否定する必要がある。縦走潰瘍、敷石像といった特徴的所見を内視鏡検査あるいはX線造影検査で検出する(図1)。生検病理での非乾酪性類上皮細胞肉芽腫の検出は特異的所見である。また、CT検査、MRI検査、腸管エコーは全層性炎症、瘻孔、腹腔内膿瘍、肛門病変の評価に有用である。表 クローン病診断基準診断の基準(1)主要所見A.縦走潰瘍B.敷石像C.非乾酪性類上皮細胞肉芽腫(2)副所見a.消化管の広範囲に認める不整形~類円形潰瘍またはアフタb.特徴的な肛門病変c.特徴的な胃・十二指腸病変確診例:[1]主要所見のAまたはBを有するもの。[2]主要所見のCと副所見のaまたはbを有するもの。[3]副所見のa、b、cすべてを有するもの。疑診例:[1]主要所見のCと副所見のcを有するもの。[2]主要所見のAまたはBを有するが潰瘍性大腸炎や腸管型ベーチェット病、単純性潰瘍、虚血性腸病変と鑑別ができないもの。[3]主要所見のCのみを有するもの。[4]副所見のいずれか2つまたは1つのみを有するもの。(厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班). 潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針 令和7年度 改訂版. 2026;38.を一部改変)図1 クローン病の内視鏡像画像を拡大する3 治療 (治験中のものも含む)CDの治療では腸の炎症を抑えて症状を改善し、再燃や腸の合併症を防ぐことを目指す。栄養療法、薬物療法、手術療法を、病状に応じて組み合わせることが基本となる(図2~4)。発症から1.5年以内の早期に適切な生物学的製剤による疾患コントロールが長期予後改善に重要とされている。図2 令和7年度クローン病治療指針(内科)(厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班). 潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針 令和7年度 改訂版. 2026;47.より出典)画像を拡大する図3 クローン病治療フローチャート(厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班). 潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針 令和7年度 改訂版. 2026;48.より出典)画像を拡大する図4 クローン病肛門病変診療フローチャート(厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班). 潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針 令和7年度 改訂版. 2026;49.より出典)画像を拡大する■栄養療法栄養状態を改善するとともに、腸への負担を軽くする治療。栄養剤を飲む「経腸栄養療法」が中心で、通常の食事と組み合わせる場合もある。病状が安定していれば、過度な食事制限は必要ない。炎症が強いときや腸が狭くなっているときは、脂肪や食物繊維を控えるなど、病状に合わせた調整が必要となる。■薬物療法腸の炎症を抑えるため、以下のような治療薬を使用する。5-ASA製剤副腎皮質ステロイド免疫調節薬生物学的製剤(抗TNF-α抗体、抗α4β7インテグリン抗体、抗IL-12/23p40抗体、抗IL-23p19抗体)JAK阻害薬ステロイドは炎症を速やかに抑えるが、長期使用には適さないため、症状が改善したら減量・中止する。中等症から重症では、生物学的製剤やJAK阻害薬の適応となる。症状の改善だけでなく、内視鏡検査などで腸の炎症を確認し、将来の狭窄や手術を防ぐことが重視されている。■血球成分除去療法(GMA)血液をいったん体外に取り出し、炎症に関係する白血球(顆粒球・単球)を吸着してから体内に戻す治療。他の治療と組み合わせる補助療法として行われることが多い。■手術療法消化管すべての部位が標的となり得るCDでは外科手術は根治治療とはならない。腸閉塞、狭窄、穿孔、膿瘍、瘻孔、大量出血などがある場合や、薬物療法で十分な効果が得られない場合には、手術が必要になることがある。手術は病変のある腸を切除する、狭くなった部分を広げるために行う。手術後も再発する可能性があるため、定期検査と薬物療法・栄養療法を続けることが大切である。■開発中の治療現在、炎症や腸の線維化に関係する「TL1A」を標的とした薬、免疫細胞が腸へ移動するのを抑える内服薬、腸内細菌を利用した治療などの研究が進められている。治験中に参加する場合は、担当医から詳しい説明を受ける必要がある。4 今後の展望近年、分子標的薬をはじめとする薬物療法の進歩により、CDの治療成績は大きく向上し、腸管切除を必要とする患者は減少している。その一方で、狭窄や瘻孔などの合併症がある場合には、適切な時期に手術を行うことが生活の質(QOL)の改善につながる。将来の腸管障害を防ぐためには、早期に正確な診断を行い、必要な治療を適切な時期に開始することが重要である。また、これまで治療が難しかった肛門病変や小腸病変に対しても、新しい治療薬の有効性が示されつつある。今後は、患者ごとに最適な薬を選ぶ「個別化医療」の発展が期待される。さらに、病気そのものの治療だけでなく、就学、就労、妊娠・出産などを支える社会的な支援体制の充実も重要である。5 主たる診療科消化器内科、消化器外科、肛門科(肛門病変)、小児科(小児発症の場合)※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター クローン病(指定難病96) (一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)一般社団法人 日本炎症性腸疾患学会(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報NPO法人 IBDネットワーク(患者とその家族および支援者の会) 1) 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班). 潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針令和7年度 改訂版. 2026. 2) Tsutsui A, et al. J Gastroenterol. 2025;60):1513-1522. 3) Matsuoka K, et al. J Gastroenterol. 2022;57:867-878. 4) Tsai L, et al. Clin Gastroenterol Hepatol. 2021;19:2031-2045. 公開履歴初回2026年9月10日

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手足口病の現状を解説/感染症クォータリーレポート

 ケアネットライブにて四半期に1回実施している感染症クォータリーレポート。9月9日に配信された2026年第3四半期の報告を期間限定で無料公開する。 感染症クォータリーレポートでは感染症専門医である国立国際医療センター・国際感染症センターの石金 正裕氏が、世界の病原微生物の流行状況を四半期ごとにレポートしている。 第3四半期では手足口病を取り上げる。 例年夏季にピークを迎える手足口病。2025年は低調だったが、今年は秋口にかけても発生が続く兆しがある。一部には髄膜炎や脳炎など重症化するケースもあり、注意を要する。番組では、手足口病の各種原因ウイルス、重症化のサイン、治療などについて解説いただいた。番組はこちらからCareNeTVアーカイブページ(9月15日 24時まで 前編無料公開)

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アスピリンとオメガ3脂肪酸の併用、歯周病治療で抗菌薬に匹敵する効果

