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細胞療法の成功例、CAR-T細胞療法の仕組みに迫る!【そこからですか!?のがん免疫講座】第6回

はじめに前回までは、がん免疫療法における免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の話が多かったのですが、最近登場してきた細胞療法のことにも触れておきたいと思い、全5回の連載予定をオーバーしていますが、もう少しお付き合いください。ICIは間接攻撃、細胞療法は直接攻撃ICIは、元々われわれの身体にある免疫細胞(とくにT細胞)を活性化させる治療であり、抗CTLA-4抗体や抗PD-1/PD-L1抗体がその代表です。つまり、ICIは「元々備わっている免疫を介して間接的にがんを攻撃している治療」だといえます。一方で、細胞療法は、「外からがん細胞を攻撃する細胞を入れる治療」です。利用している細胞が免疫細胞なので、「免疫療法」のくくりに入れる場合が多いです。細胞療法は、間接的なICIに比べて直接的な治療であり、その攻撃の仕方にはいろいろな免疫の要素が含まれます。「外から細胞を入れるなんて」と抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、実はこの方法、かなり昔から取り組まれていたんです1)。抗体でT細胞を活性化させる「CAR-T細胞」細胞療法の中で、代表的な成功例がCAR-T細胞療法です2)。CARとは「キメラ抗原受容体:Chimeric Antigen Receptor」の略です。「キメラ」なので何かを「融合」させているのですが、「何を」「何のために」わざわざ融合させているのか、少し詳しく述べてみたいと思います。これまで、「T細胞ががん免疫の主役である!!」と繰り返し、しつこいくらいに述べてきました。少し思い出してほしいのですが、T細胞はその受容体であるTCRを介して、MHCというお皿の上に乗った抗原を認識して活性化し、がん細胞を攻撃していました(図1)。このTCRの替わりに「抗体」を使おう、というのがCARの発想です。画像を拡大する抗体とは、B細胞というリンパ球が産生し血中などに放出しているものです(正確には形質細胞ですが、これは元をたどるとB細胞なので、ややこしいのでここではB細胞とします)。繰り返しになりますが、がん細胞を含む異常細胞を攻撃・排除するための免疫を「細胞性免疫」と呼んでおり、T細胞が主役でした。一方、B細胞から産生され血中などに放出された抗体は、細胞の外にある異物を抗原として認識・結合して免疫反応を起こし、防御機構が働きます。血液で起きるということで、抗体が主につかさどる免疫を「液性免疫」と呼んでいます。抗体の由来はB細胞抗原受容体(BCR)です。BCRはTCRと同じように非常に多くのレパートリーを持つことで、さまざまな抗原を認識できます。治療にも用いられる抗EGFR抗体はEGFRを認識する抗体ですし、これまでにも散々登場した抗PD-1抗体はPD-1を認識する抗体です。抗体がTCRと大きく違うのは「MHCのお皿が必要ない」という点です。MHCは実はかなりの個人差があって、そのタイプに合わないとTCRが認識できないのですが、抗体はMHCとは無関係に抗原を認識することができます。T細胞ががん細胞を攻撃するためには、がん細胞を認識することが重要です。この認識の過程にTCRではなく抗体を使ってあげよう、というのがCARの発想です。人工的に合成した「抗体の抗原を認識する部分」をT細胞に導入することで、がん細胞の表面に出ている抗原であれば、MHCとは関係なくT細胞が認識できるようになります。しかし、単に認識するだけでは、がん細胞を攻撃できません。認識してさらにT細胞を活性化する必要があります。そこでT細胞に活性化シグナルを伝えるためのCD3という分子の一部分を抗体の抗原認識部分とキメラ化し、導入したものがCAR-T細胞です(図2)。画像を拡大するCD3はT細胞マーカーでもあり、同じ部分はT細胞の活性化にも重要です(図1)。単純な表現にすると「TCRの替わりに抗体を使ってT細胞を活性化させているものがCAR-T細胞」なのです。最近では、さらに活性化シグナルが入るように活性化共刺激分子であるCD28や4-1BBもキメラ化して導入したものが、すでに臨床で使われています(図2)。CAR-T細胞療法における成功例は、CD19という分子に対するものです。ある種の血液腫瘍にはCD19が非常に特異的に細胞表面に発現しており、これに対するCAR-T細胞療法は劇的な効果が報告され、臨床にも応用されています3)。ほかにも骨髄腫などで有望なものが報告されています。CAR-T細胞療法、ほかのがんへの応用は?ここまでの話で、「じゃあ、がん細胞表面の抗原とそれに対する抗体さえあれば、どんながんにも応用できるのでは?」と思われた方もおられるかもしれません。その発想は間違っていないのですが、いくつか問題点があります。一番の問題は、その細胞傷害効果が強力過ぎる、という点です。正常細胞にも発現している抗原を認識して傷害すると、大変な副作用が出る可能性が指摘されています。免疫を活性化させる物質であるサイトカインが体中で大量に放出され、ショック状態になってしまう「サイトカイン放出症候群」(これは正しく対処すればそこまで問題はないようです)や、中枢神経系に障害を起こす有害事象も報告されています。したがって、CD19のようにがん細胞表面に非常に特異的でないと開発が難しく、血液腫瘍以外への開発はなかなか進んでいません。そのほかの細胞療法CAR-T細胞療法の成功例を紹介しましたが、「わざわざ面倒なキメラなんて作らなくてもいいのでは?」と思った方もいるかと思います。そうですね、「TCRを直接使ってあげればいいんじゃない?」というのはより単純な発想で、実はこちらも以前から取り組まれており、TCR-T細胞療法と呼ばれています。紆余曲折はあるのですが、特定のがん抗原に対して有望なものも報告され、本邦でも開発が進んでいます。ただし、CARと異なり、TCRはMHCのタイプによっては認識できないため、特定のMHCを持つ患者さんにしか使用できない、という別の問題点もあります。患者さん由来の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を体外で培養・増殖させて、がんを攻撃するT細胞を増やし、体内に戻すTIL療法も効果が報告されています1,4)。本邦ではなかなか手間の問題でできていませんが、海外ではベンチャーもできており、大々的に治験が行われています。TIL療法は悪性黒色腫に対して古くから効果が報告されていましたが、最近ではそれ以外の腫瘍でも効果が報告され、注目を集めています。人工的に細胞を作ることに関して、「えっ」と思う方もおられるかもしれませんが、実は以前から実験室レベルで細胞の遺伝子操作をすることは、比較的簡単にできるようになっています。私も大学院時代の初期に教えてもらいました。CAR-T細胞療法は本邦ではこれから広がる治療ですが、そういった技術面の進歩もあり、今後もこれまでなかったような治療が次々に登場してくるかもしれません。次回はそんな将来像に少し触れ、締めにしたいと思います。1)Rosenberg SA, et al. Science. 2015;348:62-68.2)Singh AK, et al. Lancet Oncol. 2020;21:e168-e178.3)June CH, et al. N Engl J Med. 2018;379:64-73.4)Zacharakis N,et al. Nat Med. 2018;24:724-730.

