若年1型DM、CGMが血糖コントロールを改善/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2020/06/29

 

 1型糖尿病の青少年および若年成人患者において、持続血糖測定(CGM)は標準的血糖測定に比べ、血糖コントロールをわずかではあるが統計学的に有意に改善し、患者満足度も良好であることが、米国・ハーバード大学医学大学院のLori M. Laffel氏らが行った「T1D(CITY)研究」で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年6月16日号に掲載された。1型糖尿病患者では、青少年および若年成人期が生涯で最も血糖コントロールが不良とされる。CGMは、成人患者で血糖コントロールの改善が示されているが、青少年および若年成人の患者における有益性は明確ではないという。

14~24歳の患者対象、米国の無作為化試験

 本研究は、1型糖尿病の青少年および若年成人患者の血糖コントロールにおけるCGMの有効性を評価する無作為化臨床試験であり、米国の14施設の参加の下、2018年1月~2019年5月の期間に実施された(米国・Jaeb Center for Health Researchの助成による)。

 対象は、年齢14~24歳、HbA1c 7.5~10.9%の1型糖尿病で、罹患期間が1年以上、インスリンポンプまたは頻回インスリン注射を使用し、1日の総インスリン量が0.4単位/kg/日以上で、試験登録前の3ヵ月間にCGMを使用していない患者であった。

 被験者は、CGMを受ける群(CGM群)または通常の血糖モニタリングを受ける群(BGM群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。CGMは、トランスミッターとレシーバー、皮下に装着して7日ごとに交換するセンサーから成り、5分ごとに間質液のグルコース濃度を測定した。

 主要アウトカムは、ベースラインから26週までのHbA1cの変化とした。副次アウトカムは20項目で、HbA1c関連アウトカムが7項目、CGM指標が9項目、患者報告アウトカムが4項目だった。

平均HbA1c、CGM群0.4%低下、BGM群は不変

 153例(平均年齢17[SD 3]歳、女性76例[50%]、平均糖尿病罹患期間9[SD 5]年)が登録され、142例(93%)が試験を完遂した。CGM群に74例、BGM群には79例が割り付けられた。CGM群の68%が、26週の時点で週に5日以上CGMを使用していた。26週までに、9つのCGMデバイスの不具合が起きたが、有害事象との関連はなかった。

 平均HbA1cは、CGM群がベースラインの8.9%から26週には8.5%に低下したのに対し、BGM群はベースラインおよび26週とも8.9%であり、CGM群で良好な結果が得られた(補正後群間差:-0.37%、95%信頼区間[CI]:-0.66~-0.08、p=0.01)。

 事前に規定された20項目の副次アウトカムについては、HbA1c関連の7つの二値変数のうち3つ(HbA1cが26週までに0.5%以上低下[CGM群44% vs.BGM群21%、補正後群間差:23%、95%CI:7~37、p=0.005]など)、9つのCGM指標のうち8つ(目標血糖値[70~180mg/dL]を達成した時間の平均割合[補正後群間差:6.9%、95%CI:3.1~10.7、p<0.001]など)、4つの患者報告アウトカムのうち1つ(Glucose Monitoring Satisfaction Survey scoreによる患者満足度[補正後群間差:0.27、95%CI:0.06~0.54、p=0.003])が、CGM群で有意に良好であった。

 両群で最も頻度の高い有害事象は、重症低血糖(CGM群3例、BGM群2例)、高血糖/ケトーシス(1例、4例)、糖尿病性ケトアシドーシス(3例、1例)であった。

 著者は、「これらの知見の臨床的重要性を理解するには、さらなる検討を要する」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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コメンテーター : 住谷 哲( すみたに さとる ) 氏

社会福祉法人恩賜財団大阪府済生会泉尾病院 糖尿病・内分泌内科 主任部長

J-CLEAR評議員