 重度の歯周病がある人では、低用量アスピリンとオメガ3脂肪酸の投与が、抗菌薬に代わる治療選択肢となる可能性が、新たな研究で示された。この研究結果を報告したアルバート・アインシュタイン・イスラエル病院(ブラジル)のNidia Castro dos Santos氏らによると、アスピリンとオメガ3脂肪酸による治療でも、抗菌薬による治療に匹敵する効果が得られたという。詳細は、5月12日付で「Journal of Periodontology」に掲載された。 論文の筆頭著者であるCastro dos Santos氏は、「これら2つの治療法が極めてよく似た効果を示したことには驚かされた。この研究から、アスピリンとオメガ3脂肪酸による治療が歯周病患者にとって新たな治療選択肢となる道が開かれた」と述べている。 論文の背景情報によると、進行した歯周病である歯周炎は、歯肉の下に細菌が蓄積して歯を支える組織に影響を及ぼすことで生じる。Castro dos Santos氏は、「重症の患者では極めて深い歯周ポケットが形成され、この疾患に関連する細菌の温床になる」と説明している。過去の臨床試験では、複数の抗菌薬を組み合わせた治療は、特に入念な歯のクリーニングと併用した場合に、こうした細菌を除去する上で最も効果的であることが示唆されているという。 こうした中、Castro dos Santos氏らは、抗炎症治療も歯周病の治療に役立つのではないかと考えた。オメガ3脂肪酸は炎症を自然に収束させ、組織修復に関与する生理活性物質の産生を促進し、アスピリンはその作用をさらに高めるという。 今回の研究では、109人の患者に「歯肉縁下のインスツルメンテーション」と呼ばれる、歯肉の下の歯石やバイオフィルムなどを除去する処置を実施した上で、1)抗菌薬のメトロニダゾール(400mg)とアモキシシリン(500mg)を1日3回、14日間投与する群、2)低用量アスピリン(100mg/日)とオメガ3脂肪酸(3g/日)を6カ月間投与する群、3)上記の抗菌薬、アスピリン、オメガ3脂肪酸を全て併用する群(両治療の併用群)、4)プラセボを投与する群の4群のいずれかにランダムに割り付けた。 その結果、抗菌薬投与群、アスピリンとオメガ3脂肪酸の投与群、両治療の併用群の3群では、それぞれ58.6%、57.7%、57.1%の患者が「5mm以上のポケットを4カ所以下にする」という治療目標を達成した。これは、プラセボ群における割合(23.1%)の2倍を超えていた。 この結果は、研究グループの予想に反するものだった。Castro dos Santos氏は、「われわれは、患者の歯周炎のコントロールにおいて有効性が最も高いのは両治療の併用群であり、オメガ3脂肪酸とアスピリンの投与群の治療成績は、抗菌薬投与群と比べて少し劣るだろうと予想していた」と言う。なお、同氏らによると、低用量アスピリンとオメガ3脂肪酸の投与終了から6カ月が経過しても治療終了時と同程度の効果が維持されていた。 ただし研究グループは、今回の結果は抗菌薬からこの治療に直ちに切り替えるべきことを意味するものではなく、異なる患者集団でのさらなる検証が必要だとしている。 論文の上席著者で、米ハーバード大学歯学部口腔医学・感染・免疫部門のMagda Feres氏は、抗菌薬耐性の問題を考慮すると、抗菌薬の代替治療として抗炎症治療は有用な可能性があるとニュースリリースの中で述べている。同氏は、「オメガ3脂肪酸と低用量アスピリンの併用は、メトロニダゾールとアモキシシリンによる治療に匹敵する臨床的有用性を示した。このことから、抗菌薬を使用できない人、特にこれらの薬剤にアレルギーがある患者や不耐容の患者にとって、現実的な代替治療となる可能性が開かれた」と述べている。

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インフルエンザで入院の小児、オセルタミビルはICU入室減と関連

 インフルエンザで入院した小児では、オセルタミビル(商品名:タミフル)の投与が集中治療室(ICU)入室リスクの低下と関連することが、新たな研究で明らかになった。米コロラド大学医学部およびコロラド小児病院のSuchitra Rao氏らによるこの研究結果は、8月10日付で「JAMA Pediatrics」に掲載された。 Rao氏は、「過去20年間で最も厳しいインフルエンザシーズンの1つを経験した後だけに、今回の結果は、インフルエンザで入院した小児を治療することの重要性を改めて強調している。われわれの研究結果から、オセルタミビルによる治療は、発症から2日を過ぎて開始してもクリティカルケアが必要となるリスクを低下させる可能性があることが分かった」と述べている。 米国のガイドラインでは、インフルエンザで入院した小児に対して抗ウイルス薬による治療を行うことが推奨されている。しかし、こうした小児への抗ウイルス薬の投与率は近年低下している。米疾病対策センター(CDC)のInfluenza Hospitalization Surveillance Network(FluSurv-NET)によると、2024~2025年のインフルエンザシーズンにインフルエンザで入院した小児のうち、抗ウイルス薬の投与を受けたのは63%で、2017~2018年シーズンの86%から低下していた。 今回の後ろ向きコホート研究では、FluSurv-NETのデータを用いて、米国13州で、検査によりインフルエンザが確認され、入院した18歳未満の小児6,044人を対象に、オセルタミビル投与とICU入室との関連を解析した。対象期間は2014~2015年シーズンから2022~2023年シーズンまでの8シーズンで、2020~2021年シーズンは除外された。 対象患者のうち4,240人(70.2%)がオセルタミビルの投与を受けていた。解析の結果、オセルタミビル投与群では、非投与群に比べてICU入室リスクが31%低かった(調整ハザード比〔aHR〕0.69、95%信頼区間〔CI〕0.60~0.80)。発症から2日以内に治療を開始した場合と3日以降に開始した場合のいずれでも、治療を受けなかった場合に比べてICU入室リスクはそれぞれ26%(aHR 0.74、95%CI 0.63~0.86)と45%(aHR 0.55、95%CI 0.41~0.73)低かった。 副次評価項目である入院期間の解析には7,103人が含まれ、このうち5,746人(80.9%)がオセルタミビルの投与を受けていた。解析の結果、オセルタミビルの投与は入院期間の短縮と関連していた(aHR 1.13、95%CI 1.06~1.21)。推定入院期間は非投与群で3.72日、投与群で3.33日であり、9.4時間の短縮に相当した。 Rao氏は、「これまでの研究では、小児がいつ発症したのか、あるいは入院前に抗ウイルス薬による治療を開始していたのかといった重要な情報が欠けていることが多く、薬の有効性を評価することが難しかった」と指摘する。その上で、「今回の研究では、そうした詳細な情報を把握し、高度な統計手法を用いることで、インフルエンザで入院した小児の治療に役立つ、より強固なリアルワールドエビデンスを示すことができた」と述べている。 研究グループは、「今回の結果は、オセルタミビル投与の有益性を示すとともに、インフルエンザが疑われる、または検査で確定した小児の入院患者には、発症からの経過時間や重症化リスク因子の有無にかかわらず、できるだけ早くオセルタミビルによる治療を行うという現在の米国の推奨を支持するものである」と結論付けている。