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HER2+大腸がんに対するトラスツズマブ デルクステカンの成績(DESTINY-CRC01)/ASCO2020

 イタリア・Universita degli Studi di MilanoのSalvatore Siena氏は、HER2陽性転移大腸がんに対する抗HER2抗体薬物複合体製剤トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、DS-8201)の多施設共同非盲検第II相試験DESTINY-CRC01の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。標準治療に抵抗性を示す転移大腸がんでは注目すべき活性を示すと報告した。・対象:2次治療以上の治療歴を有するHER2陽性切除不能・転移大腸がん患者78例  コホートA(53例):HER2 IHC3+またはIHC2+/ISH+  コホートB(7例):HER2 IHC2+/ISH-  コホートC(18例):HER2 IHC1+・介入:トラスツズマブ デルクステカン6.4mg/kg 3週ごと・評価項目:[主要評価項目]コホートAでの独立中央判定による確定奏効率(ORR)[副次評価項目]病勢コントロール率(DCR)、奏効期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、コホートBとCでのORR 主な結果は以下のとおり。・全治療のレジメン数中央値は4、全例がイリノテカン、フルオロウラシル、オキサリプラチンの投与歴を有した。また、全症例の20.5%、コホートAの30.2%で抗HER2療法の治療歴があった。・コホートAの確定ORRは45.3%で、うちCRは1例、DCRは83.0%であった。・コホートAのDoR中央値は未到達であった。・コホートAのPFS中央値は6.9ヵ月、OS中央値は未到達であった。・HER2低発現(IHC2+/1+)の2コホートにおいては、奏効が認められなかった。・全Gradeの治療関連有害事象(TEAE)発現率は症例全体、コホートA共に100%であった。Grade3以上のTEAEは全体が61.5%、コホートAが60.4%であった。・対象症例全体では薬剤関連の間質性肺炎は5例(6.4%)で認定され、Grade2が2例、Grade3が1例、Grade5が2例であった。・サブグループ解析では抗HER2療法の治療歴がある患者でも効果が認められた。 Siena氏は「進行HER2陽性大腸がんに対する治療オプションとしての潜在力を示している」との見解を表明した。

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生活習慣病患者の2割が通院せず自粛/血糖トレンド委員会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、生活習慣病患者の多くが外出を自粛したことに伴い、医療機関への通院を控えた事例が散見される。では、実際どの程度の通院などの自粛がされていたのだろう。 血糖コントロールの重要性、および「血糖トレンド」の概念とその活用方法について、医学的、学術的および患者視点でわかりやすく正確な情報発信を行うこと目的とした委員会である「血糖トレンド委員会」(代表世話人: 西村 理明氏[東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科 主任教授])は、生活習慣病患者にCOVID-19がどのような影響を与えたのかを分析するため調査を実施し、今回その結果を発表した。●調査概要・調査期間 2020年6月8日(月)・9日(火)・調査方法 インターネット調査・調査対象 生活習慣病患者309名(内訳:高血圧103名、2型糖尿病103名、高脂血症103名)・実施機関 株式会社マクロミル主な調査結果・定期的な通院を必要とする生活習慣病患者の20.4%がコロナ感染予防を理由に通院を自粛。患者の44.9%は今後の通院もいまだに不安。・外出自粛で変わった生活習慣。58.6%の患者が体調管理への意識が向上。・生活習慣病患者の49.8%が自己管理ツールに関心。60代でも7%がツールを利用、49%が関心あり。個々のアンケート調査の内容 「COVID-19の流行が始まってから、普段の通院回数に変化はありましたか」の問いに、「変わらない」(78.6%)、「減った/通院していない」(20.4%)、「増えた」(1.0%)の回答結果だった。また、「減った/通院しなかった理由」(n=63)では、複数回答で「新型コロナ感染予防のため」(77.8%)、「自主的に外出自粛をしていたため」(30.2%)の順で多かった。 「緊急事態宣言が解除されてからの通院状況について」では、「不安はなく、通院を再開した」(33.7%)、「不安はあったが、通院を再開した」(30.4%)の順で多かった。 「オンライン診療に関心があるか」では、「関心はあるが、受診したくない」(38.8%)、「関心があり、受診したい」(30.7%)、「関心がない」(28.5%)の順で多かった。 「自粛期間中、普段よりも自身の体調管理を意識したか」では、「意識をしていた」(58.6%)、「特に意識していない」(41.4%)とセルフメディケーションの意識が向上していた。 最後に「自身の健康管理をサポートしてくれるツールに興味があるか」という問いには、「興味がある」(49.8%)、「興味がない」(41.7%)、「すでに活用している」(8.4%)の回答結果で、とくに60歳以上の回答割合もほぼ同様で、スマートフォンの普及も向上し、今後活用されていく可能性が示唆された。 今回、調査を行った同委員会では、「今回の調査で、糖尿病をはじめとする生活習慣病の患者たちがコロナ感染への不安を抱えながらも、コロナ禍において前向きに体調管理に取り組んでいたことが明らかとなった」と結果を分析している。

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血清葉酸レベルと統合失調症の性別に基づく関連性

 血清葉酸濃度に性差があることはよく知られているが、血清葉酸レベルと統合失調症の関連性を性別に基づいて調査した研究はこれまでなかった。徳島大学の富岡 有紀子氏らは、日本人を対象に、性別で層別化した統合失調症患者と精神疾患でない健康な対照者における血清葉酸レベルの違いを調査した。以前の研究データを用いて、血清葉酸レベル、血漿総ホモシステイン(tHcy)、血清ビタミンB6(ピリドキサール)レベルとの関係も調査した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2020年5月23日号の報告。 統合失調症患者482例および精神疾患でない健康な対照者1,350例の血清葉酸濃度を測定した。性差に基づく両群間の血清葉酸レベルの違いを調査するため、共分散分析を用いた。葉酸、 tHcy、ビタミンB6レベルとの関係を評価するため、スピアマンの順位相関係数を用いた。 主な結果は以下のとおり。・対照群では、男性よりも女性において、血清葉酸濃度が高かった。・統合失調症群では、男女ともに血清葉酸レベルが低かった。・血清葉酸レベルとtHcyとの逆相関、血清葉酸レベルとビタミンB6との弱い正の相関が認められた。 著者らは「性別に関係なく、低血清葉酸レベルと統合失調症が関連していることから、統合失調症治療において、葉酸の投与が有益であると考えられる。血清葉酸レベルが低い統合失調症患者に対して葉酸の投与を行うことで、高tHcyおよび低ビタミンB6レベルが改善する可能性がある」としている。

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COVID-19の肺がん患者、死亡率高く:国際的コホート研究/Lancet Oncol

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行期における、肺がん等胸部がん患者の転帰について、初となる国際的コホート研究の結果が公表された。COVID-19に罹患した胸部がん患者は死亡率が高く、集中治療室(ICU)に入室できた患者が少なかったことが明らかになったという。イタリア・Fondazione IRCCS Istituto Nazionale dei TumoriのMarina Chiara Garassino氏らが、胸部がん患者における重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染の影響を調査する目的で行ったコホート研究「Thoracic Cancers International COVID-19 Collaboration(TERAVOLT)レジストリ」から、200例の予備解析結果を報告した。これまでの報告で、COVID-19が確認されたがん患者は死亡率が高いことが示唆されている。胸部がん患者は、がん治療に加え、高齢、喫煙習慣および心臓や肺の併存疾患を考慮すると、COVID-19への感受性が高いと考えられていた。結果を踏まえて著者は、「ICUでの治療が死亡率を低下させることができるかはわからないが、がん治療の選択肢を改善し集中治療を行うことについて、がん特異的死亡および患者の選好に基づく集学的状況において議論する必要がある」と述べている。Lancet Oncology誌オンライン版2020年6月12日号掲載の報告。 TERAVOLTレジストリは、横断的および縦断的な多施設共同観察研究で、COVID-19と診断されたあらゆる胸部がん(非小細胞肺がん[NSCLC]、小細胞肺がん、中皮腫、胸腺上皮性腫瘍、およびその他の肺神経内分泌腫瘍)の患者(年齢、性別、組織型、ステージは問わず)が登録された。試験適格条件は、RT-PCR検査で確認された患者、COVID-19の臨床症状を有しかつCOVID-19が確認された人と接触した可能性のある患者、または、臨床症状があり肺画像がCOVID-19肺炎と一致する患者と定義された。 2020年1月1日以降の連続症例について臨床データを医療記録から収集し、人口統計学的または臨床所見と転帰との関連性について、単変量および多変量ロジスティック回帰分析(性別、年齢、喫煙状況、高血圧症、慢性閉塞性肺疾患)を用いて、オッズ比(OR)およびその95%信頼区間(CI)を算出して評価した。なお、データ収集は今後WHOによるパンデミック終息宣言まで継続される予定となっている。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は、2020年3月26日~4月12日に、8ヵ国から登録された最初の200例であった。・200例の年齢中央値は68.0歳(範囲:61.8~75.0)、ECOG PS 0~1が72%(142/196例)、現在または過去に喫煙81%(159/196例)、NSCLC 76%(151/200例)であった。・COVID-19診断時に、がん治療中であった患者は74%(147/199例)で、1次治療中は57%(112/197例)であった。・200例中、入院は152例(76%)、死亡(院内または在宅)は66例(33%)であった。・ICU入室の基準を満たした134例中、入室できたのは13例(10%)で、残りの121例は入院したがICUに入室できなかった。 ・単変量解析の結果、65歳以上(OR:1.88、95%CI:1.00~3.62)、喫煙歴(OR:4.24、95%CI:1.70~12.95)、化学療法単独(OR:2.54、95%CI:1.09~6.11)、併存疾患の存在(OR:2.65、95%CI:1.09~7.46)が死亡リスクの増加と関連していた。・しかし、多変量解析で死亡リスクの増加との関連が認められたのは、喫煙歴(OR:3.18、95%CI:1.11~9.06)のみであった。

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進行悪性黒色腫の1次治療、アテゾリズマブ追加でPFS延長/Lancet

 未治療のBRAFV600変異陽性進行悪性黒色腫患者の治療において、BRAF阻害薬ベムラフェニブ+MEK阻害薬cobimetinibによる標的治療に、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)阻害薬アテゾリズマブを追加すると、無増悪生存期間(PFS)が有意に延長し、安全性と忍容性も許容範囲であることが、ドイツ・ハノーバー医科大学のRalf Gutzmer氏らが行った「IMspire150試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2020年6月13日号に掲載された。免疫チェックポイント阻害薬、およびBRAF阻害薬+MEK阻害薬併用はいずれも、BRAFV600変異陽性転移悪性黒色腫のアウトカムを改善すると報告されている。BRAF阻害薬+MEK阻害薬併用は高い奏効率を有するが奏効期間は短く、免疫チェックポイント阻害薬は持続的な奏効をもたらすものの奏効率は相対的に低い。このような相補的な臨床的特徴から、これらの併用療法に注目が集まっているという。PFS期間を評価するプラセボ対照無作為化試験 本研究は、20ヵ国112施設が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験であり、2017年1月~2018年4月の期間に患者登録が行われた(F Hoffmann-La RocheとGenentechの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、StageIVまたは切除不能なStageIIIcのBRAFV600変異陽性悪性黒色腫で、全身状態(ECOG PS)が0/1の患者であった。前治療を受けた患者は除外した。 被験者は、アテゾリズマブ+ベムラフェニブ+cobimetinibまたはプラセボ+ベムラフェニブ+cobimetinibを投与する群に無作為に割り付けられた。28日を1サイクルとし、1サイクル目にはベムラフェニブ+cobimetinibのみが投与され、2サイクル目以降にアテゾリズマブまたはプラセボが追加された。 主要アウトカムは、担当医判定によるPFSであった。奏効率は同等、奏効期間は延長 514例が登録され、アテゾリズマブ群に256例(年齢中央値54.0歳[範囲:44.8~64.0]、女性41%)、プラセボ群には258例(53.5歳[43.0~63.8]、42%)が割り付けられた。 追跡期間中央値18.9ヵ月の時点におけるPFS中央値は、アテゾリズマブ群がプラセボ群に比べ有意に延長した(15.1ヵ月vs.10.6ヵ月、ハザード比[HR]:0.78、95%信頼区間[CI]:0.63~0.97、p=0.025)。事前に規定されたサブグループのほとんどで、PFS中央値がアテゾリズマブ群で良好な傾向が認められた。 アテゾリズマブ群は93例(36%)、プラセボ群は112例(43%)が死亡し、全生存期間(OS)に差はなかった(HR:0.85、95%CI:0.64~1.11、p=0.23)。2年時の無イベント生存率はそれぞれ60%および53%だった。 担当医判定による客観的奏効率は、両群でほぼ同等であった(アテゾリズマブ群66.3% vs.プラセボ群65.0%)。一方、奏効期間中央値は、アテゾリズマブ群のほうが長かった(21.0ヵ月vs.12.6ヵ月)。 両群で最も頻度の高い有害事象は、クレアチニン・ホスホキナーゼ上昇(51.3% vs.44.8%)、下痢(42.2% vs.46.6%)、皮疹(両群とも40.9%)、関節痛(39.1% vs.28.1%)、発熱(38.7% vs.26.0%)、アラニン・アミノトランスフェラーゼ上昇(33.9% vs.22.8%)、リパーゼ上昇(32.2% vs.27.4%)であった。有害事象による治療中止は、アテゾリズマブ群が13%、プラセボ群は16%で発生した。 著者は、「OSのデータはimmatureであったが、15ヵ月時の生存曲線はアテゾリズマブ群で良好な傾向がみられた。本研究の生存データは、この患者集団における至適な治療パラダイムに、有益な情報をもたらすであろう」としている。