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第311回 生活保護の頻回受診対策、指定の医療機関以外は原則紹介へ/厚労省

<先週の動き> 1.生活保護の頻回受診対策、指定の医療機関以外は原則紹介へ/厚労省 2.インフルエンザ全国で拡大、8月に流行入り ワクチン前倒しも可能に/厚労省 3.病床数適正化、1床当たり410万円補助 第2回申請は9月30日まで/厚労省 4.精神医療も地域医療構想へ、2028年度末までに策定/厚労省 5.病院建て替え・高額設備投資に支援要望 2027年度税制改正へ提言/日医 6.大学病院による地域病院承継へ 藤田学園と聖霊会が基本合意/愛知県 1.生活保護の頻回受診対策、指定の医療機関以外は原則紹介へ/厚労省厚生労働省は、生活保護受給者が指定された医療機関以外を受診する際、原則として紹介状を必要とする仕組みを検討することが明らかになった。生活保護受給者の過剰な受診を抑え、適正受診につなげる狙いで、2026年内に議論を取りまとめる方針。日本経済新聞の報道によると、現在も生活保護受給者の受診先は福祉事務所が指定しているが、受給者が別の医療機関を希望した場合、その受診が医学的に妥当かどうかを行政が判断することは難しかった。検討案では、日常的に受診する医療機関をあらかじめ定め、別の医療機関を受診する場合には、原則として日常的に受診する医療機関からの紹介を求める。受診先の選択に医師の判断を取り入れることで、頻回受診や重複受診の抑制と、継続的な健康管理の両立を図る。生活保護の医療扶助を巡っては、国会でも適正化を求める議論が続いている。6月の参院厚生労働委員会では、日本維新の会の猪瀬 直樹氏が、自己負担がないことが頻回受診や多剤・重複投薬につながっていると指摘し、制度の見直しを要求。生活保護受給者にも定額または定率の自己負担を求める案を示した。厚労省は自己負担導入には慎重な一方で、受診ルールや医療機関との連携を通じた適正化を進める方向だ。生活保護受給者は約200万人で、その半数以上が65歳以上。2024年度の医療扶助費は1兆8,600億円に上り、生活保護費全体の約半分を占めている。また、同じ病気で同一月に同一診療科を15日以上受診し、医師らが必要以上と判断した頻回受診者は9,371人だった。今後は、必要な医療へのアクセスを確保しつつ、紹介機能やかかりつけ医機能を活用して受診行動をどこまで適正化できるかが焦点となる。 参考 1) 生活保護の受給者、指定の受診先以外なら原則紹介必須に厚労省検討(日経新聞) 2) 医療費「生活保護受給者に自己負担を」維新・猪瀬氏上野厚労相「必要な受診抑制」と慎重(産経新聞) 3) 厚生労働省が「生活保護」最新調査結果を発表、2世帯に1世帯が高齢者世帯に。生活保護の「受給条件・保護費の決まり方・医療費の仕組み」を解説(LIMO) 2.インフルエンザ全国で拡大、8月に流行入り ワクチン前倒しも可能に/厚労省厚生労働省は、インフルエンザが例年より大幅に早く全国的な流行期に入ったとして警戒を呼びかけている。8月17~23日の定点医療機関当たり報告数は1.11人となり、流行開始の目安である1.00人を超えた。全国約3,000の定点医療機関からの報告患者数は4,094人で、前年同期の1,183人を大きく上回った。前シーズンからの流行が継続していた2023年を除外すると、1999年の現行統計開始以降で2009年に次ぐ2番目の早さとなっている。さらに8月24~30日は1.76人、患者数6,543人と前週の約1.6倍に増え、39都道府県で前週を上回った。地域別では沖縄県8.50人、岩手県4.33人、新潟県3.58人、神奈川県2.99人、青森県2.88人などで高く、局地的な夏季流行ではなく全国的な広がりがみられる。愛知県も1.10人で流行入りを発表し、前年より約1ヵ月半早い。京都府は2.26人、宮城県は2.44人で、学校では学級・学年閉鎖も相次いでいる。宮城県では0~14歳が患者の半数超を占め、夏休み明けの学校再開後の感染拡大が懸念されている。早期流行の原因は現時点で明らかではない。南半球など海外からのウイルス流入、冷房下の密閉空間、夏季にはインフルエンザを疑いにくく感染が見逃されやすいことなどが可能性として指摘されている。流行株についても現時点では確定しておらず、今後の全国的な病原体解析が必要となる。厚労省は、一時的に定点当たり1.00人を下回る可能性はあるものの、過去には一度流行入りすると冬のピークへ向かう例が多いとして推移を注視している。異例の流行を受け、厚労省は65歳以上と一定の基礎疾患がある60~64歳を対象とする定期接種について、自治体の判断で例年より繰り上げて実施するのは法令上可能である旨を周知した。9月中には今季供給見込みの6割超にあたる約3,147万回分が出荷される見通し。今季ワクチンはA型2種類、B型1種類の3価で、ワクチンの主目的は重症化予防。高齢者や基礎疾患患者などハイリスク層への接種が重要となる。医療機関では、発熱患者の増加を前提とした診療体制の確認に加え、手洗い、マスク、換気など基本的な感染対策の徹底が求められる。今季は冬の本格流行前から患者増加が始まっており、ワクチン接種時期や院内感染対策を例年の感覚で判断せず、早めに備える必要がある。 参考 1) インフルエンザ患者数 前週比1.6倍に増加“基本的な対策を”(NHK) 2) インフル、夏に異例の早さで全国流行入り 厚労省が警戒呼びかけ(Science Portal) 3) インフルエンザ予防接種「前倒し可能」 厚労省が自治体に周知(日経新聞) 3.病床数適正化、1床当たり410万円補助 第2回申請は9月30日まで/厚労省厚生労働省は9月1日、「病床数適正化緊急支援事業」の今後のスケジュールを示し、第2回の医療機関から都道府県への申請期限を9月30日とした。第3回は11月30日を予定しているが、申請状況や予算の状況によっては実施しない可能性があるとしており、活用を検討している医療機関は早めの対応が求められる。都道府県から厚労省への提出期限は、第2回が10月30日、第3回が12月28日。同事業は、2025年度補正予算で3,490億円を確保し、人口減少や医療需要の変化を踏まえて病床数の適正化を進める医療機関を支援するもの。病院の一般病床、療養病床、精神病床や有床診療所を対象に、削減する病床1床当たり410万4,000円を補助し、休床病床を削減する場合は半額の205万2,000円とする。第2回までの申請が多く、予算が枯渇すれば第3回目は行われない可能性もある。その一方で、厚労省は病床削減については参院の附帯決議などを踏まえ、「医療費削減ありき、数字ありき」で進めるものではないことを改めて強調している。各地域の医療の質の確保を前提に、人口減少に応じた合理的な病床数削減という考え方の下、地域の実情や医療提供体制への影響を十分に精査するよう求めている。さらに、医療機関の連携・再編・集約化を進める際にも、地域の医療ニーズを踏まえた対応が必要としている。また、制度に基づいて病床を削減した場合、厚生労働省令で定める場合を除き、都道府県は医療計画上の基準病床数を削減することになる。病床削減は個々の医療機関の経営改善だけでなく、地域全体の病床機能や将来の医療提供体制にも影響するため、地域医療構想との整合性を含めた慎重な判断が必要だ。