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若年1型DM、CGMが血糖コントロールを改善/JAMA

 1型糖尿病の青少年および若年成人患者において、持続血糖測定(CGM)は標準的血糖測定に比べ、血糖コントロールをわずかではあるが統計学的に有意に改善し、患者満足度も良好であることが、米国・ハーバード大学医学大学院のLori M. Laffel氏らが行った「T1D(CITY)研究」で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年6月16日号に掲載された。1型糖尿病患者では、青少年および若年成人期が生涯で最も血糖コントロールが不良とされる。CGMは、成人患者で血糖コントロールの改善が示されているが、青少年および若年成人の患者における有益性は明確ではないという。14~24歳の患者対象、米国の無作為化試験 本研究は、1型糖尿病の青少年および若年成人患者の血糖コントロールにおけるCGMの有効性を評価する無作為化臨床試験であり、米国の14施設の参加の下、2018年1月~2019年5月の期間に実施された(米国・Jaeb Center for Health Researchの助成による)。 対象は、年齢14~24歳、HbA1c 7.5~10.9%の1型糖尿病で、罹患期間が1年以上、インスリンポンプまたは頻回インスリン注射を使用し、1日の総インスリン量が0.4単位/kg/日以上で、試験登録前の3ヵ月間にCGMを使用していない患者であった。 被験者は、CGMを受ける群(CGM群)または通常の血糖モニタリングを受ける群(BGM群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。CGMは、トランスミッターとレシーバー、皮下に装着して7日ごとに交換するセンサーから成り、5分ごとに間質液のグルコース濃度を測定した。 主要アウトカムは、ベースラインから26週までのHbA1cの変化とした。副次アウトカムは20項目で、HbA1c関連アウトカムが7項目、CGM指標が9項目、患者報告アウトカムが4項目だった。平均HbA1c、CGM群0.4%低下、BGM群は不変 153例(平均年齢17[SD 3]歳、女性76例[50%]、平均糖尿病罹患期間9[SD 5]年)が登録され、142例(93%)が試験を完遂した。CGM群に74例、BGM群には79例が割り付けられた。CGM群の68%が、26週の時点で週に5日以上CGMを使用していた。26週までに、9つのCGMデバイスの不具合が起きたが、有害事象との関連はなかった。 平均HbA1cは、CGM群がベースラインの8.9%から26週には8.5%に低下したのに対し、BGM群はベースラインおよび26週とも8.9%であり、CGM群で良好な結果が得られた(補正後群間差:-0.37%、95%信頼区間[CI]:-0.66~-0.08、p=0.01)。 事前に規定された20項目の副次アウトカムについては、HbA1c関連の7つの二値変数のうち3つ(HbA1cが26週までに0.5%以上低下[CGM群44% vs.BGM群21%、補正後群間差:23%、95%CI:7~37、p=0.005]など)、9つのCGM指標のうち8つ(目標血糖値[70~180mg/dL]を達成した時間の平均割合[補正後群間差:6.9%、95%CI:3.1~10.7、p<0.001]など)、4つの患者報告アウトカムのうち1つ(Glucose Monitoring Satisfaction Survey scoreによる患者満足度[補正後群間差:0.27、95%CI:0.06~0.54、p=0.003])が、CGM群で有意に良好であった。 両群で最も頻度の高い有害事象は、重症低血糖(CGM群3例、BGM群2例)、高血糖/ケトーシス(1例、4例)、糖尿病性ケトアシドーシス(3例、1例)であった。 著者は、「これらの知見の臨床的重要性を理解するには、さらなる検討を要する」としている。

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静脈栄養製剤の「使用上の注意」改訂で透析・血液ろ過患者は慎重投与に/厚労省

 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会(医薬品等安全対策部会安全対策調査会)は2020年6月25日付の課長通知で、一般用静脈栄養製剤及び肝不全用アミノ酸製剤の添付文書の改訂指示を発出した。改訂対象には一般用静脈栄養製剤計25品目(アミノ酸製剤10品目[アミパレン:大塚製薬工場 ほか]、末梢静脈栄養用製剤5品目[ビーフリード:大塚製薬工場 ほか]、中心静脈栄養用基本液4品目[ハイカリック:テルモ ほか]、中心静脈栄養用キット製剤6品目[フルカリック:テルモ ほか])と肝不全用アミノ酸製剤4品目(アミノレバン:大塚製薬工場 ほか)が該当する。 改訂内容は以下のとおり。・透析又は血液ろ過患者を、禁忌の「重篤な腎障害のある患者」「高窒素血症の患者」及び「乏尿のある患者」から除外し、慎重投与とする。・重要な基本的注意の項に、「透析又は血液ろ過を実施している重篤な腎障害のある患者又は高窒素血症の患者において、水分、電解質、尿素等の除去量、蓄積量は透析の方法及び病態によって異なるため、血液生化学検査、酸塩基平衡、体液バランス等の評価により患者の状態を確認した上で投与開始及び継続の可否を判断する」旨を記載する。 この改訂は、日本静脈経腸栄養学会(現:日本臨床栄養代謝学会)と日本集中治療医学会からの一般用静脈栄養製剤における重篤な腎障害のある患者に係る禁忌事項の見直しに関する要望書の提出を踏まえたもの。また、海外の添付文書において、透析または血液ろ過患者への投与が禁忌とされていない、肝不全用アミノ酸製剤についても透析または血液ろ過患者では静脈栄養製剤を投与した場合と同様、過剰な尿素等は適切に管理されるものと考える、などの調査結果に基づいて行われた。

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初診料が前年比5割減、健診・検診は9割減も/日医・医業経営実態調査

 2020年3~5月、月を追うごとに病院の医業収入が大きく落ち込み、健診・検診の実施件数は半減から9割減となった実態が明らかになった。6月24日の日本医師会定例記者会見において、松本 吉郎常任理事が全国の医師会病院および健診・検査センターの医業経営実態調査結果を発表した。 調査は73の医師会病院、164の健診・検査センターが対象。回答率はそれぞれ71.2%(52病院)、51.2%(84施設)だった。回答病院のうち、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者「あり」は25.0%(13病院)、COVID-19患者のための病床「あり」は50.0%(26病院)。COVID-19入院患者「あり」の病院における月平均入院患者数は7.6人だった(最大は4月に76人の入院患者[東京都])。 2020年3~5月の状況について、病院に対しては稼働病床数や総点数、初診料や再診料の算定回数のほか損益計算書、センターに対しては健診・検査の実施状況と損益計算書の調査が実施された。5月は前年比で初診47.2%、再診31.8%減。電話等再診の算定は増 全体で、初診料と再診料の算定回数の対前年比はともに3月、4月、5月と月を追ってマイナス幅が増加していた。初診料は3月が22.3%減、4月が38.2%減、5月が47.2%減。再診料または外来診療料は3月が14.4%減、4月が26.2%減、5月が31.8%減となっていた。 COVID-19入院患者「あり」の病院のすべてで、5月の初診料算定回数の対前年比がマイナスであった。また、地域医療支援病院(32病院)は、紹介が大幅に減少したとみられ、同じくすべての病院で対前年比がマイナスとなっていた。 一方、2019年にはほとんど算定のなかった電話等再診は4月以降急増し、4~5月には再診料または外来診療料の2%前後が電話等再診になっている。COVID-19対応病院でより顕著、医業利益が大幅に悪化 医業収入・利益については、調査締め切りの時点で5月分が未確定の病院があったため、3~4月分の回答があった病院と、3~5月分の回答があった病院に分けて、集計・分析が行われている。3~4月の集計では、医業収入は対前年比で、3月が1.5%減、4月が11.8%減となり、前年の黒字から一転。医業利益率は保険外の健診・人間ドック等収入の減少も影響して9.0%減、11.8%減となった。4月の許可病床1床当たりの営業利益は前年比で16万2,000円悪化している。3~5月の集計では、5月の医業収入が対前年比で13.8%減と落ち込みが最も大きい。 また、COVID-19入院患者「あり」の病院(3~4月)では、4月の医業収入対前年比が大幅なマイナス(3月が0.3%減、4月が14.7%減)、医業利益率が大幅な赤字となっていた(3月が13.9%減、4月が23.2%減)。4月の許可病床1床当たりの営業利益は前年比で31万1,000円悪化している。 松本氏は、「総じて前年から一転して大幅な悪化傾向が続いており、事業運営に悪影響を及ぼしている」として、国にその支援を求めていくとした。5月には75歳健診や乳がん検診の受診が前年比9割以上減少  医師会健診・検査センターへの調査結果は、本稿では健診・検診の実施状況について紹介する。3月時点ですでに前年に比べて2割以上減少した健診・検診は、特定健診(36.3%減)、75歳以上健診(29.8%減)、ウイルス肝炎検診(27.3%減)、肺がん検診(20.5%減)であった。5月にはすべての健診・検診の実施件数が前年と比べて半減や8割減、更には9割減となっている。5月の対前年比で減少が最も大きかったのは75歳以上健診(93.9%減)で、乳がん検診(90.1%減)、肺がん検診(85.8%減)などが続いた。 同調査の詳細は、日本医師会ホームページに掲載されている。

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ベネトクラクス、急性骨髄性白血病の希少疾病用医薬品に指定/アッヴィ

 アッヴィは、6月22日、経口BCL-2阻害薬ベネトクラクスについて、急性骨髄性白血病(AML)を予定される効能・効果として、厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を取得した。 AMLは最も悪性度が高く、治療困難な血液がんのひとつで、生存率が極めて低い。治療法やケアの進歩にもかかわらず、患者の5年生存率は約28%にとどまっている。またAMLは世界で最も多い急性白血病でもあり、全世界で10万人当たりの新規発症数は103例、本邦におけるAMLの総患者数は、約7,000例と報告されている。 日本では、強力な寛解導入療法の適応とならない未治療のAMLに対する標準的治療はなく、使用可能な治療法は低用量シタラビン単剤療法のみである。60歳以上のAML患者のうち、最適な結果を得るために必要とされる強力な化学療法を行うことのできる患者は約3分の1に過ぎない。

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転落死のリスクが高いのは男性?女性?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第165回

転落死のリスクが高いのは男性?女性?pixabayより使用この研究は、高所から転落した高齢者のアウトカムを調べたものです。転倒の研究は過去にいくつかありますが、高所からという条件に限った研究は、なかなかニッチです。高所からの転落によるアウトカムに性差はないというのが当初の仮説でした。しかし、蓋を開けてみると……。El-Menyar A, et al.Females fall more from heights but males survive less among a geriatric population: insights from an American level 1 trauma center. BMC Geriatr. 2019 Aug 29;19(1):238. doi: 10.1186/s12877-019-1252-6.これは2012年1月~16年12月、高所からの転落により、ウェストチェスターメディカルセンター大学病院のレベル1外傷センターに運ばれた60歳以上の男女を登録した研究です。患者は3群に分けられました。グループ160~69歳グループ270~79歳グループ380~89歳8,528人の外傷患者さんのうち、53%にあたる3,665人が高所からの転落でした。多いですね、半分ですやん。59.5%にあたる2,181人が60歳以上で、52%が女性でした。さて、転落のリスクは年齢とともに上昇していき、グループ2でオッズ比1.52、グループ3で3.40でした。女性は、1.2倍転落リスクが高かったそうです(年齢補正オッズ比[OR]:1.24、95%信頼区間[CI]:1.05~1.45)。転落の3分の2が1m以下の低いところからの転落でした。ええっと……、全然高所とは言えませんが……、まぁ細かいことは抜きにしましょう。最も外傷重症度が高かったのはグループ2で、下肢の外傷重症度が高かったのはグループ3でした。全体での死亡率は8.7%で、グループ1が3.6%、グループ2が11.3%、グループ3が14%でした。そして、なんと!! 男性は女性と比べて、どの年齢層でも死亡率が高いという結果でした(グループ1:4.6% vs.1%、グループ2:12.9% vs.4.2%、グループ3:17.3% vs.6.9%)。多変量解析によると、ショックインデックス(OR:3.8、95%CI:1.27~11.33)、男性(OR:2.70、95%CI:1.69~4.19)は死亡の独立リスク因子でした。というわけで、女性は転落しやすいけど、男性のほうが死亡リスクは高いと言えるのです!たぶん!

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第12回 ニコチン依存症治療用アプリが人間味を帯びたら医者いらず?