病床再編を予定する医療機関は、第3回を待たず、第2回期限の9月30日を念頭に都道府県との調整を進める必要がある。 参考 1) 病床数適正化緊急支援事業の今後のスケジュールについて(厚労省) 2) 「削減病床1床あたり410万4000円」補助する病床適正化支援、2回目受付は「2026年9月30日まで」、3回目は実施しない可能性も(Gem Med) 4.精神医療も地域医療構想へ、2028年度末までに策定/厚労省厚生労働省は9月2日、2040年ごろを見据えた新たな地域医療構想に精神医療を位置付けるため、「精神医療に関する地域医療構想検討ワーキンググループ」の初会合を開いた。精神医療を含む地域医療構想の策定ガイドラインは2026年度末をめどに作成し、都道府県はこれを踏まえて2028年度末までに新たな構想を策定する。なお、一般医科の医療機関機能報告は2026年10月であるが、精神科医療機関を対象とした医療機関機能・病床機能の報告は2027年10月に始まる予定となっている。新たな地域医療構想に精神医療が位置付けられたのは、2025年12月の改正医療法成立を受けたもの。同ワーキンググループでは、精神医療の構想区域の設定、精神科病院の医療機関機能報告、必要病床数の推計方法などを議論し、2026年度内に結論を得る方針。背景には、高齢化に伴う身体合併症を持つ精神疾患患者の増加や、入院患者の年齢構成・疾病構造の変化がある。厚労省は精神科医療機関の対応力向上に加え、一般医療との連携強化を進め、精神症状を早期に安定させる体制や身体疾患を含めた診療体制の構築を目指す。また、病床や医療機関の役割を明確にし、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築も加速させる。初会合では「精神・身体合併症診療機能」の設定を求める意見が出たほか、一般医療の構想区域との整合性を重視すべきとの指摘もあった。その一方で、精神科病院や精神病床のない二次医療圏もあるため、複数の医療圏を一体として扱うなど柔軟な区域設定を求める声も出た。精神医療でも今後、単なる病床数の調整にとどまらず、急性期対応、身体合併症診療、外来・在宅支援、一般医療との連携を含めた地域での役割分担がより明確に求められることになる。人口減少に伴う患者数や病床利用率の変化も見据え、各精神科医療機関には、自院が地域で担う機能を早い段階から整理しておくことが重要となる 参考 1) 第1回精神医療に関する地域医療構想検討ワーキンググループ(厚労省) 2) 精神医療含む地域医療構想、28年度末までに策定へ ガイドラインは26年度末 厚労省(CB news) 3) 精神医療を含めた地域医療構想策定ガイドラインは今年度末に。精神医療を含めた医療機関機能報告は令和9年10月から(route “hckn”) 5.病院建て替え・高額設備投資に支援要望 2027年度税制改正へ提言/日医日本医師会は9月3日、2027年度の「医療に関する税制要望」を公表した。今回の要望では、病院の建て替えや高額設備投資に伴う消費税負担への「特段の対応」を新たに盛り込み、税制措置だけでなく補助金や融資など予算措置と一体で支援するよう求めている。要望は8月24日に厚生労働省へ提出された。現在、社会保険診療は消費税非課税のため、病院が建物や医療機器を購入した際の消費税は仕入税額控除の対象とならず、医療機関が負担する仕組みとなっている。日医は、とくに大規模な建て替えや設備投資では一時的な消費税負担がキャッシュフローを悪化させ、病院経営を圧迫すると指摘。診療所においては非課税のまま診療報酬上の補てんを継続しつつ、病院においては軽減税率による課税取引に改めることを求め、それまでの間、高額投資に別途支援措置を講じるよう要望している。設備投資関連では、地域医療構想に適合する病院建物の特別償却制度について、税額控除の導入や特別償却率の引き上げに加え、新たに病院・診療所用建物(鉄骨鉄筋コンクリート造など)の法定耐用年数について、現行の39年から31年へ短縮するよう求めた。高額医療機器についても、対象となる取得価額を160万円まで引き下げ、即時償却または10%の税額控除を選択できる制度への拡充を要望している。さらに、医療DXに伴う電子カルテや医療情報システムなどへの投資について、即時償却または10%の税額控除、固定資産税の軽減措置の創設を要求。働き方改革では勤務時間短縮用設備の税制優遇拡充、医師不足地域では医療従事者の所得税軽減なども盛り込んだ。日医は、物価や人件費、建築費が上昇する中、税制だけでは医療機関の投資余力を確保できないとしており、年末の与党税制改正大綱に向け政府・与党への働きかけを強める方針。 参考 1) 令和9年度医療に関する税制要望(日本医師会) 2) 令和9年度医療に関する税制要望について-今村英仁常任理事(同公式チャンネル)【動画】 3) 病院の高額投資に伴う消費税対応を要望 税制と予算セットで日医(CB news) 6.大学病院による地域病院承継へ 藤田学園と聖霊会が基本合意/愛知県愛知県の学校法人藤田学園と社会福祉法人聖霊会は、名古屋市昭和区の聖霊病院(194床、22診療科)の事業を藤田学園が承継することで8月31日に基本合意した。名古屋市の許認可など必要な手続きを経て、2027年4月1日の運営移行を目指す。病床数や診療科は原則維持し、訪問看護ステーションも引き継ぐ。残留を希望する職員は継続雇用する方針で、患者への診療提供を途切れさせずに経営基盤を強化する狙い。聖霊病院は1945年開院。内科、整形外科、精神科、緩和ケア科などを備え、初期医療から終末期医療まで担ってきた。約20年前の建て替えなどに伴う負債が2026年8月時点で約16億円残り、物価高や医療機器などへの投資負担、人材確保の難しさも重なって、自力での経営改善が困難となっていた。数年前から承継先を探し、緩和ケアやリハビリなど両法人の重点分野が重なることから協議が進んだ。藤田学園は藤田医科大学病院など複数の病院を運営し、グループ全体で計2,364床を有する。今回の承継は、地域医療再編の波が都市部にも及んでいることを示しており、厚生労働省の調査では、2024年度の一般病院の損益率はマイナス7.3%で、赤字施設は約7割。帝国データバンクによると、2026年上半期の医療機関倒産は39件と前年同期を上回った。物価・人件費の上昇、設備投資負担、医師・看護師不足が重なる中、中小病院単独での経営維持は難しさを増している。国も地域医療連携推進法人や病床削減支援などを通じ、病院間の連携・再編や経営効率化を後押ししている。藤田学園は愛知県内で地域医療連携推進法人の運営にも関わっており、今回の承継では大学病院グループの経営基盤と人材供給力を生かし、地域の診療機能を維持する考えだ。今後、都市部でも地域病院が大学病院や大規模医療法人の傘下・連携下に入る事例が増える可能性がある。 参考 1) 社会福祉法人聖霊会聖霊病院並びに聖霊病院訪問看護ステーションの事業承継について(聖霊病院) 2) 藤田学園 名古屋の聖霊病院を承継へ…基本合意 来年4月の移行目指す(読売新聞) 3) 名古屋 聖霊病院 藤田学園が運営引き継ぐ 経営基盤の改善へ(NHK) 4) 名古屋市昭和区の聖霊病院の事業、藤田学園が承継へ診療体制は維持(中日新聞)