疾患治療にスマホアプリが処方される時代がやってきた。厚生労働省の薬事・食品衛生審議会(医療機器・体外診断薬部会)は6月19日、株式会社CureApp(キュア・アップ)が申請した禁煙治療用アプリ「CureApp SCニコチン依存症治療アプリおよびCOチェッカー」の製造販売承認を了承した。7月にも正式承認となる見込みで、同社は保険適応を目指している。臨床試験でも認められた禁煙治療用アプリの効果日本では2014年に施行された医薬品医療機器等法(薬機法、旧薬事法改正とともに名称変更)で、診断・治療などを目的としたソフトウェア単体も医療機器として分類されることになった。アメリカでは2型糖尿病の治療用アプリが既にFDAの承認を取得して実際に用いられているが、日本国内で臨床試験を経た治療用アプリの承認は初。しかも、禁煙治療用アプリとしては世界初である。このアプリは既存のニコチン製剤による禁煙治療と併用される。喫煙によるニコチン依存は、ニコチン摂取により脳内で起きる快感や報酬感が反復することで起こる身体的依存と喫煙で身に付いたクセや習慣が抜けない心理的依存の2つに分けられ、医療的な措置として、前者はまさにニコチン製剤、後者は診察時の医療従事者によるカウンセリング的なものとなる。ただ、現在の保険適応のニコチン製剤による治療期間は3ヵ月で、最初の1ヵ月間は2週間おき、その後は1ヵ月おきで受診回数は合計5回のみ。しかし、この間、患者は個人差があっても日常的に身体的依存と心理的依存に悩まされる。身体的依存に対するニコチン製剤は毎日2回服用するものの、心理的依存への対処は5回の受診時のみだ。この心理的依存への措置を補完するのが今回のアプリである。報道にもあるように禁煙治療期間中に心理的依存に悩む場合はアプリを立ち上げると、そのつらさに共感し、緩和措置を提案するメッセージが表示される。また、前述のアプリの正式名称からも分かるように禁煙治療中の受診時に測定される呼気中一酸化炭素(CO)濃度の専用測定機器が付属し、測定結果をアプリに送信して医師と共有することでよりきめ細かな日常管理も可能になるという。ちなみにアプリによる治療はニコチン製剤による治療より長い6ヵ月間。医師がアプリを処方した際に患者には処方コードが渡される。このコードをダウンロードしたアプリに入力することで、アプリはアクティベートされ、6ヵ月後には自動的に使用不可となる。実際に行った臨床試験での継続禁煙率は半年間(9~24週)で対照群が50.5%、アプリ使用群が63.9%、1年間(9~52週)では対照群が41.5%、アプリ使用群52.3%でいずれも統計学的な有意差(p=0.010)が認められた。禁煙治療中にはどんなことが起こるのか?率直に言ってもう少し早く承認されていれば、私自身が使ってみたかったと思う。というのも、この原稿を執筆している今現在、ニコチン製剤による禁煙治療中だからだ。ちなみに7月1日で3ヵ月間の全治療コースが終了予定である。前回も書いたが、私は高尿酸血症の解消のため1年7ヵ月で体重14kg減を実現した。減量開始当初はここまでできるとは思っていなかったが、この間、ウエストも20cm減となり、お腹ポッコリが気になって着れなかったボディコンのTシャツも着れるなど良いことは多い。そしてこの14kg減量を実現すると、どうしても喫煙を続けている自分が気になった。要は高級ブランドのワイシャツを着ると、ネクタイも高級ブランドのものにしたくなるような感覚といったらいいのかもしれない。私は安アパートを個人事務所にしており、かつてはほぼ1日中喫煙しながら仕事をしていた。14kg減量できたのだから禁煙もそんなに苦痛なくできるはずだろう、と思って始めたのだが、これが予想外に大変だった。完全禁煙から約2週間は1日3時間ほどしか仕事ができなかった。原稿を書く以上、当然キーボードに両手を置いているはずなのだが、実は結構な頻度で喫煙し、むしろ喫煙の合間に仕事をしているような感覚に近かったのかもしれない。禁煙を開始し、頻繁にタバコを手にしていた左手が手ぶら状態なのがどうにも気になって仕方ない、率直な表現をすると左手をどこに置いて良いのか分からないのだ。それならば左手もキーボードに置いて終始仕事に集中すれば良いだろうと言われるかもしれないが、そんな「生易しい」ものではない。あまりの手持無沙汰に左手をブルブル振り、それも疲れると散歩と称して外をぶらぶら歩く。この繰り返しでまともに着席していられない。この地獄の2週間を過ぎると、今度は食後、飲酒時に無性にタバコが欲しくなる。絶対タバコは購入しないと決めていたが、緊急事態宣言もあり喫煙者がいる飲酒の席がほとんどなかったことも幸いしたかもしれない。2ヵ月以上過ぎた今は2~3日に1回ぐらいは「タバコがあったら」と思うことはあるが、だいぶ慣れてきた。今では喫煙直後と思われる人とすれ違っただけで、それに気づくようにもなっている。禁煙治療を阻害する医師たちとは?この間、受診時に主治医から「どうですか?」と尋ねられた際は率直にそのことを説明していたが、一度だけ「気を紛らわすためには水を飲むとか運動するとかが良いと言われています」と他人事のように言われたぐらいである。臨床試験の結果から推察すれば、私が経験した悩みがこのアプリで解決できる可能性はあるということだ。ただ、このアプリで示されているようなモデルは、医師を巡るある命題を再燃させることにもつながる。近年の人工知能(AI)の台頭とともに一時期活発化した「医師はAIに置き換わるのか」という議論だ。この件は現状のAIの精度が決定打といえないことから、「医師かAIかではなく、AIを使わない医師は淘汰される」との方向で収束しているように思う。また、別の観点からは「AIは患者に共感はできないが、ヒトである医師は患者に共感を示せる」から医師がAIに置き換わることは難しいと言われてきた。だが、今回のアプリが患者への共感の一部も代行できるならば、医師はもはや患者に共感を示せるだけでは不十分となる。古の孫子が唱えた「彼を知り己を知れば百戦殆からず」にならい、アプリの挙動も踏まえてより高い共感を患者に示さねばならなくなる。医師の生存環境はより厳しいものになるが、逆にそれができれば、前述の臨床試験で示された長期的な禁煙継続率も上昇すると肯定的に捉えることは可能だ。ちなみに私は元喫煙者として、経験上、患者の禁煙の阻害になる医師像のほうが明示しやすい。それは健康増進法改正議論が活発化した際にとくに目立った「喫煙の害のみを繰り返し強調する医師」である。こうした医師が間違っているというわけではない。しかし、年々喫煙率が低下し、現在では2割を切る少数派としての喫煙者はいわば確信犯である。その確信犯たる喫煙者に善悪論のみで行動変容を迫ることはかなり困難である。なぜなら自分をひたすら否定する人の忠告にヒトは耳を貸さないからだ。実際、私自身、あの健康増進法改正論議の当時は「意地でも止めるものか」と思ったものだ。喫煙問題に熱心な医師ほど「喫煙はニコチン依存症」と病気であることを強調する。依存症治療では、依存対象と物理的に距離を取らせ、依存対象を分散させるが、そのベースには患者への寄り添いが必要であると多くの精神科医が強調する。だからこそ今回の禁煙治療用アプリの登場で、禁煙治療での「共感=寄り添い」の欠如を改めて感じてしまうのだ。参考Masaki K, et al. NPJ Digit Med. 2020 Mar 12;3:35.[Epub ahead of print]

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RET陽性肺がんに対するselpercatinibの脳転移に関する効果(LIBRETTO-001)/ASCO2020

 米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのVivek Subbiah氏は、RET融合遺伝子陽性のNSCLCに対するRET阻害薬selpercatinib(LOXO-292)の第I/II相試験LIBRETTO-001の脳転移例に関するサブ解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。同薬が脳転移に対する著明な抗腫瘍効果を示すと報告した。 非小細胞肺がん患者の約2%に認められるRET融合遺伝子陽性症例では脳転移の頻度が高いことが報告されている。selpercatinibは前臨床試験でこうした転移に対する抗腫瘍効果が報告されている。・対象:LIBRETTO-001に登録した脳転移を有する患者79例・評価項目:[主要評価項目]脳転移に対する奏効率(ORR) [副次評価項目]脳転移に対する奏効持続期間(DoR) 主な結果は以下の通り。・独立評価委員会の評価で、解析に十分な追跡期間(初回投与から6ヵ月以上)がある14例が最終対象となった。・対象患者全例が前治療を経験し、うち5例は脳への放射線照射が行われており、照射はselpercatinib投与2ヵ月前までに終了していた。・ORR は93% (95%信頼区間[CI]:66.1~99.8)で、完全奏効(CR)は14%、部分奏効(PR)は79%であった。・DoRは10.1 ヵ月(95%CI:6.7~評価不能)。・奏効例13例中、脳転移の病勢進行は5例に認められ、死亡は1例であった。 Subbiah氏は、「selpercatinibは脳転移に対する抗腫瘍効果は永続性があり、かつ独立的に確認されており、化学療法による前治療がある患者でも認められる」と評した。

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統合失調症外来患者における抗精神病薬の高用量処方に関連する要因

 抗精神病薬は、複数の向精神薬と併用し、高用量で処方されることが一般的である。京都大学の高橋 達一郎氏らは、統合失調症患者に対する抗精神病薬の高用量処方に焦点を当て、患者の特徴および向精神薬併用との関連を特定するため調査を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年5月26日号の報告。 2014年10月~2015年3月の全国都道府県からの請求データを用いて、統合失調症成人外来患者の抗精神病薬処方を調査した。客観的変数は、高用量処方の有無とした。説明変数には、性別、年齢(カテゴリー)、併存疾患の有無、精神科医による治療を含めた。 主な結果は以下のとおり。・除外後の対象患者は、1万3,471例であった。・高用量処方の頻度は男性で高く、クロルプロマジン換算量が最も多かった年齢範囲は、男性で45~54歳、女性で35~44歳であった。・65歳未満の脳血管疾患患者では、高用量処方が少なかった。・65歳未満の患者では、向精神薬の併用頻度が高かった。 著者らは「統合失調症患者では、高用量の抗精神病薬が向精神薬と併用されることが少なくない。症状が改善した患者のケアのために、抗精神病薬の高用量処方を避けるべく、医師の処方行動を評価する必要性がある」としている。

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去勢感受性前立腺がん、アパルタミド+アビラテロン vs.ADT+アビラテロン vs.アパルタミド単独(LACOG0415)/ASCO2020

 去勢感受性前立腺がん(CSPC)に対するアパルタミドとアビラテロンの併用とアンドロゲン遮断療法(ADT)とアビラテロンの併用、アパルタミド単独療法の3群を評価する試験結果が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、ブラジル・Hospital Israelita Albert EinsteinのFernando C. Maluf氏から発表された。本試験は、中南米の臨床試験グループ(LACOG)が実施した、オープンラベル無作為化非比較第II相試験である。・対象:12ヵ月以内にADTが施行されていないCSPC症例。PSA値は4ng/mL以上かつPSA倍加時間が10ヵ月未満、または、PSA値が20ng/mL以上、さらに血中テストステロン値230ng/dL・介入:(1)ADT+アビラテロン+プレドニゾン(Abi群)(2)アパルタミド+アビラテロン+プレドニゾン(ApaAbi群)(3)アパルタミド単独(Apa群)・アビラテロンは1,000mg/日、アパルタミドは240mg/日、プレドニゾンは5mg/回×2/日をいずれも連日内服投与。ADTはゴセレリン10.8mg/日を3ヵ月間隔で皮下注射・評価項目:[主要評価項目] 25週目時点でのPSA値が0.2ng/mL以下に下がる割合[副次的評価項目] 25週目でPSA値が50%以上と80%以上低下した割合、血中テストステロン値変動、25週目での最大PSA値低下率、安全性、QOLなど 主な結果は以下のとおり。・本試験には、Abi群42例、ApaAbi群44例、Apa群42例の計128例が登録された。・3群間に患者背景のばらつきはなく、年齢中央値は70歳、PSA中央値は22.5ng/mL、血中テストステロン中央値は409ng/dLだった。また、全体の57%がグリソンスコア8以上で、遠隔転移有りが74.2%であった。・25週時点でAbi群41例、ApaAbi群39例、Apa群40例がPSA値を測定でき、この集団(mITT)を対象に主要評価項目が検討された。25週時点で0.2ng/mL以下にPSA値が低下した割合は、Abi群75.6%、ApaAbi群79.5%、Apa群60.0%であった。・25週時点でのPSA値が50%以上低下した割合は、Abi群とApaAbi群で共に100%、Apa群で92.5%であった。同じく80%以上のPSA値が低下した割合は、Abi群で100%、ApaAbi群で97.4%、Apa群で90.0%だった。・ベースラインから25週目までの血中テストステロン値の変化は、Apa群では、134%増加し、Abi群では97.4%、ApaAbi群では73.8%の減少が認められた。・治療に関連するGrade3/4の有害事象は、Abi群で19.0%、ApaAbi群で22.7%、Apa群は16.7%であった。また、Abi群2.4%、ApaAbi群9.0%、Apa群2.4%が、薬剤毒性の為に治療を中止していた。・主な有害事象としては、Grade1/2の女性化乳房がAbi群7%、ApaAbi群20%、Apa群55%であった。Grade1/2の高血糖は、Abi群10%、ApaAbi群11%、Apa群2%であり、ほてりは、それぞれ38%、30%、5%であった。また高血圧は、Abi群21%(Grade3/4は12%)、ApaAbi群20%(Grade3/4は11%)、Apa群5%(Grade3/4は2%)に認められた。 演者は「アンドロゲン受容体の阻害による去勢の代用については未解決であるが、少なくともCSPCに対するアパルタミドとアビラテロン、ADTとアビラテロンの併用は、有効である可能性が示唆された」と結んでいる。

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新型コロナで低カリウム血症、その原因は?

 中国・温州医科大学のDong Chen氏らは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者における治療転帰との関連性を見いだすため、低カリウム血症の有病率、原因、および臨床的影響を調査する目的で研究を行った。その結果、COVID-19患者において低カリウム血症の有病率が高いこと、さらにその原因として、新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)がアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)に結合することにより、ACE2(レニン-アンジオテンシン系を抑制)が分解され、レニン-アンジオテンシン系が活性化して持続的に腎からカリウムが排泄されることが示唆された。JAMA Network open誌2020年6月1日号掲載の報告。COVID-19重症および重篤患者40例のうち34例が低カリウム血症 本研究は、2020年1月11日~2月15日までの期間に中国・Wenzhou Central Hospital とWenzhou No.6 People's Hospitalで実施。対象者は入院中Chinese Health Bureauの基準に従いCOVID-19の診断を受けた患者とした。患者を重症低カリウム血症(血漿カリウム濃度:<3mmol/L)、低カリウム血症(同:3~3.5mmol/L)、カリウム正常値(同:>3.5mmol/L)に分類し、臨床的特徴、治療、および臨床転帰について3群間で比較した。主要評価項目は低カリウム血症群の有病率とカリウム補充による治療への反応で、血漿と尿中カリウムの濃度を分析した。また、患者は抗ウイルス療法などを受け、研究者らはそれらの疫学的および臨床的特徴を収集した。 新型コロナウイルス感染症と低カリウム血症の関連を調査した主な結果は以下のとおり。・175例(女性:87例[50%]、平均年齢±SD:45±14歳)の内訳は、重症低カリウム血症:31例(18%)、低カリウム血症:64例(37%)、およびカリウム正常値:80例(46%)だった。・重症低カリウム血症群の患者は、低カリウム血症群の患者と比べ有意に高体温だった(平均体温±SD:37.6±0.9℃ vs. 37.2±0.7℃、差:0.4℃、95%信頼区間[CI]:0.2~0.6、p=0.02)。また、カリウム正常値群の患者体温は、平均体温±SD:37.1±0.8℃(差:0.5℃、95%CI:0.3~0.7、p= 0.005)だった。・重症低カリウム血症群の患者はクレアチンキナーゼ(CK)も高く、平均±SD:200±257U/L(中央値:113 U/L、四分位範囲[IQR]:61~242U/L)、 低カリウム血症群は同:97±85U/L、カリウム正常値群は同:82±57U/Lだった。・クレアチニンキナーゼMB分画タンパク量(CK-MB)は、重症低カリウム血症群で平均±SD:32±39U/L(中央値:14 U/L、IQR:11~36U/L)、低カリウム血症群で同:18±15U/L、カリウム正常値群で同:15±8U/Lだった。・乳酸脱水素酵素(LDH)は、重症低カリウム血症群で平均±SD:256±88U/L、低カリウム血症群では同:212±59U/L、およびカリウム正常値群は同:199±61U/Lだった。・C反応性タンパク(CRP)は、重症低カリウム血症群で平均±SD:29±23mg/L、低カリウム血症群では平均±SD:18±20mg/L(中央値:12mg/L、IQR:4~25mg/L)およびカリウム正常値群では平均±SD:15±18mg/L(中央値:6U/L、IQR:3~17U/L)だった。・COVID-19重症および重篤患者40例のうち34例(85%)は低カリウム血症だった。重症低カリウム血症の患者には、入院中に1日当たり40mEqのカリウムが投与され、平均総投与量±SDは塩化カリウムで453±53mEqだった。・回復において、カリウム補充への反応は良好だった。

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乳がん術後補助療法の非順守が血清検査で判明、再発リスクは2倍/JCO