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第329回 医師にバトンは渡された、OTC類似薬の保険給付の見直し

INDEX負担の対象となる医療用医薬品「別途の負担を求めない者」と「求めない療養」の範囲医師にも判断が委ねられる負担の対象となる医療用医薬品6月5日に公布された改正健康保険法などにより、これまで懸案だった一部の医療用OTC類似薬の処方に関し、2027年3月より一部保険外療養として別途の負担が求められることが決まっている。新たな制度で対象となるのはOTC医薬品と成分・投与経路が同一で、1日最大用量が同じ医療用医薬品77成分。主な対応症状は、「鼻炎、胃痛・胸やけ、便秘、解熱・痛み止め、風邪症状全般、腰痛・肩こり、みずむし、口内炎、皮膚のかゆみ・乾燥肌」などとされる。これらを使用する患者は、薬剤費の4分の1を保険外の別途負担として追加で支払うことになる1)。もっともこれを機械的に適用すると、一部の患者に不利益が生じる可能性がある。具体的には、がん患者や難病患者など配慮が必要な慢性疾患を抱えているような医学的観点からOTC類似薬の長期使用が必要となる患者である。このため厚生労働省は「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会」を設置し、6月から4回にわたって会合を開き、別途の負担を求めない患者や求めない療養の範囲について検討を行い、中間とりまとめを8月に公表した2)。まず前述のOTC類似薬77成分は、多くの場合、各成分とも医療用医薬品としての適応は複数ある。これと1日最大用量が同じ同一成分のOTC医薬品の適応を比較し、原則双方で適応が共通する場合は別途の負担の対象、医療用医薬品のみにある適応を別途の負担の対象外としている。この結果、77成分267適応のうち、184適応が対象、83適応が対象外となった。比較的わかりやすい事例を挙げると、抗アレルギー薬はOTC医薬品では花粉症に伴うアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎の適応で販売されているものが多く、この適応でのOTC類似薬側の処方は別途の負担の対象になるが、OTC医薬品が適応としていない気管支喘息、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎などは対象外となっている。また、酸化マグネシウムではOTCの適応である便秘症は支払い対象、胃炎、胃・十二指腸潰瘍、尿路シュウ酸カルシウム結石の発生予防では対象外である。「別途の負担を求めない者」と「求めない療養」の範囲一方、別途の負担を求めない患者やその療養範囲に関しては、患者分類などに応じて分かれている。まず、がん患者では「がんの治療中に、がんやその治療に関連して生じた状態」に対するOTC類似薬の使用は対象外。がん治療中の定義については「がんおよびその治療に関連して生じた状態に対し、現に治療行為を伴う診療を継続的に受けている場合または治療開始に向けて具体的な治療計画の下で継続的な診療管理を受けている場合」としている。これらの表現はややわかりにくいため、理解を深めるために『がん治療中(別途の負担の対象外)』には該当しない(=別途の負担が課される)事例を列挙する。がんの診断歴はあるものの、現在は再発なく、定期受診のみ継続しているがん術後で定期的な画像検査などによる経過観察を受けているものの、がんに対する薬物療法などの治療行為は終了がんの疑い・再発疑いで精査中前がん病変の状態がんやその治療に関連して生じた症状以外また、指定難病やそれに付随して発生する症状、国の公費負担医療の対象者が対象症状に対して用いる場合、医師の管理下で集中的かつ継続的な治療を受けている入院患者、検査・処置・手術の管理目的での14日以内の処方も、別途の負担の対象外となる。医師にも判断が委ねられる以上は比較的わかりやすいが、かなり判断がグレーになるのが「医師が対象医薬品の長期使用などが医療上必要と考える患者」である。ここでは、症状が季節や環境要因によらず持続し、医師の管理下で継続的な治療が行われている状態を指し、必ずしもその時点までのOTC類似薬の処方期間の長短を問わない。ただし、内服薬に関しては比較的使用期間が把握しやすいことから、年間処方日数がおおむね50週を目安としている。ただし、負担対象を判断する時点で50週の継続処方に該当しなくとも、初診から6ヵ月間にわたり、症状の持続・反復と対象OTC類似薬の継続的・反復的な使用が確認され、通年使用することが医療上必要であると医師が認めている場合は対象外である。さらに長期使用で問題になるのが、内服薬と異なり、使用量や使用頻度に個人差が大きく、処方量のみで長期使用が判断しにくい外用薬である。これについては、以下を踏まえて総合的に判断するとした。明確なようでかなり曖昧である。(1)慢性または反復性の疾患として明確に診断されている(2)該当成分の継続的または反復的な使用が症状緩和にとどまらない有用性・必要性があることが診療ガイドラインなどで示されている(3)継続の必要性が患者の自覚症状や使用感に過度に依存せず客観的に判断できる(4)同一または類似薬効群との均衡やOTC医薬品で対応している患者との公平性を確保できるちなみにこれ以外でも薬の類型による目安も設けられ、抗真菌外用薬、消毒薬、ステロイド外用薬、消炎鎮痛外用薬は、一時的な治療や急性増悪時に用いられることが多いとして、別途の負担の対象とし、皮膚保湿剤・保護剤はアトピー性皮膚炎に対するヘパリン類似物質と尿素、通年性アレルギーに対する点眼薬は対象外となった。この内容は8月26日に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)総会でも事務方から報告され、この日の総会の議論の中心となった1)。とくに診療側委員から出た意見の中心は医療機関側の業務負担の増大である。以下は各診療側委員からの主な意見だ。<日本医師会常任理事 江澤 和彦氏>「これらの複雑な仕組みについて医師が患者さんの診察の都度判断し、医療機関として対応しなければならないこととなり、日常診療へ支障をおよぼすことにもなる。一般診療所の45%、一般病院の35%は紙カルテを用いて診療を行っており、この場合はこれらの管理は極めて困難をきたし、日々の診療に多大なる支障をきたすことが想定される」「今後の導入に向け、医師や医療機関の事務負担が最小限となる簡略なチェックリストの活用、あるいは電子カルテ・レセコンのベンダーに対する必要な情報の迅速な提供をお願いしたい」「制度が実施されると、医療機関の窓口で患者さんへの説明業務など混乱が生じることは明白。会計計算の複雑化など事務負担も非常に大きくなる。国が国民に対してこの制度についてわかりやすく説明いただくことが必須」<日本医療法人協会副会長 太田 圭洋氏>「対象薬を処方する際に、効能・効果、がんや難病との関連、長期使用の医学的必要性などを確認して、対象外の場合にはその理由をレセプトに記載するとともに、処方箋にも必要な情報を記載する形。これらを個々の医師が処方の度に確認して判断・入力することになれば、外来診療で相当な負担が生じることは明らか。年齢、公費、対象薬剤、過去の処方歴など機械的に判定できる項目は、可能な限りシステムで自動判定して、医師による入力は医学的判断が必要な最小限の項目に限定することが必要」「今後も当然、スイッチOTC化が進めば新たな成分が対象に加わることが想定される。その都度、医療機関や薬局にシステム改修やマスター更新を求めることになれば、恒常的な負担となる。対象薬の見直しを年1回など一定の時期に集約するとともに、対象薬の決定から実施まで十分な準備期間を設ける必要がある」<日本歯科医師会常務理事 大杉 和司氏>「歯科の特徴は院内処方で対応する小規模な歯科診療所が多いこと。窓口での患者説明や会計事務が新たに発生することが確実」<日本薬剤師会副会長 渡邊 大記氏>「長期収載品の選定療養と違い、対象患者(自身)が選択できない状況で負担が発生する。薬局は説明するというより、納得してもらう必要が生じてくる。その分、大変な業務負担がかかると思っている」<全国自治体病院協議会副会長 小阪 真二氏>「対象外の理由をレセプトに記載し査定があった場合は、最終的に患者自己負担として払うことになる。2~3ヵ月後に査定があったら、患者にもう一回請求するのか? 請求するならば当然事前に伝えねばならない。処方箋を渡す時に査定があったら2~3ヵ月後に再徴収がありますと説明しなければならないのか」中医協の診療側委員の意見は、一般論として「医療機関側の都合ばかり」と厳しい指摘もあるが、今回は「医療機関の混乱」≒「患者の混乱」の部分が多い。正直、私個人もこの制度には個別細部ではかなりモノ申したいことはそれなりにある。そもそもOTC類似薬の保険給付のあり方については、過去から同様の議論が行われながら、医学的・制度的な困難さと当事者からの反発で具体的な進展はなかったものだ。それが今回は政治主導、より踏み込んで言うならば自民党が連立を組む日本維新の会の主張に寄り添う形で性急に決められたものである。いわば結論ありきで帳尻合わせが行われている。少なくとも制度スタートまで半年を切った今、順調にスタートできそうだとはとても思えないのだが…。参考1)厚生労働省:OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について(令和8年8月26日)2)OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会:OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた中間とりまとめ

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ブンディブギョ型エボラ出血熱に承認済みワクチンは有効か?/Lancet

 米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のMegan Halbrook氏らは、ブンディブギョ型エボラウイルス(BDBV)によるエボラウイルス病の過去最大の流行(2026 outbreak)が続いているコンゴ(旧ザイール)における縦断的コホート研究の結果、エボラウイルス(EBOV)によるエボラウイルス病に対して承認されている組み換え水疱性口内炎ウイルス-ザイールエボラウイルス糖タンパク質(rVSVΔG-ZEBOV-GP)ワクチンは、BDBVに対して交差反応性抗体反応を示したことを報告した。ただし、地域によってその反応性は異なっていた。BDBVによるエボラウイルス病に対して承認されたワクチンは存在しない。これまでに、rVSVΔG-ZEBOV-GPワクチン接種後にBDBVに対する交差反応性抗体反応が生じることはヒトにおいて示されているが、BDBV流行中に同ワクチン接種を受けた集団における反応の持続性や経時的な動態は不明であった。著者らは、「血清反応性に地域による違いがみられたことから、関連する疫学的および免疫学的要因についてさらなる研究が必要である。今回の知見は、現在のBDBV流行地の居住集団における、承認済みエボラウイルス病ワクチン接種後のBDBV血清反応性を明らかにした初めてのデータであり、本流行中にrVSVΔG-ZEBOV-GPワクチンの厳密な臨床評価を行うことを支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2026年8月25日号掲載の報告。接種後5年間のBDBV糖タンパク質に対する血清反応性を調査 研究グループは、赤道州のムバンダカおよび北キブ州のベニにおいて、エボラウイルス病流行により導入されたWHOのリングワクチン接種プロトコールに基づきrVSVΔG-ZEBOV-GPワクチン接種を受けた1歳以上で、エボラウイルス病の確定診断を受けた者、エボラウイルス病患者の接触者またはその2次接触者、およびエボラウイルス病の流行地域における医療従事者または最前線で働く人々を登録した。血清検体を採取して汎フィロウイルス・マルチプレックス免疫測定法を用いて抗体反応性を評価した。 登録は、ムバンダカでは2018年6月2日~7月3日、ベニでは2018年8月15~29日のワクチン接種当日に行われた。 両コホートとも5年間追跡調査し、この間に参加者は、あらかじめ設けられた7回のデータ収集期間に研究者による診察と簡単な身体検査および採血を受けた。 全検体の血清学的検査には汎フィロウイルス・マルチプレックス免疫測定法を用い、EBOVおよびBDBV糖タンパク質に対する血清反応性(蛍光強度中央値から算出した相対平均抗体価[MFI])の経時的推移を評価した。BDBV糖タンパク質に対する交差反応性抗体反応あり 2018年6月2日~2023年12月14日の5年間の追跡調査において、計1,081例から得られた血清検体5,849件を分析した(ムバンダカ:482例2,552件、ベニ:599例3,297件)。参加者は男性715例(66%)、女性366例(34%)、大半は19~55歳で、6歳未満は登録されておらず、各コホートの3分の1は医療従事者であった。 BDBV糖タンパク質に対する血清反応性は、コホート間で著しい差が認められた。 ムバンダカコホート(482例)では、ベースラインで16例(3%)がBDBV糖タンパク質に、139例(29%)がEBOV糖タンパク質に対して血清反応性を示した。 rVSVΔG-ZEBOV-GPワクチン接種後、BDBV糖タンパク質に対するMFIは、ワクチン接種後2.5年時まで変化はなかったが、2.5年時の1,238(SD 1,599)から3.5年時には4,845(SD 5,881)に有意に増加し(p<0.0001)、329例中116例(35%)がカットオフ基準に基づき血清反応性が認められた。その後は、4.2年時および5年時と有意に低下した(それぞれ、3.5年時および4.2年時との比較)。 一方、ベニコホート(599例)では、ベースラインで62例(10%)がBDBV糖タンパク質に、23例(4%)がEBOV糖タンパク質に対して血清反応性を示した。 BDBV糖タンパク質に対するMFIは、ベースラインの1,653(SD 111)から、同ワクチン接種後21日時には6,678(SD 300)に急激に増加し(p<0.0001)、52%(283/541例)が血清反応性を示した。6ヵ月時も同様に抗体価は高く(MFI:6,852[SD 6,560])、54%(270/501例)が血清反応性を示した。その後は抗体価の低下がみられたものの、BDBV糖タンパク質ならびにEBOV糖タンパク質に対する抗体価は、ワクチン接種後5年間にわたりベースライン値を上回る水準を維持していた。