 乳がん術後補助療法のタモキシフェン治療へのノンアドヒアランス(非順守)は、医師に認識されていないことが多い。今回、フランス・Institut Gustave RoussyのBarbara Pistilli氏らが、タモキシフェン治療の非順守率を血清検査で生化学的に調べたところ、自己申告では順守であっても順守していない患者が多いことがわかった。また、非順守患者では短期における遠隔無再発生存期間(DDFS)が順守患者より有意に短いことが示された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年6月22日号に掲載。 本研究の対象は、大規模前向き研究であるCancer Toxicities(CANTO)研究(NCT01993498)に登録された閉経前女性1,177例。生化学的非順守は処方1年後の血清タモキシフェン値が60ng/mL未満とした。同時に自己申告による非順守について半構造化面接で調査した。診断時の年齢、TNM病期分類、手術の種類、化学療法の有無、サイズに基づく傾向スコアを用いた逆確率加重モデルおよびCox比例ハザードモデルにより生存分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・血清タモキシフェン検査において、設定したアドヒアランスの閾値を下回った患者は16.0%(188例)で、患者申告による非順守率(12.3%)より高かった。・血清タモキシフェン検査で非順守であった188例のうち55%の患者は、自己申告では順守としていた。・血清タモキシフェン検査から中央値24.2ヵ月の追跡期間後、生化学的非順守であった患者のDDFSは有意に短く(調整ハザード比:2.31、95%CI:1.05〜5.06、p=0.036)、順守患者では95.4%の患者が3年間遠隔再発なく生存していたのに対し、非順守コホートでは89.5%だった。 著者らは、「薬剤モニタリングは、処方どおりにタモキシフェンを服用せず、転帰不良のリスクがある患者を迅速に特定するために有用かもしれない」と考察している。

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高齢1型DM患者の低血糖発現、CGM vs.標準BGM/JAMA

 60歳以上の1型糖尿病高齢患者では、標準的な血糖測定(BGM)に比べ持続血糖測定(CGM)を行うことにより、低血糖がわずかではあるが統計学的に有意に減少することが認められた。米国・AdventHealth Translational Research InstituteのRichard E. Pratley氏らが、米国の内分泌科22施設で実施した無作為化臨床試験の結果を報告した。CGMはリアルタイムで血糖値を評価できることから、1型糖尿病高齢患者の低血糖を軽減することが期待されていた。JAMA誌2020年6月16日号掲載の報告。1型DM高齢患者203例を対象に、CGM vs.標準BGM下の低血糖発現を評価 研究グループは、60歳以上の1型糖尿病患者203例を、CGM群(103例)と標準BGM群(100例)に1対1の割合で無作為に割り付けた。標準BGM群には、自宅で1日4回以上血糖測定を行ってもらうとともに、無作為化後7、15および25週後に来院してCGM(盲検下)を1週間装着してもらった。両群とも無作為化後4、8、16および26週後に評価した。 主要評価項目は、6ヵ月の追跡期間におけるCGM測定下で血糖値70mg/dL未満を示した時間の割合。副次評価項目は、血糖値54mg/dL未満または60mg/dL未満の低血糖、高血糖、血糖コントロール(血糖値、HbA1c)、認知機能および患者報告アウトカム(PRO)など31項目が事前に定義された。血糖値70mg/dL未満の時間の割合、CGM群で有意に低下 203例の患者背景は、年齢中央値68歳(四分位範囲[IQR]:65~71)、罹病期間中央値36年(IQR:25~48)、女性52%、インスリンポンプ使用者53%、平均HbA1c 7.5%(標準偏差0.9%)であった。203例中83%が6ヵ月間で6日/週以上CGMを使用した。 血糖値70mg/dL未満の時間中央値は、CGM群がベースラインでは5.1%(73分/日)、追跡期間時は2.7%(39分/日)であり、標準BGM群はそれぞれ4.7%(68分/日)、4.9%(70分/日)であった(補正後群間差:-1.9%[-27分/日]、95%信頼区間[CI]:-2.8~-1.1[-40~-16分/日]、p<0.001)。 副次評価項目31項目中、CGM評価による低血糖および高血糖に関する全9項目と、HbA1cに関する7項目中6項目で統計学的有意差が認められたが、認知機能およびPROに関する15項目については、有意差は認められなかった。CGM群では、標準BGM群と比較して平均HbA1cが低下した(補正後群間差:-0.3%、95%CI:-0.4~-0.1、p<0.001)。 主な有害事象(CGM群、標準BGM群)は、重症低血糖(1例、10例)、骨折(5例、1例)、転倒(4例、3例)、救急外来受診(6例、8例)であった。 著者は、社会経済状況が高く専門的な糖尿病治療を受けている患者を対象としていること、介入期間が6ヵ月間と短いこと、旧型のCGMセンサーを使用したことなどを研究の限界として挙げ、「長期的な臨床的有用性を理解するためには、さらなる研究が必要である」とまとめている。

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トラスツズマブ デルクステカン、既治療HER2+胃がんのOS改善/NEJM

 既治療HER2陽性胃がん患者において、トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201)は医師が選択した化学療法と比較し、客観的奏効率(ORR)および全生存期間(OS)を有意に改善した。安全性については、骨髄抑制および間質性肺疾患の副作用が顕著であった。国立がん研究センター東病院の設楽 紘平氏らが、日本の48施設および韓国の18施設で実施した無作為化非盲検第II相試験「DESTINY-Gastric01試験」の結果を報告した。トラスツズマブ デルクステカンは、抗HER2抗体と新規トポイソメラーゼI阻害薬を、切断可能なテトラペプチドベースのリンカーを介して結合させた抗体薬物複合体(ADC)である。第I相試験において既治療HER2陽性進行胃がんに対する有効性が示されていた。NEJM誌2020年6月18日号掲載の報告。トラスツズマブ デルクステカンと、医師が選択した化学療法(イリノテカンまたはパクリタキセル)を比較 研究グループは2017年11月~2019年5月の期間に、トラスツズマブを含む2つ以上の治療を受けていたHER2陽性(IHC 3+またはIHC 2+/ISH+)の進行・転移を有する胃腺がんまたは胃食道接合部腺がん患者188例を対象に試験を行った。被験者をトラスツズマブ デルクステカン群(6.4mg/kg、3週ごと)、または化学療法(医師がイリノテカンまたはパクリタキセルのどちらかを選択)群に2対1の割合で無作為に割り付け、追跡評価した。 主要評価項目は、独立中央委員会評価によるORR、副次評価項目はOS、奏効期間、無増悪生存期間(PFS)、確定した奏効(奏効が4週間以上持続)、安全性であった。 188例中187例が治療を受けた。内訳は、トラスツズマブ デルクステカン群125例、化学療法群62例(イリノテカン群55例、パクリタキセル群7例)。ORRは51% vs.14%、OSは12.5ヵ月 vs.8.4ヵ月と、いずれもADC群が有意に良好 ORRは、トラスツズマブ デルクステカン群51%、化学療法群14%であった(層別Cochran-Mantel-Haenszel検定のp<0.001)。OS中央値は、トラスツズマブ デルクステカン群12.5ヵ月、化学療法群8.4ヵ月で、トラスツズマブ デルクステカン群で有意に延長した(死亡のハザード比[HR]:0.59、95%信頼区間[CI]:0.39~0.88、両側p=0.01、事前に規定したO'Brien-Fleming法による死亡数に基づいた有意水準p=0.0202を下回った)。 主なGrade3以上の有害事象は、好中球数減少(トラスツズマブ デルクステカン群51%、化学療法群24%)、貧血(38%、23%)、白血球数減少(21%、11%)などであった。間質性肺疾患または肺臓炎(独立中央委員会による判定)の副作用が、トラスツズマブ デルクステカン群で12例に認められた(Grade1/2:9例、Grade3/4:3例)。治験薬に関連した死亡は、トラスツズマブ デルクステカン群でのみ1例(肺炎)報告された。

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