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免疫性血小板減少症における初のBTK阻害薬「ウェイリズ錠」【最新!DI情報】第70回

免疫性血小板減少症における初のBTK阻害薬「ウェイリズ錠」今回は、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬「リルザブルチニブ(商品名:ウェイリズ錠400mg、製造販売元:サノフィ)」を紹介します。本剤は免疫性血小板減少症を適応症として世界で初めて承認されたBTK阻害薬です。免疫異常に対して多面的に作用し、病態そのものにアプローチすることが期待されています。<効能・効果>持続性および慢性免疫性血小板減少症の適応で、2026年6月19日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、成人にはリルザブルチニブとして1回400mgを1日2回、経口投与します。<安全性>重大な副作用として、感染症(COVID-19[17.2%]、上咽頭炎[咽頭炎を含む、13.6%]、肺炎[1.5%]、尿路感染[7.6%]、腎膿瘍[0.5%]、創傷感染[1.0%]、サイトメガロウイルス血症[0.5%])、肝機能障害(5.1%)、間質性肺疾患(0.5%)があります。その他の副作用として、頭痛、下痢、悪心、腹痛、上腹部痛、腹部不快感、消化器痛、関節痛(いずれも10%以上)、浮動性めまい、咳嗽、湿性咳嗽、嘔吐、消化不良(いずれも10%未満)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、持続性および慢性免疫性血小板減少症に用いられます。2.ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)という酵素に可逆的に結合してその働きを抑えることにより、B細胞の自己抗体産生やFcγ受容体を介した貪食を阻害することで、多面的な免疫調節作用を示し、血小板の減少を抑制すると考えられています。3.体調が良くなったと自己判断して使用を中止したり、量を加減したりすると病気が悪化することがあります。指示どおりに飲み続けることが重要です。4.この薬の使用中は、血小板数が安定するまでは週1回を目安に、その後は定期的に血小板数の検査を受けてください。5.重篤な感染症やB型肝炎ウイルスの再活性化が現れることがあるので、発熱などの感染の症状が現れた場合は、ただちに医師に連絡してください。6.息切れ、呼吸困難、咳、発熱などの症状が現れた場合には、間質性肺疾患の可能性がありますので、ただちに医師に連絡してください。【ここがポイント!】免疫性血小板減少症(Immune thrombocytopenia:ITP)は、後天性の自己免疫疾患であり、血小板の破壊亢進および産生障害によって血小板数が減少し、出血傾向を呈する疾患です。国内の患者数は約2万5,000例と推定されており、指定難病63に指定されている希少疾病です。以前は特発性血小板減少性紫斑病と呼ばれていましたが、現在の病名に変更されています。主な症状として、皮膚の点状出血や斑状出血、歯肉出血、口腔粘膜出血、鼻出血、下血などがみられ、重症例では脳出血を引き起こすことがあります。また、倦怠感に加え、出血に対する恐怖や不安、認知機能への影響などを伴うことがあり、患者のQOLは著しく低下します。本剤の有効成分であるリルザブルチニブは、ITPを適応症として世界で初めて承認されたブルトン型チロシンキナーゼ(Bruton's Tyrosine Kinase:BTK)阻害薬です。BTKはB細胞、マクロファージ、マスト細胞などの免疫細胞に発現し、B細胞の分化や活性化を制御し、自己抗体や炎症性サイトカインなどの産生に関与しています。本剤はBTKを阻害することで、B細胞活性化の抑制、自己抗体産生の減少、Fcγ受容体を介した貪食作用の抑制など、多面的な免疫調節作用を発揮し、血小板減少の改善に寄与します。持続性または慢性のITP患者を対象としたLUNA 3試験(国際共同第III相検証試験:PRN1008-018/EFC17093試験)において、主要評価項目の二重盲検期間における持続的な血小板反応を達成した患者の割合は、本剤群は23.3%(95%信頼区間:16.12~30.49)、プラセボ群は0%で、両群間の差は統計学的に有意でした(p<0.0001)。

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同種iPS細胞由来の心筋細胞と間質細胞から成るパッチ型心筋移植片BioVATは心不全治療に有望かも(解説:原田和昌氏)

 BioVATは同種iPS細胞由来の心筋細胞と間質細胞から成るパッチ型心筋移植片で、LVEFが低下した心不全患者における心筋再筋肉化を目的とする。ドイツ・ゲッチンゲン大学のZimmermann氏らはBioVAT-HF研究において、ドイツの2施設で非盲検第I/II相研究を実施し、外科的なBioVAT移植が3ヵ月の時点で有意な標的壁厚の増加とLVEFの上昇、健康状態の改善をもたらしたと報告した。 対象はLVEF 35%以下の症候性の重症心不全で、少なくとも1つの左室セグメントに壁運動の低下または異常を認め、ガイドラインに基づく薬物療法に抵抗性である年齢18~80歳の患者であった。被験者は、5、10、20単位の人工心筋から成るBioVAT移植片による治療を受け、全例に免疫抑制療法を行った。26例(平均年齢59歳、男性23例、平均罹患期間4.6年)を登録し、20例がBioVAT移植による治療を受けた。 全患者で有害事象が発現し、196件の有害事象のうち57件が重篤な有害事象であった。3例(5件)で心室性頻拍を認めたが、BioVAT移植と関連がない可能性が高かった。また、心室細動が発生した患者はいなかった。研究期間中に3例が死亡し(血管麻痺を伴うSIRS、新型コロナウイルス感染症、大動脈解離)、BioVAT移植と関連がないと判定された。また、1例が心臓移植を受けた。4例で免疫抑制療法が中止された。中止理由は、植込み型左室補助人工心臓(LVAD)の装着が2例、腎不全が1例、尿路上皮がんが1例であった。BioVATの安全な最大用量による治療を受けた16例のうち、12例が事前に規定された中間解析のための3ヵ月間の追跡調査を完了した。3つの有効性の主要エンドポイントは3ヵ月の時点でいずれも有意に改善した。標的壁厚の最小二乗平均の値は4.5mm(90%信頼区間:3.7~5.4、p<0.001)増加し、LVEFは3.9%ポイント(0.9~6.8、p=0.04)上昇した。また、KCCQ-OSSは6.7点(1.0~12.5、p=0.06)上昇した。 心筋再生医療において、自己の骨格筋芽細胞シートを用いた「ハートシート」は10年を経て有効性の基準を満たさず販売中止となった。しかし、同種iPS細胞由来の心筋細胞をシート状に加工した心筋細胞シート「リハート」が最近、条件および期限付き製造販売承認を取得した。これには短期間の免疫抑制療法を併用する。一方、同種iPS細胞由来の心筋細胞を球状の微小組織にした心筋球を移植する「ハートシード」(免疫抑制療法の併用が必要)を用いた第I/II相試験であるLAPiS試験の結果がESC2026で発表された。BioVATは同種iPS細胞由来の心筋細胞と間質細胞から成るパッチ型心筋移植片(オルガノイド)を用いたという新味はあるものの、小規模な単群試験であり有効性もサロゲートエンドポイントであることから、本試験にて効果の持続性や長期的安全性を判断することは難しい。

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2~5歳児にインフルワクチンが有効、米国では秋生まれに感染が少ない

 2~5歳児において、秋生まれの小児はインフルエンザワクチンの接種を受ける可能性が高く、インフルエンザと診断される可能性が低いという研究結果が、「JAMA Pediatrics」に6月1日掲載された。 米マサチューセッツ総合病院のChristopher M. Worsham氏らは、2016~2023年の各インフルエンザシーズンについて、秋生まれと夏生まれの2~5歳児におけるインフルエンザワクチン接種の有効性を検討した。 その結果、対象となった各インフルエンザシーズンにおいて、秋生まれの小児はインフルエンザワクチンの接種を受ける可能性が高く、インフルエンザと診断される可能性が低いことが分かった。秋生まれの小児では夏生まれの小児に比べて、インフルエンザワクチン接種率がシーズンにより絶対値で8.6~12.5パーセントポイント高く、インフルエンザ診断率は1.0~1.4パーセントポイント低かった。インフルエンザ以外のウイルス感染症の診断率に差は認められなかった。誕生日の時期の健診をきっかけにワクチン接種を受けた小児100人当たり、インフルエンザの診断例はシーズンにより9~14例少なかった。 上席著者で米ハーバード大学医学大学院のAnupam B. Jena氏は、「知りたいこと、理解したいことの全てについてランダム化比較試験を行うことは不可能である。しかし、世の中には膨大なデータがあり、今回のようなランダム化比較試験に近い状況がそのデータの中に埋もれ、発見されるのを待っている」と述べている。 なお、1人の著者がヘルスケア関連企業との、2人の著者が出版・メディア関連企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

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細菌性腟症の女性、性感染症の検査陽性と関連

 細菌性腟症(BV)がある女性では、BVがない女性と比べて性感染症(STI)の検査で陽性となる可能性が約3倍高いことが、米Quest Diagnostics社のDamian Alagia氏らの研究で示された。研究グループは、BVの治療を受けている女性は、類似した症状が現れることのあるSTIについても検査を受けるべきだとする米疾病対策センター(CDC)の指針を裏付ける研究結果だとしている。詳細は、7月23日付で「O&G Open」に掲載された。 Alagia氏は、「今回の研究から得られたデータが、この臨床分野で大いに必要とされているさらなる研究を促すことを期待している。また、BV患者に対するSTI検査を含む包括的な診断アプローチの重要性を臨床医や政策立案者に改めて認識してもらう契機にもなってほしい」と述べている。 Alagia氏らによると、BVは最も頻度の高い婦人科疾患の一つで、女性の約30%が生涯のどこかの時点でこの疾患を経験するという。主な症状は、腟分泌物、悪臭、かゆみ、排尿時の灼熱感などである。研究グループは、BVは性生活のある女性でよく見られるが、STIリスク上昇との関連については十分に検討されてこなかったと説明している。 今回の研究では、2022~2024年に、BV、外陰腟カンジダ症(VVC)、性器クラミジア感染症、淋菌感染症、腟トリコモナス症のいずれかの分子検査を受けた15歳以上の女性150万人超のデータを解析し、BVや外陰腟カンジダ症(VVC)とSTIとの関連を評価した。このうち3万7,000人以上はマイコプラズマ・ジェニタリウム感染症の検査も受けていた。 その結果、対象者全体では38.7%がBV陽性、28.5%がVVC陽性であり、10.8%はBVとVVCの両方が陽性だった。1種類以上のSTIが認められた割合はBV陽性者では12.0%だったのに対し、BV陰性者では3.8%であり、BV陽性者ではBV陰性者に比べてSTIの検査で陽性となる可能性が約3.2倍高かった。年齢や居住地域、VVC検査結果で調整して解析した結果、BV陽性であることは、淋菌感染症のオッズが3.8倍、性器クラミジア感染症のオッズが2.8倍、腟トリコモナス症のオッズが3.6倍、マイコプラズマ・ジェニタリウム感染症のオッズが1.9倍に上昇することと関連していた。一方、VVCについては、BVほど一貫したSTI陽性との関連を示さなかった。 論文の筆頭著者で、Quest Diagnostics社感染症部門のエグゼクティブディレクターであるElizabeth Marlowe氏はニュースリリースの中で、「今回の研究は、BVの女性はSTIのリスクも高いことを示した先行研究の結果を裏付けるとともに、その知見を拡大するものである。本研究の強みは、結論を導き出すためのデータセットが先行研究よりもはるかに大規模である点だ」と述べている。 さらにMarlowe氏は、「この大規模研究は、臨床的に適応がある場合には包括的な分子検査を行うことに価値があることを浮き彫りにしている。それによって臨床医は単一の検体から重複感染を検出したり、患者の管理を最適化したり、エビデンスに基づいた医療を強化したりすることが可能になる」と述べている。

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